シラクーザのディオニシオの耳の中で   2018年9月訪問

ギリシャ劇場を出て、次は「ディオニシオの耳: Orecchio di Dionisio 」と呼ばれる洞窟に向かいます。

この洞窟は、写真のように、天井がとても高い割に奥行きがあまりない構造です。

シラクーザネアポリスディオニシオの耳入口Sep2018
( ディオニシオの耳の入口 )

実際に洞窟の入口に来ると、耳の形をしているんだなということが実感できます。
どうして、このような形の洞窟ができたかは、いっさい解説がありません。耳のことばかりに気を取られていて、水の流れや、岩がえぐり取られるまでの長い年月のことは忘れてしまったようです。

洞窟に入っていくと、外の暑さを忘れる程度に涼しい空気が充満しています。ほっとするひとときです。

シラクーザネアポリスディオニシオの耳の天井Sep2018
( ディオニシオの耳の天井を見上げて )

見上げるばかりの高さに、鋭角の天井が、奥の方に向かって、うねうねと続いています。何だか、サザエの穴に入って行くような気になりました。浅くとぐろを巻くように、うねっている感じです。

シラクーザネアポリスディオニシオの耳の中Sep2018
( グループ客は、ついついハミング )

中は、観光案内に書いてあるとおり、見物客の声が響きます。みんな普通にしゃべっているようです。拍手をする人もいますし、奥の方からもエコーが聞こえてきました。たぶん、ドイツ人ツアー客でしょうが、10人くらいのグループが讃美歌のようなリズムの曲を歌って、周囲から、やんややんやの喝采を浴びていました。一人かカップルだったら、プロ並みの自信がない限り、絶対に歌など唄わないでしょう。群衆心理は、どこでも同じなんだなと、妙に納得したことを覚えています。

洞窟の行止りまで行って、折返してくるころには、炎天下のギリシャ劇場でかいた汗もすっかり引いていました。
「さて、そろそろ、次の見物先に行くか」

2020年7月記                            了