ようこそマリー・アントワネットの祝いの間へ 2019年4月
1 シャペル:Chapelle
ガイドツアーの締めは、王室礼拝堂:Chapelle と王室オペラ劇場:Op*era でした。( * アクセント記号あり)
2019年4月現在、王室礼拝堂は修復工事のため、外側が覆われてしまっています。いまのところ2020年完了予定です。工事が終われば、下の写真のように、周囲から頭ひとつ出した端正な姿が観光客の前に現われるでしょう。
( 王室礼拝堂遠景。修復工事前のすがた )
私たちは、ガイドさんの誘導に従ってシャペルの中に入りました。大理石の床なので、多少、冷え冷えとした豪華な空間が広がっています。
( 王室礼拝堂正面祭壇 )
往時、ここでは毎日、ミサが行なわれ、国王も2階席で参列したと言われています。フランス王家は、一応、キリスト教の守護者でもあったので、建前上は信心深く振舞うのがお約束でしょう。教義と実生活との大きな差に関して、どういうメンタリティでバランスを取っていたのか、私には興味深いところです。
また、1770年5月16日に、将来のルイ16世とマリー・アントワネットの結婚式が行なわれたのも、この空間でした。
「お互いに、初めて、実物の相手方を見て、どう思ったのでしょうね?」
「少しは、『萌えっと』したかも知れません。けれども、本人も含めて、誰にも分からないと思います」
これが私の意見です。
「えっ?」
「まず、ホンネをもらした記録があるやに聞いていません。本人も、一応、嬉しいのでしょうが、早熟気味とはいえ、まだ二人とも15歳でした。恋愛結婚ではないので、当日は、かなりどきまぎしていたのではないでしょうか」
「そんなものなのですかねえ」
結果論ですが、このご夫妻には公式寵姫がいませんでした。
ベルばらで有名になったように、奥方についての噂はたくさんありますが、旦那様は堅かったようです。
( 王室礼拝堂の祭壇 )
現在のシャペル内は、椅子などが取り外されています。豪華絢爛な祭壇は見事なまでに輝いています。床も負けじと美しい細工物で覆われています。天井も、あいた口が塞がらないくらいゴージャスです。
祈りの場というより、儀式の間です。
( 王室礼拝堂の天井画 )
シャペルは、自由見学コースでも入口から内部をのぞけます。
ですから、シャペルの写真に見覚えのある方はいっぱいいらっしゃると思います。
けれども、内部までずんずんと入れるのはガイドツアーのみです。ガイドさんは、「写真を撮ったら両脇にどいてね」と、私たちを促します。のぞき口から祭壇を見る多くの見学者への配慮です。
( 王室礼拝堂の見事な床と側面アーチ )
自由見学者は、押すな押すな状態でシャペルをのぞいています。
( 王室礼拝堂の祭壇から入口方向を見る )
2. 王室オペラ
王室礼拝堂(シャペル)の見学を終えたので、王室オペラ劇場に向かいました。本日の最終コースです。場所は、正面向かって右のかなり奥の方です。普通のベルサイユ全景写真には写り込まない位置です。
ガイドさんは、私たちを促して、ずんずんと奥へ歩いて行きました。
そして、外見上は地味な大理石の柱や壁に覆われた入口から劇場内に入って行きました。
( 専属ガイドさんの誘導でオペラ劇場へ向かう )
( オペラ劇場へ向かう長い廊下 )
内部に出た瞬間、そこにも、金ピカで豪華絢爛、精巧な細工と紋章に飾られた空間が広がっていました。
「わあー、これぞベルサイユ!」
オペラは、、マリー・アントワネットのお輿入れを祝って作られました。
( オペラの席と正面舞台の緞帳 )
ここは、いまでも現役の舞台なので、全体の空気が生き生きとしていました。自由見学で回る「鏡の間」は、同じく豪華絢爛でも、なんとなく展示品のイメージですが、オペラは豪華さで劣るものの、今を生きる人々の息吹きが漂っていました。舞台の緞帳などにホコリがなく、輝いているのです。
オペラでは、ときどきコンサートや、政府の歓迎イベントがあるそうです。前者は、早い者勝ち、金運次第なので、是非、チャレンジしましょう。
( ギリシャ神話を題材にした天井画 )
相変わらず、見事な天井画とシャンデリアです。ぽかんと口を開けて、ずうっと上を見ていたので首が少し痛くなりました。
「あそこの格子窓が国王の席です。顔を出すと、みんな舞台そっちのけで王様の方を見てしまうので、その対策です」
ガイドさんの淀みのない説明に、一同納得。
「それにしても、すごい」
( 宮殿オペラ劇場の王の桟敷(格子窓の部屋))
( 王の桟敷とシャンデリア、天井 )
「でも、王様は、一番前で、かぶりつきで芝居を見たいなんて思わなかったのでしょうか」、と思いました。
天皇陛下が国技館で相撲観戦のときも、微妙に遠い場所が貴賓席。一番前に出たいとは思わないのでしょうか。
ですから、2019年5月に、かなり前の席にて相撲観戦されたアメリカのトランプ大統領夫妻は、本心から相撲楽しんだことと思います。
「でもね、やっぱり芝居は見るものではなくて、出るものよ。おほほ」
マリー・アントワネットのささやきが、私の耳の奥に響いたところで、ガイドツアーは終了となりました。
なかなか充実した内容に、あらためて感動しました。ていねいに、そして簡潔に見物個所の説明をしていただいたガイドさんに拍手を送って、さよならをしました。
2019年8月記 了
1 シャペル:Chapelle
ガイドツアーの締めは、王室礼拝堂:Chapelle と王室オペラ劇場:Op*era でした。( * アクセント記号あり)
2019年4月現在、王室礼拝堂は修復工事のため、外側が覆われてしまっています。いまのところ2020年完了予定です。工事が終われば、下の写真のように、周囲から頭ひとつ出した端正な姿が観光客の前に現われるでしょう。
( 王室礼拝堂遠景。修復工事前のすがた )
私たちは、ガイドさんの誘導に従ってシャペルの中に入りました。大理石の床なので、多少、冷え冷えとした豪華な空間が広がっています。
( 王室礼拝堂正面祭壇 )
往時、ここでは毎日、ミサが行なわれ、国王も2階席で参列したと言われています。フランス王家は、一応、キリスト教の守護者でもあったので、建前上は信心深く振舞うのがお約束でしょう。教義と実生活との大きな差に関して、どういうメンタリティでバランスを取っていたのか、私には興味深いところです。
また、1770年5月16日に、将来のルイ16世とマリー・アントワネットの結婚式が行なわれたのも、この空間でした。
「お互いに、初めて、実物の相手方を見て、どう思ったのでしょうね?」
「少しは、『萌えっと』したかも知れません。けれども、本人も含めて、誰にも分からないと思います」
これが私の意見です。
「えっ?」
「まず、ホンネをもらした記録があるやに聞いていません。本人も、一応、嬉しいのでしょうが、早熟気味とはいえ、まだ二人とも15歳でした。恋愛結婚ではないので、当日は、かなりどきまぎしていたのではないでしょうか」
「そんなものなのですかねえ」
結果論ですが、このご夫妻には公式寵姫がいませんでした。
ベルばらで有名になったように、奥方についての噂はたくさんありますが、旦那様は堅かったようです。
( 王室礼拝堂の祭壇 )
現在のシャペル内は、椅子などが取り外されています。豪華絢爛な祭壇は見事なまでに輝いています。床も負けじと美しい細工物で覆われています。天井も、あいた口が塞がらないくらいゴージャスです。
祈りの場というより、儀式の間です。
( 王室礼拝堂の天井画 )
シャペルは、自由見学コースでも入口から内部をのぞけます。
ですから、シャペルの写真に見覚えのある方はいっぱいいらっしゃると思います。
けれども、内部までずんずんと入れるのはガイドツアーのみです。ガイドさんは、「写真を撮ったら両脇にどいてね」と、私たちを促します。のぞき口から祭壇を見る多くの見学者への配慮です。
( 王室礼拝堂の見事な床と側面アーチ )
自由見学者は、押すな押すな状態でシャペルをのぞいています。
( 王室礼拝堂の祭壇から入口方向を見る )
2. 王室オペラ
王室礼拝堂(シャペル)の見学を終えたので、王室オペラ劇場に向かいました。本日の最終コースです。場所は、正面向かって右のかなり奥の方です。普通のベルサイユ全景写真には写り込まない位置です。
ガイドさんは、私たちを促して、ずんずんと奥へ歩いて行きました。
そして、外見上は地味な大理石の柱や壁に覆われた入口から劇場内に入って行きました。
( 専属ガイドさんの誘導でオペラ劇場へ向かう )
( オペラ劇場へ向かう長い廊下 )
内部に出た瞬間、そこにも、金ピカで豪華絢爛、精巧な細工と紋章に飾られた空間が広がっていました。
「わあー、これぞベルサイユ!」
オペラは、、マリー・アントワネットのお輿入れを祝って作られました。
( オペラの席と正面舞台の緞帳 )
ここは、いまでも現役の舞台なので、全体の空気が生き生きとしていました。自由見学で回る「鏡の間」は、同じく豪華絢爛でも、なんとなく展示品のイメージですが、オペラは豪華さで劣るものの、今を生きる人々の息吹きが漂っていました。舞台の緞帳などにホコリがなく、輝いているのです。
オペラでは、ときどきコンサートや、政府の歓迎イベントがあるそうです。前者は、早い者勝ち、金運次第なので、是非、チャレンジしましょう。
( ギリシャ神話を題材にした天井画 )
相変わらず、見事な天井画とシャンデリアです。ぽかんと口を開けて、ずうっと上を見ていたので首が少し痛くなりました。
「あそこの格子窓が国王の席です。顔を出すと、みんな舞台そっちのけで王様の方を見てしまうので、その対策です」
ガイドさんの淀みのない説明に、一同納得。
「それにしても、すごい」
( 宮殿オペラ劇場の王の桟敷(格子窓の部屋))
( 王の桟敷とシャンデリア、天井 )
「でも、王様は、一番前で、かぶりつきで芝居を見たいなんて思わなかったのでしょうか」、と思いました。
天皇陛下が国技館で相撲観戦のときも、微妙に遠い場所が貴賓席。一番前に出たいとは思わないのでしょうか。
ですから、2019年5月に、かなり前の席にて相撲観戦されたアメリカのトランプ大統領夫妻は、本心から相撲楽しんだことと思います。
「でもね、やっぱり芝居は見るものではなくて、出るものよ。おほほ」
マリー・アントワネットのささやきが、私の耳の奥に響いたところで、ガイドツアーは終了となりました。
なかなか充実した内容に、あらためて感動しました。ていねいに、そして簡潔に見物個所の説明をしていただいたガイドさんに拍手を送って、さよならをしました。
2019年8月記 了