ムーリ・ア・セッコに沿って歩く   2018年9月訪問


ムーリ・ア・セッコ(Muri a secco:単数形はムーロ・ア・セッコ)は、『乾いた壁』という意味の、農地や土地の境目を仕切る腰から肩くらいの高さの石積みの塀です。シチリアのラグーザ一帯でしか見ることのできない風景だそうです。

ラグーザ市街地のはずれに広がるムーリ・ア・セッコに沿って歩いてみました。クルマで農村地帯に行き、丘の斜面に連なるムーリ・ア・セッコを心ゆくままに展望すればよいのでしょうが、そこまで移動手段がないので街はずれのムーリ・ア・セッコ体験を楽しみました。
201809Mラグーザ西セッコの石積近影
( ムーリ・ア・セッコで仕切られた農地)

ご当地を開墾したときに出てきた、ごつごつした石灰石の角を適当に砕き、崩れないように積み上げた様子を実際に見ることができて、とても満足です。見ているだけでは簡単に作れそうな感じですが、実際の作業は、かなりの熟練が必要とのこと。ちょっとやそっとでは、石積みがゆがんだり崩れたりしないようにバランスを取り、見た目もすっきりと仕上げるのは難しいとのことです。
201809Mムーリアセッコとカンルーバの木と草地
( 簡単に積めそうで積めないムーリ・ア・セッコ )
ラグーザムーロアセッコと馬の放牧Sep2018
( ムーリ・ア・セッコの連なる牧草地 )

ふたつとして同じパターンがない石積みの塀が延々と続く風景こそ、ラグーザの隠れた見どころの一つだと改めて感じました。これも、映画「カオス・シチリア物語」に魅せられたからこと気づいた風景。遠路はるばる旅をした甲斐がありました。

2020年12月記                        了