やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

グラントリアノンとプチトリアノン

ピンク色のグラントリアノンは熟女のように

ピンク色のグラントリアノンは熟女のように   2019年4月訪問

歩け歩けで、やっと見えてきました「グラントリアノン:Grand Trianon」。美しい薄ピンク色の大理石建築が魅力です。
VersaillesGrandTrianon301遠望
( グラントリアノン正面を遠くに見る )

プチトリアノンと隣り合わせの離宮ですが、双方の間は徒歩5分くらいかかります。
「長屋のお隣さんじゃないんだから、当ったり前でしょうが!」

二つのトリアノンを一言で形容すると、「熟女の魅力グラントリアノン、かわいいプチトリアノン」、と言った感じです。
「こう表現してしまうと、今の日本人には『プチトリアノン』が向いているのでしょうかねえ」

VersaillesGrandTrianon302ピンクの正面
VersaillesGrandTrianon303金色の門
( グラントリアノン正面2景 )

VersaillesGrandTrianon321内側から正門とDragon噴水遠望
Gトリアノン 夕陽に金の門飾りが反射198609
( グラントリアノン正門の金色の飾り )

VersaillesGrandTrianon303E中庭
( ピンク色の大理石がトレードマークのグラントリアノン」

VersaillesGrandTrianon303D入場通路
( 入館口付近の歴史解説板 )

17世紀末に完成したグラントリアノンの歴史を簡単に言うと、

ルイ14世の公式寵姫で極秘の正妻と言われたマントノン夫人の住居 → しばらく王族等の住まい → 皇帝ナポレオンと皇后の住まい → 国王ルイ・フィリップの住まい → フランス政府の国賓接待館  → ドゴール大統領の執務室 → カルロス・ゴーン氏の結婚披露宴会場 → 現在に至る

でしょう。

いろいろな国王、皇帝が住み、いまでも国賓の接待や、大金持ちのパーティーなどに使われている現役の宮殿なので、内装もバラエティに富んでいます。特に、観光用にインテリアを修復した南ウィングは、部屋ごとに縁の深い方々のイメージを出しています。青系統あり、赤系統ありです。

スマホや本のガイドを見ながら、往時の皇帝や大統領たちの息遣いを感じたいです。
VersaillesGrandTrianon304鏡のサロン
( 鏡のサロン )
VersaillesGrandTrianon305Aナポレオン皇后の寝室全景
VersaillesGrandTrianon305Bナポレオンの皇后の寝室
( ナポレオンの皇后マリー・ルイーズの寝室 )

VersaillesGrandTrianon306a礼拝の間
( 礼拝の間 )
VersaillesGrandTrianon306b諸侯の間
( 諸侯の間 )

南北のウィングの間にある回廊は、グラントリアノンで一番美しい空間です。抑制の効いたピンク色の大理石の列柱と、緑あふれる庭園を目にして、世俗のつらい日々をいっとき忘れ、王朝ムードにひたりました。
VersaillesGrandTrianon307中央くびれ
( 美しいピンクの大理石の回廊 )

それが高じて、「自分もグラントリアノンの主になりたい」と、カルロス・ゴーン氏は思ったのかも知れません。ゴーン夫妻は、結婚披露宴を、北ウィングの大広間「コテルの回廊:Galerie de Cotelle 」で行ないました。絶頂期のお姿は、utube などでご覧になれます。

要は、あなたでも込み込みで2000-5000万円くらいかければ、グラントリアノンで豪華絢爛なパーティができるのです。

PRのためか、皆さん「グラントリアノン」とは言わずに、「『ベルサイユ宮殿』でパーティをした」、と表現するようです。
VersaillesGrandTrianon310北のコテル回廊198403
( コテルの大広間(回廊)。ゴーン氏の結婚披露宴会場 )

「コテルの間」がある北ウィングも、みやびで、きらびやかな雰囲気の部屋が続いています。

2019年に訪問したときは、なぜか北ウィングは閉鎖。貸切行事があるのか、職員不足で開館できないのか定かではありませんでした。ですから、ピンク色の回廊を見たあとは、庭園を散歩し、お土産屋さんに寄っておしまい。各部屋の昔の写真もなく、記憶を呼び起こすしかありません。

こうしてトリアノンに来てみると、ベルサイユ宮殿本館は、国家の権威を表し、離宮は、王や王妃の心の中を表していたのかも知れません。月並みな表現に、少し自己嫌悪に陥りました。
VersaillesGrandTrianon309B水辺のいやし
( 庭園よりコテルの間のウィングを見る )
VersaillesGrandTrianon308北ウィング
VersaillesGrandTrianon311夕陽の庭園198609
( 昼下がりと、夕陽に映える北ウィング )

ピンク色の離宮の前に広がるフランス式庭園は、とても安らぐ造りです。また、夕暮れに映える建物もきれいです。大勢の見物客が、グラントリアノンのさまざまな風景を描写しています。どれもこれも素敵な体験談です。
VersaillesGrandTrianon322A庭園を眺める
VersaillesGrandTrianon322B庭園の緑
( 緑が目にしみるグラントリアノンのフランス式庭園 )
VersaillesGrandTrianon323Bグランカナルのはじ
VersaillesGrandTrianon323Aグランカナル北端
( グラントリアノンの庭から見た昼下がりのグランカナル )

回廊の階段に腰掛け、しばらく緑の木々や下段を見つめていると、早春の昼下がりの微風が頬を横切っていきました。みんな、静かにピンク色の柱に寄りかかったり、市松模様の床に腰を下ろしてひと休み。

さあ、よっこらしょ、と腰をあげましょう。

2019年10月記                                   了









プチトリアノンの愛の殿堂と展望台と洞窟にて

プチトリアノンの愛の殿堂と展望台と洞窟にて     2019年4月訪問


離宮の建物を出て、広大なイギリス式庭園を歩き回ります。中途半端な広さではありません。

水の流れに沿って小径を進み、「愛の殿堂:Temple d'Amour = Temple of Love」という、丸い東屋を目指しました。離宮の建物から目に入るので、「次に目指すはここ」という気持ちになるのです。
VersaillesPetit Trianon422振り返り本館
( 「愛の殿堂」へ向かう小径からプチトリアノン本館を望む )

VersaillesPetit Trianon421愛の殿堂
VersaillesPetit Trianon421bTempleDamour
( 「愛の殿堂」に近づく )

愛の殿堂は、人工の小川の中洲に建っています。周囲からも丸見えです。もちろん、誰もいなければ、逢引きにはもってこいの優雅なムードが漂っています。

VersaillesPetit Trianon421cPontTempleDamour
( 小川の橋を渡って「愛の殿堂」へ入る )

そばに来ると、意外と大きな造りです。柱から柱へと、他愛もない、鬼ごっこができるくらいです。

VersaillesPetit Trianon423愛の殿堂内部キューピッド
( ギリシャ神殿風の「愛の殿堂」の内部 )

吹きさらしなので、寒い季節や雨の日は、二人だけで逢っても興ざめしそうです。

「愛の殿堂」の雰囲気を、みんなで確かめたら、再び緑の野原を彷徨します。遠目に、庭園の目玉「王妃の館」が見えています。ベルばら派の観光客は、もう興奮しっぱなし。足の疲れなど吹っ飛んだ様子で、小径をせかせかと進みました。
VersaillesPetit Trianon431遠くにアモー見えて
( 遠目に「王妃の館」を見て原っぱを歩く )

「ちょっと待った」、で人の気配のする方角に曲がり、早春の花を愛でながら奥を覗くと、庭園内の第3のポイントがありました。
VersaillesPetit Trianon428 (61)
( 中国風イギリス式庭園。Jardin Anglais-Chinoise )

大きめの池に沿って造られた人工の丘に建つ「ベルベデール:Le Belve*de*re 」こと、「展望台」と、人工の岩山の間に逢引きの窪みがある、「グロット:Grotte (洞窟)」です。 ( * e の上にアクセント記号あり)
VersaillesPetit Trianonベルベデーレと岩山密会場
( ベルベデール(右)と、洞窟のある岩山(左))

VersaillesPetit Trianon密会の洞窟
( 岩山近景 )

行きそびれましたが、もうひとつの岩の上に、通称「恋人たちの洞窟」と呼ばれる穴倉状の窪みがあるようです。
”プチトリアノン、急いては事を仕損じる” と、またまた、やってしまいました。

VersaillesPetit Trianon445ベルベデーレ内部見透かす
( ベルベデールの東屋の内部。入館不可 )

夏の夕暮れ、恋人と手をつないで、この東屋に入り、長いながあいキスのあと、二人で踊りましょう。月明かりに、ほのかに照らされた恋人の姿は、この世のものとは思えないくらい典雅でしょう。ずうっと、こんな時間が続きますように。私の足は輪を描き、腰は彼の腕の中に沈みます。

「コンコンコン・・・・」
「お客さま、閉門の時間ですよ」

「あっ、『王妃の劇場』を見に行くの忘れた」
「があーん。また、今度行くしかありませんね」

うっかりの多かったプチトリアノン観光でした。


2019年9月記                        了


プチトリアノンのアモー。マリー・アントワネットの田舎ごっこ

プチトリアノンのアモー。マリー・アントワネットの田舎ごっこ   2019年4月訪問


最近のマリー・アントワネットブームにより、注目度も高くなったプチトリアノン。

アモー:Hameau の中心となる建物、王妃の家(館):La Maison de la Reine は、離宮の本館以上に見落とせないポイントです。

他の見物客が、ぶらぶらと進む方角に付いて行くと、目線の先、木々の間越しに、大きな池と、ひなびた風情の数軒の建物が見えてきます。それが、アモーです。意味は、「村の風景」です。ガイドブックなどでは「王妃の村里」と訳してあります。
VersaillesPetit Trianon428 (38)
( アモーの中心、王妃の家の全景 )

アモーの英訳は、ハムレット:Hamlet。目からウロコです。

シェークスピアの有名な悲劇「ハムレット」は、主人公の名前だと思っていましたが、どうやらニックネームのようです。無理に和訳すると「田舎王子の悲劇」って感じかも知れません。少し興ざめです。シェークスピアご本人からすれば、「あか抜けない純情一筋の王子の切ない、そして、少しダサイ悲劇」、というニュアンスを伝えたかったのかも知れません。

そういうことは、あまり深く考えないで、アモーの中にずんずんと歩いて行きましょう。ベルサイユは、広いので、いちいち哲学的になっていたら、すぐに閉館時間になってしまいます。

アモーの中心である「王妃の家」に着きました。
VersaillesPetit Trianon433アモー王妃の家近景
( 「王妃の家」の近景 )
VersaillesPetit Trianon434アモー王妃の家と隣家
( 「王妃の家」の端にある、螺旋(らせん)階段 )

「何これ、ひなびた田舎家のどこが見どころ?」
「わああ、マリー・アントワネットの、お気に入りの館に、とうとう着いたあ!」

皆さん、ひとりひとりの思いが心をよぎることでしょう。
私は、「これが、うわさに聞いたアモーの『王妃の家』かあ。お気楽な王妃の遺物を見られて感慨深けだなあ」
と思いました。

内部は、外観からは想像もつかないような優雅で凝った造りのようです。

http://en.chateauversailles.fr/long-read/queens-house
ベルサイユ宮殿公式サイトでは、王妃の家の内部を画像つきで解説しています。

この建物は、いわゆる「自由見学不可の一般公開エリア」です。2018年5月から、「王妃の家」の内部見学を含む宮殿主催のガイドツアーもできました。催行日時は、公式サイトのフランス語の各種キップ、予約のページで確認できます。今のところ、英語や日本語の一般向けガイドツアーはありません。

2019年9月現在、ガイドツアーの追加料金は1人10ユーロです。ベルサイユのパスポート券や、トリアノンの単独入場券が別途必要です。

今回は、内部見学はパス。次回は、是非、ガイドツアーに参加したいのですが、もう1度、ベルサイユに来られるでしょうか。シニアトラベラーなので、心配も常人以上です。

「王妃の家」や、その周囲の田舎家をざっと見てみました。

まず、「王妃の家」の、らせん階段の裏側です。遠目に見えるのは、水車小屋風の建物です。
VersaillesPetit Trianon435アモーらせん階段裏
VersaillesPetit Trianon王妃の家の裏から
( 「王妃の家」の裏手 )

「王妃の家」の池と反対側の裏手は、いわゆる台所見合いの家。「配膳の家」のような呼称です。
VersaillesPetit Trianon428 (42)
( 食事を作る建物と、「王妃の館」の渡り廊下の裏 )

「王妃の家」と並んで、池沿いに目だっているのが、「マールボロの塔」という釣殿です。
VersaillesPetit Trianon428 (48)
( 「王妃の家」付近から見た「マールボロの塔」 )
VersaillesPetit Trianon428 (50)
( 「マールボロの塔」付近から見た「王妃の家」 )
VersaillesPetit Trianon436池をはさんでアモー
( 池の向こうに「王妃の家」、「見張り小屋」、「水車小屋」 )
VersaillesPetit Trianon428 (57)
( 「マールボロの塔」も入れて、「王妃の家」一帯を見渡す )

池の水は、透明ではありません。流れがないので、濁り気味ですが、魚やアヒルはいます。紅白のニシキゴイはいません。

池全体を見渡せる位置まで来ると、「王妃の家」を中心に、田舎家が何気なく並んでいるのが分かります。計算された田舎ごっこの究極の絵巻、です。

「いいね」、「なんだこりゃ」、のどちらもありでしょう。もう、歴史の結果は出ているので、観光客としてはアモーの人工の農村風景の美を楽しむのが最適だと感じました。私としては、無常観が漂った光景です。

建築費も、維持管理費も、眼の玉が飛び出るくらいであったことも想像できます。もちろん、マリー・アントワネット擁護派の主張のように、「当時の超巨額な国家債務の金額に比べれば、50-100億円程度など、たかが知れている」のでしょうが、節約可能だった出費であることも事実でしょう。

「でも、いいなあ。こういう暮らし好き」

「マールボロの塔」を過ぎると、田舎風景を管理していたスタッフたちの家が近づいてきます。牧草地あり、家畜あり、ブドウ畑ありのミニ農村です。
VersaillesPetit Trianon438マルボロー塔と黒ヤギ
VersaillesPetit Trianon441ブドウ畑と疑似農家
VersaillesPetit Trianon442疑似農家と家禽たち
( アモーの田舎風景を管理していたスタッフたちの建物 )

池越しに、アモーの主役「王妃の家」の全景を、もう一度、眼に焼き付けて歩みを進めました。
VersaillesPetit Trianon王妃の家アップ
( アモーの「王妃の家」を目に焼き付けて )

快晴の青空、秋の黄葉、雪景色、そして嵐の夕暮れ、など、季節ごとに美しく、そして儚く(はかなく)佇むアモーを想って。

2019年9月記                        了




マリーアントワネットの領域、プチトリアノン離宮

マリーアントワネットの領域、プチトリアノン離宮    2019年4月訪問

ベルサイユの庭園の奥には、2つの離宮があります。グラン・トリアノン:Le Grand Trianon  と、プチ・トリアノン:Le Petit Trianon ( プティ・トリアノン) です。

ベルサイユ見物客の1割にも満たない人しかトリアノンまで行きません。時間に押されるのと、疲れ果ててしまうからです。

けれども、少しでも「ベルばら」に興味があるならば、プチトリアノンだけでも見学することを、是非、おすすめします。アモーと呼ばれる疑似田園風景の中にたたずむメルヘンチックな建物や、「これじゃあ革命になるわ」、という浮世離れした光景が、目の前に飛び込んでくるからです。「オスカル様のお怒り、ごもっともですわねえ」、となるかも知れません。
VersaillesPetit Trianon401森の長い道15分
( トリアノンへ通じる長い道のり風景 )
VersaillesPetit Trianon402aやっと見えてきた 
( やっと見えてきたプチ・トリアノン正面 )

トリアノンは、ベルサイユ宮殿から2kmくらい離れています。大運河前のアポロンの(戦車の)噴水から、少し早足で歩くこと10分ほどでグラン・トリアノンとプチ・トリアノンの分岐点に着きます。両トリアノンまでは、そこから、さらに5分くらいかかります。行く手の彼方に宮殿風の建物が見えてきますが、なかなか近づきません。

歩くのが苦手な方で、多少の出費はいとわないならば、宮殿そばの「水辺の花壇」の北側付近から、SL風のプチトランという電動カートが出ています。2019年4月現在、1日券は大人1人8ユーロです。ルートは一筆書きで、宮殿前を出て、グランカナル脇、グラントリアノン、プチトリアノンを回り、宮殿前に帰ってきます。

やっと、プチトリアノンの離宮前に到着しました。正面が本館で左側の付属棟から入館します。
見どころは、建物内部と、アモーを含む右奥に広がる広大なイギリス式庭園です。
VersaillesPetit Trianon402宮殿正面
( プチトリアノン離宮正面。いわゆるマリー・アントワネットの領域 )
VersaillesPetit Trianon403見学入口
( プチトリアノン通用門は、今は見学者入口 )
VersaillesPetit Trianon404中庭
( 離宮左の中庭。左に進むと礼拝堂 )

プチトリアノンは、通称「マリー・アントワネットの領域(館):Domaine de Marie-Antoinette」と言うように、今ではマリー・アントワネットのイメージ一色です。もともとは、ルイ15世の寵姫ポンパドール夫人のために建てられたということですが、ご本人が完成前に逝去したこともあり、プチトリアノン=マリー・アントワネットという図式です。

分かりやすくていいですね。

そのためか、マリー・アントワネットの人気が上昇するまでは、一般公開エリアながら半ば打ち捨てられていたようです。

そんな歴史を思い出しながら、離宮の建物へ入りました。1階が玄関、台所、衛兵の控室、2階が住居です。
VersaillesPetit Trianon405宮殿1階ホール
( 1階階段室を、まずは奥へ進んでひとまわり )

まず、1階の階段裏の部屋を一回り。少し、あせっていたせいで、本館向かって左の礼拝堂を見学し忘れました。「あっ、しまった」ですが、ベルばらファンながらベルサイユ初体験のマダムは、そんなこと、お構いなしにずんずん先に進みました。
VersaillesPetit Trianon405台所配膳室
( 主に台所の役目をした召使たちのたまり場 )

1階をさらりと一周したあとは、階段を使って2階に上がりました。
VersaillesPetit Trianon406メイン階段で2階
( きらびやかさを抑制気味の優美な階段室 )

金色の装飾も、宮殿本体に比べると落ち着いた感じ。ほんのりうすいベージュ色の壁もエレガントでした。

階段を上がり切って、すぐ右の部屋の壁に、マリー・アントワネットの有名な肖像画が掛けてあります。お気楽マダムそのものの雰囲気が、よく出ている絵です。ご本人も気に入っていたという話です。
VersaillesPetit Trianon408控室
( 階段室右の控えの間と、マリー・アントワネットの有名な肖像画 )

窓の外には、グラントリアノン方面へ通じるフランス式庭園が雨にむせぶっていました。正面の建物は、「フランス館」という名前の東屋です。濡れるのがいやだったので、そこまで歩いていかずにパス。

VersaillesPetit Trianon407窓越しに仏庭園とフランス館方向
( 大広間付近から「フランス館」という東屋を望む )

つづいて大広間。私的なパーティ会場用の部屋とのこと。柔らかい感じのインテリアが目に焼き付きました。
VersaillesPetit Trianon409居間
( 一番大きな部屋は私事パーティ用の広間兼用 )

次は居間、サロンです。マリー・アントワネットが、子供たち、あるいは気の置けない友人たちと過ごした空間です。赤が基調色なので、華やかなイメージです。
VersaillesPetit Trianon410お供の間
( 娯楽室は赤基調で華やか )

その先が、白地にうすい水色を配した小食堂。鏡で窓を隠せば、写真のように外からのぞかれないようになっています。

マリー・アントワネットが、不倫相手のフェルゼン伯爵と食事をしたのもここ、という風説がいっぱいありますが、本当のところはどうなのでしょう。こういうレベルの男女関係の話は、事実と噂が混同しがちです。

ベルばらの世界に浸る限り、そんなことはどうでもよいので、皆さんのイメージのままに感じましょう。
VersaillesPetit Trianon411ゲーム室
( 移動壁で窓を隠せる食事の間 )

いずれにせよ、マリー・アントワネットが恋人を密かに招き入れて「二人だけ」で食事をするなんてあり得ないことは確か。口外無用の誓いをした召使たちは、どう思っていたのでしょうね。

離宮2階の角部屋は、マリー・アントワネットの寝室です。子供たちを連れてきたときは、彼らはどこに寝たのでしょうね。
VersaillesPetit Trianon412西端の寝室
( マリー・アントワネットの寝室 )

当時のベッドは、どこでも寸詰まり。枕をいっぱい背中にあてて、半分、寄っかかるような姿勢で寝ていたので、こういうサイズで十分だったようです。

現代の私たちからすると、あんまり、くつろげない寝姿ですが、当時はそれで安眠できたのでしょう。また、2人で愛を語るときも、そんな姿勢のままだったということなのでしょうか。

いつも言うように、観光は「見物客が見たいように見せる」という側面があるので、真偽のほどは専門書などを理解しないといけませんね。

寝室を見学して、ぐるりと向きを変えると、部屋の裏側にトイレと浴室がありました。マリー・アントワネットがいたころから30年ほど後の、革命後の仕様だそうですが、なかなか立派な造りです。トイレの壁を隔てた場所には、浴槽が置いてあり、入浴時には女官たちが壺に入れたお湯をざあーーと流し込んだようです。

挿絵でもあると当時の入浴の方法も分かりやすいのでしょうが、ありませんでした。
VersaillesPetit Trianon413トイレ後付け
( 寝室近くのトイレは革命以降のものだが往時をしのべる )


外へ出て、離宮を少し遠目に見たところです。緑のなかに、こじんまりと佇む、癒しの空間であることを感じます。
けれども、王妃様が、国民のことや政治的配慮そっちのけで、田舎暮らしごっこなどに現を抜かしていると、私たちが知ってのとおりの結果になりました。多少、歴史的な運不運もありますが、ほめられた振る舞いでなかったことは確かでしょう。
VersaillesPetit Trianon北側側面
( 寝室、娯楽室などを北側から見る )

「すべては、歴史の彼方に」という、さばさばした気分で、歩き回りましょう。何気なく植えてある木々や草の早春の黄緑や緑色が、しっとりと濡れていて、気が休まる光景であることは、間違いありません。

2019年9記                         了


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