やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

パスール

モンサンミシェルの対岸地区ぶらぶら


モンサンミシェルの対岸地区ぶらぶら    2019年4月訪問


1 モンサンミシェルの連絡橋と対岸地区

モンサンミシェルの対岸地区をぶらぶらしました。増加した観光客をさばくため、21世紀になって開発された真新しい観光拠点です。

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( 対岸地区のメイン道路、奥がモンサンミシェル )

モンサンミシェルでは、2014年7月に連絡橋が完成しました。旧来の取付道路は取り壊され、再び、大潮の日に海に囲まれた歴史的風景を取り戻すことはできました。それと同時に、島民の駐車場も遠くなりました。クルマ依存型の島民の生活が不便になって本土側へ引っ越したため、人口は激減です。観光客も遠い駐車場のことが気がかりとなって早目にクルマに戻るようになり、夕食時間帯の島の客足が遠のいたようです。無料シャトルバスが夜中まで走っていると言っても、人間の心理として、暗くなったらできるだけ駐車場の近くに引き上げようと思うでしょう。

なんか、「朝9時開門、夜中1時閉門の、『聖なるテーマパーク・モンサンミシェル』」化が起こっているようです。

「するってーと、島内ホテルは、ディズニーシーにたとえると『ホテル・ミラコスタ』みたいな位置づけになるわけですね」
「御意。そのうち、ホテル代もさらにあがるかも知れません」
「くわばら、くわばら」

対岸一帯は、カゼルヌ:Caserne という地名ですが、日本語のガイドブックやブログでは、一様に「対岸地区」と書いてあります。その方が、モンサンミシェルの一部だという雰囲気が出やすいですね。

対岸地区には、モンサンミシェル島へ通じるメイン道路の両側にホテルやレストランが10軒程度、ゆったりと並んでいます。電線や派手な看板は一切なし。一般車の乗入も厳禁です。


2 パスールと観光案内所

クルマで来た方は、対岸地区に隣接する大駐車場にクルマを止め、無料のシャトルバス「ル・パスール:Le Passeur」に乗って、モンサンミシェルに渡ります。普通は「ル」を省略して、「パスール」と言っています。たくさんの皆さまの体験談のとおり、島と対岸地区の往復は、パスールの他に、徒歩、有料の(ラ)・マランゴト:La Maringote という観光馬車、ポントルソン駅まで行く有料の地域巡回バスがあります。天気、体力、財力などに合わせて、思い思いモンサンミシェル散歩を楽しみましょう。

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( メイン道路を走る有料馬車マランゴト )

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( パスール始発乗り場。昼間は乗客がたくさん )

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( 午前10時ごろのパスール乗り場は大行列 )

パスールや路線バス乗り場の近くには観光案内所があります。よろず観光相談やモンサンミシェルの模型展示の他、日本語のパンフレットや無料のきれいなトイレもあるので、時間の許す方は寄りましょう。

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( バス停から見えるモンサンミシェル観光案内所 )

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( 観光案内所の内部 )

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( モンサンミシェルの模型。上部中央が島 )

3 ホテルやレストランのチェック

メインストリートには、私たち日本人になじみのあるホテルやレストランが立ち並んでいます。ツアー会社や個人の予算に合わせて、皆様も思い思いのホテルやレストランに入らされた、あるいは入ったと思います。
(以下、つづりのアクセント記号は省略)

まず、ホテル・メルキュール・モンサンミシェル:Mercure Mont-Saint-Michel  と、併設のレストラン、プレ・サレ:Pre Sale 。四つ星ですので、デラックス・ツアーの皆さまは、心地良いホテルサービスや、礼儀正しいレストランのサービスなどを満喫されたことでしょう。ただし、ホテルからモンサンミシェルは、あまり望めないようです。

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( ホテル・メルキュール・モンサンミシェル(奥)と、レストラン、プレ・サレ(手前))

ホテル・メルキュールの真向いが、レストラン・ラ・ロティスリー:La Rotisserie 。その奥にホテル・ベール:Vert、横にスーパーマーケットがあります。どの建物も平屋か2階建てで、ゆったりとした造りのうえ、たっぷりと間隔を空けて建っています。いずれも、カジュアル系ホテルなので、節約指向の旅行者にはありがたい施設です。

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( ホテル・メルキュール前の道を挟んで、レストランとスーパーマーケット )

メイン・ストリートを島に向かって歩いて行きます。5分くらいで、集落の端に着いてしまいます。

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( ホテル兼レストラン、ル・ルレ・ドゥ・ベ。木立の奥が、ホテル、ラ・ディーグ )

こじんまりしたホテル兼レストラン、ル・ルレ・ドゥ・ベ:Le Relais de Baie  と、ラ・メール・プーラール系列のホテル、ラ・ディーグが見えます。その対面がラ・メール・プーラールの対岸地区の本丸、四ツ星のホテル&レストランであるル・ルレ・サンミシェル:Le Relais Saint-Michel  です。

堂々たる2階建ての建物と、その向こうに霞むモンサンミシェルのピラミッド型の島影が、ラ・メール・プーラール社の繁栄を物語っていました。

「すごいですね、ラ・メール・プーラール!」

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( ホテル&レストラン、ル・ルレ・サンミシェル正面 )

ル・ルレ・サンミシェルは、海岸寄りの一等地に建っていることが分かります。そして、このホテルの前の海沿いの木立は、たまたま途切れています。海側の部屋やレストラン席から、モンサンミシェルの美しいピラミッド型の姿を心置きなく遠目に眺められるはずです。

「だって、橋の島寄りの場所や修道院のテラスから見ると、このホテルだけ建物がむき出しで見えます」
「ほらね」
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( 島から、ホテル・ルレ・サンミシェルを望む。木立が途切れている )


4 クエノン川からモンサンミシェル遠景を楽しむ

対岸地区きっての見晴らし地点、クエノン川:Cuesnon の河口ダム兼展望台に着きました。朝は、みんな島へ行ったり、ツアー・バスで余所へ出発してしまったせいか、ほとんど誰もいません。確かに、「ここで、まずモンサンミシェルの美しい姿をたっぷり拝んでから島へ近づこう」、などという悠長な観光客は皆無です。モンサンミシェルが視野に入った瞬間、まず、息せき切って島へ渡りたくなるのが通常の心理です。

それだけ、モンサンミシェルの威容は、私たちを惹きつけて止まない素晴らしく魅力的な姿です。

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( クエノン川河口ダム上の展望デッキ )

この展望デッキは、夕焼けと夜景が美しいと評判です。私たちは、残念ながら、そのタイミングでこの場所に立てませんでした。

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( モンサンミシェルは遠くにありて拝むもの? )

すがすがしい朝の空気を通して、少し霞んで見えるモンサンミシェルは、肉眼で見るとかなり小さいです。霧の日はもちろん、モヤ程度でも、島影は見えなくなりそうだな、と心配してしまいます。観光写真は、大きさを少し誇張してあるようです。けれども、羊の放牧風景といっしょのモンサンミシェル像も印象的です。対岸のホテルや、レストランのテラスからのモンサンミシェルの姿も、多分、こんな感じでしょう。

いろいろなモンサンミシェルを体験するという意味では、是非、立ち寄りたいポイントです。


2019年6月記                             了

モンサンミシェルへの行き方の復習

モンサンミシェルへの行き方の復習    2019年4月訪問


【1  ツアーそれとも個人旅行】

2019年のゴールデン・ウィークに、家族ともども初めてパリから1泊2日でモンサンミシェルに行きました。幸い、天候にも恵まれ、圧倒的な存在感で眼前に迫る、正式名称「ル・モン・サン・ミシェル:Le Mont Saint-Michel 」の威容と賑わいを存分に堪能しました。

「いやあ、行って良かったあ」です。私も、長年の思いが、やっとかないました。

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( 夕闇せまるル・モン・サン・ミッシェル )

今回の観光は、いわゆる島内ホテルに宿泊した往復約27時間の小旅行。普通にキップを予約し、TGVと路線バスを乗り継いで往復する、皆様のよく言う個人旅行です。

モンサンミシェル観光は、ツアーが良いのか、個人旅行で行くのが良いのか、ブログやガイド本でも意見百出です。私は、各人の時間配分、フランス旅行ノウハウへの習熟度やチャレンジ力、ご予算などで変わるので、一概に優劣は決まらないと思っています。

我が家の場合は、のっけから自分たちで行くことにしていました。

*せっかく行くのだから1泊したい。
*1泊ツアーの標準パターンである、パリ早朝発、翌日夜半帰着のバス旅は長すぎ。
*自分たちで行く方が安いもんね。
*同行者がTGVに乗りたーい、と希望。

これらが我が家の個人旅行選択理由。私は、空気読めない系の性格なので、余程のことがない限り、先進国ではツアーの旅はしないことも隠れた理由です。


【2  パリとモンサンミシェルの標準往復ルート】

パリからモンサンミシェルへ公共交通機関で往復する場合の一般的なルートは、パリからレンヌへTGVで行き、モンサンミシェル行き直行路線バスに乗り換えるという行程です。

もう、言い尽くされていますが、何回でも記録しておいて損はないと思います。

1) パリ ⇔ レンヌ:Rennes はTGVで往復。片道1時間30分弱から2時間。約1時間ごと。

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( パリのモンパルナス駅のTGV。左が格安ウイゴー車両、右が一般車両 )

2) レンヌ ⇔ モンサンミシェル対岸は、ケオリス・アルモール社:Keolis Armor、の直行路線バスで往復。片道70分。TGV接続で1日4往復。

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( モンサンミシェル対岸のバスターミナルに着いた直行路線バス )


3) モンサンミシェルの対岸と島の入口は無料シャトルバスのパスー(パスール):Passeur、で約15分。朝7時から夜中の12時ごろまで5分から15分おきくらいに、適当な間隔で運転。

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(モンサンミッシェルの対岸と本島を結ぶ無料シャトルバス)

このルートだと、何と、パリからモンサンミシェル対岸の路線バスタ-ミナルまで、片道3時間を切るスピードで行けるのです。

「は、速い!」

パリからモンサンミシェルまでは350km以上ありますので、TGVの威力に脱帽です。かつて、モンサンミシェルと言えば、「パリから遥か彼方のノルマンディーの寒村の先にそびえ立つ辺境の有名観光地」のイメージでした。交通網の発達で、いまや、多少無理すればパリ日帰り圏の観光地になったことを実感しました。

東京から伊勢神宮まで日帰り観光する感じです。途中乗換え1回で、1点張りの豪華観光スポットへ多少の強行軍で往復する旅程が、何となく似ていませんでしょうか。


【3 その他のモンサンミシェル往復ルート】

ちなみに、パリ発の他のモンサンミシェル往復ルートは、

①ツアー・バスで片道4-5時間、
②フランス国鉄SNCFのTGVで、レンヌではなく、ドル・ドゥ・ブルターニュ:Dol de Bretagne という駅で直行路線バスに乗り換え、
③SNCFの在来線で、近隣のポントルソン・ルモンサンミシェル:Pontorson-Le Mont Saint Michel、という駅まで行って路線バスに乗り換え、
④高速バスでレンヌまで行き、一般ルートで書いたレンヌ⇔モンサンミシェル間の直行路線バスに乗り換え、

です。

もちろん、クルマで行く選択肢もあり、フランス人や近隣諸国の人たちの多数派は、クルマでモンサンミシェル観光にやってきます。

皆さんも、時と場合と予算に応じてルートやスケジュールを選択しましょう。

是非、モンサンミシェルに行きたい場合は、個人旅行で1泊がおすすめです。冬場ならば天候不順や霧に備えて滞在時間を長めに取る計画が良いと思います。「霧で見えなかった」モンサンミシェル観光ほど悲惨な旅はありません。

観光地めぐりの数をこなす場合は、論をまたずにパリ発の日帰りツアー、TGVでの日帰り旅行、または、モンサンミシェル1泊が組み込まれたフランス・ツアーの選択が良いと思います。霧でも嵐でも、人混みにもみくちゃにされながら参道を歩いても、「モンサンミッシェルに行った」という、厳然とした事実は微動だにしないからです。


2019年5月記   了





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