バスクのお得なきっぷ      2017年9月情報


その2   お得なきっぷ、便利なカード


1)  バリクカード  barikcard


ビルバオとビスカヤ県一帯を電車やバスで移動するならば、バリクカードが便利でお得です。

バリクカードは、日本のSuica、Icoca、Pasmo のようなIC系交通カードです。ただし、お買い物はできません。その代わり、現金払いの運賃より2割引きくらいで該当路線の電車、バスに乗れます。


バリクカードの表と裏です。裏面の上半分がウスケラ表記、下半分が、いわゆるスペイン語表記です。
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(Barikcardの表裏)

カードデザインは、とてもシンプルですが、センスの良さを感じます。右の指紋デザインは、街中アートからの流用で、オリジナルの屋外彫刻は、市内を見晴らせるアルチャンダ公園の一角に鎮座しています。

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 (アルチャンダ公園。指紋の彫刻の写真は撮り忘れました)


バリクカードの詳細は、メトロビルバオのウェブサイトに載っています。
https://www.metrobilbao.eus/en

1枚3ユーロ、有効期限なし、10人まで同時利用可能、クレジットカードで購入やチャージ可。メトロの他、ビルバオ市内バス、ビスカイバス、スペイン国鉄のRENFEとFEVE、ケーブルカー、そしてビスカヤ橋の通常利用で通用します。運賃は、現金払い額のおおむね2割引き。メトロの駅の自動販売機もしくは周辺の提携店舗で販売中。

何と言っても、不慣れな外国で、毎回、きっぷを買う手間が省けるし、小銭をその度ごとに用意することもなくなります。

ビルバオ都心部の均一区間の運賃は2017年9月現在で0.90ユーロ、ビスカヤ橋の最寄り駅までの片道運賃は1.07ユーロです。ざっくり言って、まる2日間、ビルバオ街歩きをしようとしているならば、バリクカードの初回最低購入額13ユーロを買っても損はないと思います。
ビルバオ土産は少ないので、記念品にもなります。

「えっ、何ですって? ”Barikcard自体を買うことが不安” ですか?」
「それもそうですね。外国ですものね」
「日本でも、電車やバスに乗り慣れていない人が、海外に行ったら、そりゃ、たまらんわ」

いろいろ、あるようですが、何とかなります。

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 (ビスカヤ橋の自動改札機。出っ張っている部分がカードタッチ場所。タッチが有効な場合は、バーが開いて通行できます)


2017年4月からバリクカードの定期券版が本格スタート。
30日有効期間中の70回利用券とか、高齢者向けのカードなどがある旨ウェブサイトに書いてあります。写真付きカードになるので、発売は、有人のカスタマーセンターのみ。観光客向きではありませんが、運賃は3割引き、5割引きの感じです。日本と違って、大幅割引の通勤通学定期券制度が少ないヨーロッパ諸国の中では、目立ったサービスです。

単なる紹介のはずが、バリクカードの宣伝になってしまいました。

ビルバオ市では、バリクカードとは別に、地下鉄と市電の市内均一区間のフリー乗車券に観光施設割引券のついた”ビルバオビスカヤカード”、略称BBCカードを発売しています。24時間券10ユーロ、48時間券15ユーロです。郷土博物館のような場所まで、こまめに入場するくらいの気概の方ならば、役立つようなイメージです。



2) サンセバスチャアンカード、バスクカード

美食都市ドノスティア(Donostia)、 スペイン語名、サン・セバスチャン(San Sebastian) でも、いわゆるツーリストカードの宣伝に余念がありません。観光案内所で紹介されたのは、市内向けの ”サンセバスチャアンカード”、と郊外を含む広域用の ”バスクカード”でした。

ドノスティアランス語版交通カード案内パンフ2017

ドノスティアウスケラと仏語版交通カード案内2017
(ウスケラとフランス語によるサンセバスチャン・カードとバスク・カードの紹介:出典ドノスティア・サンセバスチャン観光案内所パンフレット)

総論として、”10日有効”、ということで、端から日本人観光客向けではない感じです。
発想の原点が、「ゆっくり滞在して、あるときにはバスで出かけ、ある時には市内をブラブラする」、という滞在型観光客の行動を前提にしています。1泊2日や2泊3日で、三ツ星レストランや、ランキング上位のピンチョス・バルを歩き回る場合、こういうカードは使い勝手が良くありません。

私が寄った観光案内所のスタッフが調べた結果、期間限定で、バス用の6ユーロ券があることが分かりました。パンフレットに”6、12”の手書き文字が入っているのは、そのためです。それでも1回1.70ユーロの市内バスに4回乗らないと元が取れません。「オラ!ようこそドノスティアへ!」と、笑顔で接客してくれたお姉さんには残念でしたが、利用しないことに決めました。

結果として、バスに乗ったのは2回限りでした。バルめぐりは徒歩なので、あんまりバスには乗らないのです。

「やっぱり、普通の日本人の旅行ペースなんて、こんなものかな」と、サンセバスチャン・カードのパンフレットを見返して、寂しくなりました。

また、MugicardというSuica相当のバス、電車用カードがあるそうですが、バスカード以上に、一見の者には縁遠いカードでした。



3) パスバスク:Passbask

パスバスクは、スペイン側のウスコトレン社と、フランス国鉄SNCFの共同企画フリーきっぷです。
お得感があります。2)のバスクカードとは全くの別物です。

パスバスクは、ドノスティア・ラサルテからエンダイア間のウスコトレン(バスク鉄道)と、アンダイとバヨンヌ間のSNCFの、ほぼ全列車が乗り放題というフリーきっぷです。値段は12ユーロで、使用開始日と、その翌日有効。利用圏内の主要駅窓口で発売しています。

この12ユーロという値段は、バヨンヌからドノスティアまでの片道運賃額より、少し高いくらい。私も、試しに利用しました。

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 (Passbask  きっぷの購入時のセット。下がフランスSNCF区間のフリーきっぷ。上の2/2がウスコトレンの1日乗車券の引換用バウチャー)

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(バヨンヌ駅のSNCFのセルフ式改札機)

SNCF部分の切符を使い始めるときは、ご自身で刻印することを忘れないようにしましょう。これを怠ると、キセル乗車とみなされます。

パスバスクは、派手な宣伝こそないものの、地道に売れているようです。日本人のブログ旅行記でも、一人か二人、パスバスクのことに触れている人を見つけました。こまめに節約型旅行を実践する方々がいるようで、少し感動しました。

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(下のきっぷが、ウスコトレンの指定区間1日乗車券。大きな文字の「Kutxabank」は、銀行の宣伝ロゴで、きっぷの内容と無関係です)


自分の旅行プランに適したお得な切符や、期間限定の割引券をGETしたりすると、旅の達成感が不思議と高まります。


    その2 了