レンヌ駅こそモンサンミシェルTGV往復の要 2019年4月訪問
【1 ゆうゆうパリを出発 】
( 現代建築のモンパルナス駅を東側から見る )
私たちは、パリ・モンパルナス駅9時57分発のTGVでレンヌへ向けて出発しました。ダイヤどおりですと、モンサンミシェル着は12時55分。何と、片道2時間58分しかかかりません。朝7時すぎにパリを出るツアーバスの到着も午後1時前後ですから、TGVの速さを改めて実感します。
おかげで、ゆったりとした朝のひとときを過ごすことができました。
多くの方がコメントしているように、TGVの発車番線が表示されると、乗客が一斉に改札口に押し寄せるので、バーコード読み取り式の改札機の前は、押すな押すな状態です。
( TGVプラットホームへ入る改札機前の大混雑。青い縦の光線が改札機 )
ゴールデンウィーク中ですので、フランスに来ても、そこそこ日本人観光客と思しき皆様を見かけます。私たちの乗車した車両にも、あと2組ばかり日本人の方がいらっしゃいました。みんなTGVに乗ってモンサンミシェル詣です。
「自力でモンサンミシェルに行けるんだ」、という達成感にあふれた表情が忘れられません。どうやら、他の日本人は邪魔なので、目にしたくないようです。最初、私たちの座席に間違えて座っていたのに、「ごめんなさい」の一言どころか、口も開いてくれません。こちらが気に食わないようでした。
パリの空気は、旅慣れ始めた日本人観光客に対して麻薬のような効果をもたらすので、仕方ありません。
TGVは全車指定席です。みんな、思い思いのキップを持っています。フランス人の多くはキップに替わるスマホデータを保持していました。ガイジンと思しき旅行者の多くは、細長い厚紙のキップや、プリントアウトしたE-ticket利用です。私たちもE-ticketです。利用列車限定のため、刻印機でキップに乗車時刻を印字する操作は不要です。
(TGVのE-ticket とバスのレシート状キップ(左下))
今日の下りTGVブレスト行は、10両一組の電車を2編成併結した長い編成ですが、私たちの乗った後ろ10両はレンヌ切り離しの編成でした。座席のほとんどが埋まっていて、改めて、TGV人気の高さや、レンヌの都市規模の大きさを実感しました。
パリを定刻に発車したTGVは、たった1時間28分で300km先のレンヌに到着。2017年より、全区間高速新線経由になったため、新線上の途中通過駅はありません。
学校で、「フランスで速いものと言えば、特急列車、郵便、エスプレッソ・コーヒー」と教わりましたが、そのとおりでした。
【2 レンヌ駅のバス乗換こそ勝負どころ 】
レンヌ駅でのTGVとモンサンミシェル直行バスの接続時間は、上り下りとも20分です。
理屈のうえでは、余裕があるように見えますが、ガイジン観光客にとっては、けっこう緊張する場面でした。
まず、レンヌ駅が現在、北口駅舎新築中のため、案内表示が分かりにくくなっています。
( レンヌ駅北口。モダンな駅舎を建設中。画面左端のさらに左がバス・ターミナル)
そのうえ、駅舎とプラットホームをつなぐ通路が、地下と2階の両方にあるので、初めてレンヌに降り立つと、どちらへ行くべきか迷います。結論は、どちらを利用しても、北口の東側にあるバス・ターミナルに行けます。
( レンヌ駅地下通路。右のエスカレーター右方向がバスターミナル。
2階からのエスカーレーターで下ってきてもバスターミナルへ行ける )
うろうろ、どきどきしながらも、10分もすればバス・ターミナルに着くことができます。その日は、もう、モンサンミシェル行きの直行バスがターミナルに入ってきていました。大型の長いバスです。
【3 あせっても、あきらめず】
バスの周りに集まってきた人の多いことにびっくり。トランクを引きづった中国人らしき人たちが最も多く、続いてニッポン人、カナダ人かアメリカ人っぽい感じの人がバスを取り囲みました。
( レンヌ駅バス・ターミナル4番線に入ったモンサンミシェル行き路線バス )
「えっ、こんなにいっぱい客がいるの・・・・・・」と、のけぞってしまいました。
「モンサンミシェル人気、あなどるべからず」です。
そして、乗車口にたどりついた私たちに運転手さんが告げたひとこと。
「キップは、あそこの窓口で買ってきて。今日は、車内販売なし!」
後で聞いたら、我が家のマダムは、この時点で、このバスには乗れないとあきらめたそうでした。
しかし、ここはフランス。あせっても、あきらめてはいけません。
運転手さんが指示したレンヌ駅構内の端にあるバス専用のキップ売場に行き、無事に人数分のキップを買い終えた私が戻ってきたときは、まだ10人くらい乗車待ちのお客がドアの前にいました。混雑のため、乗車に手間取っていたのです。ちゃんと、私の努力は報われ、予定したバスに間に合います。
「でも、運転手さん、すみません。もう空席ありませんが・・・・」
「えっ、そうなの?」
私たちのキップにチェックマークを入れた、くだんの運転手さんは、少しもあわてず、隣に止まっていたバスを指さしました。急きょ、続行便を出すことにして、2台目のバスが1台目のバスの横に到着していたのです。
「じゃあ、あっちの車両に乗ってね」
そして、隣のバスの運転手さんらしき人に何やら声掛けししています。あとで考えると、「キップはこっちでチェックした」旨のことを言ったようです。隣のバスの運転手さんも、何も言わずに1台目のバスの背後から現れた10人ばかりのお客を乗せてくれました。
そして、2台目のバスは、1台目のバスが発車した後も数分待機し、バス・ターミナルの中に旅の者と思われる格好をした人間がいないのを見届けると、おもむろにドアを閉めて発車しました。2台目のバスは、がらがらで、残り物には福がある状態で、快調に走ります。
バス内で打ち明けてくれましたが、我らがマダムは1台目のバスが満員になっただろうと推測した時点で、再度、1時間後の次の便を待つべく、あきらめムードになったとのことです。
もう一度繰り返します。勝手にあきらめてはいけません。
旅の移動は、何とかするの一心で、周りに聞きまくると、何とかなるものなのです。その日のモンサンミシェル行きのバスは臨機応変に続行便を手配した、ということは現地で初めて分かったことです。早々にあきらめて、駅の待合室に引っ込んでしまったら、2台目のバスの運転手さんのチェックにも引っ掛からずに置いてきぼりにされ、次のバスまで、本当に1時間待ったことでしょう。
( 中国人、日本人、北米人らで大盛況のモンサンミシェル行き直行バス )
また、ひとつ貴重な体験をしてしまいました。
結果論と言われればそれまでですし、ツアーではこんなことはできませんが、そこは個人の旅。何とかしようと、ちょっと動くと、何とかなります。旅慣れた皆さんの真価が、このようなときに如何なく発揮できます。
【4 行きが行きなら、帰りも同じ 】
モンサンミシェルへ電車とバスで来る観光客はパリ往復のパターンが大半を占めるようなので、往路のバスが混めば、当然、復路のバスにも人が集まります。
帰りの便も、バス停は黒山のひとだかり。
最初は、「キップを持っている人が優先です」と私に告げた運転手さんも、
「でも、接続のTGVの予約があるのです」と答えると、「分かった。オッケー」のひとことで、その場で車内発券です。フランス流の『魚心に水心』に感謝いっぱいの瞬間です。
そして、ラッキーなことに、あんなにいたはずのお客も、なんとバス1台に全員着席で乗り切れてしまいました。
運転手さんは、「さっき電話して、もう1台呼んだ」と、一応言っていましたが、案ずるより産むが易しだったのです。
「ああっ、フランス・・・・・・・」なのでした。
多くの乗客がいたため、レンヌ行きのバスは10分ほど遅れてモンサンミシェルを発車しましたが、運転手さんもTGV接続のことは分かっているので、途中の道を飛ばして走り、遅れ挽回の努力をしています。
それにもかかわらず、レンヌ駅には10分遅れで到着でしましたので、手に汗にぎる展開にやきもきしました。レンヌ駅にて早歩きでTGVホームへ着いたときは、もう所定の電車がホームに入っていました。
( レンヌ駅2階TGV専用改札口。3、4番線はTGV発車専用ホーム )
( レンヌ駅にすでに到着して増結作業中のTGV )
私たちの乗るTGVは、レンヌで、2編成併結作業のため約8分停車するので、乗り遅れることはありませんでしたが、ひやひやものであったことは間違いありません。
結論。「よい子は、是非、チャレンジ精神を発揮し、ロスタイムの少ない『何とかなる』フランス鉄道旅行を楽しみたいものです」
説諭。「世界中どこだろうが、指定席の番号を間違えて座ったことが分かったときは、ひとこと、お詫びの言葉を添えて移動しましょう。『悪いのは、席を間違えたアンタなんだよ!』」
2019年5月 記 了
【1 ゆうゆうパリを出発 】
( 現代建築のモンパルナス駅を東側から見る )
私たちは、パリ・モンパルナス駅9時57分発のTGVでレンヌへ向けて出発しました。ダイヤどおりですと、モンサンミシェル着は12時55分。何と、片道2時間58分しかかかりません。朝7時すぎにパリを出るツアーバスの到着も午後1時前後ですから、TGVの速さを改めて実感します。
おかげで、ゆったりとした朝のひとときを過ごすことができました。
多くの方がコメントしているように、TGVの発車番線が表示されると、乗客が一斉に改札口に押し寄せるので、バーコード読み取り式の改札機の前は、押すな押すな状態です。
( TGVプラットホームへ入る改札機前の大混雑。青い縦の光線が改札機 )
ゴールデンウィーク中ですので、フランスに来ても、そこそこ日本人観光客と思しき皆様を見かけます。私たちの乗車した車両にも、あと2組ばかり日本人の方がいらっしゃいました。みんなTGVに乗ってモンサンミシェル詣です。
「自力でモンサンミシェルに行けるんだ」、という達成感にあふれた表情が忘れられません。どうやら、他の日本人は邪魔なので、目にしたくないようです。最初、私たちの座席に間違えて座っていたのに、「ごめんなさい」の一言どころか、口も開いてくれません。こちらが気に食わないようでした。
パリの空気は、旅慣れ始めた日本人観光客に対して麻薬のような効果をもたらすので、仕方ありません。
TGVは全車指定席です。みんな、思い思いのキップを持っています。フランス人の多くはキップに替わるスマホデータを保持していました。ガイジンと思しき旅行者の多くは、細長い厚紙のキップや、プリントアウトしたE-ticket利用です。私たちもE-ticketです。利用列車限定のため、刻印機でキップに乗車時刻を印字する操作は不要です。
(TGVのE-ticket とバスのレシート状キップ(左下))
今日の下りTGVブレスト行は、10両一組の電車を2編成併結した長い編成ですが、私たちの乗った後ろ10両はレンヌ切り離しの編成でした。座席のほとんどが埋まっていて、改めて、TGV人気の高さや、レンヌの都市規模の大きさを実感しました。
パリを定刻に発車したTGVは、たった1時間28分で300km先のレンヌに到着。2017年より、全区間高速新線経由になったため、新線上の途中通過駅はありません。
学校で、「フランスで速いものと言えば、特急列車、郵便、エスプレッソ・コーヒー」と教わりましたが、そのとおりでした。
【2 レンヌ駅のバス乗換こそ勝負どころ 】
レンヌ駅でのTGVとモンサンミシェル直行バスの接続時間は、上り下りとも20分です。
理屈のうえでは、余裕があるように見えますが、ガイジン観光客にとっては、けっこう緊張する場面でした。
まず、レンヌ駅が現在、北口駅舎新築中のため、案内表示が分かりにくくなっています。
( レンヌ駅北口。モダンな駅舎を建設中。画面左端のさらに左がバス・ターミナル)
そのうえ、駅舎とプラットホームをつなぐ通路が、地下と2階の両方にあるので、初めてレンヌに降り立つと、どちらへ行くべきか迷います。結論は、どちらを利用しても、北口の東側にあるバス・ターミナルに行けます。
( レンヌ駅地下通路。右のエスカレーター右方向がバスターミナル。
2階からのエスカーレーターで下ってきてもバスターミナルへ行ける )
うろうろ、どきどきしながらも、10分もすればバス・ターミナルに着くことができます。その日は、もう、モンサンミシェル行きの直行バスがターミナルに入ってきていました。大型の長いバスです。
【3 あせっても、あきらめず】
バスの周りに集まってきた人の多いことにびっくり。トランクを引きづった中国人らしき人たちが最も多く、続いてニッポン人、カナダ人かアメリカ人っぽい感じの人がバスを取り囲みました。
( レンヌ駅バス・ターミナル4番線に入ったモンサンミシェル行き路線バス )
「えっ、こんなにいっぱい客がいるの・・・・・・」と、のけぞってしまいました。
「モンサンミシェル人気、あなどるべからず」です。
そして、乗車口にたどりついた私たちに運転手さんが告げたひとこと。
「キップは、あそこの窓口で買ってきて。今日は、車内販売なし!」
後で聞いたら、我が家のマダムは、この時点で、このバスには乗れないとあきらめたそうでした。
しかし、ここはフランス。あせっても、あきらめてはいけません。
運転手さんが指示したレンヌ駅構内の端にあるバス専用のキップ売場に行き、無事に人数分のキップを買い終えた私が戻ってきたときは、まだ10人くらい乗車待ちのお客がドアの前にいました。混雑のため、乗車に手間取っていたのです。ちゃんと、私の努力は報われ、予定したバスに間に合います。
「でも、運転手さん、すみません。もう空席ありませんが・・・・」
「えっ、そうなの?」
私たちのキップにチェックマークを入れた、くだんの運転手さんは、少しもあわてず、隣に止まっていたバスを指さしました。急きょ、続行便を出すことにして、2台目のバスが1台目のバスの横に到着していたのです。
「じゃあ、あっちの車両に乗ってね」
そして、隣のバスの運転手さんらしき人に何やら声掛けししています。あとで考えると、「キップはこっちでチェックした」旨のことを言ったようです。隣のバスの運転手さんも、何も言わずに1台目のバスの背後から現れた10人ばかりのお客を乗せてくれました。
そして、2台目のバスは、1台目のバスが発車した後も数分待機し、バス・ターミナルの中に旅の者と思われる格好をした人間がいないのを見届けると、おもむろにドアを閉めて発車しました。2台目のバスは、がらがらで、残り物には福がある状態で、快調に走ります。
バス内で打ち明けてくれましたが、我らがマダムは1台目のバスが満員になっただろうと推測した時点で、再度、1時間後の次の便を待つべく、あきらめムードになったとのことです。
もう一度繰り返します。勝手にあきらめてはいけません。
旅の移動は、何とかするの一心で、周りに聞きまくると、何とかなるものなのです。その日のモンサンミシェル行きのバスは臨機応変に続行便を手配した、ということは現地で初めて分かったことです。早々にあきらめて、駅の待合室に引っ込んでしまったら、2台目のバスの運転手さんのチェックにも引っ掛からずに置いてきぼりにされ、次のバスまで、本当に1時間待ったことでしょう。
( 中国人、日本人、北米人らで大盛況のモンサンミシェル行き直行バス )
また、ひとつ貴重な体験をしてしまいました。
結果論と言われればそれまでですし、ツアーではこんなことはできませんが、そこは個人の旅。何とかしようと、ちょっと動くと、何とかなります。旅慣れた皆さんの真価が、このようなときに如何なく発揮できます。
【4 行きが行きなら、帰りも同じ 】
モンサンミシェルへ電車とバスで来る観光客はパリ往復のパターンが大半を占めるようなので、往路のバスが混めば、当然、復路のバスにも人が集まります。
帰りの便も、バス停は黒山のひとだかり。
最初は、「キップを持っている人が優先です」と私に告げた運転手さんも、
「でも、接続のTGVの予約があるのです」と答えると、「分かった。オッケー」のひとことで、その場で車内発券です。フランス流の『魚心に水心』に感謝いっぱいの瞬間です。
そして、ラッキーなことに、あんなにいたはずのお客も、なんとバス1台に全員着席で乗り切れてしまいました。
運転手さんは、「さっき電話して、もう1台呼んだ」と、一応言っていましたが、案ずるより産むが易しだったのです。
「ああっ、フランス・・・・・・・」なのでした。
多くの乗客がいたため、レンヌ行きのバスは10分ほど遅れてモンサンミシェルを発車しましたが、運転手さんもTGV接続のことは分かっているので、途中の道を飛ばして走り、遅れ挽回の努力をしています。
それにもかかわらず、レンヌ駅には10分遅れで到着でしましたので、手に汗にぎる展開にやきもきしました。レンヌ駅にて早歩きでTGVホームへ着いたときは、もう所定の電車がホームに入っていました。
( レンヌ駅2階TGV専用改札口。3、4番線はTGV発車専用ホーム )
( レンヌ駅にすでに到着して増結作業中のTGV )
私たちの乗るTGVは、レンヌで、2編成併結作業のため約8分停車するので、乗り遅れることはありませんでしたが、ひやひやものであったことは間違いありません。
結論。「よい子は、是非、チャレンジ精神を発揮し、ロスタイムの少ない『何とかなる』フランス鉄道旅行を楽しみたいものです」
説諭。「世界中どこだろうが、指定席の番号を間違えて座ったことが分かったときは、ひとこと、お詫びの言葉を添えて移動しましょう。『悪いのは、席を間違えたアンタなんだよ!』」
2019年5月 記 了