ミラノの駅舎をめぐりて 2018年3月、9月訪問
ミラノの大きな駅、中くらいの駅から7つの駅舎を、ささっと眺めてみました。
イタリア北部の鉄道の雰囲気を感じました。けっこう、きびきびした印象です。
1) 私の一番好きな駅カドルナ:Cadorna
( 朝日に輝くカドルナ駅全景 )
私が、ミラノで一番好きな駅はカドルナ駅です。我ながら無難な選択です。お洒落なデザイン、メンテの良い建物、落ち着いた雰囲気で、生活者目線に近いミラノを感じます。2015年のミラノ万博を機に、駅前に設置された
クリップか組みひもみたいなオブジェは賛否両論があるようですが、私は賛成派。駅舎との相性は良いと思います。
カドルナ駅は、マルペンサ空港へ電車で行き来する方や、徒歩をいとわずに最後の晩餐を見学に行く方々の記憶にある駅だと思います。もういちど、このハイセンスな駅を振り返ってみてはいかがでしょう。
( カドルナ駅の線路の配線は幾何学的 )
鉄道好きの人間の、そのまた一部の者の感想ですが、カドルナ駅の配線は幾何学的な美しさです。ダブルスリップスイッチや、シーサスクロッシングが、ほぼ左右対称に配されていて、すっかり見とれてしまいました。
2) 伸び盛りの駅ポルタ・ガリバルディ:Milano Porta Garibaldi
(再開発で一新されたポルタ・ガリバルディ駅)
ポルタ・ガリバルディ駅と、その周辺は、ダイナミックに成長するミラノを体現しています。駅舎はモダン建築になりましたが、デザインは少し面白みにかけます。残念。
駅の周りには、定番の再開発ビルあり、ユニークな高級マンションのボスコ・ヴェルティカーレあり、人気急上昇のショッピング通りコルソ・コモありです。しかし、日本人旅行者の知名度はイマイチです。
( ポルタ・ガリバルディ駅ホームとTGVとボスコ・ヴェルティカーレ)
最近は、TGVでフランスのリヨンやパリへ向かうときや、マルペンサ空港へ行き来するときに、ポルタ・ガリバルディ駅を使います。1番線から20番線と地下の通勤新線パッサンテのホームがある大きな駅ですが、地味な印象は否めません。
3) やっと登場チェントラーレ:Milano Centrale
( ミラノ・チェントラーレ駅舎を少し離れて見る)
日本人ミラノ旅行者の人気スポットのひとつ、ミラノ・チェントラーレ駅です。周辺に大小さまざまのホテルがあること、私たち日本人の鉄道好きの血がさわぐので、露出度が高くなるようです。
実際に、ものすごく大きく立派で、1日30万人以上の乗降客がある世界屈指の長距離列車ターミナルです。ヨーロッパ鉄道旅行の起終点には便利ですし、プラットホーム風景も風情がある思い出深い駅です。
その反面、やや威圧的な外観は、美の追求に余念がないイタリアらしくありません。1931年竣工という駅舎の歴史的経緯から考えると、仕方のないことかも知れませんが、あんまり、すりよりたくなる駅ではありません。
大きな駅は、街の顔のひとつですから、チェントラーレ駅も、もう少し優雅であるか、ミラノのイメージをアピールする造りであってほしかった、というのが正直な感想です。
4) ちょこんと鎮座するポルタ・ジェノバ駅:Milano Porta Genova
( 周囲にどっぷり溶け込んだようなポルタ・ジェノバ駅 )
ポルタ・ジェノバ駅も、通勤電車の始発終着駅のひとつです。「そんなターミナル駅あったっけ」、というのが普通の反応でしょう。
私たちの何割かは、ナヴィリオ運河の散策やデートをするときに、この駅の近くを通ります。
「下町風の親しみやすい雰囲気の駅ですが、夕暮れ過ぎると、ちょっと日本人にはきついかも」
トレノルドという通勤列車用のポルタ・ジェノバ駅は、こんな感じです。
5) 線路がいっぱいあるランブラーテ駅:Milano Lambrate
( 駅舎はこじんまり、線路はいっぱいランブラーテ )
ランブラーテ駅は、ミラノ・チェントラーレに東の方から入るさまざまな列車が集まってくるジャンクション機能が特徴の駅です。東京で例えれば、品川駅みたいなイメージです。駅舎は小振りですが、高架のプラットホームに上がると、線路がいっぱい敷いてあり、いろいろな行先の特急や通勤列車が、つぎつぎと通過して行きます。鉄道ファン向きの駅です。
数年後、市街の東にあるリナーテ空港まで地下鉄4号線が開通すると、このランブラーテ駅も、乗換駅のひとつになります。
6) パッサンテ開通でロゴレド駅:Milano Rogoredo は急上昇
( 昔ながらのロゴレド駅西口の反対側は再開発中 )
ロゴレド駅は、ランブラーテ駅から南に下った駅です。
何の変哲もない住宅街の端にあった、寂れたムードのロゴレド駅は、ミラノ中心部を、ほぼ東西に貫通するパッサンテ:Passante、という通勤新線の開通で、ひとっとびに大きな乗換駅に大出世。駅の東側では、ガラス張りのオフィス街や、洒落たマンション街を再開発中です。
ちょっとイメージがずれる部分はありますが、武蔵小杉みたいなポジションだと感じました。
7) 若くてムンムン、グレコ・ピレリ駅(グレコ・ピレッリ):Milano Greco Pirelli
グレコ・ピレリ駅は、ビコッカ大学最寄り駅なので、学生さんでいっぱいです。そのうえ、再開発の新しいマンション群が駅前にできて、若いファミリーも増えたので、駅の利用客は、ピチピチ、ムンムンの気配が濃厚です。
チェントラーレから北に一つ進んだ駅なので、普通の旅人とは全く無縁の駅でしょう。駅舎は平凡ですが、手入れが良く、堅実で飾らないが質の良い一般市民の暮らしぶりを体現しているかのようでした。
( グレコ・ピレリ駅舎はイタリアの鉄道駅の典型的な外観 )
( 学生や若い人が多いグレコ・ピレリ駅の朝の通勤通学風景 )
早春の朝の青空の下で、おしゃべりしながら通勤電車を待つ若いミラネーゼの姿に見とれていました。
2018年12月記 了
ミラノの大きな駅、中くらいの駅から7つの駅舎を、ささっと眺めてみました。
イタリア北部の鉄道の雰囲気を感じました。けっこう、きびきびした印象です。
1) 私の一番好きな駅カドルナ:Cadorna
( 朝日に輝くカドルナ駅全景 )
私が、ミラノで一番好きな駅はカドルナ駅です。我ながら無難な選択です。お洒落なデザイン、メンテの良い建物、落ち着いた雰囲気で、生活者目線に近いミラノを感じます。2015年のミラノ万博を機に、駅前に設置された
クリップか組みひもみたいなオブジェは賛否両論があるようですが、私は賛成派。駅舎との相性は良いと思います。
カドルナ駅は、マルペンサ空港へ電車で行き来する方や、徒歩をいとわずに最後の晩餐を見学に行く方々の記憶にある駅だと思います。もういちど、このハイセンスな駅を振り返ってみてはいかがでしょう。
( カドルナ駅の線路の配線は幾何学的 )
鉄道好きの人間の、そのまた一部の者の感想ですが、カドルナ駅の配線は幾何学的な美しさです。ダブルスリップスイッチや、シーサスクロッシングが、ほぼ左右対称に配されていて、すっかり見とれてしまいました。
2) 伸び盛りの駅ポルタ・ガリバルディ:Milano Porta Garibaldi
(再開発で一新されたポルタ・ガリバルディ駅)
ポルタ・ガリバルディ駅と、その周辺は、ダイナミックに成長するミラノを体現しています。駅舎はモダン建築になりましたが、デザインは少し面白みにかけます。残念。
駅の周りには、定番の再開発ビルあり、ユニークな高級マンションのボスコ・ヴェルティカーレあり、人気急上昇のショッピング通りコルソ・コモありです。しかし、日本人旅行者の知名度はイマイチです。
( ポルタ・ガリバルディ駅ホームとTGVとボスコ・ヴェルティカーレ)
最近は、TGVでフランスのリヨンやパリへ向かうときや、マルペンサ空港へ行き来するときに、ポルタ・ガリバルディ駅を使います。1番線から20番線と地下の通勤新線パッサンテのホームがある大きな駅ですが、地味な印象は否めません。
3) やっと登場チェントラーレ:Milano Centrale
( ミラノ・チェントラーレ駅舎を少し離れて見る)
日本人ミラノ旅行者の人気スポットのひとつ、ミラノ・チェントラーレ駅です。周辺に大小さまざまのホテルがあること、私たち日本人の鉄道好きの血がさわぐので、露出度が高くなるようです。
実際に、ものすごく大きく立派で、1日30万人以上の乗降客がある世界屈指の長距離列車ターミナルです。ヨーロッパ鉄道旅行の起終点には便利ですし、プラットホーム風景も風情がある思い出深い駅です。
その反面、やや威圧的な外観は、美の追求に余念がないイタリアらしくありません。1931年竣工という駅舎の歴史的経緯から考えると、仕方のないことかも知れませんが、あんまり、すりよりたくなる駅ではありません。
大きな駅は、街の顔のひとつですから、チェントラーレ駅も、もう少し優雅であるか、ミラノのイメージをアピールする造りであってほしかった、というのが正直な感想です。
4) ちょこんと鎮座するポルタ・ジェノバ駅:Milano Porta Genova
( 周囲にどっぷり溶け込んだようなポルタ・ジェノバ駅 )
ポルタ・ジェノバ駅も、通勤電車の始発終着駅のひとつです。「そんなターミナル駅あったっけ」、というのが普通の反応でしょう。
私たちの何割かは、ナヴィリオ運河の散策やデートをするときに、この駅の近くを通ります。
「下町風の親しみやすい雰囲気の駅ですが、夕暮れ過ぎると、ちょっと日本人にはきついかも」
トレノルドという通勤列車用のポルタ・ジェノバ駅は、こんな感じです。
5) 線路がいっぱいあるランブラーテ駅:Milano Lambrate
( 駅舎はこじんまり、線路はいっぱいランブラーテ )
ランブラーテ駅は、ミラノ・チェントラーレに東の方から入るさまざまな列車が集まってくるジャンクション機能が特徴の駅です。東京で例えれば、品川駅みたいなイメージです。駅舎は小振りですが、高架のプラットホームに上がると、線路がいっぱい敷いてあり、いろいろな行先の特急や通勤列車が、つぎつぎと通過して行きます。鉄道ファン向きの駅です。
数年後、市街の東にあるリナーテ空港まで地下鉄4号線が開通すると、このランブラーテ駅も、乗換駅のひとつになります。
6) パッサンテ開通でロゴレド駅:Milano Rogoredo は急上昇
( 昔ながらのロゴレド駅西口の反対側は再開発中 )
ロゴレド駅は、ランブラーテ駅から南に下った駅です。
何の変哲もない住宅街の端にあった、寂れたムードのロゴレド駅は、ミラノ中心部を、ほぼ東西に貫通するパッサンテ:Passante、という通勤新線の開通で、ひとっとびに大きな乗換駅に大出世。駅の東側では、ガラス張りのオフィス街や、洒落たマンション街を再開発中です。
ちょっとイメージがずれる部分はありますが、武蔵小杉みたいなポジションだと感じました。
7) 若くてムンムン、グレコ・ピレリ駅(グレコ・ピレッリ):Milano Greco Pirelli
グレコ・ピレリ駅は、ビコッカ大学最寄り駅なので、学生さんでいっぱいです。そのうえ、再開発の新しいマンション群が駅前にできて、若いファミリーも増えたので、駅の利用客は、ピチピチ、ムンムンの気配が濃厚です。
チェントラーレから北に一つ進んだ駅なので、普通の旅人とは全く無縁の駅でしょう。駅舎は平凡ですが、手入れが良く、堅実で飾らないが質の良い一般市民の暮らしぶりを体現しているかのようでした。
( グレコ・ピレリ駅舎はイタリアの鉄道駅の典型的な外観 )
( 学生や若い人が多いグレコ・ピレリ駅の朝の通勤通学風景 )
早春の朝の青空の下で、おしゃべりしながら通勤電車を待つ若いミラネーゼの姿に見とれていました。
2018年12月記 了