ミラノ市電の風格 2018年3月、9月
1)市電のある街という風格
私は、ミラノに行き、街中をひっきりなしに行き交う市電を見ると、いつも心がときめきます。
( ドゥオーモ周辺には数系統の市電が引っ切りなしにやってくる )
「これぞミラノの街中風景!」と、いう気分に、いやおうなくさせられるからです。線路をゴトゴトと走る電車の音、狭い中心部の目抜き通りを我が物顔に横切る、長い長い連接車の存在感こそ、ミラノの躍動感を体現しているもののひとつだと感じます。
『そこのけ、そこのけ、市電のお通りだい!』の世界です。
( ガーガー、キーンキーン言いながら交差点を曲がるミラノ市電 )
どこかのコラムで、「市電のある街は風格がある」と、誰かが書いていた記憶があります。私も、その意見に大賛成です。躍動感とともに、成熟した都会の雰囲気が伝わってきます。電車の線路は、めったやたらと動かせないので、市電があるイコール街が安定している、という感じが出るのだと思います。
2) 古きも新しきも
ミラノ市電の代表的な新旧車両を、ちょっとだけ垣間見ましょう。
びっくりするくらい古そうな車両から、先月から走り始めたのではないかと思うくらい新しい車両まで走っています。
まずは、最新鋭7000形。7両連接式の長ーい車両で、省エネ、低騒音、低床設計だそうです。
( 最新鋭7000形7連接車。5連接の7500形は、最近登場 )
次は、現役、最古参の1500形電車。ドゥオーモ周辺でもよく見かけます。
なんと、就役以来80年以上も経つんだそうです。矍鑠(かくしゃく)とした老公のような存在です。
第二次世界大戦の空襲をくぐりぬけて来た古参の車両がいっぱい残っていることに驚きました。
( 昔なつかしいスタイルの現役最古参1500形 )
1500形は、モンテ・ナポレオーネに近いマンツォーニ通りを走る1系統や、サンタ・マリア・デラ・グラーツェ教会前を通る16系統にも走っています。木製の窓枠や床、塗り天井など、ノスタルジックな気分いっぱいの車両です。年配の方ならば、子供の頃のチンチン電車体験の思い出にひたりながら乗るのもいいです。
「それどころじゃないでしょ。ミラノなんだからスリに気をつけないとね。おちおちレトロな市電の乗り心地なんて楽しめないぞお!」
という、グチが聞こえてきそうです。
「そこまで、びくびくしなくても大丈夫。ちょっと2-3駅、郊外に出たところで乗ればいいのです」
「そ、それもそうだな」
こういう観光客の声が届いたのか、1500形は、ミラノ市電の顔のようなイメージになってきたようです。イベント用の車両になったりします。当分、現役で走り続けるようなので、米寿、白寿まで頑張ってほしいです。
( 広告塗装の1500形。平和の門付近 )
日本の鉄道風景、市電風景とは異なるところもありますが、街並みに安定感を与えるという点では、古今東西を問わず、同じ効果があるようです。
2019年3月 記
1)市電のある街という風格
私は、ミラノに行き、街中をひっきりなしに行き交う市電を見ると、いつも心がときめきます。
( ドゥオーモ周辺には数系統の市電が引っ切りなしにやってくる )
「これぞミラノの街中風景!」と、いう気分に、いやおうなくさせられるからです。線路をゴトゴトと走る電車の音、狭い中心部の目抜き通りを我が物顔に横切る、長い長い連接車の存在感こそ、ミラノの躍動感を体現しているもののひとつだと感じます。
『そこのけ、そこのけ、市電のお通りだい!』の世界です。
( ガーガー、キーンキーン言いながら交差点を曲がるミラノ市電 )
どこかのコラムで、「市電のある街は風格がある」と、誰かが書いていた記憶があります。私も、その意見に大賛成です。躍動感とともに、成熟した都会の雰囲気が伝わってきます。電車の線路は、めったやたらと動かせないので、市電があるイコール街が安定している、という感じが出るのだと思います。
2) 古きも新しきも
ミラノ市電の代表的な新旧車両を、ちょっとだけ垣間見ましょう。
びっくりするくらい古そうな車両から、先月から走り始めたのではないかと思うくらい新しい車両まで走っています。
まずは、最新鋭7000形。7両連接式の長ーい車両で、省エネ、低騒音、低床設計だそうです。
( 最新鋭7000形7連接車。5連接の7500形は、最近登場 )
次は、現役、最古参の1500形電車。ドゥオーモ周辺でもよく見かけます。
なんと、就役以来80年以上も経つんだそうです。矍鑠(かくしゃく)とした老公のような存在です。
第二次世界大戦の空襲をくぐりぬけて来た古参の車両がいっぱい残っていることに驚きました。
( 昔なつかしいスタイルの現役最古参1500形 )
1500形は、モンテ・ナポレオーネに近いマンツォーニ通りを走る1系統や、サンタ・マリア・デラ・グラーツェ教会前を通る16系統にも走っています。木製の窓枠や床、塗り天井など、ノスタルジックな気分いっぱいの車両です。年配の方ならば、子供の頃のチンチン電車体験の思い出にひたりながら乗るのもいいです。
「それどころじゃないでしょ。ミラノなんだからスリに気をつけないとね。おちおちレトロな市電の乗り心地なんて楽しめないぞお!」
という、グチが聞こえてきそうです。
「そこまで、びくびくしなくても大丈夫。ちょっと2-3駅、郊外に出たところで乗ればいいのです」
「そ、それもそうだな」
こういう観光客の声が届いたのか、1500形は、ミラノ市電の顔のようなイメージになってきたようです。イベント用の車両になったりします。当分、現役で走り続けるようなので、米寿、白寿まで頑張ってほしいです。
( 広告塗装の1500形。平和の門付近 )
日本の鉄道風景、市電風景とは異なるところもありますが、街並みに安定感を与えるという点では、古今東西を問わず、同じ効果があるようです。
2019年3月 記