やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

スペインの高級住宅街

ゲチョという高級住宅街を歩く

ゲチョという高級住宅街を歩く   2023年1月記

ビルバオのアバンド駅近くの観光案内所に寄ったら、英語版のゲチョ市:Getxo の観光案内図もありました。ビスカヤ橋は当然として、対岸のポルトガレーテ市もいっしょにしたイラスト式の地図で、ホテル、お店案内が載っています。スマホ情報でも同様の情報が得られます。

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(ゲチョ:Getxo 観光案内図英語版)

日本でいうなら、芦屋とか田園調布の「お屋敷のある町の散策マップ」といった感じでしょう。地図上の①が海岸沿いのプロムナード(遊歩道)、①から②一帯が海辺の高級住宅街です。「知るとぞ知るお屋敷街」ではなく、ある程度知られた観光地のようです。

それでは、ビスカヤ橋あたりから街中を抜けてプロムナードに出てみましょう。海岸線に沿って、やや大回りにプロムナードだけをたどる方法もあります。
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(海岸より1歩入った場所を走る幹線道路。左の家並みが高級住宅街)

ビスカイバスも走っています。各路線1時間毎くらいですが、途中までは複数の系統が並行するので15分から30分おきくらいにバスが来ます。公共交通機関もきちんと整備するのは、欧州先進国共通の取り組みです。日本よりは確実に一歩先を行く施策だと思いました。

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(海辺の歩行者用プロムナード。背後がビスカヤ橋方面)

すがすがしい秋晴れのもと、歩くのも楽しいし、家並みも優れもので気分もよしです。
ただし、私の甲斐性では、ここには住めません。「ハアッ・・・・」

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(プロムナードからゲチョの高級住宅街と対岸のポルトガレーテ市街を望む)

ビスカヤやバスクの風景には、うねうねと続く緑の山並みが入ってくるので、日本人的には少しほっとします。バスク風景に親しみを感じるのは私だけなのでしょうか。

202209ゲチョ海岸の散歩道 (3)
(北上して超高級住宅が並ぶ一画を見る)

ビスカヤ橋から20分も歩くとゲチョ一番の豪壮な住宅地区が見えてきます。その先は、石灰石の岩がむき出しになった崖と緑地。崖を回って歩き続けると、ポルト・サーラ:Porto Zahra 地区を経て、アイセロータ:Aixerrota と呼ばれる風車のある公園につながります。
「いやー、スペインとは思えないデザインと緑あふれるお屋敷街ですねえ」
「観光客もほとんどいないし、静かで風光明媚。こんな場所があるんですねえ」
という感じです。

私のような異邦人が歩いていても、ジョギングなどをしている住人らしき人が怪しむ素振りはありません。知名度はイマイチながら観光地だからでしょう。

とにかく、平均的な日本人意識からかけ離れたゲチョの高級ムードを満喫しましょう。

続いての写真は、海岸通りと、超高級住宅街点景3点です。
202209ゲチョ海岸の散歩道 (2)
202209ゲチョ高級住宅街 (6)
202209ゲチョ高級住宅街 (2)
(高級住宅都市ゲチョの中でも高級なエリア風景)

このたびのゲチョ歩きの感想も「すごいですね」の一言に尽きました。






ゲチョのアイセロータの海風

ゲチョのアイセロータの海風


ビスカヤ橋右岸のゲチョ市:Getxo はビルバオ都市圏の衛星都市です。ニッポン人にとっての知名度はいまひとつですが、実は、スペイン屈指の高級住宅街のひとつです。

ビスカヤ橋観光の前後に時間を作り、是非、街中をふらついてみましょう。豊かなバスクの、さらなる奥の深さを感じます。家の値段を聞いて、さらなるバスクの奥の深さにため息がでます。

ビスカヤ橋右岸の遊歩道を海に向かって歩いて行くとビーチに出ます。遊歩道は、浜辺に沿って彼方の崖の方までずっと続いています。右手の公園には、ビルバオ港の繁栄をたたえる大きなモニュメントが建っています。

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( ゲチョのビーチの遊歩道 )

海には、ビルバオの新客船ターミナルが突き出し、明るい雰囲気のショッピングモールやヨットハーバーが並んでいます。もう、これだけでセレブな気分を感じます。

運がよいと、大型クルーズ船が停泊している場面に出会えます。実際は、ビーチで寝転ぶ美女の方に視線が移ります。

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( ビルバオ新旅客船ターミナルとヨットハーバー )

ヨットハーバー前から、海岸が湾曲するあたりにかけての一帯が、超高級住宅街です。豪邸というより、小さなお城のような邸宅がビーチに沿って連なっています。

こうした邸宅のオーナーは、イギリス系スペイン人がほとんど。19世紀末、イギリスからここにやってきて製鉄業や造船業で財を築いた経営者たちが、きれいな空気と広い場所を求めて、ゲチョに家を構えたのが始まりです。竣工当時は、成金趣味だったようなデザインも、築100年を超すと、風格が出てきています。

ビーチの裏側の幹線道路を走って、邸宅の数々を見ました。
「ほんとに、ここスペイン?」、という光景が広がっています。

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( ゲチョの幹線道路と海沿いの邸宅 )

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( ビーチを眺める高台にそびえる豪邸 )

海沿いに比べると、内陸側の住宅街は、超がつかない程度の高級住宅街です。どちらにせよ、私の財力では、手がとどかない物件ですが、お城ふうの家を見た後だと、何かほっとしました。

本当は、これでも、かなりの豪邸です。芦屋と田園調布のレベルを超えています。生活道路に至るまで電線は、まったく張り巡らされていません。道沿いに看板や標語がペタペタ張ってあることもありません。緑に囲まれた敷地のなかに、品のよい家が、静かに並んでいました。

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( ゲチョ内陸地区のバス通りと住宅街 )

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( ゲチョ住宅街の細い生活道路風景 )

内陸部の高級住宅1軒のお値段は、不動産会社のwebsiteで、おおまかな感覚はつかめます。税別で、最低200万ユーロ以上です。3億円弱です。海の見える物件は、最低でも350万ユーロくらいします。

「IT長者さま。是非、1軒購入し、社員も泊まらしてやってください”ゲチョに家があってね”、なんてセリフが出ると、絶対に、他人のあなたさまを見る目が変わります!」

個人宅には入れないので、同じ造りのガーデンレストラン「ヨラストキ」:Jolastoki、に入って、耳あか程度のセレブ気分を味わいました。(コロナ禍で閉店)

このあたりは高台なので、目をこらすと、ビスカヤ橋の頂上部が遠くに見えます。午後の熱気で、鉄塔がかげろうのように、ゆらゆらと揺れて見えました。

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( レストラン、ヨラストキの正面玄関への道 )

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( ビスカヤ橋は遠きにありて、かげろうのごとし )

ビーチ沿いに戻って先へ進みます。白っぽい石灰岩がむき出しの崖を回り込むと、昔の漁師町の雰囲気を残した一角に出ます。産業革命が始まるまでは、ゲチョは、小さな漁港だったことを思い出させる観光スポットです。

ポルト・サーラ:Portu Zaharra という地区です。
またまたウスケラ:Euskera  の単語です。カンの良い方は想像がつくと思いますが、”古い港”という意味です。ここまで足を伸ばす人は、バスク度が高めなので、ウスケラも頭ではなく、肌で感じるようになってきているはずです。

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( ポルト・サーラの岸壁 )

ポルト・サーラには、バル、レストラン、ブティック兼お土産屋さんが石畳の坂道に沿って並んでいます。近隣の人々が、夕暮れときや週末にぶらぶらするには、お手頃な場所です。ガイジンは、ほとんど見かけません。

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(ポルト・サーラという名前のバル。内部はレトロ調)

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(  雨上がりのポルト・サーラのバル&ブティック街 )

少なくない数の日本人旅行者が、ビスカヤ橋両岸のバルやレストラン体験をおすすめしています。是非、もっと足を伸ばして、ポルト・サーラ散策も検討ください。メトロや市バスでも来ることができます。本当は、品のよい芸能人でも来て絶賛してくれると、バスク人気がさらにアップするのですが、なかなかうまくいきませんね。

私に言わせれば、ちょっとくらい日本人が増えたって、人数的には、まだまだ、たかが知れています。ゲチョの雰囲気が壊れることはありません。肝心なことは、まず、バスクに来ることです!

ポルト・サーラを過ぎて、白い崖の先端の方まで来ました。

芝生の先に雑草が茂る、半分、野性的な公園です。アイセロータ:Aixerrota  という名前です。ウスケラで、”風車”、という意味です。昔ながらの風車が1基、ぽつんと残っていて、手ごろなランドマークになっています。

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( アイセロータ公園:Aixerrota /  Mirador Aixerrota )

風車に隣接して、クビータ:Cubita という名前の、高級レストラン兼バルがあります。 みんな「アイセロータのレストラン」と呼んでいるようです。少し洒落た服に着替え、彼女といっしょに夜景を見ながら夕食をすると、とてもさまになるお店です。(コロナ禍で閉店)

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( アイセロータのレストラン、クビータ )

アイセロータ公園一帯は住宅街なので、景色を見る人、子供を遊ばせる人が混在しています。

澄み切った青空に輝いている太陽も、傾き始めました。

「 夕陽待つ、ゲチョの海原、輝きて、バスクの山に、雲はたなびく」

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( 夕方近くのゲチョ対岸の眺め )

芝生にすわり、少しずつ影を濃くしていくゲチョの街並みや、バスクの山々を、しばしの間ぼうーっと眺めていました。
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( ゲチョの海沿いの住宅街。左奥の彼方がビルバオ )

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(ネルビオン河口と、対岸のサントゥルティ市街。その左がポルトガレーテ方向 )

ちょっと、近所の公園に散歩に来た気分です。海風に当たっていると、うとうとと眠くなる心地よい空間です。バスクの適度な湿り気、濃い緑、おだやかな気質の人々に囲まれていると、家だか旅先だか分からなくなります。

ゆっくりとたなびく雲を見ながら、腰をあげました。


2017/9観光 / 2018年2月記 / 2022年9月追記   了



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