やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

バリクカード

ビスカイブスの停留所に慣れる

ビスカイブスの停留所に慣れる  2023年1月記

ビスカイブス(Bizkaibus)とバリクカード(ctb; barikcard)は、公共交通機関を使ってビルバオ近郊に行こうとするときに必須の要件です。バスは、どこの国でも電車に比べると勝手が分かりにくい乗り物ですが、すこしずつ慣れるしかありません。日本の路線バスの利用方法だって、ガイジンにもニホンジンにもかなり難解な代物ですから、オアイコですね。

202209ベルメオ公園横バキオ線発着原則バス停 (2)
(ビスカイブスの停留所は遠目にも一目瞭然)

ビスカイブスの停留所は、ほぼ同じデザインや色使いですから、すぐに分かります。屋根付きでない場合もありますが、緑の濃淡ベースの標識が立っているので気付きます。ところが、街中ですと実際はなかなか見つかりません。
「バスのルートを知らないとバスの通る道を歩かないからです」
「ここが電車の駅と違うところですね」
「御意」

202209ベルメオ新市街臨時バス始発場所
(ベルメオ市内のこじんまりしたバス停)

ですから、別のブログでも引用しましたようにビスカイブスの路線図を知っておく必要があります。

Líneas - Bizkaibus (bizkaia.eus) を紐解くのがおすすめです。

202209バキオベルメオ線タクシーバスBegiバス停
202209バキオベルメオ線タクシーバス時刻表
(統一スタイルではないガステル・ベギのバス停と、案内表示や時刻表)

ビルバオ都心部のアバンド駅前のバス停は屋根なしスタイル。市内専用のビルボブス:Bilbobus兼用の停留所には赤のビルボブスのロゴと路線番号も貼ってあります。

202209アバンド駅西側面
202209ビスカイバス案内板ウスカラバトゥアとカスティヤーノ
(アバンド駅西側もビスカイブスの一大発着拠点)

ビルバオ観光の日本人個人旅行者の皆さんの多くが利用するビルバオ空港線もビスカイブスの運行で、A3247系統です。空港が、行政上は狭い意味でのビルバオ市内ではなく、隣接のロイウ:Roiu という市域にあるためです。

202209ビスカイバス空港線A3247
(ビルバオ空港線はA3247系統のビスカイブス)

空港とビルバオ市内線のサイトは以下のとおりです。
https://web.bizkaia.eus/es/web/bizkaibus/detalle-de-linea?linea=A3247&numRuta=001

空港バスは、始発のサン・マメスを出ると、グランンビア通り79番地、モユア(広場)、アラメダ・レカルデ通り11番地の市内3カ所に停まったあとはノン・ストップで空港まで走ります。ご自分のホテルの場所と照らし合わせて最適な停留所で乗り降りしましょう。2022年秋の”withコロナ”下では、バリクカード利用だと通常運賃3ユーロくらいのところが0.75ユーロ程度と激安価格になっていたようです。もともと運賃が安めなので、そんな割引のことなど意識しないで利用していて、あとで、カード残高が多いのに気づいてびっくりしてしましました。





バリクカードと指紋デザイン

バリクカードと指紋デザイン   2022年12月記

バリクカード:Barikcard は、ビルバオ版のスイカやイコカです。

このごろビルバオ観光をする日本人個人旅行者の多くも、空港に着くやいなや1枚3ユーロ+チャージ金額のバリクカードを購入し、すぐさま市内 直行バスの客となるようです。何しろ、ペアで旅行しているならば、空港と市内往復だけでも元が取れるという触れ込みだからです。1人旅でも、空港往復とメトロ乗車2回くらいで元が取れるようです。また、スイカなどと同様に利用エリアが拡大し、いまではドノスティア(サンセバスチャン)一帯でも使えます。

202209バリクカードとウスカラバトゥア多分
(バリクカードとメトロのパンフレット)

ビルバオ市街地を見下ろせるアルチャンダ公園の展望台に行くと、バリクカードの指紋デザインの原画のようなオブジェがあります。「ああ、これからデザインを採ったな」と一目瞭然。私は、このシュールなオブジェ、けっこう好きです。

202209アルチャンダ公園指紋のオブジェ (1)
(バリクカードのデザインのもとのオブジェ)

バリクカードは、単にキャッシュレス、チケットレスのカードであるだけではなく、キップの正規運賃より3割引きくらいの割引乗車券でもあります。この点では日本のIC乗車券より優れています。そして、コロナ後の乗客誘致のためか、2022年末までは5割引きくらいにして電車、バスの利用を促していました。
どおりで、足繁く乗っても残高があんまり減らなかったわけです。

202209FEVEC4バルマセダ駅改札機
(駅では自動改札機上のカードリーダーにタッチ)

バリクカードは、1990年代初頭まではクレディトランス・ビルバオ(Creditrans Bilbao)という名前だったようです。その名残りなのでしょう、カード上には「ctb」の文字が残っています。顔写真付きの学生向けカードなどもあり、詳しく知りたい方は、どうぞ当該サイトの説明を読んだり、解説大好きな方のブログを当たるとよいでしょう。

私としては、カードのことに詳しくなるより、ビルバオの今を存分に楽しんで観光客としての使命を果たしてくださいという気持ちです。





ビルバオのメトロとノーマン・フォスター

ビルバオのメトロとノーマン・フォスター   2022年11月記

日本人のビルバオ観光と言えば、1にグッグアイム(グッゲンハイム)美術館、2にビスカヤ橋、3は有名バルめぐりが定番でしょう。

もう少しチェックポイントを広げてみませんか。ビスカヤ橋の往復で利用したメトロも実は観光の要のひとつです。グッゲンハイム美術館開館に先立つ1995年に第一期分が完成しました。全体のコンセプトは、イギリス人のノーマン・フォスターさんが手がけました。フォスター氏は1936年生まれで2022年現在存命中。男爵称号を授けられた現代を代表する有名な建築家だそうです。氏の委細はwikipediaや物知り博士様のブログに情報満載です。

実は、私もメトロ・ビルバオに乗るまで、氏のことは全く知りませんでした。

202209メトロM駅ノーマンフォスターサイン正面
(モユア駅の改札外地下通路にあるフォスター氏のサイン入りモニュメント)
202209ビルバオメトロモユア駅出入口
(観光客利用も多いモユア駅出入口のひとつ)

ノーマン・フォスターさんのサインのコピー入り記念パネルがモユア駅の通路にはめ込んであります。お気づきの方も少なからずいますが、通り過ぎた方はモユア駅の様子を思い出していただき、これからビルバオ観光予定の方も、ほんの10秒くらい足を止めてほしいです。

メトロ・ビルバオ全体は、駅や電車などを含めてトータルデザインされています。ゼロからメトロを作り上げたため、既存システムを改廃するための制約がなかった点は有利な条件だったでしょう。その代わり、人口100万人程度の都市圏で巨額のメトロ建設費を投じた割には利用客がさっぴり伸びず、失敗プロジェクトの典型例となり兼ねないリスクを背負っていたことを忘れてはいけません。

202209ビルバオメトロ駅典型デザイン
(地下区間の駅は、ほぼ同一デザイン)

鉄道サービスに注目するとき、日本のように、「かの有名な『水戸岡鋭治さん』デザインの車両」という風にピンポイントで話題を絞ってしまうとメトロ・ビルバオのユニークさに気づきにくくなります。撮り鉄、乗り鉄のような縦割りの視点で観察すると、どのジャンルにも当てはまりません。知名度の低い中規模都市にもメトロが走っている程度の感覚になりがちで、鉄道ファンの記憶にも残らないようです。一般の観光客になると尚更で、他人様のレポートを読んで「ふむふむ、ガラスドーム状の出入口がメトロの名物なんだ」と早合点してしまうのは寂しい限りです。

202209ビルバオメトロクルーセ駅大学病院前
(記憶に残るガラス張ドーム状のメトロ出入口)

「もう少し、自分自身の目でメトロ観察をしてみましょう」

ビルバオ市自身が、鉄と造船の街から、アートと食などの街に生まれ変わろうとしたとき、ジャンルを問わずに新進気鋭でユニークなデザインを徹底的に採用したことを感じるはずです。評価は分かれていたかも知れませんが、それなりの有名建築家を起用しましたから、デザイン料だって少額ではなかったはずです。

202209ビルバオメトロサンマメス駅PF俯瞰
(メトロの地下区間の駅構造も同一パターンですっきり)
202209ビルバオメトロアルゴルタ駅電車
(地上区間の駅と電車。アルゴルタ駅にて)
202209バリクカードと路線図他
(バリクカードとメトロ利用案内)

ICカードのバリクカード利用の場合、運賃はキップの3割から5割引きくらいです。メトロは、たとえキップで全線乗り通しても片道4ユーロくらいの安くて便利な公共交通機関です。昼間の都心部では4、5分間隔で電車が走っていますから、時刻表いらずでメトロ体験ができます。21世紀のビルバオの第4のポイント体験を忘れずに実行してましょう。






ビルバオ・メトロというアート

ビルバオ・メトロというアート:Metro Bilbao

1) ビルバオ・メトロという作品

ビルバオのメトロは、地下鉄です。
1995年11月に最初の区間が開通しました。グッゲンハイム美術館ビルバオ分館開館に先立つこと2年前です。

DSC06250
( ビルバオ・メトロの電車。地下区間へ入るところ )

この電車は、日常の乗り物ですが、ビルバオのイベントのひとつみたいです。人々の目をひくため、デザインも相当考え抜いたのではないかと感じました。設計責任者は、イギリス人建築家ノーマン・フォスター: Norman Foster という人物です。

観光客は、おじけづいていないで、是非メトロに乗ってみたいものです。最低運賃1ユーロくらいの観光名所に入ったと思うと、気分もウキウキします。メトロの駅も車内も、とても安全、清潔です。落書きや物乞い、小銭ドロボーは、バスク人の誇りにかけて、見かけません。日本と同じくらい治安の良いバスクは、世界中の宝と言っても良いでしょう。

私の感じるところ、メトロは、確実にトップ5以内の観光スポットです。

「残りの4つは、何ですか?」
「グッゲンハイム美術館、ビスカヤ橋、ユニークデザイン建築群、グルメですかね」
「うーーん、そんなもんでしょうね。あなたにしては、まっとうな答えなので、拍子抜けしました」
「納得したら、さっそく、メトロに乗りましょう」

乗車前に、ビルバオ・メトロの作品概要を整理しておきます。2017年9月現在の姿です。

*名称    メトロ・ビルバオ:Metro Bilbao
*路線数   3系統。 1,2号線は都心部では合流して運転。3号線は独立した路線。
*シンボルカラー  1,2号線はオレンジ色。3号線は青。

*開業    1995年11月。逐次延伸中。全線複線電化。
*軌間(線路の幅)    1000ミリ ( 日本のJRは1067ミリ )
*通行区分  全線で左側通行。 ( スペインのクルマは右側通行 )
*立体交差  全線立体交差。地下区間または高架区間。
*駅の構造  例外を除き、全駅、上下線別対面式プラットホーム構造で自動改札機設置。ホームドアはなし。
*バリアフリー 各駅にエレベーターあり。
*車両    1,2号線はメトロビルバオ独自の電車。4両または5両編成。
        3号線は、ウスコトレン社が運営のため、同社900系電車4両編成で運転。

*運転本数  朝6時前より夜11時過ぎまで運転。都心部では5分から10分ごとの運転。
*相互乗入れ 2017年4月11日開業の3号線のみ、ウスコトレン線と相互乗り入れ中。
         最長はビルバオ・マティコ駅発ドノスティア・アマラ行き普通電車。
*ダイヤ構成  平日、土曜休日、週末終夜の3本建て。
*終夜運転  金曜夜は終電を2時ごろまで繰下げ、土曜日深夜は終夜運転。

*運賃    ゾーン別運賃。3段階あり、0.90ユーロから1.18ユーロ。
        バリクカード(旧名クレディトラン):barikcard という名称のICカード導入済。 
        カード利用時は割引運賃適用。50回または70回利用割引運賃、シニア割引、年間ベースの学生割引等がある。

*その他   3号線は、ビルバオのロイウ空港まで延伸工事中。開通年未定。


2) メトロの駅で、わくわく、どきどき

ビルバオ・メトロと言えば、ガラスのドームの出入口がシンボルです。とても洗練されたなデザインで、一度、見たら目に焼き付きます。私はガラスいも虫のように感じました。

電車に乗ることをためらっている方でも、メトロの出入口のコメントは忘れません。ビルバオを代表するオブジェを見落とすような観光客は、ほぼ皆無です。

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( モユア広場のメトロ出入口。ガラスいも虫が二カ所あります )

ガラスいも虫は、ビルバオの中心部では、それなりに見かけます。観光客が多いモユア広場には二つあって、思わず、「わあー」と、興奮してしまいます。

「見とれていないで中へ入りましょう」
「はあい」

下の写真は、モユア駅の西隣り、インダウチュ駅の西側出口です。木立がすがすがしい歩道の途中に、にょっきり顔を出しています。
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( インダウチュ駅西口のメトロ出入口 )

ガラスで覆われた地下への出入口そのものは、東京にもいくつかあります。舎人ライナー日暮里駅そばの駐輪場への出入口、メトロ東西線の竹橋駅の出入口などです。けれども、ビルバオのものは、デザインが洗練され、しかも機能美を追求した現代風のシンプルさを感じる分、東京の類似品より、一枚も二枚も上をゆく構造物だと感じます。みなさまの感想は、いかがでしょうか。

東京も、2020年オリンピックがチャンス。是非、すてきなデザイン、記憶に残る機能美を追求してほしいです。

1274日暮里駅いもむし型出入り口
雪の竹橋の午後201801 (1)
(上は日暮里駅駐輪場、下は竹橋駅のガラスドーム )

ガラスいも虫の内部から地上を見上げると、じゃばら風です。外から見たほどユニークな雰囲気ではありません。
メトロの駅は、全部が全部、このタイプの出入口ではありません。大半がエスカレーター用の出入口ですが、ときどき階段のこともあります。どういう理由で、ガラスいも虫式か、その他式か、を選んでいるのか、確かめていなくて、すみません。

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( ガラスいも虫内部 )

例えば、BBVAタワーがそびえるアバンド駅:Abando  のメインはガラスいも虫式ですが、脇の方の出入口は、何の変哲もないスタイルです。

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( アバンド駅のBBVAタワー前のメトロ出入口 )



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( 同じアバンド駅でも、ガラスいも虫式でない出入口 )

ずんずん駅の中へ入ります。

モユア駅の通路には、ノーマン・フォスター氏のサインをかたどったレリーフがあります。ふうーん、と見たまではよかったのですが、写真を撮り忘れました。

メトロ1,2号線の地下方式の各駅の構内は、色合いや寸法がほぼ同じデザインです。駅名標を取り替えれば、どれがどの駅だが分からなくなるくらい、そっくりです。乗降客の多い駅と、少ない駅で、大小の差があってもいいような気がしますが、そんなことはありません。下のモユア駅のように、人通りが多いか、あるいは郊外の駅のように、がらんとしているかだけの差です。

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( メトロ1,2号線は、全駅ほぼ統一デザイン。改札手前のきっぷ自動販売機 )

改札口につながる通路には、かならず切符の自動販売機があります。切符だけでなく、バリクカードの販売やチャージもできます。ウスケラ、スペイン語に加えて英語案内もあります。故障もめったにありません。つり銭もきちんと出ます。

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( メトロのきっぷ自動販売機。英語案内もあります )

私もバリクカード:barikcard を購入して、電車乗り場へ向かいます。

旧名はctb = Credit Tran Bilbao らしいのですが、2017年現在、当局は ”barik card ” 一本で押してきていました。

340バリクカード表面
( バリクカード表面 )

モユア駅のメトロの改札口です。ヨーロッパの標準的な装置です。

どこの駅も必ず改札口が二カ所あります。けれども、二つの改札口は、構内でつながっていません。反対側の出入口に降りてしまったときは、地上で遠回りをしてホテルや観光スポットに向かうしかありません。

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( メトロの改札口。全駅統一デザイン )

改札をとおり、プラットホームへ降りてきました。
銀色と灰色の壁、通路、手すりで統一された構内は、やや前衛的な雰囲気です。SF映画の宇宙船の通路のような雰囲気です。広告類は、いまのところ一切ありません。

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( メトロのホーム。大きな断面のトンネルで、広々感を出している )

バリアフリー対策も完璧で、全駅にエレベーターが設置され、専用の自動改札を通って電車に乗り降りできます。

21世紀を見据えたプロジェクトなのに、ホームドアがないのが、やや不思議でした。そこまで混雑しないと見たのか、うっかり設計忘れか、真相は調べていません。勉強不足をおわび申し上げます。

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( バリア・フリー用のメトロのホーム・エレベーター。改札も独立仕様 )

当然、駅名標も統一デザイン。
カラーリングは、1,2号線がオレンジ色、3号線が青色です。
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( メトロの駅名標と各種案内。1,2号線はオレンジ、3号線は青がシンボルカラー )


3) いろいろな電車体験

メトロでも、案内放送や、電車接近のチャイム類はいっさいありません。ホーム上には、次の電車が何分後に到着するかを知らせる電光掲示板が下がっています。また、電車が入ってくる直前になると、ホーム上の照明が、パアッと、一ランク明るくなって、乗客に注意を促しています。

「あぶないですよ!!黄色い線の内側を歩いてくださあーーい」と、マイクでがなり立てるようなことはありません。ビルバオ・メトロがデフォだと思っているバスク人が、東京のメトロに乗ると、人の多さにびっくり、次に、注意放送の騒々しさに、「四六時中怒られているみたい」、という感想をもらすかも知れません。

ビルバオ市民は、あまりおしゃべりせずにメトロに乗っていますので、駅の中も大変静かです。

こういうところが、多くの日本人旅行者のみなさんが、「バスクは、スペインじゃないみたい」と感じる原体験のひとつです。私も、そのとおりだと思います。

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( ホームに入ってきたメトロ1,2号線の電車。左側通行です )

1,2号線の電車の車内です。シンプルで機能的なデザインです。開業以来20年以上経っているのに、メンテがしっかりしているせいか、あまり古さを感じません。

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( メトロ1,2号線電車の車内 )

メトロの路線は、都心部から離れると地上に顔を出し、高架区間が多くなります。高架の駅も、それなりに軽快なモダンデザインです。

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( メトロ地上区間の駅と電車。ブエルタ駅にて )

平日の朝、郊外から都心へ向かう通勤時間帯の電車に乗ってみました。

9月の日の出は午前8時ごろです。曇り空が、ようやく明るくなってきたエチェバリ駅:Etxebarri  都心方向のホームは、途切れない程度に通勤客が電車を待っています。各乗車口に数人ずつ並ぶほどでもありません。電車は、4,5分間隔で発車しますが、見ていると、全員座れます。モユアまで約10分です。

感覚的ですが、朝の通勤電車より、ランチタイム時や夕方帰宅時の電車の方が、混んでいるような気もします。みな、一目散で食事をとりに家に帰ったり、待ち合わせ場所に向かうので、人が集中しやすいのです。

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( 郊外のエチェバリ駅の朝8時ごろの上りホーム風景 )

4) メトロ3号線登場

2017年4月11日にメトロ3号線が開業しました。
ウスコトレン社の経営なので、全体の雰囲気は、ウスコトレンの地下区間みたいな感じです。在来線と相互乗り入れも始まりました。1,2号線とは、東京メトロと都営地下鉄のような関係ですが、サービスは縦割りではありません。

3号線もビルバオのメトロの一部なので、運賃体系は共通、駅の造りや案内方法も1,2号線と極力似せてあります。当たり前と言えば、当たり前のことをやっているまでです。

キーとなる駅は、サスピカレアク / カスコビエホ駅: Zazpikaleak / Casco Viejo です。1,2号線との乗換駅であり、ビルバオの都心部に一番近い駅です。昔風のビルの間に割り込むようにしてガラス張の明るいイメージの駅舎を造りました。

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( 新装なったサスピ・カレアク / カスコ・ビエホ 駅出入口。 赤1,2号線、青3号線の表示 )

メインの出入口は、ガラスいも虫デザインではありません。中に入ると、左右すぐのところに3号線改札、中央のエスカレーター下に1,2号線改札があります。両系統を乗り継ぐときは、いちど、改札を出たり入ったりしますが、運賃は通算されます。

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( 1,2号線と3号線の乗換場所。系統別の改札で、エスカレーター下が1,2号線改札 )

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( サスピカレアク / カスコビエホ 駅の系統別出口、通路案内 )

3号線は、開通直後なので、駅も電車もピッカピカ。ホームに蛍光灯の光がきれいに反射しています。まだ、乗客は多くないので、電車はかなりすいています。

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( 3号線の青い駅名標、案内表示。サスピ・カレアク / カスコ・ビエホ駅 )

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( ククヤーガ・エチェバリ駅に停車中の3号線始発電車と、左アチューリ行き在来線 )

3号線の東の終点が、ククヤーガ・エチェバリ駅: Kukullaga Etxebarri 。相互乗り入れの接続駅です。古い駅を、全面的に改修したので、新駅とみまごうばかりのピカピカ度でした。


ビルバオ・メトロをだいぶ楽しんだので、最後に夜景をみてみましょう。

朝の暗いうちや夜間に、ガラスいも虫の駅に行くと、明かりが曲面ガラスに反射して、華やかな雰囲気です。雨に濡れた歩道にも光が当たり、いつもより多くの光の点が映っていました。

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( 闇に煌々と輝くビルバオ・メトロのガラス・ドーム出入口 )

なかなか幻想的な雰囲気が出ていました。

                                             2017/9観光、2018/2記   了


バスクのお得なきっぷ

バスクのお得なきっぷ      2017年9月情報


その2   お得なきっぷ、便利なカード


1)  バリクカード  barikcard


ビルバオとビスカヤ県一帯を電車やバスで移動するならば、バリクカードが便利でお得です。

バリクカードは、日本のSuica、Icoca、Pasmo のようなIC系交通カードです。ただし、お買い物はできません。その代わり、現金払いの運賃より2割引きくらいで該当路線の電車、バスに乗れます。


バリクカードの表と裏です。裏面の上半分がウスケラ表記、下半分が、いわゆるスペイン語表記です。
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(Barikcardの表裏)

カードデザインは、とてもシンプルですが、センスの良さを感じます。右の指紋デザインは、街中アートからの流用で、オリジナルの屋外彫刻は、市内を見晴らせるアルチャンダ公園の一角に鎮座しています。

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 (アルチャンダ公園。指紋の彫刻の写真は撮り忘れました)


バリクカードの詳細は、メトロビルバオのウェブサイトに載っています。
https://www.metrobilbao.eus/en

1枚3ユーロ、有効期限なし、10人まで同時利用可能、クレジットカードで購入やチャージ可。メトロの他、ビルバオ市内バス、ビスカイバス、スペイン国鉄のRENFEとFEVE、ケーブルカー、そしてビスカヤ橋の通常利用で通用します。運賃は、現金払い額のおおむね2割引き。メトロの駅の自動販売機もしくは周辺の提携店舗で販売中。

何と言っても、不慣れな外国で、毎回、きっぷを買う手間が省けるし、小銭をその度ごとに用意することもなくなります。

ビルバオ都心部の均一区間の運賃は2017年9月現在で0.90ユーロ、ビスカヤ橋の最寄り駅までの片道運賃は1.07ユーロです。ざっくり言って、まる2日間、ビルバオ街歩きをしようとしているならば、バリクカードの初回最低購入額13ユーロを買っても損はないと思います。
ビルバオ土産は少ないので、記念品にもなります。

「えっ、何ですって? ”Barikcard自体を買うことが不安” ですか?」
「それもそうですね。外国ですものね」
「日本でも、電車やバスに乗り慣れていない人が、海外に行ったら、そりゃ、たまらんわ」

いろいろ、あるようですが、何とかなります。

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 (ビスカヤ橋の自動改札機。出っ張っている部分がカードタッチ場所。タッチが有効な場合は、バーが開いて通行できます)


2017年4月からバリクカードの定期券版が本格スタート。
30日有効期間中の70回利用券とか、高齢者向けのカードなどがある旨ウェブサイトに書いてあります。写真付きカードになるので、発売は、有人のカスタマーセンターのみ。観光客向きではありませんが、運賃は3割引き、5割引きの感じです。日本と違って、大幅割引の通勤通学定期券制度が少ないヨーロッパ諸国の中では、目立ったサービスです。

単なる紹介のはずが、バリクカードの宣伝になってしまいました。

ビルバオ市では、バリクカードとは別に、地下鉄と市電の市内均一区間のフリー乗車券に観光施設割引券のついた”ビルバオビスカヤカード”、略称BBCカードを発売しています。24時間券10ユーロ、48時間券15ユーロです。郷土博物館のような場所まで、こまめに入場するくらいの気概の方ならば、役立つようなイメージです。



2) サンセバスチャアンカード、バスクカード

美食都市ドノスティア(Donostia)、 スペイン語名、サン・セバスチャン(San Sebastian) でも、いわゆるツーリストカードの宣伝に余念がありません。観光案内所で紹介されたのは、市内向けの ”サンセバスチャアンカード”、と郊外を含む広域用の ”バスクカード”でした。

ドノスティアランス語版交通カード案内パンフ2017

ドノスティアウスケラと仏語版交通カード案内2017
(ウスケラとフランス語によるサンセバスチャン・カードとバスク・カードの紹介:出典ドノスティア・サンセバスチャン観光案内所パンフレット)

総論として、”10日有効”、ということで、端から日本人観光客向けではない感じです。
発想の原点が、「ゆっくり滞在して、あるときにはバスで出かけ、ある時には市内をブラブラする」、という滞在型観光客の行動を前提にしています。1泊2日や2泊3日で、三ツ星レストランや、ランキング上位のピンチョス・バルを歩き回る場合、こういうカードは使い勝手が良くありません。

私が寄った観光案内所のスタッフが調べた結果、期間限定で、バス用の6ユーロ券があることが分かりました。パンフレットに”6、12”の手書き文字が入っているのは、そのためです。それでも1回1.70ユーロの市内バスに4回乗らないと元が取れません。「オラ!ようこそドノスティアへ!」と、笑顔で接客してくれたお姉さんには残念でしたが、利用しないことに決めました。

結果として、バスに乗ったのは2回限りでした。バルめぐりは徒歩なので、あんまりバスには乗らないのです。

「やっぱり、普通の日本人の旅行ペースなんて、こんなものかな」と、サンセバスチャン・カードのパンフレットを見返して、寂しくなりました。

また、MugicardというSuica相当のバス、電車用カードがあるそうですが、バスカード以上に、一見の者には縁遠いカードでした。



3) パスバスク:Passbask

パスバスクは、スペイン側のウスコトレン社と、フランス国鉄SNCFの共同企画フリーきっぷです。
お得感があります。2)のバスクカードとは全くの別物です。

パスバスクは、ドノスティア・ラサルテからエンダイア間のウスコトレン(バスク鉄道)と、アンダイとバヨンヌ間のSNCFの、ほぼ全列車が乗り放題というフリーきっぷです。値段は12ユーロで、使用開始日と、その翌日有効。利用圏内の主要駅窓口で発売しています。

この12ユーロという値段は、バヨンヌからドノスティアまでの片道運賃額より、少し高いくらい。私も、試しに利用しました。

DSC05319
 (Passbask  きっぷの購入時のセット。下がフランスSNCF区間のフリーきっぷ。上の2/2がウスコトレンの1日乗車券の引換用バウチャー)

DSC05339
(バヨンヌ駅のSNCFのセルフ式改札機)

SNCF部分の切符を使い始めるときは、ご自身で刻印することを忘れないようにしましょう。これを怠ると、キセル乗車とみなされます。

パスバスクは、派手な宣伝こそないものの、地道に売れているようです。日本人のブログ旅行記でも、一人か二人、パスバスクのことに触れている人を見つけました。こまめに節約型旅行を実践する方々がいるようで、少し感動しました。

DSC05301Passbasque
(下のきっぷが、ウスコトレンの指定区間1日乗車券。大きな文字の「Kutxabank」は、銀行の宣伝ロゴで、きっぷの内容と無関係です)


自分の旅行プランに適したお得な切符や、期間限定の割引券をGETしたりすると、旅の達成感が不思議と高まります。


    その2 了

















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