オルティージャ島を一周しよう 2018年9月
シラクーザのオルティージャ島の周囲をぐるりと歩いてみました。(Ortigia, Siracusa)
下の写真は、観光案内所などで配っているオルティージャ島観光案内用の地図です。
( シラクーザ観光案内所で入手したオルティージャ島全図 )
島の左上にある3本の橋のあたりから右周りに1周し、左のに白い埠頭部分を通って出発点に戻るコースです。約3km、休まず歩けば1時間ほどのお散歩コースです。
「観光に来たんだから、それはないでしょう」
「ご名答。右や左に視線を向け、海を隔てた本土の景色も目に入れ、道半ばでバルに寄って一息したら3時間以上かかってしまいました」
まず、本土と島をつなぐウンベルティーノ橋の上から眺めた旧郵便局庁舎。再開発でデラックスホテルになるとか。
( 左が本土、右がオルティージャ島。正面の建物が旧郵便局 )
島の東側は、普通の住宅地です。観光客も少なく、安めのホテルや民宿も、ちらほら並んでいます。
ランチタイムを過ぎると、お日様が島の反対側を照らすようになるので、こっち側は陰になって、少し黒ずんだ風景になります。人も少ないので、とぼとぼ、うじうじ歩くのには最適です。
( オルティージャ島の東側の磯と街並み )
( 岩の上では市民らが甲羅干し )
島の周囲は、磯かコンクリートで固められた護岸です。ところどころに張り出した岩の上には、少なくない数の市民らが集まり、のんびり甲羅干し。岩のうえで、ごろごろするトドやオットセイを眺めている気分でした。
( 島の南端の要塞公園から東側を見る )
島の周囲は、意外と切り立った壁に囲まれています。200-300年くらい前のデザインの建物で統一した街並みが美しく午後の陽ざしに照らされています。けれども、そのうち何割かは戦後、復元した建物のようです。観光都市の面目躍起のスカイラインです。
けれども、これを作るのは大変だと思います。日本の歴史的景観地区の街並みを思い出してください。目に入る限りの広がりで、しっぽり、ゆったりした江戸時代風の街並みが目に入る場所なんて、滅多にありません。
( 海に突き出たマニアーチェ要塞と、入口前の公園広場 )
ぶつぶつ言っているうちに、島の南端に突き出たマニアーチェ要塞 (Castello Maniace )にたどりつきました。要塞の本丸は、どうしたことか閉館中でしたが、入口前の広場風公園では、皆が思い思いに腰掛けて恋を語り、足を休めていました。
こういう、のんびりとした午後の風景に心が癒されます。
暑さで喉が渇いたので、島の西側にまわり込んで、観光気分丸出しのバルで一休みしましょう。風景料込みなので、グラス1杯の飲物でもけっこうなお値段がします。
( マニアーチェ要塞の北の西海岸沿いのバルのテラス )
英気が戻ったところで、今度は、島の西側を北上します。こんもりとした緑のある場所が、アレトゥーザの泉:Fontana Aretusa です。寄り道するもしないも自由です。
( アレトゥーザの泉と島南端方向の眺め )
アレトゥーザの泉を過ぎると、眼前に豪華ヨットが並んだ埠頭や、オレンジの木がいっぱい植えてある埠頭公園が見えてきます。
その向こうに見える、とんがり屋根の奇抜な建物が、ラクリメ聖堂( Santurio della Madonna delle Lacrime ) です。歴史的景観をウリにするシラクーザなので、この建物の評価については賛否両論があるようです。ちなみに、私は賛成派。断トツに高いわけでもなく、曲線がある建物なので街の景観に溶け込んでいると思いました。
「別に、いいんじゃない。これくらい」
( シラクーザ観光埠頭と右奥のラクリメ聖堂 )
さきほど、上から見下ろした観光埠頭の海岸縁に降りてみました。
「西日に輝く歴史的デザインの建築物が映えますねえ」
( 埠頭の海岸縁から見上げたオルティージャ島西側 )
( 港内クルーズ船の宣伝と乗り場 )
埠頭の一角には、お決まりの港内クルーズ船乗り場や売店などがあり、お兄さん、お姉さんが、のんびりと客引きとおしゃべりをしていました。シラクーザは、有名観光地なのですが、がつがつした雰囲気がほとんどありません。
「豊かで余裕があるのか、やる気がないのか、どっちなんでしょう?」
そうやって、ぶらぶらと足を進めているうちに、出発地点に戻ってきました。観光埠頭の隣は、地元の小舟の船着き場らしいです。ゴミが多く、捨てられた魚の腐った匂いが漂っていて、あんまり気分の良い場所ではありません。
「写真だけ見ると、明るく素朴な観光地の港風景なのですけれどねえ」
( 地元船用の岸壁風景 )
写真というか、ヴァーチャル観光最大の欠点は、温度と匂いを感じられないことだ、と改めて思った次第です。
2020年6月記 了
シラクーザのオルティージャ島の周囲をぐるりと歩いてみました。(Ortigia, Siracusa)
下の写真は、観光案内所などで配っているオルティージャ島観光案内用の地図です。
( シラクーザ観光案内所で入手したオルティージャ島全図 )
島の左上にある3本の橋のあたりから右周りに1周し、左のに白い埠頭部分を通って出発点に戻るコースです。約3km、休まず歩けば1時間ほどのお散歩コースです。
「観光に来たんだから、それはないでしょう」
「ご名答。右や左に視線を向け、海を隔てた本土の景色も目に入れ、道半ばでバルに寄って一息したら3時間以上かかってしまいました」
まず、本土と島をつなぐウンベルティーノ橋の上から眺めた旧郵便局庁舎。再開発でデラックスホテルになるとか。
( 左が本土、右がオルティージャ島。正面の建物が旧郵便局 )
島の東側は、普通の住宅地です。観光客も少なく、安めのホテルや民宿も、ちらほら並んでいます。
ランチタイムを過ぎると、お日様が島の反対側を照らすようになるので、こっち側は陰になって、少し黒ずんだ風景になります。人も少ないので、とぼとぼ、うじうじ歩くのには最適です。
( オルティージャ島の東側の磯と街並み )
( 岩の上では市民らが甲羅干し )
島の周囲は、磯かコンクリートで固められた護岸です。ところどころに張り出した岩の上には、少なくない数の市民らが集まり、のんびり甲羅干し。岩のうえで、ごろごろするトドやオットセイを眺めている気分でした。
( 島の南端の要塞公園から東側を見る )
島の周囲は、意外と切り立った壁に囲まれています。200-300年くらい前のデザインの建物で統一した街並みが美しく午後の陽ざしに照らされています。けれども、そのうち何割かは戦後、復元した建物のようです。観光都市の面目躍起のスカイラインです。
けれども、これを作るのは大変だと思います。日本の歴史的景観地区の街並みを思い出してください。目に入る限りの広がりで、しっぽり、ゆったりした江戸時代風の街並みが目に入る場所なんて、滅多にありません。
( 海に突き出たマニアーチェ要塞と、入口前の公園広場 )
ぶつぶつ言っているうちに、島の南端に突き出たマニアーチェ要塞 (Castello Maniace )にたどりつきました。要塞の本丸は、どうしたことか閉館中でしたが、入口前の広場風公園では、皆が思い思いに腰掛けて恋を語り、足を休めていました。
こういう、のんびりとした午後の風景に心が癒されます。
暑さで喉が渇いたので、島の西側にまわり込んで、観光気分丸出しのバルで一休みしましょう。風景料込みなので、グラス1杯の飲物でもけっこうなお値段がします。
( マニアーチェ要塞の北の西海岸沿いのバルのテラス )
英気が戻ったところで、今度は、島の西側を北上します。こんもりとした緑のある場所が、アレトゥーザの泉:Fontana Aretusa です。寄り道するもしないも自由です。
( アレトゥーザの泉と島南端方向の眺め )
アレトゥーザの泉を過ぎると、眼前に豪華ヨットが並んだ埠頭や、オレンジの木がいっぱい植えてある埠頭公園が見えてきます。
その向こうに見える、とんがり屋根の奇抜な建物が、ラクリメ聖堂( Santurio della Madonna delle Lacrime ) です。歴史的景観をウリにするシラクーザなので、この建物の評価については賛否両論があるようです。ちなみに、私は賛成派。断トツに高いわけでもなく、曲線がある建物なので街の景観に溶け込んでいると思いました。
「別に、いいんじゃない。これくらい」
( シラクーザ観光埠頭と右奥のラクリメ聖堂 )
さきほど、上から見下ろした観光埠頭の海岸縁に降りてみました。
「西日に輝く歴史的デザインの建築物が映えますねえ」
( 埠頭の海岸縁から見上げたオルティージャ島西側 )
( 港内クルーズ船の宣伝と乗り場 )
埠頭の一角には、お決まりの港内クルーズ船乗り場や売店などがあり、お兄さん、お姉さんが、のんびりと客引きとおしゃべりをしていました。シラクーザは、有名観光地なのですが、がつがつした雰囲気がほとんどありません。
「豊かで余裕があるのか、やる気がないのか、どっちなんでしょう?」
そうやって、ぶらぶらと足を進めているうちに、出発地点に戻ってきました。観光埠頭の隣は、地元の小舟の船着き場らしいです。ゴミが多く、捨てられた魚の腐った匂いが漂っていて、あんまり気分の良い場所ではありません。
「写真だけ見ると、明るく素朴な観光地の港風景なのですけれどねえ」
( 地元船用の岸壁風景 )
写真というか、ヴァーチャル観光最大の欠点は、温度と匂いを感じられないことだ、と改めて思った次第です。
2020年6月記 了