少しずつ変わるガッレリア 2018年3月訪問
1) 定番ミラノその2
ミラノの定番その2は、ガッレリアです。
ヴィットリオ・エマニュエーレ2世のガッレリア:Galleria Vittorio Emanuele Ⅱ、というのが正式な呼称ですが、長いので、普段は「ガッレリア」の一言で済ましています。
ドゥオーモの北隣りにあるので、ドゥオーモ観光に来ると99%足を伸ばします。ガッレリアの先にあるスカラ座の見物と合わせ、三位一体となったミラノ屈指の観光ポイントです。
ドゥオーモ広場から見えるガッレリアの、端正で左右対称な姿は記憶に残る風景です。
( ガッレリアのドゥオーモ広場口 )
ガッレリアは、1877年の完成以来、もう140年以上も、あまり変わらない姿で鎮座しています。正確には第二次世界大戦で大破し、戦後、もとどおりの姿に忠実に修復、再現したものです。
私は、30年以上前に初めてガッレリアを見ましたが、外観はおんなじ。その間に煤けた壁を洗ったので、いまの方が、ずうっと小ぎれいです。観光ブームになると収入もあがるので、名所旧跡もお洒落ができて一石二鳥です。
よく見ると、ドゥオーモ広場ヴィットリオ・エマニュエーレ2世の銅像周りは、かつて、芝生であったことが分かります。人が増え、イベントをひんぱんにするようになってから、芝生も石畳に様変わりしたようです。
( ガッレリア。1988年9月ごろ )
逆を言えば、新たに観光客を呼び込みたかったら、建物や街路を驚くほど小ぎれいにすることです。
観光客は、史実や現実を見に来るのではありません。「こうであってほしい」と思っているものを見にくるのです!
2)巨大な商店街
ガッレリアは、巨大なアーケード式のショッピングセンターです。実際にやってきて入口付近に立つと、かなり迫力があります。グーグルマップのストリートビューでは、決して味わえません。そのうえ、アーケード内に並んでいる有名店にも、本当に入れます。
ガッレリアの中にいると、当時の最先端を狙ったショッピングセンターを作ったミラノの意気込みを感じます。現代風に考えると、銀座交差点一帯を立体化して大きなドームで覆い、エスカレーターやブランドショップを縦横無尽に配した、超おしゃれなショッピングセンターを作った感じでしょう。
( ドゥオーモ脇から見るガッレリア )
ガッレリアの反対側出入口も、観光客には、十分に馴染みの風景です。スカラ座前から見ると、レオナルド・ダ・ヴィンチの銅像越しに、ガッレリアが見えます。ガイドさんにせかされていると、スカラ座方向ばかりに気を取られてしまいますが、ちょっと、振り返ってみたいものです。
「ミラノも人生も、振り返って見ると、意外な発見があるかも」
「あんまり、面白くない見映えですね」
( スカラ座前から見るガッレリア )
3) ガラスとレリーフと有名店
ガッレリア名物のガラスのドームや、壁面、床面などは、140年来あまり変わっていないようです。各自、各様に素敵な空間を楽しみます。
( ガッレリア名物のガラスのドーム )
陽が暮れると、明かりがともり、たくさんの人出とあいまって良いムードになります。ゆったりとしてセンスのよい大人のショッピング空間という雰囲気を感じました。
いつでも、どこでも、光のショーにはうっとりします。
( 夕暮れのガッレリア中央通路 )
( ライトが映えるガッレリア中央付近 )
( 30年前のガッレリア中央付近 )
ミラノに住んでいる人々は、四季折々のガッレリアを楽しんでいることと思います。美しい床のレリーフも、当局のこまめな修理のおかげで、ピカピカに保たれています。私は、クリスマスの飾りつけのあるガッレリア風景が印象に残っています。クリスマスのきらびやかな飾りつけで、冬の薄暗い気分が少し晴れます。
( クリスマスの飾りつけのあるガッレリア。2001年12月 )
4) また来る日まで
ガッレリアのお店は少しずつ変わっています。ミラノ市が家賃を大幅に値上げしたときは、がらりと変わったようです。そう言えば、スカラ座に出るあたりにあった画商のお店も、なくなっていました。ガッレリアのテナントの変遷は、取りも直さず、ミラノが生きているということの証です。
30年前、100年前と変わらない店があり、変わらぬサービスがあることは、たまの訪問者に取っては嬉しい限りですが、都市が生き抜くためには、やっぱり、刻々と競い合い、最先端でありたいと努力する姿勢が不可欠です。
( ガッレリア内のPRADA本店。ミラノでは新しいほうの有名店 )
例えば、2018年2月にガッレリアの十字路の一角に移転してきたレストラン兼バルの「CRACCO」(クラッコ)は、テレビで人気のシェフの直営店。ミラネーゼと世界中の人々の舌を、うならせています。
そのうち、我らがニッポン人のミラノ旅行記にも、しばしば登場するようになることでしょう。
( 人気シェフの店CRACCO。2018年2月に移転してきて開店 )
そういう意味で、ミラノは、イタリアでは例外的なイメージの都市かも知れません。ルネサンスの遺品や遺産を、整然と並べている観光地とは、いつまでも一線を画していてほしいものです。
ガッレリアを見ていると、ミラノの実力を感じます。
「次に行ったときは、何が変わっているのかな」、と楽しみです。
2018年7月記 了
1) 定番ミラノその2
ミラノの定番その2は、ガッレリアです。
ヴィットリオ・エマニュエーレ2世のガッレリア:Galleria Vittorio Emanuele Ⅱ、というのが正式な呼称ですが、長いので、普段は「ガッレリア」の一言で済ましています。
ドゥオーモの北隣りにあるので、ドゥオーモ観光に来ると99%足を伸ばします。ガッレリアの先にあるスカラ座の見物と合わせ、三位一体となったミラノ屈指の観光ポイントです。
ドゥオーモ広場から見えるガッレリアの、端正で左右対称な姿は記憶に残る風景です。
( ガッレリアのドゥオーモ広場口 )
ガッレリアは、1877年の完成以来、もう140年以上も、あまり変わらない姿で鎮座しています。正確には第二次世界大戦で大破し、戦後、もとどおりの姿に忠実に修復、再現したものです。
私は、30年以上前に初めてガッレリアを見ましたが、外観はおんなじ。その間に煤けた壁を洗ったので、いまの方が、ずうっと小ぎれいです。観光ブームになると収入もあがるので、名所旧跡もお洒落ができて一石二鳥です。
よく見ると、ドゥオーモ広場ヴィットリオ・エマニュエーレ2世の銅像周りは、かつて、芝生であったことが分かります。人が増え、イベントをひんぱんにするようになってから、芝生も石畳に様変わりしたようです。
( ガッレリア。1988年9月ごろ )
逆を言えば、新たに観光客を呼び込みたかったら、建物や街路を驚くほど小ぎれいにすることです。
観光客は、史実や現実を見に来るのではありません。「こうであってほしい」と思っているものを見にくるのです!
2)巨大な商店街
ガッレリアは、巨大なアーケード式のショッピングセンターです。実際にやってきて入口付近に立つと、かなり迫力があります。グーグルマップのストリートビューでは、決して味わえません。そのうえ、アーケード内に並んでいる有名店にも、本当に入れます。
ガッレリアの中にいると、当時の最先端を狙ったショッピングセンターを作ったミラノの意気込みを感じます。現代風に考えると、銀座交差点一帯を立体化して大きなドームで覆い、エスカレーターやブランドショップを縦横無尽に配した、超おしゃれなショッピングセンターを作った感じでしょう。
( ドゥオーモ脇から見るガッレリア )
ガッレリアの反対側出入口も、観光客には、十分に馴染みの風景です。スカラ座前から見ると、レオナルド・ダ・ヴィンチの銅像越しに、ガッレリアが見えます。ガイドさんにせかされていると、スカラ座方向ばかりに気を取られてしまいますが、ちょっと、振り返ってみたいものです。
「ミラノも人生も、振り返って見ると、意外な発見があるかも」
「あんまり、面白くない見映えですね」
( スカラ座前から見るガッレリア )
3) ガラスとレリーフと有名店
ガッレリア名物のガラスのドームや、壁面、床面などは、140年来あまり変わっていないようです。各自、各様に素敵な空間を楽しみます。
( ガッレリア名物のガラスのドーム )
陽が暮れると、明かりがともり、たくさんの人出とあいまって良いムードになります。ゆったりとしてセンスのよい大人のショッピング空間という雰囲気を感じました。
いつでも、どこでも、光のショーにはうっとりします。
( 夕暮れのガッレリア中央通路 )
( ライトが映えるガッレリア中央付近 )
( 30年前のガッレリア中央付近 )
ミラノに住んでいる人々は、四季折々のガッレリアを楽しんでいることと思います。美しい床のレリーフも、当局のこまめな修理のおかげで、ピカピカに保たれています。私は、クリスマスの飾りつけのあるガッレリア風景が印象に残っています。クリスマスのきらびやかな飾りつけで、冬の薄暗い気分が少し晴れます。
( クリスマスの飾りつけのあるガッレリア。2001年12月 )
4) また来る日まで
ガッレリアのお店は少しずつ変わっています。ミラノ市が家賃を大幅に値上げしたときは、がらりと変わったようです。そう言えば、スカラ座に出るあたりにあった画商のお店も、なくなっていました。ガッレリアのテナントの変遷は、取りも直さず、ミラノが生きているということの証です。
30年前、100年前と変わらない店があり、変わらぬサービスがあることは、たまの訪問者に取っては嬉しい限りですが、都市が生き抜くためには、やっぱり、刻々と競い合い、最先端でありたいと努力する姿勢が不可欠です。
( ガッレリア内のPRADA本店。ミラノでは新しいほうの有名店 )
例えば、2018年2月にガッレリアの十字路の一角に移転してきたレストラン兼バルの「CRACCO」(クラッコ)は、テレビで人気のシェフの直営店。ミラネーゼと世界中の人々の舌を、うならせています。
そのうち、我らがニッポン人のミラノ旅行記にも、しばしば登場するようになることでしょう。
( 人気シェフの店CRACCO。2018年2月に移転してきて開店 )
そういう意味で、ミラノは、イタリアでは例外的なイメージの都市かも知れません。ルネサンスの遺品や遺産を、整然と並べている観光地とは、いつまでも一線を画していてほしいものです。
ガッレリアを見ていると、ミラノの実力を感じます。
「次に行ったときは、何が変わっているのかな」、と楽しみです。
2018年7月記 了