マドンナ・デル・ギザッロを通り過ぎてしまった    2018年3月訪問

寒いと、私の観光センサーも感度が鈍ることが、よく、あります。

マドンナ・デル・ギザッロ(Madonna del Ghisallo /マドンナ・デル・ギザーロ) への、ちょっとした、お出かけ日がそうでした。天気は快晴ですが、アルプスの南とはいえ、ロンバルディア平野の北部一帯は、かなりの冷え込みでした。午後3時すぎには、もう谷合いの集落は陰りはじめ、空気は急に冷たくなります。

「日陰は寒いよう。珍しい教会?分かった、分かった、もう行こう!」
の世界です。

ミラノから北へ約30km。アッソ:Asso、という小さな町の北のはずれに、ぽつねんと建つ、塔のある教会風景は、震えそうな早春の夕暮れムードのなかにありました。

外レッコ奥ASSOの教会塔 (1)
( アッソの街はずれの街道沿いの教会 )

なぜか、その日は閉門だったということも、観光気分に水を差しました。

「だいたい、教会なんて、よほどのことがない限り、明るいうちは、みんなに門戸を開いているもんでしょ」
「今日は、きっと、『よほど』のことがあった日なんだよ。留守番のおやじがカゼひいた、とかね」

そのため、谷底の教会見物は、ものの数分で終え、私たちは、尾根伝いに街道を上り、コモ湖の展望風景が眺められるマドンナ・デル・ギザッロ という山村に着きました。

きれいな芝生のある公園に、展望台と、ガラス張りの博物館、こじんまりとしたお堂のような教会がある場所です。雪を頂いた山々が眼前に見える風光明媚の空間です。

外レッコ奥のギサーロ村とコモ湖 (4)
( マドンナ・デル・ギザッロのサイクリング博物館 )

春から秋にかけては、清々しすぎるほど美しい展望台なんだろうなあと、思いながら、コモ湖と周辺の山々を眺め、ドアの開いていたお堂に入って、しばしの休憩です。

「ここは、サイクリングに人気のルートなんだよ」
「ふうん、どうりで、いっぱい自転車グッズやレース写真があるわけだ」
教会の壁や棚に、これでもかと並んでいる自転車関連記念品を眺めました。

それにしても、寒いこと。15分もたつと、体がブルブルと震えてくるような冷え込みです。

「寒いから、バルに行こうよ」
「賛成」
と、いうわけで、「ブタに真珠」状態のまま、私たちはマドンナ・デル・ギザッロを後にしたのです。ものの見事に、教会の写真は撮り忘れ。あとで、「あそこ、そんなに有名なお堂だったの」、と気づく大失態です。

「ああ、なんてもったいない。ヨーロッパのサイクリストの聖地のひとつ、マドンナ・デル・ギザッロを、ただ、とおり過ぎるなんて!」
自転車愛好家の方々の、こんな非難めいた声が、ぐわんぐわんと、耳の奥にひびいています。

「次は、緑いっぱいの季節に、ゆっくりと行くから。ご安心あれ」です。

ご当地の博物館のサイトは以下のとおりです。やはり、夏の風景はピカ一です。
https://www.museodelghisallo.it/en/

参考までに、アッソ~ギザッロ~ベラージョ間のASF社の路線バス時刻表です。C36系統で、ギザッロ集落内の停留所は、教会から少し離れているようです。
https://www.asfautolinee.it/content/en/home

休日運休のようですが、バスは、1日に10往復内外走っています。それなりに行きつけますね。

外レッコ奥のギサーロ村とコモ湖 (3)
( コモ湖東側と早春のレッコ背後の山地 )

外レッコ奥の村の道201803
( マドンナ・デル・ギザッロからベラージョへ )

とっても寒い早春のサイクリング街道見物でしたが、「まあ、次回のための偵察みたいなもんですね」。
ちょっとミスしたときの、反省と言い訳です。

アルプスを遠望できる、清潔で豊かな山村風景を、次回は泊りがけで楽しみ、快眠をむさぼろうと思いました。


2019年2月記    了