プチ・トリアノンのアモーでマリー・アントワネットの田舎ごっこ 2019年4月訪問
最近のマリー・アントワネットブームにより、注目度も高くなったプチ・トリアノン:Petit Trianon。
そのシンボルがアモー:Hameau。アモーの中心となる建物が王妃の家(館):La Maison de la Reine と呼ばれる田舎家風の邸宅でしょう。王妃の家(館)は、離宮の本館以上に見落とせないポイントです。
本館は、マリー・アントワネットなしでも存在した建物ですが、王妃の家こそ、マリー・アントワネットなしでは存在しなかった建物だからです。
( 王妃の家:La Maison de la Reine の全景 )
他の見物客が、ぶらぶらと進む方角に付いて行くと、木々の間越しに、大きな池と、ひなびた風情の数軒の建物が見えてきます。それが、アモーです。意味は、「村の風景」、とか「村里」です。ガイドブックなどでは「王妃の村里」と訳してあります。
アモーの英訳は、ハムレット:Hamlet。目からウロコです。
シェークスピアの有名な悲劇「ハムレット」は、主人公の名前だと思っていましたが、どうやらニックネームのようです。ですから、題名の「ハムレット」を無理に和訳すると「田舎王子の悲劇」って感じかも知れません。少し興ざめです。シェークスピアご本人からすれば、「あか抜けない純情一筋の王子の切ない、そして、少しダサイ悲劇」、というニュアンスを伝えたかったのかも知れません。
そういうことは、あまり深く考えないで、アモーに向かってずんずんと歩いて行きましょう。離宮内は広いので、いちいち哲学的になっていたら、すぐに閉館時間になってしまいます。
アモーの中心である「王妃の家」に近づきました。
( 「王妃の家」の近景 )
( 「王妃の家」の端にある、螺旋(らせん)階段 )
「何これ、ひなびた田舎家のどこが見どころ?」
「わああ、マリー・アントワネットの、お気に入りの館に、とうとう着いたあ!」
皆さん、ひとりひとりの思いが心をよぎることでしょう。
私は、「これが、うわさに聞いた『王妃の家』かあ。お気楽な王妃の遺物を見られて感慨深けだなあ」
と思いました。
内部は、外観からは想像もつかないような優雅で凝った造りのようです。
http://en.chateauversailles.fr/long-read/queens-house
ベルサイユ宮殿公式サイトでは、王妃の家の内部を画像つきで解説しています。
この建物は、いわゆる「自由見学不可の一般公開エリア」です。2018年5月から、「王妃の家」の内部見学を含む宮殿主催のガイドツアーもできました。催行日時は、公式サイトのフランス語の各種キップ、予約のページで確認できます。今のところ、英語や日本語の一般向けガイドツアーはありません。
2019年9月現在、ガイドツアーの追加料金は1人10ユーロです。ベルサイユのパスポート券や、トリアノンの単独入場券が別途必要です。
今回は、内部見学はパス。次回は、是非、ガイドツアーに参加したいのですが、もう1度ベルサイユに来られるでしょうか。シニアトラベラーなので、心配も常人以上です。
「王妃の家」や、その周囲の田舎家をざっと見てみました。
まず「王妃の家」の、らせん階段の裏側です。遠目に見えるのは水車小屋風の建物です。
「王妃の家」の池と反対側の裏手は、いわゆる台所見合いの家。「配膳の家」のような呼称です。
( 食事を作る建物と、「王妃の館」の渡り廊下の裏 )
「王妃の家」と並んで、池沿いに目だっているのが、「マールボロの塔:Tour de Marlborough 」という釣殿です。
( 「王妃の家」付近から見た「マールボロの塔」 )
( 「マールボロの塔」付近から見た「王妃の家」 )
( 池の向こうに「王妃の家」、「見張り小屋」、「水車小屋」 )
( 「マールボロの塔」も入れて、「王妃の家」一帯を見渡す )
池の水は透明ではありません。流れがないので、濁り気味ですが魚やアヒルはいます。紅白のニシキゴイはいません。
池全体を見渡せる位置まで来ると、「王妃の家」を中心に田舎家が何気なく並んでいるのが分かります。計算された"田舎ごっこ"の究極の絵巻、です。
「いいね」、「なんだこりゃ」、のどちらもありでしょう。もう、歴史の結果は出ているので、観光客としてはアモーの人工の農村風景の美を楽しむのが最適だと感じました。私としては、無常観が漂った光景です。
建築費も、維持管理費も、眼の玉が飛び出るくらいであったことも想像できます。もちろん、マリー・アントワネット擁護派の主張のように、「当時の超巨額な国家債務の金額に比べれば、50-100億円程度など、たかが知れている」のでしょうが、節約可能だった出費であることも事実でしょう。
「でも、いいなあ。こういう暮らし好き」
「マールボロの塔」を過ぎると、田舎風景を管理していたスタッフたちの家が近づいてきます。牧草地あり、家畜あり、ブドウ畑ありのミニ農村です。
( アモーの田舎風景を管理していたスタッフたちの建物 )
池越しに、アモーの主役「王妃の家」の全景を、もう一度、眼に焼き付けて歩みを進めました。
このあたりまで来ると、ほんとに人の気配が少なくなります。ベルサイユ人気沸騰でも、やっぱり、アモーは遠いのです。
( アモーの「王妃の家」を目に焼き付けて )
快晴の青空、秋の黄葉、雪景色、そして嵐の夕暮れ、など、季節ごとに美しく、そして儚く(はかなく)佇むアモーを想って。
2019年9月記 了
最近のマリー・アントワネットブームにより、注目度も高くなったプチ・トリアノン:Petit Trianon。
そのシンボルがアモー:Hameau。アモーの中心となる建物が王妃の家(館):La Maison de la Reine と呼ばれる田舎家風の邸宅でしょう。王妃の家(館)は、離宮の本館以上に見落とせないポイントです。
本館は、マリー・アントワネットなしでも存在した建物ですが、王妃の家こそ、マリー・アントワネットなしでは存在しなかった建物だからです。
( 王妃の家:La Maison de la Reine の全景 )
他の見物客が、ぶらぶらと進む方角に付いて行くと、木々の間越しに、大きな池と、ひなびた風情の数軒の建物が見えてきます。それが、アモーです。意味は、「村の風景」、とか「村里」です。ガイドブックなどでは「王妃の村里」と訳してあります。
アモーの英訳は、ハムレット:Hamlet。目からウロコです。
シェークスピアの有名な悲劇「ハムレット」は、主人公の名前だと思っていましたが、どうやらニックネームのようです。ですから、題名の「ハムレット」を無理に和訳すると「田舎王子の悲劇」って感じかも知れません。少し興ざめです。シェークスピアご本人からすれば、「あか抜けない純情一筋の王子の切ない、そして、少しダサイ悲劇」、というニュアンスを伝えたかったのかも知れません。
そういうことは、あまり深く考えないで、アモーに向かってずんずんと歩いて行きましょう。離宮内は広いので、いちいち哲学的になっていたら、すぐに閉館時間になってしまいます。
アモーの中心である「王妃の家」に近づきました。
( 「王妃の家」の近景 )
( 「王妃の家」の端にある、螺旋(らせん)階段 )
「何これ、ひなびた田舎家のどこが見どころ?」
「わああ、マリー・アントワネットの、お気に入りの館に、とうとう着いたあ!」
皆さん、ひとりひとりの思いが心をよぎることでしょう。
私は、「これが、うわさに聞いた『王妃の家』かあ。お気楽な王妃の遺物を見られて感慨深けだなあ」
と思いました。
内部は、外観からは想像もつかないような優雅で凝った造りのようです。
http://en.chateauversailles.fr/long-read/queens-house
ベルサイユ宮殿公式サイトでは、王妃の家の内部を画像つきで解説しています。
この建物は、いわゆる「自由見学不可の一般公開エリア」です。2018年5月から、「王妃の家」の内部見学を含む宮殿主催のガイドツアーもできました。催行日時は、公式サイトのフランス語の各種キップ、予約のページで確認できます。今のところ、英語や日本語の一般向けガイドツアーはありません。
2019年9月現在、ガイドツアーの追加料金は1人10ユーロです。ベルサイユのパスポート券や、トリアノンの単独入場券が別途必要です。
今回は、内部見学はパス。次回は、是非、ガイドツアーに参加したいのですが、もう1度ベルサイユに来られるでしょうか。シニアトラベラーなので、心配も常人以上です。
「王妃の家」や、その周囲の田舎家をざっと見てみました。
まず「王妃の家」の、らせん階段の裏側です。遠目に見えるのは水車小屋風の建物です。
「王妃の家」の池と反対側の裏手は、いわゆる台所見合いの家。「配膳の家」のような呼称です。
( 食事を作る建物と、「王妃の館」の渡り廊下の裏 )
「王妃の家」と並んで、池沿いに目だっているのが、「マールボロの塔:Tour de Marlborough 」という釣殿です。
( 「王妃の家」付近から見た「マールボロの塔」 )
( 「マールボロの塔」付近から見た「王妃の家」 )
( 池の向こうに「王妃の家」、「見張り小屋」、「水車小屋」 )
( 「マールボロの塔」も入れて、「王妃の家」一帯を見渡す )
池の水は透明ではありません。流れがないので、濁り気味ですが魚やアヒルはいます。紅白のニシキゴイはいません。
池全体を見渡せる位置まで来ると、「王妃の家」を中心に田舎家が何気なく並んでいるのが分かります。計算された"田舎ごっこ"の究極の絵巻、です。
「いいね」、「なんだこりゃ」、のどちらもありでしょう。もう、歴史の結果は出ているので、観光客としてはアモーの人工の農村風景の美を楽しむのが最適だと感じました。私としては、無常観が漂った光景です。
建築費も、維持管理費も、眼の玉が飛び出るくらいであったことも想像できます。もちろん、マリー・アントワネット擁護派の主張のように、「当時の超巨額な国家債務の金額に比べれば、50-100億円程度など、たかが知れている」のでしょうが、節約可能だった出費であることも事実でしょう。
「でも、いいなあ。こういう暮らし好き」
「マールボロの塔」を過ぎると、田舎風景を管理していたスタッフたちの家が近づいてきます。牧草地あり、家畜あり、ブドウ畑ありのミニ農村です。
( アモーの田舎風景を管理していたスタッフたちの建物 )
池越しに、アモーの主役「王妃の家」の全景を、もう一度、眼に焼き付けて歩みを進めました。
このあたりまで来ると、ほんとに人の気配が少なくなります。ベルサイユ人気沸騰でも、やっぱり、アモーは遠いのです。
( アモーの「王妃の家」を目に焼き付けて )
快晴の青空、秋の黄葉、雪景色、そして嵐の夕暮れ、など、季節ごとに美しく、そして儚く(はかなく)佇むアモーを想って。
2019年9月記 了