やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

イブラ

ラグーザ・スーペリオーレの急坂を登る

ラグーザ・スーペリオーレの急坂を登る    2018年9月訪問

ラグーザの旧市街は、イブラとスーペリオーレの2つの地区から成っています。ラグーザ観光に行こうとするような日本人の皆様に対しては、もう釈迦に説法です。

ラグーザイブラのイドゥリア教会の朝日Sep2018
( 朝日を浴びて輝くラグーザ・スーペリオーレ地区のイブラ寄り斜面)

ラグーザのガイドや旅行記では、スーペリオーレの方は「新市街」と説明していますが、実際に見ると、どう見たって旧市街のムードです。コンクリートのビルやガラス窓の大きな近現代建築が立ち並ぶ地区は別にあります。

たぶん、その原因は、スーペリオーレ地区が1693年の大地震以降開発された地区であることに由来しています。有史以来のイブラ地区に比べれば、「新しい」ことに間違いありませんが、ヨーロッパ観光のときに普通に言う、産業革命時以来広がった19世紀か20世紀風の『新市街』ではありません。

スーペリオーレは、イブラに増して小高い丘の斜面に発達したので、まっすぐな急坂だらけです。イブラから徒歩で上がってくると、「まだ、こんなに坂道が続くのおおおお!」というくらい、坂そして坂です。

201809ラグーザSPコルソイタリア昼急坂
( スーペリオーレのメイン・ストリート、コルソ・イタリアも急坂 )

メイン・ストリートのコルソ・イタリア通りなども写真のとおり、心臓破りの坂と言われかねない急傾斜です。
私も、他の観光客の方々と同じように、こうした坂道を行ったり来たりしました。9月の半ばでも日中は暑いので、もう汗だくです。

201809ラグーザSPコルソイタリア夕暮れ急坂
( 夕暮れのコルソ・イタリアと、はるか下にイブラが顔出し )

スーペリオーレは、計画的に建設された市街地なので、道路は碁盤の目状、建物も四角くすっきりとしています。それでも、やっぱり新市街という感じはしません。何事も、自分の目と耳で確かめて旅の風景や外観も綴る心がけをしたいものです。

「まあ、そんなことにこだわらない旅行者が、『新市街のスーペリオーレ』と書くことまで文句を言うつもりもありません。さまざまな感性で楽しく、ゆったりとラグーザ滞在を楽しんでいれば良いと思います。

201809ラグーザSPエッチェオーモ通の急坂風景
( メインより1本横のエッチェ・オーモ通りも急坂 )

丘の頂上とふもとを結ぶ道路は、どれもこれも急傾斜。それが観光客にとっては立体感いっぱいも風情ある景観を造り出す要因となっています。

「坂のある風景は、どこでも絵になりますもんね」

201809ラグーザSPエッチェオーモ教会と坂道 (2)
( 上の方に行くと急坂も和らぐエッチェ・オーモ通り )


201809ラグーザSPエッチェオーモ教会と坂道 (1)
( 夕闇迫るエッチェオーモ通りの風情 )

急な坂道の両側にはバロッコ様式の住宅が密集しています。坂の終端にそびえる大きな教会が、カトリックの国らしいランドマークとなっていました。

「まあ、その大きさほどには、カトリックの存在はイタリア人の心の中では大きくありませんけどね」

夕暮れ時の道で遊ぶ子供たちの屈託のない姿を記憶しつつ、ホテルへいったん引き上げます。


20120年11月記                                         了


圧巻のラグーザ・イブラを眺める

圧巻のラグーザ・イブラを眺める     2018年9月訪問

この場面こそ、ラグーザ観光随一の風景です。
201809ラグーザイブラ眺望陽光の下 (4)
( 陽光に輝くラグーザ・イブラの眺望 )

ラグーザ・イブラの最重要観光ポイントは、スーペリオーレ地区の斜面からイブラ全体を眺めることです。デリドリア教会:Chiesa dell'Idria の塔の青いタイル屋根を風景写真のアクセントとして入れると全体が引き立つようです。

絶景ポイントはサンタ・マリア・デッレ・スカーレ教会:Chiesa Santa Maria Delle Scale 前の小広場を代表例に、斜面を行き来する階段沿いに数か所あります。

どのアングルがお好みかは、一人一人の趣向によると思います。この眺望を見越して、斜面に建つ小ホテルやゲストハウスに泊まる旅行者も後を絶ちません。相対的に高い眺望の良い部屋を取って四六時中イブラの眺めを楽しむ方もいれば、ホテルの屋上や朝食の間のテラスから、独自のアングルでイブラ風景を目に焼き付ける方もいるようです。皆さんが十人十色のイブラの展望を満喫して帰路につければ万々歳ではないですか。

ラグーザ・イブラを目にしたときの圧巻は、写真ではなかなか表現できません。本物を見ると、写真よりも何十倍も奥行きと広がりがあることを実感します。朝昼晩と移り変わる日差しの変化や、建物の色合いによっても感じ方は変わります。たまたま、隣り合わせた見物人と、にっこり交わした笑顔や一言、二言によっても印象は変わるでしょう。ツアーで固まって歩きながら眺めず、自分たちだけで適当な距離感をおいて眺めるイブラ全景こそ、大切な場面のような気がしました。

まずは、明るい時間帯のイブラの眺望を楽しみます。

201809ラグーザイブラ眺望陽光の下 (2)
( ラグーザ・イブラ全体の眺望 )

三角屋根が印象に強く残るサンタ・マリア・デッラ・スカーレ教会脇からのイブラ風景も、多くの方々が絶賛するアングルです。

201809ラグーザイブラSスカーレ教会を入れて (2)
( サンタ・マリア・デッラ・スカーレ教会越しに見る夕暮れのイブラ全景 )
201809ラグーザイブラSスカーレ教会を入れて (1)
( サンタ・マリア・デッラ・スカーレ教会前の階段 )

スーペリオーレ側の斜面を少しずつ下りながら変わりゆくイブラの眺望を楽しみましょう。

201809ラグーザイブラSP間の急階段 (1)
( イブラ眺望を見るには急階段の上り下り )

階段や道の位置で、青い屋根のデリドリア(デリトリア)教会の見え方が上下左右に振れます。ドゥオーモは、イブラの丘の斜面に建っているので、見える場合もあれば、丘の頂上の大学の建物に隠れてしまう場合もあります。

201809ラグーザイブラ眺望陽光の下 (6)
( デリトリア教会とドゥオーモの塔が前後に並んで )
201809ラグーザイブラ眺望陽光の下 (5)
( 縦アングルにすると立体感も増すデリトリア教会 )

だんだんと坂の下に来ると、イブラのドゥオーモが視野の上部に動きます。
ラグーザイブラをディトリアより下って見るSep2018
( 少し見上げるアングルのイブラのドゥオーモ )

素人写真では、イブラがラクダのコブのような丘の上にあることが分かりにくいですね。

ラグーザイブラくびれ部デリトーリア教会Sep2018
( 小さなポポロ広場から見上げるデリトリア教会の青い塔 )

イブラとスーペリオーレの”くびれ”部からデリトリア教会を見上げました。この画面の右奥に、名所のひとつ「コゼンティーニ邸」があります。なんと、中に入るのを忘れてしまいました。個人客は、これだからたまりません。

デリトリア教会方向と正反対の側には時計塔が鎮座しています。

ラグーザイブラ時計塔昼間Sep2018
( イブラへの昇り口にある時計塔 )

時計が故障して、1日2回しか時刻合わせができないのは、イタリアというか地中海沿岸ではお約束の場面です。

「やっぱり、イブラの眺めは評判通り、すごかった」です。

2020年10月記   了

ラグーザ・イブラで墓参り

ラグーザ・イブラで墓参り    2018年9月


ラグーザ・イブラ観光中に、ちょっとだけ市営霊園に寄ってみました。糸杉の深い木立に囲まれた、すがすがしくもしんみりした空間でした。交通弱者のために、1日に2-3本、市営バスが迂回して市営霊園前経由となって立ち寄ります。私も、帰路は市営バスで街の中心部まで帰りました。

201809ラグーザイブラ霊園入口
( ラグーザ・イブラ市営霊園への入口)

海外旅行に行って、有名人の眠る墓地や都心部の墓地を訪れることはありますが、普通の街の普通の墓地はなかなか見学できないので、いい体験でした。ラグーザの人々の眠りを妨げないように、そおっと、そおっと、市営霊園の中を歩きました。

お墓参りにやってきた市民たちは遠目に変なガイジンがいるのを見て「何なんだろう」と思ったに違いありません。

201809ラグーザイブラ霊園正面
(  ラグーザ・イブラ市営霊園正面 )

どこの国でも霊園入口には花屋さんが陣取っているようです。きれいなお花が花立にあふれんばかりに売られていました。遠くから来た人、突然、思い付きで立ち寄ることにした人などが花を抱えてお店から出てきました。

「ちょっと間があいたから墓参りでも寄っていくか」という気持ちを感じることができて嬉しい気分でした。

201809ラグーザイブラ霊園大通り
( 霊園内の大通り。奥の方に祈祷所のような建物がある )

ここの霊園は、正門から奥に向かって真っすぐに伸びる糸杉の並木道の両側に個々の墓地が並ぶスタイル。宗教宗派は問わずの感じですし、キリスト教色が強く出ている感じもありません。けれども、実際のところは分からないというのが率直な感想です。

「ほら、あそこのお墓に来ている人たち、どうやら無宗教のようね」

と、一見、寛容そうな中年カップルが、キリスト教目線でひそひそ話をしているかも知れないのも、地方都市観光ならではの想像です。はずれていたら、ごめんなさい。

201809ラグーザイブラ霊園普通のお墓
( 普通のお墓 )

普通のお墓はいっぱいありました。花がそこかしこに生けられていて、けっこう色彩豊かな墓地風景です。最近のはやりは、故人の顔写真を墓誌に焼き付けることのようです。

201809ラグーザイブラ霊園一族合葬
( 先祖代々のお墓 )

次は、先祖代々のお墓のような大きめの墓地。ひとつの墓誌に何人もの埋葬者の名前が組み込んでありました。火葬した遺灰を収めるタイプの墓地かも知れません。普通の墓地に比べると、少しゆったり感が出ていました。

最後は、独立した霊廟のような建物の大きな墓地。世俗での財力を反映した威容を誇っていました。

「普通墓地の方々に比べれば、少しは足を伸ばして眠れるってもんですよ」という声が心の中に響いてきました。
天国では平等かも知れませんが、世俗のしきたりでは、やっぱり平等ではありませんね。

201809ラグーザイブラ霊園独立霊廟
( 立派な霊廟は富裕層の印か )

みなさま、どうかゆっくり安らかに眠ってください。合掌。

2020年10月記                               了

ラグーザの清楚なサン・ジュゼッペ教会

ラグーザの清楚なサン・ジュゼッペ教会  2018年9月訪問

サン・ジュゼッペ教会は、イブラのドゥオーモから東へ200-300メートル坂を下ったところにあります。外観はドゥオーモの弟分のような風貌です。ドゥオーモ同様、ロザリオ・ガリアルディ(1698-1762)という建築家の手による後期バロッコ様式の建物だからです。

ラグーザイブラのサンジュゼッペ朝の静寂
( 朝日を浴びて輝くサン・ジュゼッペ教会 )

けれども内陣は清楚で、白無垢の花嫁のような美しさです。

ラグーザイブラのサンジュゼッペ教会祭壇 (1)
( サン・ジュゼッペ教会の祭壇 )
ラグーザイブラのサンジュゼッペ教会祭壇 (2)
( サン・ジュゼッペ教会の天井見上げ)

クーポラの天井の内側も、真っ白で優雅です。深窓の令嬢が、ふんわりとしたドレス姿でそおっと人前に出てきたような感じがしました。

カトリック特有の派手できらびやかなインテリアのドゥオーモが好きか、こちらの清楚な美に心が動くかはお好みだと思います。どちらにせよ、最近、ていねいに修復して、ばっちりとお化粧直しをした感じです。これも世界遺産効果のひとつなのでしょう。

サン・ジュゼッペ教会前にはレストランやバル、お土産屋があるので夜遅くまでにぎわっています。写真とは裏腹に、けっこう大きなボリュームで音楽がかかっていたりしています。夜の静寂(しじま)に、ひっそりと建っている雅な教会のイメージではありません。

ラグーザイブラのサンジュゼッペ夜の前
(観光客や地元客でにぎわう夜のサン・ジュゼッペ教会付近)

人通りがあって活気が絶えないのは、ややもすれば衰退傾向になる地方都市ではよいことだと思いました。

2020年10月記                                   了

ラグーザ・イブラの夜のドゥオーモ

ラグーザ・イブラの夜のドゥオーモ   2018年9月訪問

ラグーザ(ラグーサ:Ragusa)は、夜に歩き回ってもおっかない雰囲気がない都市です。夕涼みを兼ねてイブラを中心に夜もぶらぶらしました。

昼も夜もイブラの中心は、ドゥオーモ前からイブレオ庭園にかけて緩やかな下り坂になっている通りです。9月になっても、バルやお土産屋さんも夜の11時、12時まで開いていました。多くの市民や観光客が、店先のテラスに陣取り、わいわいがやがやとおしゃべりを楽しんでしました。

ラグーザイブラドゥオーモ夜風景 (2)
( 夜のラグーザ・イブラのドゥオーモ広場 )

ラグーザイブラドゥオーモ広場の夜人出
( ドゥオーモ広場前のバルの賑わい )

そんな人々の存在なんか気にとめないような姿で、ドゥオーモは暗闇に少しばかりライトアップされながら悄然と建っていました。広場正面から、少しばかり横向きになっている分だけ、我が道を行く感、あるいは世俗には関係ないよ感が出ていました。

ラグーザイブラドゥオーモ夜風景 (1)
( 昼も夜も泰然自若としたドゥオーモ )

ドゥオーモの反対側に回ると、大きなクーポラが薄い青色にライトアップされていました。とっても幻想的な色合いです。
ラグーザイブラ聖堂クーポラ夜景Sep2018
( 薄い青色にライトアップされたクーポラ )

彼氏、彼女とそっと寄り添って、しばしの間、見とれていたい風景ですね。


2020年10月記                                    了

ラグーザ・イブラのドゥオーモのハッピー・ウェディング

ラグーザ・イブラのドゥオーモのハッピー・ウェディング   2018年9月訪問


私がラグーザ・イブラのドゥオーモを見物した夕方は、ちょうど結婚式の最中でした。


世界遺産の美しい教会で結婚式を挙げられるなんて恵まれていますね。
観光客からも祝福されて、ほんとに素晴らしいひとときでしょう。まあ、多少、うるさくて見知らぬ人たちがうろうろしているのが玉に傷かも知れません。でも、世界中の人たちからお祝いしてもらっていると思えば良いではありませんか。

ラグーザイブラドゥの結婚式
( 神父と新郎新婦 )

素敵な結婚式風景と、着飾った参列者のうっとりするような姿を眼に焼き付けました。

ラグーザイブラDuomo結婚式時内陣Sep2018
( 遠目に結婚式進行を眺める )

式が終わったので、再度、祭壇の方へ近づいてみると、手入れも良く整えられた祭壇が荘厳な美しさを放って鎮座していました。カネもかかっていますが、その分、非日常的な空間を演出していることも確かです。

ラグーザイブラDuomo祭壇儀式仕様Sep2018
( お祝い風に飾られた祭壇 )
ラグーザイブラDuomo内部式の後Sep2018
( 壁飾りも上品できれいなドゥオーモの内部 )

人生の節目となる儀式なのですから、思いっきり背伸びした荘重な結婚式を選ぶか、普段着の人柄をしのばせるような控えめで奥行きのある式を好むからカップルそれぞれの趣向で決めればよいでしょう。

ラグーザドゥオーモ新郎新婦出迎え準備
(  ドゥオーモ前では新郎新婦を出迎える準備中 )

もうすぐ式が終わり、新郎新婦がドゥオーモ前の大階段に姿を現します。王族や豪族と同じく、大階段前にすくっと立つお二人の前に、いろいろな記念のイラストを見せる趣向のようです。晴れ着姿のお姉さんや子供たちが楽しそうにハートマークを書いたり、写真を広げたりしていました。

ラグーザイブラDuomo結婚式掲載用Sep2018
( 新郎新婦を囲んでお祝いムードはピーク )

薄暮のドゥオーモ前に新郎新婦が姿を現すと、みんなで思い思いに撮影タイムです。老いも若きも笑顔で結婚式に集まった喜びを表現。派手に着飾っていない方々が多い印象でしたが、若いお姉さんの服のセンスが良い感じ。映画ゴッドファーザーのような、飛び切りの晴れ姿ばかりの結婚式より、ずっと親しみのあるウェディング風景だったような気がしました。

あらためて、「ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに」

2020年9月記                        了



ラグーザ・イブラのドゥオーモ正々堂々

ラグーザ・イブラのドゥオーモ正々堂々   2018年9月訪問

今回のシチリア島東部の旅の二大目的地のひとつであったラグーザ(Ragusa:ラグーサ)・イブラのドゥオーモを夕な朝なに間近に眺めました。東向きに建っているお堂なので、朝が順光、午後は逆光です。

ラグーザイブラDuomo予備Sep2018
( 広場の奥にイブラのドゥオーモが見えてきた )

地図を見ながら、ドゥオーモの建つ広場に近づいていくと、やや上の方に、少し、あっちの方を向いてそびえているドゥオーモが、でーんと視界に入ってきました。

「うーーーん」と、思わず唸ってしまいました。
「はるばる、遠くへ来たもんだ・・・・・・・」

ラグーザイブラドゥオ逆行
( 夕方のドゥオーモは影も濃く )

午後6時過ぎドゥオーモは、西日を斜め後ろにしているので、暗い影を落としていました。

ラグーザイブラDuomo夕暮れSep2018
( 夕暮れのドゥオーモを見上げる )

ドゥオーモは、ロザリオ・ガリアルディ(1698-1762)という建築家の設計です。この方は、近隣の諸都市でいくつもの教会を設計しています。すぐ近くのサン・ジュゼッペ教会やモディカのドゥオーモなどを私も見ましたが、どの教会も雰囲気が似ています。ラグーザやモディカ一帯が、ひとくくりにされて世界遺産に登録された背景もよく理解できました。

「なーるほど、1693年の大地震のあとで、一斉に似たような雰囲気の都市再建をしたからこその『ヴァル・ディ・ノートの後期バロッコの諸都市』なんだな」

ラグーザイブラのドゥオーモ遠景
( まぶしいくらいの朝のイブラのドゥオーモ広場 )

イブラのドゥオーモは、やや斜め方向に建っていることが特色です。真正面を向いた他の教会とは違った美しさが出ています。

「私は、ちょっと横向きがセクシーなのよ。そういう風に撮ってね」と、しなを作っているモデルさんに見たいな感じがしました。張りぼて状の3層の正面背後に、はにかむように半身を表しているクーポラが独特の雰囲気を醸し出していました。

翌朝、順光のドゥオーモ詣をしました。
ラグーザイブラDuomo順光Sep2018
( 朝日に輝くイブラのドゥオーモ正面 )
ラグーザイブラドゥオーモ朝のクーポラ他
( ドゥオーモの張りぼて正面と背後の塔)

朝9時前は、空気もすっきりしているので、ドゥオーモの姿もはっきりと映っていました。強い光に輝くベージュ色の街並みとドゥオーモの姿は、観光客の視線を惹きつけて止みません。

路地のあちこちから顔を出すドゥオーモの上半身から目が離せませんでした。

ラグーザイブラDuomoクーポラの見える道Sep2018
( ドゥオーモのクーポラを背後の路地から見る )

イブラの広めの路地からドゥオーモのクーポラを見上げる構図は、たくさんの人が投稿しています。空の青さを映してそびえる丸い塔の透き通るような感じが、とても魅力的です。振り向きざま、自分の真正面にクーポラが見えるとき、「あっ、ここがイブラの昔ながらの風景なんだな」という気分が湧いてきました。

ラグーザイブラドゥオーモの塔内見上げ
( 内側から見上げたドゥオーモ)

ちなみに、ドゥオーモの内部に入ってクーポラを見上げても、あんまり美しくありません。青空や夜のライトアップこそクーポラは魅力的な輝きを放つみたいです。

2020年9月記                       了


ラグーザ・イブラを横から眺めて

ラグーザ・イブラを横から眺めて   2018年9月訪問


世界遺産「ヴァル・ディ・ノートの後期バロックの街々」のひとつ、ラグーザ:Ragusa (ラグーサ)の観光の中心は、イブラ:Ibla と言われている地区です。二手に分かれた 旧市街のうち、古い部分の方です。新しい方は、スーペリオーレ:Superipore と呼ばれています。

ラグーザ観光では、ラクダの背中のようなコブ状の丘の上に、べったりくっつくように広がるイブラのベージュ色の市街地を散策するのが定番です。そして、ラクダの首の部分にあたる見晴らしのよい場所からイブラの全景を眺めると、最低限ラグーザ観光をしたことになるようです。所要時間は3時間程度です。

ラグーザSスカーレ下からイブラ展望Sep2018
( ラグーザ・イブラを眺めるときの典型的なアングル)

日帰り観光で、ラグーザやノートなどの世界遺産の諸都市をめぐる方々は、上の写真のようなパノラマ風景を堪能して帰ります。視界の斜め下に大きく広がるイブラの立体的で色合いの整った街並みは息をのむくらい美しいです。

このコースですと、残念ながら、イブラを横から見ることはかないません。夜景も楽しめません。それでも、イブラの美しいドゥオーモや広場を目にし、お土産屋やアイスクリーム屋さんをめぐるだけでも十分に楽しいと思います。

私のように、映画のロケ場面と同じ方向からイブラを眺めたいとか、路線バスに乗ったら、偶然にもイブラ市街を横から幾度も見られたなんていうのはマイナーなのです。

大多数の旅行記や、イブラ紹介文には載らない角度から、世界遺産の市街地風景を見てみました。ふたコブらくだを横から眺めた感じです。

ラグーザイブラ東イブレイ方向を対面からSep2018
( 遠目に見たラグーザ・イブラの市街側面 )

西に傾きかけた太陽に当たったイブラは、磨かれたように輝いていました。

201809夕方のラグーザイブラ南面 (2)
(  市内循環バスから見たイブラ市街と、くびれ部分 )
201809夕方のラグーザイブラ南面 (3)
( 市内循環バスから見えた夕方近くのイブラのドゥオーモ )

肉眼で見ると、意外と遠目にみている感じですが、ラクダのコブの上に建物がびっしり立っている様が瞬時に分かります。斜面から張り出すように立っている家々、丘のてっぺんにある大学の大きな建物、丘の中腹にひときわ高くそびえているドゥオーモなどが、立体的に並んでいました。市街地を取り囲む谷も深く、ごつごつしているので、余計に立体感あふれるイブラのパノラマです。

「けっこうV字形に切り込んでいる深い谷間なんだあ」と、私もちょっとびっくり。

「きれいな風景見たさに、あそこを行ったり来たりできるんだろうか」と、ちょっと不安になってしまいました。
結果論では、「できた」となりました。

次の日の朝も、谷の反対側に行ってみました。
201809朝のラグーザイブラ南面 (2)
( 朝ぼらけのイブラのドゥオーモの横顔 )
201809ラグーザイブラのドゥオーモ真横眺望
(ほぼ真横から見たラグーザ・イブラのドゥオーモ)

だんだんと太陽が高くなると、朝日を正面に浴びたイブラのドゥオーモが、にょきっと立っているような光景が目に入りました。日差しがあると、建物の明暗がくっきりする分、高低差を感じることができました。

201809ラグーザイブラ北面を遠望
( 別の市内バスに乗るとイブラの北面が遠目に見えた )

そのあとで乗った別系統の路線バスからは、イブラの反対側の斜面を眺めることができました。かなりの角度がある斜面の中腹に建っているイブラのドゥオーモは、どの方角から見ても目立つ存在でした。深い谷に取り囲まれて防御が固いイブラの立地が良くわかりました。

遠路はるばる旅をして、いろいろなラグーザの街並みを見られて良かったです。

2020年9月記


カテゴリー
  • ライブドアブログ