長すぎのアンコールワットの第1回廊   2019年10月訪問

皆んなにくっつくようにしてアンコールワットの第1回廊に入りました。

第1回廊は、長々と続く壁面いっぱいに途切れることなく彫ってあるレリーフがとても有名です。
0731Aワット全景午後の影快晴 (4)
( 第1回廊に登る正面階段 )

正面の階段を上がると、玄関口のようなところで道が正面、左右の3つに分かれます。

時間がない人は真っすぐに進んで本堂の中央部を目指します。普通の人は左右いずれかに曲がります。右折して反時計回りに進んだ方が有名ポイントに早く着きます。
1135Aワット第1回廊アップダウン1022
( 第1回廊は昇降個所がいっぱい )

階段数段分の敷居を次々と越えて、第1回廊を一周しました。この高い敷居は何カ所もあるので、足腰の弱い方は、ゆっくり歩きましょう。

人間の胸の高さくらいのレリーフは、昔、手でさわれたようですが、今は、おさわり禁止です。
デヴァターと呼ばれる女神の像や王様の像を中心に黒光りしています。手垢(てあか)と、もともとの石材の色が混じっているようです。黒光りしている方が、陰陽がはっきり出て見やすいです。ですから、ちょっとは、さわった方がいいのかも知れません。

レリーフの蘊蓄(うんちく)は、たくさんの方が書いていますので省略。私もガイドブックをときどき見て、有名ポイントをはずさないように周りました。

ヒンドゥー教の古典「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」などを知っていると、感動が人一倍大きくなると思います。
1138Aワット第1回廊レリーフマハーバーラタ1022 (1)
1138Aワット第1回廊レリーフ2世の行軍1022 (2)
( 戦闘の場面のレリーフ。とても有名 )

「よくぞ、ここまで彫ったもんだ」
と、あまりのレリーフの多さに感動するやら、疲れるやらでの観光です。屋根の下とはいえ、気温も30℃以上あって蒸し暑いので、ときどき水を飲みながら進みました。

上半身裸のデヴァターのレリーフも、随所にありました。現世と直結したようなヒンドゥー教の世界観は、見方によっては、とても親しみが湧きます。ただし、物語が長くて複雑なのには閉口します。「ああ、インド文化」です。

「一神教のような、単純な勧善懲悪ではないのだから仕方ないですよ・・・・・・」、というデヴァターのささやきが聞こえてきました。

アンコールワット遺跡観光は、湿気と暑さとの闘いです。
1137Aワット第一回廊レリーフ乳海攪拌
( 乳海攪拌の前後のレリーフもモノトーン )

このあたりのレリーフはモノトーン。天井も単純な三角形で、第1回廊周りでは一番シンプルな空間です。

ヒンドゥー教の教義による、世界の始まりを彫った「乳海攪拌」(にゅうかい・かくはん)という有名なレリーフの近くです。だんだん疲れてくることと、時間の押した観光客が多いせいか、正面裏側あたりまで足を伸ばしてくると、めっきり人通りが減ります。

煩悩に身を焦がしていたら、本物のデヴァター候補に出逢いました。履物を脱ぎ、お坊様に案内されて拝観しているお姿の、何と神々しく美しいことでしょうか。
1135Aワット第1回廊レリーフで僧と美女1022
( 現代のデヴァター候補とお坊様 )

現世の誘惑たっぷりの情景ですが、お坊様は修行の成果でしょうか、まったく動揺している様子がありません。

こちらは、天井のレリーフを見たりして気を紛らわします。

お菓子の落雁(らくがん)がいっぱい並べてあるかのような光景です。天井までレリーフがある遺跡はアンコールワットなど極少数です。いかに特別で豪華で精巧に造られたお寺であるか、ということを、改めて感じました。

「いやあ、やっぱり来て良かった」
「順番の初めにアンコールワットにやってきて、気力あふれているうちに見るもんだあ」

1137Aワット第1回廊レリーフ天井1022
( 第1回廊の天井の美しいレリーフ )

第1回廊は、とても長いです。外側は開けていますが、意外と風通しはよくありません。そのため、汗はひかず、足は疲れてきます。けれども、この辺りは、まだ道半ばどころか、3分の1くらいです。

少し休んでから先に進みましょう。個人客なのですから、あせらずに観光しました。

1135Aワット第1回廊列柱1022
( 第1回廊の東側の静寂と周囲の森 )
1135Aワット第1回廊外で記念写真1022午後
( 第1回廊内側の中庭と記念撮影中の人たち )

遠くから見るときれいに見えるアンコールワットも、中へ入って見ると、あちこちで崩落しています。屋根が落ちていたり、建物が崩壊して石の山になっている場所もありました。観光の目玉になっている場所は、それなりに修復されています。いかに、ここが巨大で複雑な造りであるかが分かりました。

それに、撮影ポイントもいっぱいあります。いわゆるインスタ映えする遺跡です。主塔のみならず、あちらこちらで記念撮影をしている人々に逢いました。私も、他の方にお願いして、あちらこちらで写真を撮ってもらいました。

今、見ても、アンコールワット感がたちどころに出ている写真が多いです。
「いやあ、すごいもんだ、ここは・・・・・。」

2019年12月記                           了