やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

Leモンサンミシェル・トラベラー

ラ・メルベイユに驚く平凡なモンサンミシェル観光

ラ・メルベイユに驚く平凡なモンサンミシェル観光   2019年4月


1 凡人なので場面の羅列

モンサンミシェル修道院:Abbaye の見学記は、知らず知らずのうちに、判で押したようになってしまいます。単なる場面の羅列に終始してしまいます。

「聖なんとか」、がどうのこうのと聞いたり、書いたりしても、すべて受け売り。本当は、そびえ立つ建物や、美しい列柱を目の当たりにして、「すげえ」とか、「きゃあ」と思っているのですが、気の利いた一言が思い浮かびません。

それだけ、観光客を圧倒する光景が展開する歴史的建造物です。

L1MSM南から尖塔を0429
( モンサンミシェル修道院東面。要塞風の感じ )

先人のたゆまぬ努力の下に完成の日をみた、すばらしい建築遺産が何気にあるって、フランスは恵まれているなあと思います。日本にも、同じような遺産があるはずですが、お客様に、それを見せる工夫、感動してもらえるストーリーを作る工夫が全然、足りていないような気がします。


2  南のテラス、西のテラス

モンサンミシェル修道院を入ると、私たち観光客は、まず、一番高い一般公開地点である南のテラスまで上がります。ここで、シャトルバスが走る橋の方角の「下界」を見物します。
「けっこう、上まで登って来たんだ」
「足がガクガクだけれど、来た甲斐があった!」

眼下に展開する、今しがた通ってきたルートに思わず見入ってしまいます。写真は午後4時ごろの様子。対岸に帰る日帰り客が大勢シャトルバス待ちをしていました。小潮の日でしたので、干潟が開けていて、海に浮かぶモンサンミシェルの雰囲気は、みじんもありません。こればかりは、どうしようもないです。

L1MSM南テラスから橋と人0429
( 南のテラスから、橋と対岸のホテル街を鳥瞰 )

次に、モンサンミシェル修道院の歴史的変遷をたどった模型の展示してある石造りの小屋を通って、西のテラスに行きます。

MSM113変遷模型の間0429
( 歴史的変遷を模型で展示した部屋 )

MSM114西テラス20429
( 西のテラスから、修道院付属教会入口を眺める )

西のテラスは南のテラスの数倍広く、眺望も三方向に開けています。島周辺の広大な干潟や押し寄せる潮の満ち干、フランスの沃野を思う存分目に焼き付けましょう。

MSM116テラスと平野0429
( 広い西のテラスからブルターニュ方向を見る )

3 姉妹岩のトンブレーヌ島を遠望

テラスをあちらこちら移動して、北の方角に視線を移します。
絶壁状になったテラスの壁の向こうに、トンブレーヌ:Tombraine 島が見えます。モンサンミシェルと同じ岩山の島ですが、高さは低く、横長の形です。干潮時には、モンサンミシェルからトンブレーヌまで歩いて往復する有料の干潟ツアーがあります。

L1MSM西テラスからトンブレーヌ島0429
( 西のテラスとトンブレーヌ島遠景 )

4 ラ・メルベイユ側面を見る

西のテラスの北からは、ラ・メルベイユ:La Merveille と称えられている四層建て石造ビルが目に入ります。この建物を北側の海上から見ると、修道院の高層建築がそそり立つ荘厳なシーンが見られるそうです。横から、ちょろっと拝んだくらいでは、その特徴的な外観が見えないので、観光客は見落としがちです。

MSM117メルベイユ側面0429
( ラ・メルベイユ側面 )

5 修道院付属教会もゴシックづくり

順路に沿って、西のテラスに面して建っている教会に入ります。
見慣れたゴシック建築内陣の様子が目に入ります。アーチで支えられた高い天井がポイント。
「わあ、すごい」
「また、このタイプの教会ね」
皆さんは、どちらですか。私は、後者でした。

本当の背景はわかりませんが、それでも、質素な祭壇が、ここが静かな祈りの場であることを主張しているようで、好感が持てました。

MSM118礼拝堂0429
( 修道院付属教会内部と、奥のシンプルな祭壇)

MSM118b教会屋根木造0429
( 木造の天井 )

ここも、例のパリの聖堂と同じく、天井は木造です。
「火の用心!」


6  ラ・メルベイユの回廊庭園だ

教会を出て、順路に沿って石段を数段、降りると修道院内随一の光景と評判の高い「回廊の庭園」:cloitre  が見えてきました。二重になった列柱上部に掘られた装飾が精巧で美しいです。オリジナルの彫刻は、ごく数点のみだそうです。現代修復技術のなせる技はすごいです。

MSM120中庭A0429
( 回廊の庭園の二重列柱と彫刻 )

L1中庭清楚な美MSM0429
( 回廊の庭園のシンプルな美しさ )

L1MSM回廊庭園と尖塔0429
( 回廊の庭園と教会の尖塔 )

庭の芝生は、以前は花壇。もっと昔は薬草園だったそうです。オリジナルが良いか、いまのようなシンプルなデザインがよいかは迷うところかも知れません。ここは、空中庭園みたいなものですから、下の階へ水漏れしないようにするのは大変とのことです。

回廊の壁の切れ目から、外をのぞいてみました。延々と広がる干潟の向こうに、ブルターニュの広大な平地が広がっていました。春の陽ざしに照らされた沃野が美しいです。

MSM122メルベイユから干潟0429
( 回廊の庭園から望むブルターニュ方向の平地 )

7 大食堂

回廊の庭園の奥が大食堂です。修道院として事実上機能しなくなって久しいので、どの部屋も、宗教的な雰囲気を残す石造りの空間です。解説や、かなりの想像力がないと、修道院時代のイメージはつかみにくいと感じました。
MSM123食堂0429
( 大食堂 )
L1MSM食堂と見学者0429
( 大食堂の回廊につながる出入口 )

8 貴賓の間

続いて、階下におりると貴賓の間にでます。ここも、説明があってこそ初めて理解できる部屋でした。

MSM124貴賓室0429

9 フニクレールがあった

外海に面した貴賓の間から、本土側に順路をたどって進んだところに、牢獄時代に使われたフニクレールのレプリカがありました。ケーブルカーと同じ原理の、ケーブル式巻揚げ機です。牢獄の運営に必要な食糧や物資を巻き揚げたそうです。1回2トンの荷物を揚げたとのことです。日本語のガイドさんが、そう説明するのでしょうが、旅行記などでは姿、形に由来した「大車輪」のような呼び名が多いようです。

MSM131人力滑車レプリカ0429
( 巻揚げ機の側面。レプリカ )

MSM132人力滑車とロープ0429
( 巻揚げ機のロープ。滑車の大きさも分かる )

MSM133滑車と荷物台車0429
( まさにフニクレール。ほぼ直登に近い絶壁 )

MSM134滑車全景0429
( 下から見上げたフニクレール )

なかなか、すごい装置です。

10  秘密の階段

真の巡礼者を迎え入れるための空間へ通じる階段。観光客は、お呼びでなさそう。

L1MSMロマネスクの南北通路0429
( 奥へ向かう階段)

続いて「騎士の間」。修道院時代は作業室、牢獄時代は何の部屋?
MSM141騎士の間作業室0429
( 騎士の間 )

11  シャバの雰囲気に戻って

かつての「施しの間」は、ミュージアム・ショップ。私たちは、モンサンミシェルにお金を落とす側です。
MSM142施しの間の土産屋0429
( 「施しの間」であった現、お土産屋 )

モンサンミシェル修道院の公式ガイドブックをはじめ、修道院からみの土産は、ここでしか売っていないものも多いです。なんだ土産屋か、と通り過ぎない方がよい場所です。


12 再びラ・メルベイユ

お土産を買い終えて、裏の庭園に出ました。晴れてきた空に向かってそびえ立つ尖塔と、ラ・メルベイユの堅牢な建物が静かに時の流れを刻んでいました。
MSM143ラメルベイユと鐘楼を見上げ0429
( 庭園から見上げたラ・メルベイユ )

ラ・メルベイユの北面。
L1ラメルベイユ北壁MSM0429
( ラ・メルベイユの北面 )

絶壁感が半端ではありません。湿り気のある強風が吹きつけるので、かなり苔むしています。修行で来ても厳しそうだし、お勤めで入牢したら、もっと厳しそうな雰囲気が出ていました。

ほんとに、観光客でお気楽に見物できてよかったな、です。


L1MSM出口からトンブレーヌ0429
( 出口は坂道の途中。逆走不可。トンブレーヌ島が見えた )

我ながら改めて感じたのは、「モンサンミシェル修道院見学記って、誰が書いても同じようになってしまうな」、ということ。

見ごたえのある場面がいっぱいな大歴史ロマンの観光地なのか、綿密に計算されたテーマパークのシンボルタワーの内部見学なのか、楽しい中でも、少しだけ考えてしまいました。

2019年7月記    了



月並みに、あるがままを楽しむモンサンミシェル修道院

月並みに、あるがままを楽しむモンサンミシェル修道院  2019年4月訪問


1  気分は初詣

モンサンミシェル:Mont-Saint-Michel は、修道院のイメージを前面に出した大観光地でした。

写真のような、記憶に焼きつく強烈なシーンを見たら、早足で島内に駆け込み、修道院:Abbaye (アベイ) を見学しました。
L1MSMモン全景午後晴れ出す0429
( 昼過ぎのモンサンミシェル全景。実物は圧倒的な大きさ )

信心の気持ちを忘れてはいけませんが、初詣気分で、絶景のお寺見物に行く気持ちになると120%満喫できます。景色よし、お参りよし、買い物よし、賑わいよし、飲み食い高め。

素晴らしい姿の修道院の高いところに昇って、内部や景色を楽しむという点で、京都の清水寺に似ていると思います。海に突き出した場所にあるため、江の島に似ているという人もいます。当局は、広島県の宮島と姉妹観光都市提携を結んでいます。

2  心臓破りの階段で要塞風の入口へ

私たち観光客が修道院に入る場所は、グラン・ドゥグレという中世の要塞みたいな厳めしい門。和訳では、「大砲の胴門」と書いてあります。

修道院の手前から「心臓破りの階段」状態になりますが、みんな興奮状態なので、はあはあ息をこらしながら、上へ上へと向かいます。

MSM107アベイ下0429
( 拝観者入口への「心臓破り」の階段グラン・ドゥグレ )

モンサンミシェルは、今をさかのぼること約1200年前の8世紀に、小さな祠から始まり、権威ある修道院へ発展。その後、百年戦争のあおりで要塞化。戦後は地味な修道院へ復帰、フランス革命後は監獄になるなどの紆余曲折を経て、19世紀半ば以降より、少しずつ文化財的な修道院機能を備えた観光地へ発展してきました。その華麗かつ激動の歴史を無言で語るような雰囲気です。

MSM108修道院口2手0429
( 一般拝観用、つまり観光客用の入口 )

私たちは、混雑を予想して、あらかじめオンライン・サイトで拝観券を購入してきましたので、左の「キップありの優先レーン」に進みます。午後4時過ぎでしたので、混雑のピークは過ぎていた模様。やや、ほっとしました。

入場料は大人1名10ユーロ(2019年4月現在)。オンラインキップは購入日より1年間有効。日にちや拝観時刻指定制ではありません。そこまで混んでいないということです。

英語版の、開館時刻やキップ購入サイトは以下のとおりです。
http://www.abbaye-mont-saint-michel.fr/en/Prepare-for-your-visit/PRATICAL-INFORMATION#tarifs


3  入場しても階段は続くよ

要塞のような入口をとおります。荷物検査もあります。1台3ユーロのオーディオガイドを借りたい方は、キップ売場へ取って返さなければいけません。

MSM109入場口0429
( 右がキップありの入口、左がキップ購入者の入口 )

さらに階段が続きます。急ぐと、心臓にさらに負担がかかり、天国まで行ってしまいますので、落ち着いて昇りました。

MSM110テラスへの大階段0429
( 一般見学者が入れる最上階のテラスまで、あと一息の階段 )

この階段の真上に、両方の建物をつなぐ橋があります。修道士の方々が往来する通路です。「生活していれば、なるべく楽な方がいいもんね」

拝観というか、見学順序は、最上階のテラスに行き、そこから下界や教会の外観を見渡したあと、順繰りに下へ下へと有名ポイントをめぐります。


4  もっと上に、もっと天の近くに

けれども、もっと上へ行くことができるのです。わずかなチャンスがながら、2019年は、日曜日に限り午前11時集合、定員18名、料金大人13ユーロの2時間フランス語ガイド付きで、サンミシェル像のそびえる尖塔まで登るコースがあります。フランス語のサイトのみに掲載。完全予約制ですので、宝探しみたいですね。

http://www.abbaye-mont-saint-michel.fr/Actualites/Visite-Un-dimanche-dans-le-ciel-de-l-archange-2019

キーワードは、le-ciel-de-l-archange です。直訳は、「大天使の空」という意味です。「ご本尊を間近で拝もうコース」っていう感じです。

L1MSMサンミシェル仰ぎ見る429
( アップで見たサンミシェル像と尖塔 )

下から眺めると、サンミシェル像の立っている下の四角いお堂あたりまでは、狭いながらも階段で行けそうです。歴史好き、珍しいもの好きの方々の知識欲を満たそうとするサービスはいいですね。せめて1日2回くらい、ガイド付き登楼ツアーを企画してくれるといいなあと感じました。


5  何気にサンミッシェル

ほとんどすべての皆様がモンサンミシェル観光を満喫し、ブログでも絶賛しています。そして、ここがキリスト教の修道院であると説明していますが、それ以上のこと突っ込んで書いている文は、ほとんど見当たりません。

MSMサンミシェル昼間0429
( 金色に輝くサンミシェル像、拡大 )

「モンサンミシェルって何派の修道院?」

「サンミシェルのこと、『聖天使ミカエル』と書いている人がいるけど、どういう関係?」

「今も現役修道院って言うけれど、何か証拠あるの?」

「建物や街並みが、かなり要塞風なのはどうして?」

「プーラールおばさんのオムレツは巡礼者向けに始まったっていうけど、1888年の創業時に巡礼者向けの商売なんか成立したの?」

ガイドさんの言葉を受け売りしてコメントを書くと、上のような意地悪な質問には答えられません。

別にいいと思います。

「だって、ここは、修道院を建前にした一大絶景観光地ですから」

はるばる日本から来たのです。朝早く起きて、不安げにオプショナルツアーの集合場所にやってきて、眠いのです。小賢しい解説など、あまり考えずに、見たまま感じたままのモンサンミシェルのユニークで巨大な風景や、修道院風の歴史ムードを、大いに楽しみましょう。

私も、今回行ってみて、モンサンミシェルは、当日のあるがままを堪能するのがベストだと思いました。ここでは、直感的にフランスの過去と現在、宗教的雰囲気と世俗主義を体感できます。素晴らしい観光地ではありませんか。


2019年6月記     了

















モンサンミシェルの対岸地区ぶらぶら


モンサンミシェルの対岸地区ぶらぶら    2019年4月訪問


1 モンサンミシェルの連絡橋と対岸地区

モンサンミシェルの対岸地区をぶらぶらしました。増加した観光客をさばくため、21世紀になって開発された真新しい観光拠点です。

MSM296A対岸ホテル街0429
( 対岸地区のメイン道路、奥がモンサンミシェル )

モンサンミシェルでは、2014年7月に連絡橋が完成しました。旧来の取付道路は取り壊され、再び、大潮の日に海に囲まれた歴史的風景を取り戻すことはできました。それと同時に、島民の駐車場も遠くなりました。クルマ依存型の島民の生活が不便になって本土側へ引っ越したため、人口は激減です。観光客も遠い駐車場のことが気がかりとなって早目にクルマに戻るようになり、夕食時間帯の島の客足が遠のいたようです。無料シャトルバスが夜中まで走っていると言っても、人間の心理として、暗くなったらできるだけ駐車場の近くに引き上げようと思うでしょう。

なんか、「朝9時開門、夜中1時閉門の、『聖なるテーマパーク・モンサンミシェル』」化が起こっているようです。

「するってーと、島内ホテルは、ディズニーシーにたとえると『ホテル・ミラコスタ』みたいな位置づけになるわけですね」
「御意。そのうち、ホテル代もさらにあがるかも知れません」
「くわばら、くわばら」

対岸一帯は、カゼルヌ:Caserne という地名ですが、日本語のガイドブックやブログでは、一様に「対岸地区」と書いてあります。その方が、モンサンミシェルの一部だという雰囲気が出やすいですね。

対岸地区には、モンサンミシェル島へ通じるメイン道路の両側にホテルやレストランが10軒程度、ゆったりと並んでいます。電線や派手な看板は一切なし。一般車の乗入も厳禁です。


2 パスールと観光案内所

クルマで来た方は、対岸地区に隣接する大駐車場にクルマを止め、無料のシャトルバス「ル・パスール:Le Passeur」に乗って、モンサンミシェルに渡ります。普通は「ル」を省略して、「パスール」と言っています。たくさんの皆さまの体験談のとおり、島と対岸地区の往復は、パスールの他に、徒歩、有料の(ラ)・マランゴト:La Maringote という観光馬車、ポントルソン駅まで行く有料の地域巡回バスがあります。天気、体力、財力などに合わせて、思い思いモンサンミシェル散歩を楽しみましょう。

MSM205対岸馬車6ユーロ429
( メイン道路を走る有料馬車マランゴト )

MSM252ALePasseur0430
( パスール始発乗り場。昼間は乗客がたくさん )

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( 午前10時ごろのパスール乗り場は大行列 )

パスールや路線バス乗り場の近くには観光案内所があります。よろず観光相談やモンサンミシェルの模型展示の他、日本語のパンフレットや無料のきれいなトイレもあるので、時間の許す方は寄りましょう。

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( バス停から見えるモンサンミシェル観光案内所 )

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( 観光案内所の内部 )

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( モンサンミシェルの模型。上部中央が島 )

3 ホテルやレストランのチェック

メインストリートには、私たち日本人になじみのあるホテルやレストランが立ち並んでいます。ツアー会社や個人の予算に合わせて、皆様も思い思いのホテルやレストランに入らされた、あるいは入ったと思います。
(以下、つづりのアクセント記号は省略)

まず、ホテル・メルキュール・モンサンミシェル:Mercure Mont-Saint-Michel  と、併設のレストラン、プレ・サレ:Pre Sale 。四つ星ですので、デラックス・ツアーの皆さまは、心地良いホテルサービスや、礼儀正しいレストランのサービスなどを満喫されたことでしょう。ただし、ホテルからモンサンミシェルは、あまり望めないようです。

MSM296D対岸のHメルキュールとプレサレ0430
( ホテル・メルキュール・モンサンミシェル(奥)と、レストラン、プレ・サレ(手前))

ホテル・メルキュールの真向いが、レストラン・ラ・ロティスリー:La Rotisserie 。その奥にホテル・ベール:Vert、横にスーパーマーケットがあります。どの建物も平屋か2階建てで、ゆったりとした造りのうえ、たっぷりと間隔を空けて建っています。いずれも、カジュアル系ホテルなので、節約指向の旅行者にはありがたい施設です。

MSM296E対岸3軒0429
( ホテル・メルキュール前の道を挟んで、レストランとスーパーマーケット )

メイン・ストリートを島に向かって歩いて行きます。5分くらいで、集落の端に着いてしまいます。

MSM296B対岸ホテルレストランのルレドゥベ0430
( ホテル兼レストラン、ル・ルレ・ドゥ・ベ。木立の奥が、ホテル、ラ・ディーグ )

こじんまりしたホテル兼レストラン、ル・ルレ・ドゥ・ベ:Le Relais de Baie  と、ラ・メール・プーラール系列のホテル、ラ・ディーグが見えます。その対面がラ・メール・プーラールの対岸地区の本丸、四ツ星のホテル&レストランであるル・ルレ・サンミシェル:Le Relais Saint-Michel  です。

堂々たる2階建ての建物と、その向こうに霞むモンサンミシェルのピラミッド型の島影が、ラ・メール・プーラール社の繁栄を物語っていました。

「すごいですね、ラ・メール・プーラール!」

MSM296A対岸ルレサンミシェルと島0430
( ホテル&レストラン、ル・ルレ・サンミシェル正面 )

ル・ルレ・サンミシェルは、海岸寄りの一等地に建っていることが分かります。そして、このホテルの前の海沿いの木立は、たまたま途切れています。海側の部屋やレストラン席から、モンサンミシェルの美しいピラミッド型の姿を心置きなく遠目に眺められるはずです。

「だって、橋の島寄りの場所や修道院のテラスから見ると、このホテルだけ建物がむき出しで見えます」
「ほらね」
MSM295ルレサンミシェル遠望0430
( 島から、ホテル・ルレ・サンミシェルを望む。木立が途切れている )


4 クエノン川からモンサンミシェル遠景を楽しむ

対岸地区きっての見晴らし地点、クエノン川:Cuesnon の河口ダム兼展望台に着きました。朝は、みんな島へ行ったり、ツアー・バスで余所へ出発してしまったせいか、ほとんど誰もいません。確かに、「ここで、まずモンサンミシェルの美しい姿をたっぷり拝んでから島へ近づこう」、などという悠長な観光客は皆無です。モンサンミシェルが視野に入った瞬間、まず、息せき切って島へ渡りたくなるのが通常の心理です。

それだけ、モンサンミシェルの威容は、私たちを惹きつけて止まない素晴らしく魅力的な姿です。

MSM298A対岸クエノン河口テラスの朝0430
( クエノン川河口ダム上の展望デッキ )

この展望デッキは、夕焼けと夜景が美しいと評判です。私たちは、残念ながら、そのタイミングでこの場所に立てませんでした。

MSM対岸から遠望の朝0430
( モンサンミシェルは遠くにありて拝むもの? )

すがすがしい朝の空気を通して、少し霞んで見えるモンサンミシェルは、肉眼で見るとかなり小さいです。霧の日はもちろん、モヤ程度でも、島影は見えなくなりそうだな、と心配してしまいます。観光写真は、大きさを少し誇張してあるようです。けれども、羊の放牧風景といっしょのモンサンミシェル像も印象的です。対岸のホテルや、レストランのテラスからのモンサンミシェルの姿も、多分、こんな感じでしょう。

いろいろなモンサンミシェルを体験するという意味では、是非、立ち寄りたいポイントです。


2019年6月記                             了

モンサンミシェルの賑わいとお土産


モンサンミシェルの賑わいとお土産    2019年4月訪問


1 大賑わいのグランド・リュこそモンサンミシェル風景

モンサンミシェル観光は、まさに初詣気分です。

人混みでごった返すグランド・リュ: Grande Rue で飲み食いしたり、お土産の品定めで、こちらの店、あちらの店と動き回れるのは、大観光地ならではのことです。「有名観光地は、こうでなくっちゃ」という雰囲気抜群です。

モンサンミシェル島内に入った瞬間から、通りの人口密度が急に高くなります。グランド・リュは"大通り"の意味ですが、江の島の参道よろしく一本道の狭い通りなので、観光客どうしの距離が急接近します。

それでも、超有名店「ラ・メール・プーラール」本店前は、道がふくらんでいるので、まあまあ人通りが多いなと感じる程度でした。

MSMラメールP0429
( ラメールプーラール本店前の人通り)

それが、「王の門」をくぐると一転。グランド・リュの道幅が3メートルくらいに狭くなります。私たち観光客も、ぐっと圧縮されて、イモを洗うがごとくになります。
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( グランド・リュの道幅が狭くなる付近 )

シーズン始まりの4月の平日の午後3時過ぎですが、押すな押すなで、かき分けかき分けグランド・リュを進みます。
まさに、人気寺社の初詣気分。どの店が、どこにあるやら。気が急いて前に進むことしか頭になくなります。
頭上にぶらさがる、色とりどりの看板が、いかにも歴史的大観光地の雰囲気に華を添えています。

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( 大混雑のグランド・リュの昼下がり )

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( ぽっかり人混みが空いたグランド・リュ )

でも、この大混雑こそ、モンサンミッシェル繁栄の真骨頂のような気がします。宗派を問わずに世界中から観光客が押し寄せたモンサンミッシェルの賑わいは、平和の象徴のひとつでしょう。

モンサンミシェルは日本人比率が多いとブログなどに書いてあります。私たちが体験した限りでは1割くらい。日本人以上に中国人が闊歩していましたし、韓国人も日本人と同じくらい歩いていました。日本人の多くは、パリ発着の日帰りツアーで来るので、日本人遭遇率は、時間帯や、お店によるのかも知れません。


2 土産物店を渡り歩く楽しさ

モンサンミシェルのような初詣型観光地に来たからには、土産物店めぐりは必須です。大方のマダムの楽しみでもあります。また、最低でも「モンサンミシェルに行ってきました」土産を買わないと、日本人観光客として合格レベルに達しません。

我が家は「泊まり」でしたので、修道院見物を終えたあとの午後5時前から6時過ぎにかけて、土産物店を行きつ戻りつしました。

MSM258プーラールビスケット店0429
( 有名店ラメールプーラールの物販店 )

まず見たのが、ラメールプーラールのお菓子屋さん。サブレやクッキーが山積みされ、お店の前も中も、真っ赤っ赤でした。
しかし、これらはパリでも買えるので、ここではパス。実際にパリのスーパーマーケットで、どっさり買い込みました。何か違うのかも知れませんが、素人が見た限りでは、パリ価格はモンサンミッシェル価格の6掛けくらいでした。

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( ラメールプーラール社のサブレやクッキー )

たとえ話で表現すると、「京都の生八つ橋を、都内のスーパーで買うと、現地より安い」という感覚。とても不思議です。
「私は、このサブレをモンサンミシェルの本店で買った」ということに、大いに意義があるのではないかと思うしかありません。

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( ずらりと並ぶモンサンミシェル土産 )

グランド・リュ沿いにぎっしりと並ぶお土産屋さんには、いろいろな品が所狭しと置いてあります。どの店も、基本的な品揃えは同じですが、やっぱり得意不得意があります。小物系が多いとか、子供の気をひくおもちゃの騎士の衣裳が店頭に出ているとか、ゆっくり見ていると、とても面白いです。


3  日本人を狙え

別のアプローチで、日本人の注意を惹こうという店もありました。
何と、「NHKの番組で放送されました」と、誇らしげに日本語のメッセージを貼ってある土産店があるのです。それだけ、日本人が多いということなんだと感慨もひとしおでした。
我が子は、「それが、どうした。意味ねえ・・・・・」と、あきれ顔でした。
それでも、「日本人を意識した店って何が置いてあるんだろう」と、思って入店しましたが、特に変わったことはないと感じました。「コンニチワ」などと、声を掛けられることもありませんでした。

MSM272A日本人意識の土産店0429
( 日本語のPRを出している土産店 )

日本人客とは無関係ですが、店内の左にならんでいるレプリカの武器もお土産としては手頃なような気がします。

私たちはグランド・リュを2往復くらいして、お土産を物色しました。
我が子と私は、スノードームやミニ・グラス目当てです。その一方、マダムは、ゲランド塩の瓶詰やエコ・バック、Tシャツなんかを見ていたようです。

MSM272B典型土産店0429
( モンサンミシェルの典型的な土産店風景 )

お土産の値段は、ほぼ、横一線ですが、坂道の上の方の店の値付けが、わずかに安い感じです。マグカップ1個あたり0.1ユーロ安いとか、そんなレベルです。同じ品物をまとめ買いすると値引きするかどうかは不明です。中国人の方が、こういうことは得意ですので、体験談を読める方がいたら教えてほしいです。

MSM274サンP教会近くの土産店0429
( グランド・リュの坂の上部の土産店。わずかに安い )

4  モンサンミシェル土産いろいろ

典型的なモンサンミシェル土産を紹介します。

まず、私の狙ったスノードーム。立体的な建物や光景だと、スノードームは映えます。メイド・イン・チャイナは仕方ないですね。
お値段は、特大25ユーロ、大15ユーロ、中10ユーロ、小7ユーロくらいです。
MSM91スノーボール2019
( スノードーム。Made in PRC )

続いて、マグカップと、ミニ・グラス。原産地表示がないのですが、おそらくMade in PRCでしょう。
いまや、世界中の大観光地の定番のお土産は、こういう状況なのでしょう。あきらめムードが先行します。

MSM91マグとグラ2019
( マグ。多分、Made in PRC )

せっかくなので、と思って買ってしまった定番のお土産。学生旅行のときは、よほどのことがない限り、お土産を買ったことがありません。寄る年波にも勝てず、です。

MSM91しお2019
( モンサンミシェル・マークのゲランドの塩 )

マダムが気に入った、ご当地産のゲランドの塩の瓶。モンサンミッシェルのイラストが入っているのがポイントだそうです。誰にあげたのかな?

みんな思い思いにお土産を買い終えてホテルに戻ってきました。
修道院の閉館時間の午後6時を過ぎると、グランド・リュから、たちまち人の気配がなくなりました。土産物店も、間髪を置かずに閉店し始めます。

午後6時半になるころには、グランド・リュにも閑古鳥が鳴いていました。
この時間に、通りをうろついているのは、宿泊客か、モンサンミシェル命(いのち)の観光客くらいです。

MSM281B日没前の人少なく0429
( 午後6時半ごろのグランド・リュ )

5 朝ぼらけのグランド・リュ

朝7時過ぎのラメールプーラール本店前は人っ子一人見当たらず、今日の分の食材などが入ったカートが置かれていました。聖なるテーマパーク「モンサンミシェル」の人気店の舞台準備を、ちらりとのぞいたような気分でした。

MSM朝のラメールP前0430
( 朝のラメールプーラール本店とホテル前 )

あと1時間もすれば、本土から続々と観光客がやってくるに違いありません。島内に宿泊した観光客のちょっとしたプレミア風景でした。


2019年6月記               了

モンサンミシェルの大企業ラ・メール・プーラール社の観察

モンサンミシェルの大企業ラ・メール・プーラール社のようす    2019年4月訪問


1. モンサンミシェル名物

モンサンミシェルの隠れた名物は、ラ・メール・プーラール:La Mere* Poulard、の巨大オムレツです。
(* アクセント記号は省略 )
値段が高い、味がうすい、などの酷評も多いですが、知名度が高いことは、まぎれもない事実です。

有名観光地には、たいてい、名物料理や定番のお土産があります。ラ・メール・プーラールのオムレツも同類です。また、ラ・メール・プーラールのビスケットやクッキーは、定番のお土産と言ってよいでしょう。

MSM258aプーラールサブレ他2019
( ラ・メール・プーラールのビスケットやクッキー )

「フランス版『モンサンミシェルに行ってきました』みやげですね」
「でも、パリなんかのスーパーにも売っているし」
「えっ?」

ラ・メール・プーラール、あなどるべからずです。


2. ラ・メール・プーラール本店の価値

ラ・メール・プーラール本店は、島に入った途端に目に飛び込んでくるお店です。素晴らしい立地で、ほとんどすべての観光客が、店の前を通ります。

ちょっと予習済みの方は「ああ、これが、うわさのオムレツ屋、ラ・メール・プーラールね」と、すぐに気づきます。私も同じでした。

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( 島に入って最初の店がラ・メール・プーラール)

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( ラ・メール・プーラール前から島の入口を振り返る )

重厚な石造建築の1階がレストラン。少し離れた右のドアがホテルの入口です。
通りからのぞくと、銅なべをはじめとする調理道具がいっぱいにならび、歴史ある宿屋の食堂をアピールしています。

MSMラメールP夕食時0429
( 「宿屋の食堂」の雰囲気のラ・メール・プーラール本店 )

店の左には、法令にのっとりメニューが出してあります。ブログや口コミなどで、「オムレツの値段が、ばか高い」、「値決め方法が分かりにくい」、と酷評されていますが、2019年4月時点では、少なくとも、お品書きは騙し討ちのような書き方ではありませんでした。

MSMラメールPおむれつメニュー0429
( ラ・メール・プーラールのオムレツ単品メニュー )

ただし、オムレツ単品の値段がとても高いことは否めません。トッピングによりけりですが、1皿38ユーロから44ユーロです。ワインや水を注文し、デザートを加えたりすると、1人前55ユーロ前後になりそうです。
「なにぃ?1人前7000円のオムレツかよ!」、という怨嗟(えんさ)の声が聞こえてきそうな値段です。

ここは、店内でオムレツ料理の実演が目玉です。その見物料が、お一人さま25ユーロくらいだと思えば、オムレツの値段は近隣の他店並みの20ユーロ内外に落ち着きます。
「オムレツ調理ショー付き、オムレツ・ランチ、金50ユーロ也」、と考えれば、少し前向きな気持ちでラ・メール・プーラール本店の敷居を跨げるのではないでしょうか。

それでも私たちは高いと思ったので、結局、入店しませんでした。
「さんざん書き散らかしておいて、結局、素通りかよー」
「はい、そうです」

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( ラ・メール・プーラールの定食(ムニュ) のメニュー )

オムレツ以外の普通の定食も、松竹梅の3種類があり、お値段は、55ユーロから90ユーロくらいでした。定食の1品にオムレツが組み込まれたコースもあります。

オムレツ以外の価格は、人気観光地の高めのレストランという感じでした。次回、モンサンミシェルに来たときは、思い切って挑戦してみようと思っています。


3  大企業ラ・メール・プーラール

現在の「ラ・メール・プーラール」は、地元の大企業です。モンサンミシェル島内にホテル3軒、島外にホテル3軒を経営するほか、手広くクッキーの製造販売を手掛け、レストランやお土産屋を開き、あるいは不動産をたくさん所有してテナントに貸し出すなど、総合観光産業を営んで大いに栄えているようです。

モンサンミシェル経済の立役者、あるいは、地元のドンかのどちらかです。うがった見方をすれば、私たち観光客は、モンサンミシェル観光に来て、ラ・メール・プーラール社に貢いでいるようなものです。

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( ラ・メール・プーラールのお菓子販売店舗 )

ラ・メール・プーラールの開店は1888年です。そして、現在のオーナー様は、1986年に、ラ・メール・プーラールの商権を買い取って、現在のラ・メール・プーラール株式会社を創立しました。本店所在地はパリです。そして、1998年には、ラ・メール・プーラール名のサブレの製造販売をスタートして大成功。絵に書いたような、やり手の実業家様。プーラール家との血縁は不明です。

ブログや旅行記で、「ラ・メール・プーラールは、創業者夫妻の奥方であるアネット・プーラールさん(1851年~1931年:本名はアンヌさん )が、『遠路はるばるやってきた巡礼者』に、『安くて栄養価の高いオムレツを振舞った』のが事始めの老舗」、という趣旨の解説をされている方々がいます。私の感想では、現実のイメージとは異なります。「歴史と伝統ある美しい聖地に、こんな由緒あるお店があったらいいなあ」という、メルヘンチックな幻想をツアー・ガイドさんに語られたみたいです。

実際は、1873年、プーラール夫妻は、旦那さまの親族から現在の郵便局付近の建物を借りて食堂を開業しました。1879年に、本土と島を結ぶ道路が完成して観光客が増加。観光ブームに乗って儲かったことをねたまれて建物を借りられなくなりました。そこで1888年、それまでの貯金をはたいて現在地を購入してラ・メール・プーラールを開店しました。道路ができたとはいえ、遠路はるばるやってきた参詣客という名の観光客の気を惹こうと、ファストフード感覚で出し始めたのが、今をときめくスフレのようなオムレツ。さっぱりした食感と見た目のユニークさが評判を呼んで、いつの間にか名物料理になりました。ご夫妻も誠実な人柄で、堅実に商売に励んだので、ホテル兼レストランの名声は世界中に広まりました。

ですから、
① 1888年開店なので、モンサンミシェルの1000年以上におよぶ歴史の中では新規の店です。中世の巡礼時代やフランス革命前からのお店や料理ではありません。

②ラ・メール・プーラール開店当時は、すでに島への連絡道路は完成していました。したがって、干潟を猛スピードで押し寄せてくる大潮にさらわれて命を落としたのは、安全無視で干潟へ入っていった人だけ。押し寄せる大潮をやっとのことで振り切り、ほうほうのていで島へ上陸したような巡礼者は、基本的にいません。

②ラ・メール・プーラールのお客さまは、秘境観光好きな観光客です。ボロをまとい、ぐったりして当地へたどりついたような苦労人風の巡礼者ではありません。競合他店より「安く」する必要はあったと思いますが、貧乏旅行者をターゲットにしたので「安く」する必要はなかったと思います。

③お料理も、メインの肉料理は時間がかかるので、その代わりに手っ取り早く出せるオムレツを考案しました。競争に勝つため、他店のメニューとの差別化も必要だったでしょう。プーラール夫人は700種類ものお料理ができたと言われています。ご自身の才能をビジネスに生かすことができた幸運に恵まれたのです。

④オムレツは、秘伝のように代々、子孫に受け継がれたわけではありません。ですから、現在の経営者が、アカの他人でもレシピを守れればよいのです。

なんだか夢のないお話しですが、よく考えれば、地に足が着いた物語だと思います。


4 ラ・メール・プーラールの仲間たち

モンサンミシェルの不動産の多くを手中にしていると言われているラ・メール・プーラール社のビジネス最前線を少しばかり見ました。別館や離れを別にすれば、どの店もグランド・リュ沿いに玄関があります。

まずは、島内のホテル兼レストラン、ル・ムートン・ブラン:Le Mouton Blanc です。意味は「白羊亭(はくようてい)」といったところ。1階がレストラン、2階から上がホテルという、典型的なモンサンミシェルの旅籠(はたご)風景です。

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( ラ・メール・プーラール系列レストラン、ラ・テラス・ドゥ・ムートン・ブラン )

つづいて、レ・テラス・ドゥ・ラ・ベ:Les Terrases de la Baie。 意味は「展望レストラン湾岸亭」。

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( ラ・メール・プーラール系列のレストラン、ラ・テラス・ドゥ・ラ・ベ )

今度はホテルの観察です。
島内にあるグループホテルは、ラ・メール・プーラール、レ・テラス・プーラール、ル・ムートン・ブランの3軒です。日本人をはじめとする世界中の観光客を迎えています。どこも、清潔な室内や水回りのようで、安心ですね。歴史的建造物であるためエレベーターがないことや、部屋が手狭なこと、それなりに料金が高いため、口コミでも絶賛とはいかないようです。世界遺産の内部へ泊まれるというメリットを積極的に評価する気持ちでチャレンジしてみましょう。
ちなみに私たちは、旅費節約のため、他の島内ホテル利用でした。

まずは、旗艦店「オテル・ラ・テラス・プーラール:Ho*tel La Me*re Poulard」 (*にアクセント記号あり)
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( ラ・メール・プーラール本店とホテルを城壁から俯瞰 )

どっしりとした石造建築が創業130余年の誇りを漂わせています。
本館の裏手には、別館もあります。ホテルのサイトなどで部屋やロビーの写真が見られます。
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( ホテル、ラ・メール・プーラールの別館 )

すご腕のオーナー様が、ラ・メール・プーラールの商権入手をバネに事業をどんどん大きくしていった経過が分かるようです。大観光地といえども、リーダー不在では客足は伸びないし、その一方で、少数の大金持ちに資産が集中すると貧富の差が大きくなるし、と、メリット、デメリット半ばです。

島内の様子が分かったので、今日は、この辺でおしまいです。

2019年6月記                          了



朝昼晩のモンサンミシェルを拝む

朝昼晩のモンサンミシェルを拝む    2019年4月訪問


私は、泊まり、でモンサンミシェル旅行をしたので、朝、昼、晩の雄姿を拝むことができました。幸い、霧も雨もなく、始めは曇り空だった天気は、夕方から翌朝にかけて快晴に変わりました。モンサンミシェル初心者にとって、これだけ晴れてくれれば「御」の字でした。

皆さんと同じように、モンサンミシェルの、ずっしりと美しい全景を記憶に残したいです。見た順序は、昼下がり、夕暮れ、夜景、朝の風景、です。

多くを語らず、美しい姿を拝みましょう。

うす曇りのMSM0429
( 昼下がりのモンサンミシェル全景。実物は圧倒的な存在感 )

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( 見上げればサンミシェルの尖塔 )

MSM134滑車全景0429
( フニクレールと垂直に近い絶壁をため息まじりに見つめる )

MSM150夕陽の影長く0429
( 夕暮れの影は、かげろうのように )

MSM152残照の干潟0429
( 茜色の空は、次第にうすくなりつつ )

MSM151薄暮のアベイ0429
( いまはここ、次はあそこと、明かりが灯る夕暮れのモンサンミシェル )


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( 藍色の空を背に夕闇せまるモンサンミシェル )


MSM夜景0429
( 夜空に輝くモンサンミシェルを、ひたすら見つめる )

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( ライトアップが幻想的な金色のサンミシェルは輝く )

MSM161干潟に上る朝陽0430
( 干潟の彼方に若い太陽が顔を出した )

MSM162朝日に輝く0430
( 朝焼けの美しいモンサンミシェルは静かにたたずむ )

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( 家並みの向こうに朝焼けのモンサンミシェル修道院 )


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( 快晴のモンサンミシェルの姿こそ絶景なり )

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( 朝もやに霞むモンサンミシェル遠景 )


MSM朝のクエノン川の向こうに0430
( 遠くにそびえるモンサンミシェルのピラミッドが別れの姿 )


我が家も、有名な風景を、自分の五感で体験できて、全員満足。
月並みですが、さようなら、美しきモンサンミシェル!

2019年6月記                                             了

モンサンミシェル1泊2日220ユーロの旅

モンサンミシェル1泊2日220ユーロの旅    2019年4月

【1 旅費の実績 】
私たちのモンサンミシェル観光は、パリ発1泊2日のTGVと路線バス利用、島内ホテル泊の旅でした。

朝な夕なに、モンサンミシェルの巨大な姿と門前町の賑わいを堪能できて、大変、満足しています。「行って良かった」の一言につきます。

朝日に輝くMSM0430
( 朝日に輝くモンサンミシェル全景 )

モンサンミシェル島内泊は、意外と高くつくので、少し手間をかけて旅費をしぼりました。
振返って計算してみたところ、島内ホテル代と、交通費、宿泊費、食費、入場料を合わせて1人220ユーロ(食費込み)でした。

パリ、レンヌ間のTGV往復運賃計  47ユーロ (超早割り)
レンヌ駅、モンサンミシェル間のバス往復運賃 30ユーロ(片道15ユーロ X 2 )
モンサンミシェル修道院入場料  10ユーロ
島内のホテル代。ツインルームの1泊夕朝食付き(※)海側の部屋。滞在税込みで101ユーロ/人
対岸のレストランでの昼食代、夕食時飲物代その他   30ユーロ

合計で1人あたり  218ユーロ  →  220ユーロ でした。おみやげ代は別です。
(※Demi-pension / Half board)


【2 標準的な旅費 】

標準的な旅行内容の旅費は、もう少し高くつきます。2人で行くとして、ネット予約可能な島内のホテルに泊まり、かの有名な「ラ・メール・プーラール」レストランで、名物の「オムレツ」を注文したとすると、だいたい340ユーロ/人(食費込み)くらいになるでしょう。

差額は、以下の感じです。

① ツィンルームの1泊夕朝食付きホテル代  101ユーロ → 170ユーロ/人(+70ユーロ)
② 「ラ・メール・プーラール」レストランのオムレツ単品食事代50ユーロ (飲物込み) + 夕食時の飲物代その他30ユーロ → 80ユーロ(+50ユーロ)

①+②の合計で、120ユーロ増の340ユーロ/人(食費込み)


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( 島内ホテルは風情があるものの高止まり )


私たちは、運よく割安な島内ホテルを見つけることができました。その一方、高いオムレツ昼食を端から避けたわけではありません。結果として、こんなケースもあるんだ程度の体験談です。


【3 ツアー代金と個人旅行費用 】

今度はモンサンミシェルの各種ツアー代金と、電車やバス利用の個人旅行の旅費を比較してみます。

(1)日帰り旅行

①各種日帰りツアー(※)

貸切バスの交通費+修道院入場料+バスガイド料金計で、最低120ユーロから130ユーロ(食事なし)。
パリ午前7時発、21時ごろ帰着。現地着12時30分ごろ、現地発16:30ごろ。

(※ネット検索による各種ツアーの詳細の一般的な内容としました)

Aモンサンミシェル日帰りツアー201905
( モンサンミシェル日帰りツアーの各種案内 )

②TGVレンヌ経由直行バス利用の個人旅行。

TGV往復平均70ユーロ+バス往復30ユーロ+修道院入場料10ユーロ計で、110ユーロ(食事なし)。
パリ発7:40TGV、帰着21:04。現地着10:55、現地発18:05。

日帰りベースですと、交通費と入場料合計額は、両者ほとんど同じです。ただし、モンサンミシェル滞在時間がツアーで約4時間、個人旅行で約7時間と違います。また、個人ベースでは、予約の手間はもちろん、TGVの遅れリスク、バスや電車への乗り遅れリスクも、すべて自分持ちです。ツアーのように、日本語での補足説明もありません。

モンサンミシェル日帰り強行軍の場合、ツアーが盛況になる理由が、よおく分かります。1人10ユーロ程度を節約するために、All Riskを取って、鉄道ファンでもなく、フランス語もできないイチゲンの日本人観光客様が、わざわざTGVと路線バスを乗り継いでモンサンミシェルまで往復する、決定的に有利な差は見当たりません。

「まあ、自力でモンサンミシェルに行ったという優越感でしょうね」
「ツアーが苦手な人もいるし」
「現地滞在4時間というツアーはきつそうですが、せかされるくらいが我らが同胞にはいいのかも」
「そんなこと言っていると、炎上しますよ!」


(2) 1泊2日旅行

①各種ツアー (※※)

貸切バスの交通費+島内ホテル代(朝食付き)+修道院入場料+バスガイド料金計で、330ユーロ前後(食費別)。
パリ午前7時発で現地着12時30分ごろ、現地発は翌日16:30ごろ、パリ帰着21時ごろ。

(※※ネット検索による各種ツアーの、島内ホテル泊の一般的な内容としました)

Aモンサンミシェル1泊ツアー201905
( モンサンミシェル1泊ツアーの各種案内 )


②TGVレンヌ経由直行バス利用の個人旅行

TGV往復平均70ユーロ+バス往復30ユーロで、交通費100ユーロ。修道院入場料10ユーロ。島内ホテル代(朝食付き)ツインルーム170ユーロ前後。合計で280ユーロ前後(食費別)。
パリ発TGVは1日5-6本で、約3時間で到着。復路のバスは1日5便で、現地発10:05から18:05まであり。


③モンサンミシェル1泊を含む周遊ツアー

モンサンミッシェルの対岸地区のホテル前には、ツアーバスがいっぱい止まっています。これらのバス利用の皆さんは、いわゆる現地申込みツアーではないため、モンサンミッシェル分の旅費がいくらなのか分かりません。

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( 対岸のホテルの陰に、いっぱいたむろするツアー客専用バス )

けれども、国籍、年齢、性別を問わず、モンサンミシェル観光がすごい人気であることが分かります。
私も含めて、それなりに「はるばる」モンサンミシェル観光に馳せ参じています。楽しまなくっちゃね、です。


【4 モンサンミシェル1泊旅行ツアーの長短 】

私の感想では、モンサンミシェル1泊旅行となると、現地ツアーと個人旅行では、かなりの違いがあると思います。あちこちで紹介され、比較検討され、体験談が披露されている、モンサンミシェル1泊旅行論に、私もコメントします。

結論から書きますと、モンサンミシェルに入れ込んでいる方、ご高齢などで乗り物の乗換を避けたい方を除けば、時間配分の自由度が高いTGV利用のレンヌ経由での個人旅行が、断然おすすめです。クルマで行くことができるならば、もっといいのかも知れません。

(1)旅費は、自分で手配した方が1人あたり50ユーロ程度安くあがります。カップルだと2人分で100ユーロの差ですから、ちょっとした金額です。

(2)ツアーのように、モンサンミシェルに28時間滞在しても、はっきり言って飽きます。修道院の拝観は、だらだら回っても2時間もあれば終えてしまいます。周辺の教会めぐりや、お土産屋さんめぐりは、別途3-4時間あれば十分すぎるほどです。ガイドさんといっしょに干潟を歩くツアーに参加しても1-2時間程度です。夜景見物、朝焼け見物と張り込んでも、島内ホテルにいれば1回1時間程度しかかかりません。

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( 朝のラ・メール・プーラール前は閑散 )

個人旅行ですと、パリ発午前9:57のTGVに乗れば現地着は12:55で、朝のパリ発も遅めにできます。帰路も現地11:20発のバスに乗ればパリ着は15:04分です。朝寝坊もでき、もしも初日に霧で修道院見物が不調に終わり、翌日に再訪して帰路に就いたとしても、パリの午後を悠々楽しめる時刻に帰れます。(2019年4月現在)

(3)個人旅行の唯一の難点は、TGVやホテルの手配を自分自身で行なわなければならないことです。旅行会社に同内容での旅行手配を依頼することも可能でしょうが、手数料を入れたら、かなり、お高い旅費になる気がします。それに、現地では自分自身で行動しなければなりませんから、普通の方々が旅行会社を通すメリットはありません。


2019年5月記      了

























 

レンヌ駅こそモンサンミシェルTGV往復の要

レンヌ駅こそモンサンミシェルTGV往復の要  2019年4月訪問

【1  ゆうゆうパリを出発 】

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( 現代建築のモンパルナス駅を東側から見る )

私たちは、パリ・モンパルナス駅9時57分発のTGVでレンヌへ向けて出発しました。ダイヤどおりですと、モンサンミシェル着は12時55分。何と、片道2時間58分しかかかりません。朝7時すぎにパリを出るツアーバスの到着も午後1時前後ですから、TGVの速さを改めて実感します。

おかげで、ゆったりとした朝のひとときを過ごすことができました。

多くの方がコメントしているように、TGVの発車番線が表示されると、乗客が一斉に改札口に押し寄せるので、バーコード読み取り式の改札機の前は、押すな押すな状態です。

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( TGVプラットホームへ入る改札機前の大混雑。青い縦の光線が改札機 )

ゴールデンウィーク中ですので、フランスに来ても、そこそこ日本人観光客と思しき皆様を見かけます。私たちの乗車した車両にも、あと2組ばかり日本人の方がいらっしゃいました。みんなTGVに乗ってモンサンミシェル詣です。

「自力でモンサンミシェルに行けるんだ」、という達成感にあふれた表情が忘れられません。どうやら、他の日本人は邪魔なので、目にしたくないようです。最初、私たちの座席に間違えて座っていたのに、「ごめんなさい」の一言どころか、口も開いてくれません。こちらが気に食わないようでした。

パリの空気は、旅慣れ始めた日本人観光客に対して麻薬のような効果をもたらすので、仕方ありません。

TGVは全車指定席です。みんな、思い思いのキップを持っています。フランス人の多くはキップに替わるスマホデータを保持していました。ガイジンと思しき旅行者の多くは、細長い厚紙のキップや、プリントアウトしたE-ticket利用です。私たちもE-ticketです。利用列車限定のため、刻印機でキップに乗車時刻を印字する操作は不要です。

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(TGVのE-ticket とバスのレシート状キップ(左下))

今日の下りTGVブレスト行は、10両一組の電車を2編成併結した長い編成ですが、私たちの乗った後ろ10両はレンヌ切り離しの編成でした。座席のほとんどが埋まっていて、改めて、TGV人気の高さや、レンヌの都市規模の大きさを実感しました。

パリを定刻に発車したTGVは、たった1時間28分で300km先のレンヌに到着。2017年より、全区間高速新線経由になったため、新線上の途中通過駅はありません。
学校で、「フランスで速いものと言えば、特急列車、郵便、エスプレッソ・コーヒー」と教わりましたが、そのとおりでした。


【2 レンヌ駅のバス乗換こそ勝負どころ 】

レンヌ駅でのTGVとモンサンミシェル直行バスの接続時間は、上り下りとも20分です。
理屈のうえでは、余裕があるように見えますが、ガイジン観光客にとっては、けっこう緊張する場面でした。

まず、レンヌ駅が現在、北口駅舎新築中のため、案内表示が分かりにくくなっています。
レンヌ駅北口工事中2019
( レンヌ駅北口。モダンな駅舎を建設中。画面左端のさらに左がバス・ターミナル)

そのうえ、駅舎とプラットホームをつなぐ通路が、地下と2階の両方にあるので、初めてレンヌに降り立つと、どちらへ行くべきか迷います。結論は、どちらを利用しても、北口の東側にあるバス・ターミナルに行けます。

レンヌ駅北口地下通路2019
( レンヌ駅地下通路。右のエスカレーター右方向がバスターミナル。
2階からのエスカーレーターで下ってきてもバスターミナルへ行ける )

うろうろ、どきどきしながらも、10分もすればバス・ターミナルに着くことができます。その日は、もう、モンサンミシェル行きの直行バスがターミナルに入ってきていました。大型の長いバスです。


【3 あせっても、あきらめず】

バスの周りに集まってきた人の多いことにびっくり。トランクを引きづった中国人らしき人たちが最も多く、続いてニッポン人、カナダ人かアメリカ人っぽい感じの人がバスを取り囲みました。

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( レンヌ駅バス・ターミナル4番線に入ったモンサンミシェル行き路線バス )

「えっ、こんなにいっぱい客がいるの・・・・・・」と、のけぞってしまいました。
「モンサンミシェル人気、あなどるべからず」です。

そして、乗車口にたどりついた私たちに運転手さんが告げたひとこと。
「キップは、あそこの窓口で買ってきて。今日は、車内販売なし!」

後で聞いたら、我が家のマダムは、この時点で、このバスには乗れないとあきらめたそうでした。

しかし、ここはフランス。あせっても、あきらめてはいけません。

運転手さんが指示したレンヌ駅構内の端にあるバス専用のキップ売場に行き、無事に人数分のキップを買い終えた私が戻ってきたときは、まだ10人くらい乗車待ちのお客がドアの前にいました。混雑のため、乗車に手間取っていたのです。ちゃんと、私の努力は報われ、予定したバスに間に合います。

「でも、運転手さん、すみません。もう空席ありませんが・・・・」
「えっ、そうなの?」
私たちのキップにチェックマークを入れた、くだんの運転手さんは、少しもあわてず、隣に止まっていたバスを指さしました。急きょ、続行便を出すことにして、2台目のバスが1台目のバスの横に到着していたのです。
「じゃあ、あっちの車両に乗ってね」

そして、隣のバスの運転手さんらしき人に何やら声掛けししています。あとで考えると、「キップはこっちでチェックした」旨のことを言ったようです。隣のバスの運転手さんも、何も言わずに1台目のバスの背後から現れた10人ばかりのお客を乗せてくれました。

そして、2台目のバスは、1台目のバスが発車した後も数分待機し、バス・ターミナルの中に旅の者と思われる格好をした人間がいないのを見届けると、おもむろにドアを閉めて発車しました。2台目のバスは、がらがらで、残り物には福がある状態で、快調に走ります。

バス内で打ち明けてくれましたが、我らがマダムは1台目のバスが満員になっただろうと推測した時点で、再度、1時間後の次の便を待つべく、あきらめムードになったとのことです。

もう一度繰り返します。勝手にあきらめてはいけません。

旅の移動は、何とかするの一心で、周りに聞きまくると、何とかなるものなのです。その日のモンサンミシェル行きのバスは臨機応変に続行便を手配した、ということは現地で初めて分かったことです。早々にあきらめて、駅の待合室に引っ込んでしまったら、2台目のバスの運転手さんのチェックにも引っ掛からずに置いてきぼりにされ、次のバスまで、本当に1時間待ったことでしょう。

MSMレンヌバス0429
( 中国人、日本人、北米人らで大盛況のモンサンミシェル行き直行バス )

また、ひとつ貴重な体験をしてしまいました。

結果論と言われればそれまでですし、ツアーではこんなことはできませんが、そこは個人の旅。何とかしようと、ちょっと動くと、何とかなります。旅慣れた皆さんの真価が、このようなときに如何なく発揮できます。



【4 行きが行きなら、帰りも同じ 】

モンサンミシェルへ電車とバスで来る観光客はパリ往復のパターンが大半を占めるようなので、往路のバスが混めば、当然、復路のバスにも人が集まります。

帰りの便も、バス停は黒山のひとだかり。
最初は、「キップを持っている人が優先です」と私に告げた運転手さんも、
「でも、接続のTGVの予約があるのです」と答えると、「分かった。オッケー」のひとことで、その場で車内発券です。フランス流の『魚心に水心』に感謝いっぱいの瞬間です。

そして、ラッキーなことに、あんなにいたはずのお客も、なんとバス1台に全員着席で乗り切れてしまいました。
運転手さんは、「さっき電話して、もう1台呼んだ」と、一応言っていましたが、案ずるより産むが易しだったのです。
「ああっ、フランス・・・・・・・」なのでした。

多くの乗客がいたため、レンヌ行きのバスは10分ほど遅れてモンサンミシェルを発車しましたが、運転手さんもTGV接続のことは分かっているので、途中の道を飛ばして走り、遅れ挽回の努力をしています。

それにもかかわらず、レンヌ駅には10分遅れで到着でしましたので、手に汗にぎる展開にやきもきしました。レンヌ駅にて早歩きでTGVホームへ着いたときは、もう所定の電車がホームに入っていました。
レンヌ駅2階TGV改札左0430
( レンヌ駅2階TGV専用改札口。3、4番線はTGV発車専用ホーム )

レンヌ駅に到着済TGV
( レンヌ駅にすでに到着して増結作業中のTGV )

私たちの乗るTGVは、レンヌで、2編成併結作業のため約8分停車するので、乗り遅れることはありませんでしたが、ひやひやものであったことは間違いありません。

結論。「よい子は、是非、チャレンジ精神を発揮し、ロスタイムの少ない『何とかなる』フランス鉄道旅行を楽しみたいものです」

説諭。「世界中どこだろうが、指定席の番号を間違えて座ったことが分かったときは、ひとこと、お詫びの言葉を添えて移動しましょう。『悪いのは、席を間違えたアンタなんだよ!』」

2019年5月 記         了


モンサンミシェルTGV利用時刻表2019

モンサンミシェルTGV利用時刻表2019

このテーマも、繰り返し書かれてきたテーマです。SNCF:フランス国鉄、の旅を知っている人には大して役に立たず、知らない人には複雑すぎる内容かも知れません。

MSM朝もやの風景0430
( 朝もやに霞むモンサンミシェル遠景 )

1 私のモンサンミシェル往復TGV利用時刻表 】

2019年4月に私がモンサンミシェル往復に利用したTGVとバスの時刻は以下のとおりでした。

1)往路
パリ・モンパルナス発9:57  TGV8009→ レンヌ着11:25  運賃指定席特急券込み1人片道超早割21ユーロ
レンヌ駅発11:45直行バス → モンサンミシェル(対岸)着 12:55 当日きっぷ大人1人15ユーロ

2)復路
モンサンミシェル(対岸)発10:05→  レンヌ駅着11:15 当日きっぷ大人1人15ユーロ
レンヌ発11:35  TGV8710→  パリ・モンパルナス着13:04 運賃指定席特急券込み1人片道超早割26ユーロ

モンサンミシェル滞在時間1泊2日で21時間
1人あたり往復交通費77ユーロ

TGVモンパルナス列車群0429
( パリ・モンパルナス駅に並ぶTGV )

実際にも、ストライキやTGVの遅れもなく、計画どおりのモンサンミシェル小旅行ができました。

「できて当然です。でも、ちょっと、ひやっとした場面がありました」


【2 手っ取り早くモンサンミシェル往復時刻を知る 】

ずばり、直行バスのサイトにアクセスすると、ピンポイントで所要の時刻表を閲覧できます。

https://keolis-armor.com/index.php

モンサンミシェルとレンヌ駅もしくはドル・ドゥ・ブルターニュ駅間の直行路線バスを運行する会社は、ケオリス・アルモール:keolis-armor、という名前です。SNCFも株主ですから、日本で言えばJRバスに近い感じでしょう。

サイトは、フランス語と英語の二言語があります。トップ画面に、英語ならば、「Go to  Mont-Saint-Michel」、フランス語ならば「Aller au Mont-Saint-Michel」という目次が出ています。画面を開き、青い字で強調されている ”schedule :時刻表”(フランス語はhoraires )のページを出すと、どんぴしゃりでモンサンミシェルまでのバス時刻表が、往路、復路それぞれ表示されます。接続するTGV時刻も書いてある便利な時刻表です。

「早く、それを言えよ!」
「だから、普通の方のもったいぶった内容のブログの順序を飛ばして、結論を先に出したじゃないですか」
「おそい!ニッポン人は、せっかちなんだぞお」

下の参考画面をごらんください。
AKeolisMSM時刻表例
( モンサンミッシェル往路のTGV+バス時刻表画面例 )


2019年4月現在、レンヌ発着のバスは、平日休日を問わず1日4往復です。ここ数年1日4往復体制です。
レンヌ発、9:45、11:45、12:45、16:45.
モンサンミッシェル発、10:05、11:20、14:05、18:05 
です。
片道運賃は大人1人15ユーロ。青年割引、老齢者割引、小児割引などがあります。

ドル・ドゥ・ブルターニュ発着のバスは、平日休日を問わず走る1往復に加えて土曜休日の下りのみ1便増発です。
ドル・ドゥ・ブルターニュ発10:55(毎日運転)、12:25(土曜休日運転)
モンサンミッシェル発 16:05(毎日運転)
片道運賃は大人1人8ユーロ。各種割引もあります。

モンサンミッシェル直行バスの本数が少ないので、どのバスに乗って、日帰りあるいは、日にちをまたいで往復するかを決めてからTGVを選びましょう。サイトのおすすめに従ってもよし、自分なりにレンヌ街歩きの時間を加えてもよしです。パリ発着のレンヌ方面行きTGVは、ほぼ1時間に1本の運転です。


3 TGVの時刻表や運賃を調べる

TGV時刻表調べは、SNCF:フランス国鉄:SNCFのOUI SNCF:(ウイ・エスエヌ・セーエフ)=(「はい、フランス国鉄」、という意味) というサイトにアクセスして行ないます。

https://en.oui.sncf/fr

最初の画面で、英語ならば、「train」、または、「 train tickets」を選択すると、乗車区間、日付、片道か往復か、利用人数や割引適用条件などを入力する画面になりますので、希望内容を入れて「search」で検索します。1文字くらい綴りを間違っても「これですか?」みたいな補正案を聞いてくるので、気軽に入力しましょう。

地名の綴りです。

パリ:Paris
モンパルナス(レンヌ方面のTGV発着駅):Montparnasse
レンヌ:Rennes
ドル・ドゥ・ブルターニュ: Dol de Bretagne
モンサンミシェル: Mont Saint-Michel
ポントルソン:Pontorson
ParisMNPS正面
( レンヌ方面行きTGVも発着するパリ・モンパルナス駅正面 )

フランス語は、発音が短い割に、文字数が多いので、うんざりという方もいますでしょうが、「郷に入っては郷に従え」で続けましょう。

本当にキップを買う場合は、サイトの会員になるために、個人名や連絡先、精算用のクレジットカード番号などを、画面の指示に従って登録します。

「えっ、けっこう面倒くさいなあ」
「日本だって、自分で旅行の手配をするときは、このくらいの条件検索するでしょ」
「でも、フランス語や英語は苦手だし」
「英語版があるし、少し慣れれば、コツはすぐ飲み込めますから、ご安心を」

パリ発レンヌまでのTGVの時刻と運賃表示例を添付します。
ASNCF OUI検索例
( OUI SNCF での時刻表、運賃検索画面例 )

TGVは、航空券予約と同じシステムです。早割はもちろん、発車時間帯や季節、曜日によってさまざまな割引、割増があります。日本の新幹線のように、大半は正規運賃で、例外的に割引や割増がある価格体系ではありません。また、運賃プラスTGV料金という発想もなく、TGV運賃一本建てです。自由席もありません。全車指定席です。

TGVキップの発売開始日は乗車日の3カ月前です。

ですから、
「早く買えば、それだけお得」
「割安なキップは、ほぼ、払い戻しや無料での変更が不可」

検索条件を、こちょこちょ、いじくって、お得な乗車パターンや、平日と週末の運賃差などを何となく理解することも必要です。

「ところで、ストライキなどで運休になった場合の返金はあるのですか」
「うーん。はっきり言って分かりません。事故で遅れた場合とかの取扱規程も書いてあるのでしょうが、そういうときは、『言ったもんがち』のケースもあると思います。個人旅行の醍醐味だと思って、是非、体験談を聞かせてください」
「はあーい」


【4 TGV+バスの連絡キップを買う】

な、なんと、モンサンミッシェルに関しては、さきほどの「OUI SNCF」の鉄道キップ購入画面で、パリ発着TGVでレンヌ乗換モンサンミッシェル行きバスの通しキップが買えます。激安、超早割運賃適用の組み合わせでは買えませんが、通常の早割運賃と正規のバス運賃の組み合わせなら購入可能。

例示画面のように、TGV通常早割35ユーロ+バス15ユーロ、合計片道1人あたり50ユーロという検索結果が表示されます。
ATGV検索モンサンミッシェルキップ201905
( パリ--レンヌ--モンサンミシェルのTGV+バス時刻と運賃表示 )

さすが、Keolis-armor社はSNCF系列だけあって、人気スポットまでの通しキップを取り扱うようです。

日本でも見習いたいサービスです。スカイライナーで上野へ出て北陸新幹線で長野へ行く、とか、東京から新幹線で名古屋乗換の近鉄特急で宇治山田駅往復などがサイトや駅にて1回の手間で買えると、本当に利用者フレンドリーだと思います。

最後になりましたが、こういう時刻表や、おすすめパターンは、モンサンミッシェルに限っては「地球の歩き方」に手際よく書いてあります。それほど、日本人のモンサンミッシェル詣での旅行パターンというのは定形化しているるのでしょう。そして、売れ筋のガイドブックというのは、すごいものだと改めて感心しました。

ただし、「パターンに乗らない歩き方」は、ほとんど教えてくれません。ですから、敷かれたレールを、さも自分で敷いたレールのように錯覚しながら進むのがよろしいようで。

2019年5月記   了
























































モンサンミシェルへの行き方の復習

モンサンミシェルへの行き方の復習    2019年4月訪問


【1  ツアーそれとも個人旅行】

2019年のゴールデン・ウィークに、家族ともども初めてパリから1泊2日でモンサンミシェルに行きました。幸い、天候にも恵まれ、圧倒的な存在感で眼前に迫る、正式名称「ル・モン・サン・ミシェル:Le Mont Saint-Michel 」の威容と賑わいを存分に堪能しました。

「いやあ、行って良かったあ」です。私も、長年の思いが、やっとかないました。

MSM夜景0429
( 夕闇せまるル・モン・サン・ミッシェル )

今回の観光は、いわゆる島内ホテルに宿泊した往復約27時間の小旅行。普通にキップを予約し、TGVと路線バスを乗り継いで往復する、皆様のよく言う個人旅行です。

モンサンミシェル観光は、ツアーが良いのか、個人旅行で行くのが良いのか、ブログやガイド本でも意見百出です。私は、各人の時間配分、フランス旅行ノウハウへの習熟度やチャレンジ力、ご予算などで変わるので、一概に優劣は決まらないと思っています。

我が家の場合は、のっけから自分たちで行くことにしていました。

*せっかく行くのだから1泊したい。
*1泊ツアーの標準パターンである、パリ早朝発、翌日夜半帰着のバス旅は長すぎ。
*自分たちで行く方が安いもんね。
*同行者がTGVに乗りたーい、と希望。

これらが我が家の個人旅行選択理由。私は、空気読めない系の性格なので、余程のことがない限り、先進国ではツアーの旅はしないことも隠れた理由です。


【2  パリとモンサンミシェルの標準往復ルート】

パリからモンサンミシェルへ公共交通機関で往復する場合の一般的なルートは、パリからレンヌへTGVで行き、モンサンミシェル行き直行路線バスに乗り換えるという行程です。

もう、言い尽くされていますが、何回でも記録しておいて損はないと思います。

1) パリ ⇔ レンヌ:Rennes はTGVで往復。片道1時間30分弱から2時間。約1時間ごと。

TGVouiモンパルナス駅20190430
( パリのモンパルナス駅のTGV。左が格安ウイゴー車両、右が一般車両 )

2) レンヌ ⇔ モンサンミシェル対岸は、ケオリス・アルモール社:Keolis Armor、の直行路線バスで往復。片道70分。TGV接続で1日4往復。

MSMレンヌバス0429
( モンサンミシェル対岸のバスターミナルに着いた直行路線バス )


3) モンサンミシェルの対岸と島の入口は無料シャトルバスのパスー(パスール):Passeur、で約15分。朝7時から夜中の12時ごろまで5分から15分おきくらいに、適当な間隔で運転。

MSMPaseur0430
(モンサンミッシェルの対岸と本島を結ぶ無料シャトルバス)

このルートだと、何と、パリからモンサンミシェル対岸の路線バスタ-ミナルまで、片道3時間を切るスピードで行けるのです。

「は、速い!」

パリからモンサンミシェルまでは350km以上ありますので、TGVの威力に脱帽です。かつて、モンサンミシェルと言えば、「パリから遥か彼方のノルマンディーの寒村の先にそびえ立つ辺境の有名観光地」のイメージでした。交通網の発達で、いまや、多少無理すればパリ日帰り圏の観光地になったことを実感しました。

東京から伊勢神宮まで日帰り観光する感じです。途中乗換え1回で、1点張りの豪華観光スポットへ多少の強行軍で往復する旅程が、何となく似ていませんでしょうか。


【3 その他のモンサンミシェル往復ルート】

ちなみに、パリ発の他のモンサンミシェル往復ルートは、

①ツアー・バスで片道4-5時間、
②フランス国鉄SNCFのTGVで、レンヌではなく、ドル・ドゥ・ブルターニュ:Dol de Bretagne という駅で直行路線バスに乗り換え、
③SNCFの在来線で、近隣のポントルソン・ルモンサンミシェル:Pontorson-Le Mont Saint Michel、という駅まで行って路線バスに乗り換え、
④高速バスでレンヌまで行き、一般ルートで書いたレンヌ⇔モンサンミシェル間の直行路線バスに乗り換え、

です。

もちろん、クルマで行く選択肢もあり、フランス人や近隣諸国の人たちの多数派は、クルマでモンサンミシェル観光にやってきます。

皆さんも、時と場合と予算に応じてルートやスケジュールを選択しましょう。

是非、モンサンミシェルに行きたい場合は、個人旅行で1泊がおすすめです。冬場ならば天候不順や霧に備えて滞在時間を長めに取る計画が良いと思います。「霧で見えなかった」モンサンミシェル観光ほど悲惨な旅はありません。

観光地めぐりの数をこなす場合は、論をまたずにパリ発の日帰りツアー、TGVでの日帰り旅行、または、モンサンミシェル1泊が組み込まれたフランス・ツアーの選択が良いと思います。霧でも嵐でも、人混みにもみくちゃにされながら参道を歩いても、「モンサンミッシェルに行った」という、厳然とした事実は微動だにしないからです。


2019年5月記   了





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