やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

ガッレリア

スカラ座は眺めるだけかも

スカラ座は眺めるだけかも   2018年3月訪問


1)ミラノの定番その3

ガッレリアを歩いたあとは、たいてい、スカラ座:Teatro Scala の正面風景を見物します。豪華な劇場です。アーケードの中でUターンしたり、自由解散になってスカラ座にたどりつかないツアーはありません。初ミラノの個人客で、スカラ座前を見ないUターン組みも、ごく少数でしょう。

ガッレリアのアーケードを抜けた場所からスカラ座を見た光景は、多くの人々の記憶に、うっすらと残っていると思います。レオナルド・ダ・ヴィンチ像は、背中を向けているので、さらに印象に残りません。



DMスカラ座前とダヴィンチ像背面201803
( スカラ座広場とダ・ヴィンチ像の後ろ姿。2018年3月 )

広場を横切り、スカラ座正面入り口にやってきて、ガッレリアを振り返ってみましょう。朝な夕なに、レオナルド・ダ・ヴィンチ像が通行人をじっと見下ろしています。

200111初冬のミラノ スカラ座広場
( スカラ座前からガッレリアとダ・ヴィンチ像正面を見る。2001年12月 )

初冬の朝は、人通りもまばらで、ミラノの成熟した落ち着きを体感できます。じっくり、ゆっくり街歩きを楽しみたいものです。


2) スカラ座の四季

スカラ座は、派手さを抑えた端正な建物です。内部の大劇場のイメージと比較すると、外観は、そんなに大きく感じられません。

ミラノは、第二次世界大戦の空襲の被害が大きい都市でした。スカラ座も、ガッレリアともども大修復されたはずですが、外観はオリジナルに忠実だそうです。見た目でも200年以上経っているような感じがします。

四季折々のスカラ座正面の思い出に浸ります。しょっちゅう目にした割には、私も1回だけしか入ったことがありません。

早春のスカラ座は、起き抜けのような静けさで鎮座していました。

DMスカラ座正面201803 (3)
( スカラ座正面 2018年3月 )

初冬のスカラ座は、朝日を浴びて明るく輝いていました。今日も、張り切って舞台を切り回すぞ、という気力満々のオーラが伝わってきました。

200111初冬のミラノ スカラ座正面
( 冬の陽ざしを浴びるスカラ座。2001年12月 )

真夏のスカラ座は、明るい陽光の下で、少し黒ずんでいます。長年の排気ガスで汚れてくるのです。
「たまには洗ってくれよ」と、言いたげな雰囲気でした。

198808ミラノスカラ座 (2)
( 夏のスカラ座は日焼け気味。1988年8月 )

1980年代は、スカラ座前の広場も車道が広く、歩行者は肩身が狭かったでした。


3) スカラ座周辺の街並み

スカラ座広場を、ぐるりと見まわしてみましょう。市庁舎は市立美術館に改装され、ミラネーゼや市民の集まる観光名所化しつつあります。由来や修復レベルはさておき、重厚で堂々とした建物です。

DMスカラ座右市立ギャラリー201803
( スカラ座広場に開館した市立美術館 )

石造建築物の長所は、やはり街並みが100年単位で変わらないこと。人々に安定感を与えます。その一方、重々しい雰囲気なので圧迫感があったり、人生の軛(くびき)のように感じることもあるでしょう。

Mマンツォーニ通カブール方向201803
( スカラ座近くより見たマンツォーニ通り )

スカラ座を正面に見て、右折するとマンツォーニ通りです。あと300メートルくらい歩くと、お待ちかねの「モンテ・ナポレオーネ通り」との交差点に着きます。もう、気が急いてきます。

ですから、次は、スカラ座の脇を通りぬけて、ブレラ方面へ直行するような「ミラノぶらぶら歩き」をしようと思いました。


       2018年8月記                   了

少しずつ変わるガッレリア

少しずつ変わるガッレリア                           2018年3月訪問

1) 定番ミラノその2

ミラノの定番その2は、ガッレリアです。

ヴィットリオ・エマニュエーレ2世のガッレリア:Galleria Vittorio Emanuele Ⅱ、というのが正式な呼称ですが、長いので、普段は「ガッレリア」の一言で済ましています。

ドゥオーモの北隣りにあるので、ドゥオーモ観光に来ると99%足を伸ばします。ガッレリアの先にあるスカラ座の見物と合わせ、三位一体となったミラノ屈指の観光ポイントです。

ドゥオーモ広場から見えるガッレリアの、端正で左右対称な姿は記憶に残る風景です。

ガレリア正面風景201803
( ガッレリアのドゥオーモ広場口 )

ガッレリアは、1877年の完成以来、もう140年以上も、あまり変わらない姿で鎮座しています。正確には第二次世界大戦で大破し、戦後、もとどおりの姿に忠実に修復、再現したものです。

私は、30年以上前に初めてガッレリアを見ましたが、外観はおんなじ。その間に煤けた壁を洗ったので、いまの方が、ずうっと小ぎれいです。観光ブームになると収入もあがるので、名所旧跡もお洒落ができて一石二鳥です。

よく見ると、ドゥオーモ広場ヴィットリオ・エマニュエーレ2世の銅像周りは、かつて、芝生であったことが分かります。人が増え、イベントをひんぱんにするようになってから、芝生も石畳に様変わりしたようです。

198808ミラノガレリア前
( ガッレリア。1988年9月ごろ )

逆を言えば、新たに観光客を呼び込みたかったら、建物や街路を驚くほど小ぎれいにすることです。
観光客は、史実や現実を見に来るのではありません。「こうであってほしい」と思っているものを見にくるのです!

2)巨大な商店街

ガッレリアは、巨大なアーケード式のショッピングセンターです。実際にやってきて入口付近に立つと、かなり迫力があります。グーグルマップのストリートビューでは、決して味わえません。そのうえ、アーケード内に並んでいる有名店にも、本当に入れます。

ガッレリアの中にいると、当時の最先端を狙ったショッピングセンターを作ったミラノの意気込みを感じます。現代風に考えると、銀座交差点一帯を立体化して大きなドームで覆い、エスカレーターやブランドショップを縦横無尽に配した、超おしゃれなショッピングセンターを作った感じでしょう。


ガレリア前アップ201803
( ドゥオーモ脇から見るガッレリア )

ガッレリアの反対側出入口も、観光客には、十分に馴染みの風景です。スカラ座前から見ると、レオナルド・ダ・ヴィンチの銅像越しに、ガッレリアが見えます。ガイドさんにせかされていると、スカラ座方向ばかりに気を取られてしまいますが、ちょっと、振り返ってみたいものです。

「ミラノも人生も、振り返って見ると、意外な発見があるかも」
「あんまり、面白くない見映えですね」

ガレリアをスカラ座方向から見る201803
( スカラ座前から見るガッレリア )


3) ガラスとレリーフと有名店

ガッレリア名物のガラスのドームや、壁面、床面などは、140年来あまり変わっていないようです。各自、各様に素敵な空間を楽しみます。

ガレリア天井美201803
( ガッレリア名物のガラスのドーム )

陽が暮れると、明かりがともり、たくさんの人出とあいまって良いムードになります。ゆったりとしてセンスのよい大人のショッピング空間という雰囲気を感じました。

いつでも、どこでも、光のショーにはうっとりします。

ガレリア夕方のにぎわい201803 (1)
( 夕暮れのガッレリア中央通路 )

ガレリア夕方十字路付近201803
( ライトが映えるガッレリア中央付近 )

198808ミラノガレリア床面
( 30年前のガッレリア中央付近 )

ミラノに住んでいる人々は、四季折々のガッレリアを楽しんでいることと思います。美しい床のレリーフも、当局のこまめな修理のおかげで、ピカピカに保たれています。私は、クリスマスの飾りつけのあるガッレリア風景が印象に残っています。クリスマスのきらびやかな飾りつけで、冬の薄暗い気分が少し晴れます。

200111初冬のミラノ ガレリア人少ない (1)
( クリスマスの飾りつけのあるガッレリア。2001年12月 )


4) また来る日まで

ガッレリアのお店は少しずつ変わっています。ミラノ市が家賃を大幅に値上げしたときは、がらりと変わったようです。そう言えば、スカラ座に出るあたりにあった画商のお店も、なくなっていました。ガッレリアのテナントの変遷は、取りも直さず、ミラノが生きているということの証です。

30年前、100年前と変わらない店があり、変わらぬサービスがあることは、たまの訪問者に取っては嬉しい限りですが、都市が生き抜くためには、やっぱり、刻々と競い合い、最先端でありたいと努力する姿勢が不可欠です。

ガレリアのPRADA本店201803
( ガッレリア内のPRADA本店。ミラノでは新しいほうの有名店 )

例えば、2018年2月にガッレリアの十字路の一角に移転してきたレストラン兼バルの「CRACCO」(クラッコ)は、テレビで人気のシェフの直営店。ミラネーゼと世界中の人々の舌を、うならせています。

そのうち、我らがニッポン人のミラノ旅行記にも、しばしば登場するようになることでしょう。

ガレリア新装CRACCO201803
( 人気シェフの店CRACCO。2018年2月に移転してきて開店 )

そういう意味で、ミラノは、イタリアでは例外的なイメージの都市かも知れません。ルネサンスの遺品や遺産を、整然と並べている観光地とは、いつまでも一線を画していてほしいものです。

ガッレリアを見ていると、ミラノの実力を感じます。

「次に行ったときは、何が変わっているのかな」、と楽しみです。


                                      2018年7月記     了


ガッレリアのロンド

ガッレリアのロンド     2018年3月

1) ガッレリアの雄牛

ガレリア、あるいはガッレリア:Galleria こと、ヴィットリオ・エマニュエル2世のガレリアは、天井がものすごく高いガラス製のドームで覆われた商店街です。

ここの名物は、雄牛のキンタマ(雄牛の急所)のモザイクの上に乗っかり、靴のかかとを付けて3回転すること。幸運が舞い込む、とか、ミラノにもう一回来られる、とか、その効能には諸説があります。

雄牛のモザイクは、誰でもすぐに気づきます。人だかりがしているからです。

ガレリアの幸運の雄牛付近201803
( ガッレリア中央の床の雄牛の彫刻 )


2) 踊る阿呆に見る阿呆

あとは、恥ずかしがらずに3回転のロンドをするかどうか、です。
あさだ・まお様ではないので、3回転半ではなく、3回転です。

数人のグループでやってくると、群集心理が働いて、みんな3回転をします。
それを、微笑ましく見守り、写真を撮る仲間がいます。ミラネーゼも、にこにこしながら通り過ぎて行きます。

「踊る阿呆に、見る阿呆ですね」

ガレリアの幸運の雄牛と3回転201803
( ロンドの準備完了!さあ、いくわよ )

問題は、お一人様のときに、恥も外聞もなく、3回転ができるかどうか、です。

「理屈ばかりこねているけど、あんた、ちゃんとやったの?」
「もちろん。下の写真をごらんください」

5直ガレ牛回り始2018
( 私も3回転ロンド )

「あっ、ほんとだ。いい年こいて、ごちそうさま」
「えへへ。これでミラノに戻ってこられます」

ベルサーチのお店の前に立っている観光客の2人連れも、なにやら笑っています。

写真をよく見てください。前のお姉さんのときも、私のときも、同んなじ二人連れがいます。恥ずかしがって、雄牛の上に乗っかる度胸が、なかなかつかないのです。私を見て、「ほんと、日本人って恥知らずね」と、言っているわけではありません。

「ほら、アンジェラ。あんた、やったら。あんな、おじさんでも堂々とやっているよ」
「きゃー。でも、恥ずかしいわ。どうしよう」、という会話が聞こえてきそうです。

雄牛のキンタマ・ロンドは、無料、列なしの先着順、やったもん勝ちです。前の人が終わったタイミングを見計らって舞台中央に出た者勝ちです。


3)穴埋め修繕

ここで、数えきれないほどの人々が3回転をするので、当然、モザイクは少しづつ割れ、穴ができてしまいます。そのため、ミラノ市は、つい最近、モザイクと穴の修理をしました。その、おかげで、私が見た雄牛は、とてもきれいで色鮮やかでした。

これからミラノのガッレリアに行こうという皆さんは、いまがチャンスです。雄牛がきれいなうちに、是非、ガッレリアのロンドを踊ってください。写真など、周りの人に頼めば、すぐに撮ってくれます。

ここは、ミラノ新名所です。
その証拠に30年前に撮ったガッレリア中央の写真には、雄牛のモザイクを意識した節がありません。

198808ミラノガレリア床面
( ガッレリアの十字路の床。1988年8月ごろ )


                                                       2018年6月記    了

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