鉄とCAMPARIとセスト・サン・ジョバンニ 2018年3月訪問
【 ミラノ都市圏とセスト・サン・ジョバンニ 】
ミラノは大都会です。都市圏全体では330万人くらいの人が住んでいます。その中の、いわゆる、昔からのミラノ市の人口は120万人くらいです。
旧ミラノ市の北に隣接した、セスト・サン・ジョバンニ:Sesto San Giovanni という名前の市に、少し逗留しました。かつての重工業都市は、地の利を生かし、小ぎれいな住宅街に進化しています。
セスト・サン・ジョバンニは、地下鉄1号線の北の終点です。ドゥオーモから、おそよ25分ですので、ミラノ都心へのお手頃な通勤圏のひとつです。JRに相当する電車のトレノルド:Trenord 利用ですと、Milano Centrale:ミラノ・チェントラーレ、またはMilano Garibaldi:ミラノ・ガリバルディ駅から各駅停車に乗り、1つ目または2つ目の停車駅です。所要時間12-13分で着きます。
( 国鉄的なトレノルドのセスト・サン・ジョバンニ駅 )
トレノルドのセスト・サン・ジョバンニ駅は、少し古びているので、目下、改装工事中でした。メトロのセスト・サン・ジョバンニ駅は、トレノルドの駅前広場の地下にあります。両方の駅は、地下通路でつながっています。
( トレノルド駅前にあるメトロのセスト・サン・ジョバンニ駅 )
駅の表側は、バス・ターミナルと数軒の商店があるだけで、がらんとしています。常に駅前が賑やかな東京や大阪のような感覚とは違います。
【 鉄はミラノなり 】
トレノルドの駅の裏側は、いま、広大な空き地です。
( セスト・サン・ジョバンニ駅裏の広大な空き地と通勤電車 )
ファルク社:Falck、という製鉄会社が20年以上前に、当地での製鉄、製鋼事業をやめました。それ以来、工場建屋は、イタリア重工業の栄枯盛衰を物語るように朽ちるのを待っていたようですが、最近、整地が進んだとのことでした。まだ、数棟、製鉄所をイメージさせる構造の建物が、骨組みを残して建っています。
イタリア語の名称は、acciaierie Falck:アッチャイエリエ・ファルク=ファルク製鋼所(または製鉄所)というのだそうです。日本語では、製鉄と製鋼を、あまり区別しないので、少し意味がぼやけてしまいます。ご容赦ください。
巨大な炉や、長い圧延設備がごうごうと稼働し、煙突から、もくもくと煙が出ていた時代が脳裏に浮かびました。
( 製鉄所の建物が少し残るセスト・サン・ジョバンニ駅裏 )
遠目に、加工組立工場跡らしき三角屋根のレンガ建築物も見えます。薄雲をついて昇る朝日は、少し寂しげです。
( 廃屋の向こうに昇る朝日は変わらず )
「 朝日差す、ミラノを支えた製鉄所 」、という感じでした。
おそらく、10年くらい経つと、イタリアンなデザインの中級マンション街と、大きなショッピングセンターができているような気がします。
ですから、セスト・サン・ジョバンニは工業都市。工員さん、職工さんの街として発展してきたそうです。東京で言えば、江東区とか、近隣の川崎市、川口市のイメージです。
それが、いまでは都心への便が良い、お手頃なベッドタウンになっているのも川崎や川口と、おんなじです。
【 カンパリで持つ 】
セスト・サン・ジョバンニで、一番、有名なものは、酒造メーカーのカンパリ:CAMPARI、でしょう。
「カンパリって何?」と、思った方も、下の写真を見れば、思い出す人が増えると思います。
( カンパリという名のリキュール。無料画像より引用)
「そうです。あの、真っ赤な液体のお酒。ソーダ割なんかで、飲みませんでしたか?」
「ああ、あれね」、です。
カンパリは、Campariさんが19世紀末に改良考案した現代のお酒です。ですから会社も現代風です。そして、かなりの大企業です。
( カンパリ本社。現代風デザインの茶色の大きなビル )
トレノルドの駅の近くに立派な本社があります。附属博物館や、バルもあるのですが、そのうち寄るか、と思っていながら、結局、入らずじまい。次回は、是非、体験しようと思っています。
( カンパリ本社前よりセスト・サン・ジョバンニ駅方向 )
ここでは、通りの名前も、ずばり「D.カンパリ通り」です。創業の地、本社工場の地です。
( CAMPARI本社全景 )
カンパリ本社は、バルも含めて観光名所ではありませんので、観光客など滅多に来ないと思います。
( セスト・ロンド駅方向を見る )
カンパリ本社をとおり越し、脇道へ入ったり出たりしながら、地下鉄の隣の駅を目指します。大通りを入れば、中層マンションが並び、並木や公園の木々が生い茂る、緑の多い住宅街が広がっています。
( 市の施設、エッセルンガ、ホテルが入居中の再開発モール )
工場跡を再開発した場所は複合施設となり、スーパーマーケットをはじめ、ホテル、市のケアセンター、保育園などが入っています。夕方になると、子供たちの遊ぶ声が大きくなりました。若いカップルが子供連れで買い物に来る、典型的なベッドタウン風景が展開します。
( 地下鉄1号線、セスト・ロンド駅前 )
地下鉄のセスト・ロンド駅前に着きました。何の変哲もないデザインのマンションが多く連なるエリアです。黄色がかった薄茶色の戦前のミラノ風マンションも見えます。どちらにせよ観光客には縁遠い場所ですが、普通のミラネーゼたちの住み心地を体験できるゾーンです。
【 ミラネーゼとして住んでみるなら 】
住について言えば、都心部で、芸術的でロマンチックなインテリアのお部屋を借りて、リッチなミラネーゼ気分に浸るのが、正統派の観光客です。
けれども、クラシックスタイルのマンションは、実生活の面では、けっこう不便でお金もかかります。平均的なミラネーゼ暮らしは、やっぱりコンクリート製のマンションの方が快適です。それでも、築40年から60年くらいのマンションが多いので、メンテナンスは大変なこともあるようです。
しつこく繰り返しますが、総合判定をすると、ミラノでは、シティライフ・ミラノにできた、あの、ザハ・ハディード氏設計のマンションに住みたいです。デザイン良し、立地良し、機能良し、に思えます。ただ、お金がかかります。3億円くらいないとねえ、なのです。
( シティライフ・ミラノのザハ・ハディード氏設計の高級マンション )
せめて、誰かお買い求めになって、ご招待してくださあーい!
2018年5月記 了
【 ミラノ都市圏とセスト・サン・ジョバンニ 】
ミラノは大都会です。都市圏全体では330万人くらいの人が住んでいます。その中の、いわゆる、昔からのミラノ市の人口は120万人くらいです。
旧ミラノ市の北に隣接した、セスト・サン・ジョバンニ:Sesto San Giovanni という名前の市に、少し逗留しました。かつての重工業都市は、地の利を生かし、小ぎれいな住宅街に進化しています。
セスト・サン・ジョバンニは、地下鉄1号線の北の終点です。ドゥオーモから、おそよ25分ですので、ミラノ都心へのお手頃な通勤圏のひとつです。JRに相当する電車のトレノルド:Trenord 利用ですと、Milano Centrale:ミラノ・チェントラーレ、またはMilano Garibaldi:ミラノ・ガリバルディ駅から各駅停車に乗り、1つ目または2つ目の停車駅です。所要時間12-13分で着きます。
( 国鉄的なトレノルドのセスト・サン・ジョバンニ駅 )
トレノルドのセスト・サン・ジョバンニ駅は、少し古びているので、目下、改装工事中でした。メトロのセスト・サン・ジョバンニ駅は、トレノルドの駅前広場の地下にあります。両方の駅は、地下通路でつながっています。
( トレノルド駅前にあるメトロのセスト・サン・ジョバンニ駅 )
駅の表側は、バス・ターミナルと数軒の商店があるだけで、がらんとしています。常に駅前が賑やかな東京や大阪のような感覚とは違います。
【 鉄はミラノなり 】
トレノルドの駅の裏側は、いま、広大な空き地です。
( セスト・サン・ジョバンニ駅裏の広大な空き地と通勤電車 )
ファルク社:Falck、という製鉄会社が20年以上前に、当地での製鉄、製鋼事業をやめました。それ以来、工場建屋は、イタリア重工業の栄枯盛衰を物語るように朽ちるのを待っていたようですが、最近、整地が進んだとのことでした。まだ、数棟、製鉄所をイメージさせる構造の建物が、骨組みを残して建っています。
イタリア語の名称は、acciaierie Falck:アッチャイエリエ・ファルク=ファルク製鋼所(または製鉄所)というのだそうです。日本語では、製鉄と製鋼を、あまり区別しないので、少し意味がぼやけてしまいます。ご容赦ください。
巨大な炉や、長い圧延設備がごうごうと稼働し、煙突から、もくもくと煙が出ていた時代が脳裏に浮かびました。
( 製鉄所の建物が少し残るセスト・サン・ジョバンニ駅裏 )
遠目に、加工組立工場跡らしき三角屋根のレンガ建築物も見えます。薄雲をついて昇る朝日は、少し寂しげです。
( 廃屋の向こうに昇る朝日は変わらず )
「 朝日差す、ミラノを支えた製鉄所 」、という感じでした。
おそらく、10年くらい経つと、イタリアンなデザインの中級マンション街と、大きなショッピングセンターができているような気がします。
ですから、セスト・サン・ジョバンニは工業都市。工員さん、職工さんの街として発展してきたそうです。東京で言えば、江東区とか、近隣の川崎市、川口市のイメージです。
それが、いまでは都心への便が良い、お手頃なベッドタウンになっているのも川崎や川口と、おんなじです。
【 カンパリで持つ 】
セスト・サン・ジョバンニで、一番、有名なものは、酒造メーカーのカンパリ:CAMPARI、でしょう。
「カンパリって何?」と、思った方も、下の写真を見れば、思い出す人が増えると思います。
( カンパリという名のリキュール。無料画像より引用)
「そうです。あの、真っ赤な液体のお酒。ソーダ割なんかで、飲みませんでしたか?」
「ああ、あれね」、です。
カンパリは、Campariさんが19世紀末に改良考案した現代のお酒です。ですから会社も現代風です。そして、かなりの大企業です。
( カンパリ本社。現代風デザインの茶色の大きなビル )
トレノルドの駅の近くに立派な本社があります。附属博物館や、バルもあるのですが、そのうち寄るか、と思っていながら、結局、入らずじまい。次回は、是非、体験しようと思っています。
( カンパリ本社前よりセスト・サン・ジョバンニ駅方向 )
ここでは、通りの名前も、ずばり「D.カンパリ通り」です。創業の地、本社工場の地です。
( CAMPARI本社全景 )
カンパリ本社は、バルも含めて観光名所ではありませんので、観光客など滅多に来ないと思います。
( セスト・ロンド駅方向を見る )
カンパリ本社をとおり越し、脇道へ入ったり出たりしながら、地下鉄の隣の駅を目指します。大通りを入れば、中層マンションが並び、並木や公園の木々が生い茂る、緑の多い住宅街が広がっています。
( 市の施設、エッセルンガ、ホテルが入居中の再開発モール )
工場跡を再開発した場所は複合施設となり、スーパーマーケットをはじめ、ホテル、市のケアセンター、保育園などが入っています。夕方になると、子供たちの遊ぶ声が大きくなりました。若いカップルが子供連れで買い物に来る、典型的なベッドタウン風景が展開します。
( 地下鉄1号線、セスト・ロンド駅前 )
地下鉄のセスト・ロンド駅前に着きました。何の変哲もないデザインのマンションが多く連なるエリアです。黄色がかった薄茶色の戦前のミラノ風マンションも見えます。どちらにせよ観光客には縁遠い場所ですが、普通のミラネーゼたちの住み心地を体験できるゾーンです。
【 ミラネーゼとして住んでみるなら 】
住について言えば、都心部で、芸術的でロマンチックなインテリアのお部屋を借りて、リッチなミラネーゼ気分に浸るのが、正統派の観光客です。
けれども、クラシックスタイルのマンションは、実生活の面では、けっこう不便でお金もかかります。平均的なミラネーゼ暮らしは、やっぱりコンクリート製のマンションの方が快適です。それでも、築40年から60年くらいのマンションが多いので、メンテナンスは大変なこともあるようです。
しつこく繰り返しますが、総合判定をすると、ミラノでは、シティライフ・ミラノにできた、あの、ザハ・ハディード氏設計のマンションに住みたいです。デザイン良し、立地良し、機能良し、に思えます。ただ、お金がかかります。3億円くらいないとねえ、なのです。
( シティライフ・ミラノのザハ・ハディード氏設計の高級マンション )
せめて、誰かお買い求めになって、ご招待してくださあーい!
2018年5月記 了