やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

バイヨンヌ

ドノスティア行き電車の旅

ドノスティア行き電車の旅    2017年9月

1) バイヨンヌからローカル電車に乗って

バスク地方は、あまり広くありません。町から町へ移動するときは、普通電車や路線バスの旅が多くなります。

今回は、パス・バスク:Passbask というフリーきっぷを使って、バイヨンヌ:Bayonne からドノスティア:Donostia へ普通電車で移動です。ここは、ビルバオとドノスティア間の高速バス移動に次いで、往来が頻繁な区間かも知れません。

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( バイヨンヌ駅に並んだTERアキテーヌのローカル電車 )

旅程は、フランス国鉄:SNCFの電車で国境のアンダイ:Hendaye まで行き、そこで ウスコトレン:Euskotren (バスク鉄道)に乗り換え、目的地ドノスティア (サン・セバスチャン):Donostia を目指すという内容です。約80km、乗車時間およそ2時間の、のんびりした移動です。

久しぶりに、ローカル線風の電車と鉄道風景を楽しみました。

バイヨンヌ駅舎は、白っぽい石でできた、時計塔のある威風堂々とした構えです。最近の経済成長のおかげか、壁を洗い、駅前の改良工事中です。きちんと手入れを怠らない姿勢が伝わってきました。さすがフランスです。時計が全然役に立たないのは、あきらめるしかありません。

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( 時計塔のある堂々としたSNCFバイヨンヌ駅舎 )

きっぷを自動刻印機に通して、使用開始の印字をします。これをやらないと、キセル乗車になります。くわばら、くわばら。インテリアの色使いが華やかで、いかにもフランス風です。

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( バイヨンヌ駅舎内部と改札口付近 )

駅構内には、3本のプラットホームがあり、1番線から5番線まであります。そのうち、真ん中の2番線がパリ方面行き、3番線がアンダイ方面行きのホームです。人は、多くなく、朝夕の通勤時間帯でも、のんびりとしたムードが漂っています。

これから乗るTER Aquitaine (テル・アキテーヌ)という普通電車は、地方政府がお金を出し、SNCFが受託運行している地域内のローカル電車です。連接台車の4両編成の車両は、まだ、新しく、車内もきれいです。

※時刻表は、別のブログ「バスク時刻表2017年メモ」を参照してください。

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電車の出入口は、低いプラットホームに対応するよう床面を低くしてあります。それでも、まだ、1段ばかりステップを昇らないといけないのは、ご愛嬌でしょう。

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( TERアキテーヌ電車側面 )

色とりどりの服を着た乗客が、のんびりとパリ行きのTGVを待っています。ヨーロッパの鉄道駅ならではの旅情を感じる場面です。

その日のアンダイ行き普通は、のっけから45分遅れ。やっと来た電車に乗って終点を目指します。
車内も、温かみのある雰囲気。清潔ですっきりしています。

TERアキテーヌも、自転車持ち込み可。日本のローカル線も、利用客の便を考えて、是非、見習ってほしいです。大前提としては、よほどのことがない限り、全員座れて、まだ空席がある程度の混み具合であることです。

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( TERアキテーヌ車内の様子 )

最近のSNCFでは、普通電車でも自動音声による案内放送があります。

駅を発車すると、
「この電車はアンダイ行きです。次はビアリッツです」
(Ce train est destination Hendaye. Prochaine d'arret, Biarittz. )
と次の停車駅を放送します。

駅が近づくと、
「ビアリッツに着きます」
( Nous arrivons a* Biarittz. )
と、言います。技術の進歩の成果です。

けれども、ご乗車ありがとうございます、とか、ドアに指をはさまれないよう、ご注意ください、とかは決して言いません。

電車は、約40分かけて、フランス南端の国境の町を目指しました。

45分の遅れは、終点までそのまま。そのため、折り返し上り電車も15分遅れで発車して行きました。どうして遅れたのか、最後まで理由は分かりません。


2) アンダイとエンダイア:Hendaye & Hendaia

「Hendaye」は、難読地名です。フランス語では、「ア」ンダイと発音します。アクセントは最初の「ア」にあります。なんとなく、”アンダイエ” などと言いたくなる気持ちは分かりますが、秋葉原が、決してアキバ・ハラではなく、アキハ・バラであるように、ここは、アンダイです。

事態をややこしくしている要因に、Hendayeのことを、スペイン語またはウスケラでは、Hendaia、エンダイア、と言うこともあります。もしかしたら、エンダヤ、と聞こえる方もいると思います。フランス語風の発音をする方は、どうか、最後の母音を独立して発音したくなる気持ちを、ぐっと、こらえてください。

アンダイは、スペインに向かう場合、フランス最後の駅です。駅の構内は広大で、3本のプラットホームの海側には20本以上の線路がある貨物ヤードが広がっています。

シェンゲン協定により、国境の検問が事実上廃止となった現在、アンダイ駅もがらんとしてしまいました。ローカル線の折返し駅の風情です。長くて幅の広いプラットホームにぽつんと停車したTERアキテーヌの電車が、どこがわびしげです。

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( 広すぎるアンダイ駅構内 )

アンダイ駅舎の外観は、30年前と変わっていません。多少、改造していますが、私にとっては懐かしい姿のままでした。

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( SNCFアンダイ駅舎 )
198608アンダイ駅
( 30年前と、ほとんど変わらないアンダイ駅。Gare de Hendaye Sep.1986 )

けれども、内部は21世紀に見合うよう、現代風になっていました。天井の照明は明るくなり、発車案内は電光掲示になって、きっぷの自動販売機も設置されました。フランスとスペインを結ぶ幹線ルート上に位置していることに変わりはないので、駅には、少なくない数の旅行者がいます。

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( アンダイ駅改札と左奥のきっぷ売場 )

接続電車の発車時刻まで余裕があったので、駅の周りをぶらぶらしました。
たくさんの線路の向こうに、国境のビダソア川を隔ててオンダビリアやイルンの市街地が見えます。

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( アンダイ駅付近から対岸のオンダビリア方面を見る )
198609アンダイ駅からイルン方向手前EUSKO鉄
( アンダイ駅付近から眺めたイルン方向。1986年9月 )

かつて、駅前に軒を連ねていた両替屋さんも、ユーロ導入ですっかり消えました。平凡なアパートが並ぶだけの駅前風景です。

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( 雨のアンダイ駅前。左の道路下付近が、EuskotrenのHendaia駅 )

3) ウスコトレンで進む:Euskotren

駅に沿った道路から下を見ると、バスク鉄道こと、Euskotrenの一本きりの線路が、すうっと伸びています。

SNCFの設備や敷地がたいそうな規模であることと比べると、究極のシンプル形です。けれども、旅行者にとっては、ウスコトレンの方が便利な電車なのです。

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( ウスコトレンのエンダイア駅と、奥のSNCFアンダイ駅舎 )

乗換客は、SNCFアンダイ駅とウスコトレンのエンダイア:Hendaia 駅の間100メートルくらいを徒歩で移動します。雨でも、荷物をひきづって走れば、まあいいか程度の距離感です。

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( SNCF Hendaye駅前から見たHendaia駅舎 )

ウスコトレンの駅舎は、海上コンテナ1個分くらいの、こじんまりした空間です。きっぷ売場、2台のきっぷ自動販売機、自動改札機があるので、電車の到着時には、けっこう混雑します。駅員さんが、「降りる人を通してあげてえ」、というように腕を横に広げて、乗車客を止めています。

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( Hendaia駅舎内部。左の青枠がきっぷの自動販売機 )

ひとしきり電車到着時の喧噪が終わると、改札口もプラットホームもひっそりとします。

電車は、ドノスティア方面からやってきて、十数分停車したのち、折り返しドノスティア・アマラ経由ラサルテ行きとなります(Amara,Donostia ---  Lasarte) 。 30分間隔の運転です。Hendaia駅では、朝6時から夜10時すぎまで、まったく同じパターンでの電車折返し風景が、米つきバッタのように繰り返されます。とても、わかりやすい仕組みです。

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( Hendaia駅に到着したウスコトレンの折返し電車 )

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( ウスコトレン最新型900形の車内 )

CAF社製の最新型の900形電車は、丸味を帯びた先頭デザイン、白っぽい色合い、機能的な座席、ごみ落書きがない車内などが印象的です。鉄道サービスや技術レベルが、とても高いことが一目で分かりました。安心して乗っていられる鉄道です。

車内の行先案内や停車駅案内は、スクリーン表示です。言語表記は、ウスケラ、スペイン語、フランス語、英語の順で繰り返されます。

また、放送では、次の停車駅の地名のみ、1回だけ言います。「次は」、に相当するセリフはなしで、チャイムのあと、「アマラ。ドノスティア」という感じです。

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( ウスコトレン900形の停車駅、行先スクリーン表示 )

さて、発車です。
すぐに、国境のビダソア川を渡ります。進行方向右側には、SNCFとスペイン国鉄RENFEの線路が敷かれた橋があります。その向こうに見えるのは、イルンとオンダビリアの境目くらいの街並みです。

写真はありませんが、進行方向左側は国道の橋です。

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( Hendaia発車直後に渡る国境のビダソア川とSNCF/RENFEの線路 )

電車は、ドノスティア・アマラまでは、右側通行で走ります。約40分かかります。

ガイジン客の大半は、サンセバスチャンに行きたいのですが、表示はドノスティアやアマラばかり。サンセバスチャンの文字が少なく、不安になる方もいるようです。ドノスティアが、サンセバスチャンと同じ意味であることや、アマラ駅が、ドノスティアの中心部に近いターミナル駅であることを知らないと、仕方がないです。慣れるしかありません。

途中駅から、少しづつ地元客が乗ってきて、アマラに着くころには、座席の3分の1くらいが埋まっていました。
私も、ビーチと美食の高級リゾート、ドノスティア観光に行くため、電車を降ります。海辺のすがすがしい空気を思いっきり吸いに行きましょう。


4) ドノスティア・アマラの鉄道風景:Donostia Amara

電車はアマラに到着しました。8割方の乗客が降ります。そして、その半分くらいの人が乗ってきます。

アマラ駅は、ウスコトレン最大の駅です。折返し式の配線で、プラットホームのある線路は6本あります。朝から晩まで、電車がひっきりなしに発着しています。そう言っても、日本人感覚では、人も少なく、いつもがらんとしています。

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( ドノスティア・アマラ駅プラットホーム風景 )

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( アマラ駅に並ぶ多くの自動改札 )

アマラ駅正面は、さすがに堂々たる造りです。青い看板に書いてある内容は、駅名ではなく、メトロ・ドノスティアという意味のウスケラ兼カスティヤーノです。駅前は、ちょとした公園になっていて、観光客は、木々の向こうに並ぶ整然とした高級マンション風景に、この地の豊かさを感じてしまいます。同時に、「ここは、安心な町だ」という雰囲気も伝わってきます。

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( アマラ駅正面 )

アマラ駅では、すべての電車が折返します。見ていると、先発の電車が発車したあと、早ければ4、5分もすると、次の電車が同じプラットホームに入線します。ダイヤが正確で、ちみつな運行管理がされていることが実感できます。車両がきれい、混雑がない、待ち時間が少ないことを考えると、日本と同等か、それ以上のサービスと技術水準です。
「ウスコトレン、すごいぞ」、と心の中で、拍手喝采しました。

ホーム脇の側線に停まっている青い電車は、旧型車両です。定期列車は、すべて白色ベースの900形車両で運転されていました。

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( アマラ駅で発車待ちをするウスコトレンの電車たち )

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( 4本の電車が横並びで停車しているのは壮観な眺め )

バスク鉄道こと、ウスコトレンの線路の幅は、JRよりちょっとだけ狭い1000mmです。また、プラットホームは、電車の床面とぴったり同じ高さに作ってあります。そのため、プラットホームに立って線路を見やると、日本の線路風景と、ほとんどウリ二つの光景が展開します。カーブの作り方、ポイントの配置など、いつもの通勤で見慣れている雰囲気そのものです。

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腹ごなしの散歩を兼ねて、アマラから5分ばかり郊外に出て、新興住宅街にある駅に降りました。日本の大都市近郊の私鉄の新線風景と、とても似た光景です。地味な色合い、機能性重視で、デザインで冒険しない抑制の効いた造りなど、日本人に受け入れやすい駅風景です。

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( ロイオラ駅出入口: Loiola )

小規模駅には、普段、駅員さんはいません。自動改札機のうち、必ず1台は通路幅が広く、車椅子利用者や、ベビーカーを押したお客がゆうゆう通れるようになっています。

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( 標準的な自動改札機とプラットホームへの階段など )

駅構内には、広告看板類がいっさいありません。発車案内は、LED電光案内で表示。電車が近づくと、発車案内表示脇のランプが点滅します。自動音声で、「電車がまいります」、とか、「あぶないですから白線の内側へ下がってお待ちください」、と注意放送を行なうことはありません。

乗客は、静かに待ち、電車もあまり音を立てずに到着し、ちょっとだけ、さわさわとしながら客扱い行なって、すうーーっと発車していきます。

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( 駅に着いた電車 )

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( 臨時折返し用のシーサスクロッシングを通って到着するウスコトレン )

「都会の電車だなあ」と、見とれてしまいました。


                                           2018/2月記。2017/9訪問   了

バイヨンヌでバスク買い

バイヨンヌでバスク買い   2017年9月

1) お買い物はフランスで

初めてフランス側のバスクに泊まりました。バイヨンヌ:Bayonneでお土産を買い、老舗のチョコレート専門店に寄るためです。

「何か、お買い物も、したいなあ」
「いい年こいたシニアが、OLみたいに」
「収入があるうちに、名物買っておこっと。それに、おいしいレストランにも入ろっと」
と、いう気分です。

フランスでもバスクの食に対する評価は高いです。

バイヨンヌのハム:Jambon Bayonne、と言ったら、フランスで”高級ハム”と、ほぼ同じ意味です。
うそか誠か、フランス語の授業で、先生は、「チョコは、バイヨンヌが発祥の地だよ」と言っていました。パリに、アトリエ・デュ・ショコラ:L'Atolier du Chocolats という感じのよいチョコレート店がありますが、そこの本店もバイヨンヌです。
ガトー・バスク:Ga*teaux Basque という名前の焼き菓子も有名です。
バスク・リネンと呼ばれる布製品は、フランス・バスクが本場です。エスパドリーユ:Espadrille という布製の履物もフランス・バスク産です。リネンのお店はサンジャン・ドゥ・リュス:St. Jean de Luz やビアリッツ:Biarritz に多いとのことですが、バイヨンヌにも数軒あることもチェックしました。

また、ETAが政治声明を出す場所は、だいたいバイヨンヌでした。フランス・バスクの行政の中心地だからです。
海辺のリゾートであるサンジャン・ドゥ・リュスやビアリッツに行っても、一人旅のシニアは、寂しさが募りそうです。

だから、フランス・バスクで寄り道するならばバイヨンヌに泊まることにしました。

結論を言っておきます。
「バスクでお買い物をするならフランスで」、です。
スペイン側には、マグカップとか、Tシャツみたいな土産品しか、今のところありません。何だかんだ言っても、フランスは、やっぱりお買い物大国です。また、フランス・バスクの名産品をスペインでは、ほとんど売っていません。食べ物以外で、”これぞ、私のバスクの思い出” という品物を買いたい旅行者は、フランス側に行くことをおすすめします。


2) バイヨンヌ、バヨンヌ、バヨナ?

バイヨンヌは、Bayonne とつづります。けれども、実際に耳で聞くと”バヨンヌ”に近い音です。”バヨンヌ”くらいなのかも知れません。外国語の地名、人名の書き方は、けっこう難しいです。

ウスケラ、つまりバスク語では、この都市名は、Baiona です。”バヨナ”、”バヨナ”と発音します。決して、”バイオナ”とは聞こえません。

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( バイヨンヌ市内の地名表記。ウスケラ併記は少ない )

日本では、”バイヨンヌで決まり”、という感じでガイドブックや地図に書いてありますが、先ほどのハム:Jambon Bayonne を音読すると、”ジャンボン・バヨンヌ” と聞こえます。”絶対、バイヨンヌ”、とは言い切れない感がしています。

たまに、日本的にアレンジされた地名表記について考えることも必要です。当地に旅行に出かけて、あまりにも日本的な読み方で発音すると、それどこ、みたいな顔をされるからです。明治時代の大学者や文豪が、誤読してカナ書きにしたのが、そのまま通用している例が多いとのことです。権威の影響力の負の一面を垣間見たような気がします。

バイヨンヌは、ガイドブックに書いてあるように、主流アドゥール川に注ぐニーブ川の合流点に市街地が形成された河港の街です。ピレネーに発し、下流のビアリッツに注ぐアドゥール川は水量も多く、悠々と流れていました。バスクの余裕を象徴しているような光景です。
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( アドゥール川と、右岸のバイヨンヌ新市街。バスクムードなし )


3) フランス・バスクの洗練:Pays Basque

フランス側のバスクは、スペイン側以上に洗練度の高い地域です。
「フランス側は、フランスのバスク地方」だと感じました。スペイン側に行くと、「マドリードやバルセロナとは異なる独特で高級なバスク」だと感じます。同じバスクでも、いろいろあるんだなということが体感できます。

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( バイヨンヌの典型的な旧市街風景 )
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(スペインのドノスティア(サンセバスチャン)の雰囲気と少し違う)

そもそも、観光案内所からして、フランスっぽいお洒落な造りです。

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( バイヨンヌ市観光案内所。バスク広場:Place des Basques  )

「あんた、それは、ちょっと違うよ」
「えっ?」
「パリとか、ボルドーとかが、俺たちバスクの雰囲気に似てるんだよ」
そこまでは、言い過ぎだと思います。

どこが印象の決め手になっているのか、考えました。
自然は、緑いっぱいで、フランスっぽい感じです。
建物の壁や屋根の色使いが、少し色のついた白や灰色系が多く、茶色系が多いスペインと異なった印象です。
総じて手入れがよいので、普通のビル街でも清潔感、金持ち感が強くにじみ出ます。
案内表記や看板がフランス語なので、フランスだと思い込んでしまいます。

このような要因が重なり合って、フランス・バスクの印象となっていると思いました。
もちろん、大聖堂やニーブ川の両岸を中心とする観光の中心部は、バスクムードいっぱいの建物が視界に広がり、観光客も大満足です。


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( ニーブ川両岸の観光地区はバスクムードいっぱい )

バイヨンヌ旧市街を二分するニーブ川の両岸には、バスク風に窓枠を濃い緑や赤茶色に塗ったマンションが立ち並んでいます。上の写真左が、グラン・バイヨンヌ:Grand Bayonne でお店いっぱいの地区、右がプティ・バイヨンヌ:Petit Bayonne で、主に閑静なマンション街です。

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( バイヨンヌ大聖堂近くの、お土産屋通り )

バイヨンヌの街のシンボルは大聖堂ですが、窓枠の印象が強烈なマンション群は、川の両岸にほぼ集中しています。大聖堂から坂を下った旧市街のショッピング地区もバスク風建築が多いです。観光客は、やっぱり、こういうバスク風を見ないと気持ちが収まりません。


4) お買い物するぞ

お買い物にバイヨンヌに来たので、お店を見て歩きます。21世紀のシニア男性は、むかしの男と趣向が変わってきたのです。

まず、良さようなレストランで、フランス・バスク料理を味わいます。ランチタイムは1時ごろからです。
近くの海辺で採れた小魚のフライがあったので、前菜として注文しました。地産地消なので、とても美味しいです。

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( ニーブ川岸に並ぶバスク料理店 )

食後は、大聖堂を見学しがてら、お店の並ぶ通りを歩きまわりました。
食料品では、質の良いハムや地元のチーズに目が離せません。生ハムは日本に持ち込むことができないので要注意です。

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( バイヨンヌ中心部の食料品店 )

続いて、バスクリネンを物色です。
事前情報のとおり、リネン専門店が数店あって、私には十分でした。かなり高いです。
タオル1枚とかを記念程度に買いたいならば、ほとんどのお土産屋さんに、小物のリネンは置いてあります。

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( 市内中心部のバスクリネン店。専門店が数店ある )
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( 大聖堂が顔を出すバスクムードあふれるショッピング街 )

お菓子屋さんでは、ガトーバスクを見るだけ。近くのアイスクリーム屋さんでは、久しぶりにフランスのアイスを食べました。

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( 市内中心部のお菓子屋さんの例。何店もある )

普通の観光みやげ店にも入ります。バイヨンヌのマグカップとかマグネットとかも買いたいです。
中国製もあるので、じっくり見まわしますが、お店の主人曰く、
「デザインはこっちで指示しているから問題ない」
そういう問題ではないのですが。

土産店は、看板の文字こそバスク風を出していますが、建物とか店内の陳列とかはフランス式です。バスクムードは観光用と、割り切っている感じです。

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( 大聖堂近くのバスク風看板の土産店 )


5) チョコはやっぱりバイヨンヌ

歩いているうちに、お腹もこなれてきたので、本命のチョレートの老舗、カズナーブ:Caznave を探して入ります。店舗も奥のサロンも営業時間は、午後7時までです。スペイン流の時間感覚では考えられません。頭をフランス流に切り替えないと、ドアを閉ざされてしまいます。
カズナーブが店を構えるポールヌフ通り:Rue Port Nuef は、チョコレートの名門店がアーケードの両側に散在しています。カズナーブの隣りがダラナッツ:Daranatz、はす向かいにラトリエ・デュ・ショコラなどなど。
ここには、ブティックや宝飾店もあり、バイヨンヌのクラシックな目抜き通りのひとつです。

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( カズナーブ:Caznave。 奥の赤茶色の看板がダラナッツ  )


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( ダラナッツ:Daranatz。 突き当たりは、川の合流点付近 )

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( ラトリエ・デュ・ショコラ:L'Atelier du Chocolat   カズナーブはす向かい)

この中で、もっとも知名度のあるカズナーブに入ります。道沿いがカフェ、続いてチョコレート販売ブース、一番奥がサロン・デュ・テ:Salon du The* という喫茶部です。

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( カズナーブ店前の歩道上のカフェの様子。多分、奥と同じサービス )

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( カズナーブのサロン・デュ・テ室内。観光客がほとんど )

喫茶部の売れ筋のショコラとトーストのセットを注文し、絵に書いたような観光客ぶりを発揮します。お店側も分かっているみたいで、「はい、了解」と、笑顔で対応してくれます。午後5時前ですが、観光客がほとんど。みんな、どんなものが来るやら、という表情で行儀よく待っています。格式高い”サロン・デュ・テ”ならではの光景です。
ショコラは、いわゆるココアですので、甘いです。トーストは普通です。話のネタには、とてもよい体験です。
最後に、各種チョコレートを買って帰ります。チョコレートの包装裏面は、創業の地バスクに敬意を表して、第一言語は、”Baiona Caznave, Eskuz Eginiko Txocolatea ”とウスケラ (バスク語)表記です。

201709カズナーブチョコ 裏面
( カズナーブの板チョコ。裏面の商品説明 )

これで、バイヨンヌに来た甲斐がありました。

「おっと、まだ、サントマリー大聖堂:Cathe*drale Sainte-Marie見物を忘れてませんか」
「では、さっき行ってきたので、ちょっと披露。立派な建物ですが、もう教会、見飽きました」

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( 大聖堂正面。入口は向かって左手奥です )

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( 大聖堂の内陣。とても立派なゴシック様式です )

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( 中庭:Cloi*tre。美しい造りです )

せっかくですので、堂々たる構えの市役所と、水面を渡る風にフランスを感じてしまうバイヨンヌの母なる川アドゥール川風景も見ておきましょう。

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( バイヨンヌ市役所:Ho*tel de Ville,  Bayonne 。ポールヌフ通りから川沿いに出た場所にあります )

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( アドゥール川と夕陽に染まるバイヨンヌ旧市街の対岸。左の少し高い塔がSNCFバイヨンヌ駅舎)

フランスの豊かな中規模都市の良さを体現しているような場所です。食べ物が、とても口に合うのが何よりです。
バイヨンヌは、専門家でもない限り、1日居れば、観光スポットとお買い物が十分楽しめる場所です。言葉もフランス語ですが、ご先祖様に敬意を表してウスケラが、主要案内に併記してあります。スペイン側のように二言語地域ではないので、あれこれ瞑想にふけることもありません。

地理上の理屈では、バイヨンヌとスペインの日の出、日没は10分と変わらないはずなのに、9月の午後8時を過ぎると、空も暗くなり、目抜き通りから人通りが急速に途絶えます。ドノスティアあたりだと、さあこれから、という時間帯に、こちらでは、観光客向けのレストラン、カフェを除けば、静寂が街角に広がり始めます。

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( 夕暮れのバイヨンヌ。ニーブ川から大聖堂の尖塔を見る )

”静かに眠れバイヨンヌ”

                                                           Jan2018 了

* 印:アクサン記号がつく文字









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