ベルサイユのラトヌの噴水と噂の真相 2019年4月訪問
1. ラトヌの噴水ってどれだ
ベルサイユに来ると、ガイドさんの台詞や案内書に、部屋の名前や噴水の名前が、いっぱい出てきます。けれども、いっぱい過ぎてしまい、「鏡の間」と「マリーアントワネットのベッド」以外、全部、忘れてしまいます。
ですから、庭園に出て正面階段を下った場所にある、まあるい噴水の名前もたいてい忘れます。水が流れていない場合は、なおさらでしょう。
下の写真は、観光客の目に入ってくる典型的なベルサイユ庭園の場面です。噴水は、普通は出ていません。
「大きな池と、遠くに水路が見えた」程度でしょう。
( 実際に目にするベルサイユ庭園の典型的なイメージ )
( ほぼ同じ構図の冬の情景 )
写真中央の丸い池の真ん中に盛り上がっているのが、ベルサイユ3大噴水のひとつ「ラトヌの噴水:Bassin et Parterre de Latone」です。英語では、Latona's Fountain。そのため、多くの人が「ラトナの噴水」と呼んでいます。
ギリシャ神話由来のラトヌ(ラトナ)の物語の一場面を再現した噴水です。ルイ14世の強い希望で選んだテーマだそうです。神話の詳細は、他の専門家や解説マニアの作品を参照いただきたく。
2. 水が上がってこそのラトヌの噴水
まず、噴水あり、なしの写真を紹介します。「やっぱり、噴水は吹き出してナンボですね」と、改めて実感しました。
( 噴水あり、なし、のラトヌの噴水 )
ラトヌの噴水の近くに寄ってみると、「があー、ざあー」という音とともに、ものすごい量の水が、人物、亀、カエルの口から吹き出しています。風下にいると、水しぶきが容赦なくかかります。「わあ、涼しい」
( 水の芸術、ラトヌの噴水 )
3. ルイ14世の王権誇示説の噂
このラトヌの噴水、ガイドさんの何人かが、「ルイ14世の王権にさからった奴は、亀やカエルに変身させるぞ、と間接的に絶対王政を誇示した意図があった」、という趣旨のエピソードを披露してくれるそうで、たくさんの旅行記に、それが書いてあります。
けれども、それを証明する文献や、研究家の論文はありません。見学者の気を惹く雑談以上のものではなさそうです。ウソも100回言えばホント、のように、毎日、毎日、ガイドさんが日本人客に同じ話を聞かせていたら、「うそだあ」と声をあげた方が、却って白い目で見られて形勢逆転かも知れません。
こんな観光トリックに思いを馳せて歩いていると、ラトヌの噴水風景も遠ざかり、緑いっぱい、噴水いっぱい、の美しい全景が見えてきました。
( やや遠目に見たラトヌの噴水とベルサイユ宮殿 )
噴水のアーチが、美しい白い花が垂れているように見えました。うっとり。
2019年9月記 了
1. ラトヌの噴水ってどれだ
ベルサイユに来ると、ガイドさんの台詞や案内書に、部屋の名前や噴水の名前が、いっぱい出てきます。けれども、いっぱい過ぎてしまい、「鏡の間」と「マリーアントワネットのベッド」以外、全部、忘れてしまいます。
ですから、庭園に出て正面階段を下った場所にある、まあるい噴水の名前もたいてい忘れます。水が流れていない場合は、なおさらでしょう。
下の写真は、観光客の目に入ってくる典型的なベルサイユ庭園の場面です。噴水は、普通は出ていません。
「大きな池と、遠くに水路が見えた」程度でしょう。
( 実際に目にするベルサイユ庭園の典型的なイメージ )
( ほぼ同じ構図の冬の情景 )
写真中央の丸い池の真ん中に盛り上がっているのが、ベルサイユ3大噴水のひとつ「ラトヌの噴水:Bassin et Parterre de Latone」です。英語では、Latona's Fountain。そのため、多くの人が「ラトナの噴水」と呼んでいます。
ギリシャ神話由来のラトヌ(ラトナ)の物語の一場面を再現した噴水です。ルイ14世の強い希望で選んだテーマだそうです。神話の詳細は、他の専門家や解説マニアの作品を参照いただきたく。
2. 水が上がってこそのラトヌの噴水
まず、噴水あり、なしの写真を紹介します。「やっぱり、噴水は吹き出してナンボですね」と、改めて実感しました。
( 噴水あり、なし、のラトヌの噴水 )
ラトヌの噴水の近くに寄ってみると、「があー、ざあー」という音とともに、ものすごい量の水が、人物、亀、カエルの口から吹き出しています。風下にいると、水しぶきが容赦なくかかります。「わあ、涼しい」
( 水の芸術、ラトヌの噴水 )
3. ルイ14世の王権誇示説の噂
このラトヌの噴水、ガイドさんの何人かが、「ルイ14世の王権にさからった奴は、亀やカエルに変身させるぞ、と間接的に絶対王政を誇示した意図があった」、という趣旨のエピソードを披露してくれるそうで、たくさんの旅行記に、それが書いてあります。
けれども、それを証明する文献や、研究家の論文はありません。見学者の気を惹く雑談以上のものではなさそうです。ウソも100回言えばホント、のように、毎日、毎日、ガイドさんが日本人客に同じ話を聞かせていたら、「うそだあ」と声をあげた方が、却って白い目で見られて形勢逆転かも知れません。
こんな観光トリックに思いを馳せて歩いていると、ラトヌの噴水風景も遠ざかり、緑いっぱい、噴水いっぱい、の美しい全景が見えてきました。
( やや遠目に見たラトヌの噴水とベルサイユ宮殿 )
噴水のアーチが、美しい白い花が垂れているように見えました。うっとり。
2019年9月記 了