やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

2019年12月

アンコールワットのいかついデヴァターたち

アンコールワットのいかついデヴァターたち        2019年10月訪問

アンコールワット遺跡群と聞くと、ついつい壮麗でユニークな形の建築美を想像しますが、実は、レリーフ、彫像類も見事でした。
1131Aワット全景斜め南より1025
( 熱帯の午後の陽光に映えるアンコールワット全景 )

私も、現地へ来てそのことに気づき、アンコール遺跡の素晴らしいレリーフに見とれてしまいました。ヒンドゥー教に題材を得ているものの、レリーフには神あり、象あり、戦争あり、生活あり、そして女神ありです。特に、デヴァターと呼ばれる女神に模した上半身裸の女性像は必見です。不勉強のため、なぜ上半身裸なのか分かりません。

ガイドブックなどによると、モデルは、当時の宮廷にいた女官を中心に本物の女性であったため、二つとして同じ表情のデヴァターはないのだそうです。

「ヒンドゥー教の現世的な面が良く分かる成り立ちですね」
「そうですよ。何事も本能の赴くままに」

そういう訳で、デヴァターを見れば、何人もさわりたくなるのは仕方ないことだと思いました。その、おさわりのお蔭で、デヴァター像はくっきり、すっきり目立っています。手垢の色も混じって、赤っぽく黒光りしている場面は、とても魅力的でした。いけないこととは知りながら、私も、ちょっと手が出てしまいました。

アンコールワットの十字回廊から第2回廊と第3回廊の間あたりには、すぐそばまで寄れるデヴァターが壁にいっぱい並んでいます。まずは、とくと、ご覧あれです。
0025Aワット午後第2回廊レリーフ1025
0667Aワット第2回廊壁デヴァダー1022

0743Aワット午後第2回廊レリーフ1025 (10)
0743Aワット午後第2回廊レリーフ1025 (9)
(アンコールワット内のデヴァターいろいろ)

「どうです!」と、誇らしげに紹介したかったのですが、アンコールワットのデヴァターたちは、イマイチです。

顔がいかついのです。

そして、彫りが浅いのです。

これでは女神の魅力半減どころか、ほとんど面白みがありません。

アンコールワットの女神を彫った職人たちセンスは、玉に傷のレベルです。あるいは、王様の美意識が現代人と大きく異なっていたのでしょうか。

「いっぱい、きれいどころはいたはずなのに、どうしてこうなるの?」

魅力的なデヴァターを見るなら、他の遺跡を試すべきです。むしゃくしゃしたので、顔なしデヴァターも紹介して終わりです。
0748Å第2回廊踊り子デヴァダー1025
( 花園のダンシング・デヴァター )

2019年12月記                               了

落書き見やるアンコールワットの十字回廊

落書き見やるアンコールワットの十字回廊      2019年10月訪問

アンコールワット見物の順路は、第1回廊の次は十字回廊である場合が多いです。第2回廊の影があまりにうすく、人の列が十字回廊に向けて進んでいるからです。
0743Aワット午後第2回廊レリーフ1025 (4)
( 左の角が、十文字の中心の十字回廊 )

十字回廊は、堂内の通路が、ちょうど十文字に交差する場所にちなんでいます。その付近が参拝者の目を惹きつけることからつけられた呼称のようです。
0735Aワット午後第2回廊天井その1
( 石組みもぴったり十文字に組み合わさった十字回廊中心 )
0661Aワット第2回廊ざっと1022 (3)
( 十字回廊内部の列柱。保存状態は良い方 )

このあたりの石組みは、あまりずれがありません。女神のデヴァターも、ぴったり合わさって美しい姿を見せてくれているので、歩いていても満足感が高いです。赤っぽい石の色も、少し華やかさを出していると感じました。

石柱の裾が削られていますが、天井に巣くっていたコウモリのフンが床に積もり、石柱が化学変化を起こして溶けてしまったためのこと。かつては、かなり荒廃していたんだなあと思いました。

十字回廊の一角には仏像が安置されてあり、お坊さんが待機しています。アンコールワットが現役のお寺であることが唯一感じられる空間です。お布施を出すと、お祈りをしてもらえるようです。私は、読経をお願いしなかったので、お布施の相場は分かりません。

0661Aワット第2回廊ざっと1022 (4)
( 十字回廊の隅に祀ってある仏像と参拝客 )

十字回廊の仏像近辺の柱には昔の落書きがいっぱいあります。日本人の落書きもあると聞いていたので、参拝者の邪魔にならないように柱を見て回りましたが、どうも見落としたようです。200年から300年前は、きっとこのあたりが参拝の中心だったのですね。お布施を多めに出し、「お坊様の目を盗んで、ちょっと記念に」という感じだったのでしょうか。

0747Aワット午後第2回廊落書き1025 (3)
0747Aワット午後第2回廊落書き1025 (2)
0747Aワット午後第2回廊落書き1025 (1)
( 十字回廊の柱周りにいっぱい書かれた昔の落書き )

落書きで一番多いのが漢字。中国人が落書き好きとは思いたくありませんが、何世紀も前から、それなりに行き来が多かったことの証でもあるようです。

日本人の落書きの主は、17世紀前半の朱印船貿易の時代の訪問者で、森本右近太夫一房(もりもと・うこんだゆう・かずふさ)という武士のもので、1632年1月のものだそうです。他にも、日本人のもの思われる落書きが10カ所以上あるようですが、詳しいことは、Wilipediaや詳細ガイドを当たった方がよいでしょう。

当時の日本人は、アンコールワットのヒンドゥー的な建造美や、権力から打ち捨てられた状況を見て、どう感じたのでしょう。クメール王朝が滅亡して200年しか経っていない時期であったので、アンコールワットも、まだ、凛として聳えていたのかも知れません。仏教寺院に改宗され、人気の少ない堂内を歩き、コウモリの群れに声高に叫ばれながら、往時の栄耀栄華をしのんだのでしょうか。

2019年12月記                          了


すっ飛びアンコールワット第2回廊

すっ飛びアンコールワット第2回廊     2019年10月訪問


アンコールワットの第2回廊は、ほとんど、がらんどうです。
0743Aワット午後第2回廊レリーフ1025 (2)
( ほぼ、がらんどうのアンコールワット第2回廊 )

ガイドブックを見ると、かつて仏像がいっぱい並んでいたけれども、クメール・ルージュ政権の時代に破壊されたり持ち去られたというようなことが書いてありました。
0024Aワット第2回廊ざっと1022 (5)
( 第2回廊近くの十字回廊内にある首無し仏像など )

真偽のほどは分かりませんが、アンコールワットの内部にも首無し仏像が少なからずあることは事実です。「人間が作った文化財の最大の破壊者は人間である」ということを、如実に示す例のひとつです。アフガニスタンのバーミーヤン大仏の爆破しかり、パリのノートルダム寺院や沖縄の復元首里城の火災しかりです。

クメール王朝政権が衰退後、あんまり”かまって”もらえなかったアンコールワット遺跡は、石組みが多少歪んだり、目立たない場所が崩落した程度で600年間は何とか持ちこたえているのですから、まことに慶賀の至りというべきだと感じました。
1140Aワット第2回廊ぐるり1022
( 背後に横たわる第2回廊は不人気 )
0768第3回廊壁面デヴァダー1025
( 第2回廊のデヴァター像。長年さわられた跡がなくきれいなまま )

それでも、せっかく来たんだからと思い、私は第2回廊内をそそくさと一周しました。回廊内は、落石などで半分くらい通行禁止になっているので、入れる場所に、なるべく入って歩いてみたというのが正解です。

第2回廊内や壁際にも見物人はまばらなので、壁面のデヴァター像も、なでなでされた跡がありません。「作った当初はこんな感じだったんだ」と、改めて感じ入って見ました。このデヴァターは、石組みの歪みがほとんどないので、とてもすっきりとしています。顔つきが少々”いかつい”のが不人気の原因ですね。

第2回廊は、ところどころに第1回廊へつながる階段があり、ちょっと顔を出すと、そこそこ手入れされている緑地が見えます。回廊の四隅にある塔は、上半分が崩れかけていて、アンコールワットといえども、崩落が他人事ではないことを、ひしひしと感じます。経蔵らしき石造建築も半壊状態で、かなり痛々しい外観です。それだからと言って、安易に修復すると、でたらめな出来映えになってしまい、かえって見苦しくなるのだと思います。

それなりの資金を長期安定的に得て、こつこつと復元、修復を進めるのが最適そうです。
1140Aワット午後第2回廊外側中庭と建物何? (1)
1140Aワット午後第2回廊外側中庭と建物何? (2)
( 第2回廊と第1回廊の間の緑地や、半壊した経蔵らしき建物 )

結構お高い値段の私たちガイジン観光客の入場料も、腹黒い輩にピンはねされることなく、従業員や修復費にきちんと回るよう願わずにはいられません。

2019年12月記                              了


長すぎのアンコールワットの第1回廊

長すぎのアンコールワットの第1回廊   2019年10月訪問

皆んなにくっつくようにしてアンコールワットの第1回廊に入りました。

第1回廊は、長々と続く壁面いっぱいに途切れることなく彫ってあるレリーフがとても有名です。
0731Aワット全景午後の影快晴 (4)
( 第1回廊に登る正面階段 )

正面の階段を上がると、玄関口のようなところで道が正面、左右の3つに分かれます。

時間がない人は真っすぐに進んで本堂の中央部を目指します。普通の人は左右いずれかに曲がります。右折して反時計回りに進んだ方が有名ポイントに早く着きます。
1135Aワット第1回廊アップダウン1022
( 第1回廊は昇降個所がいっぱい )

階段数段分の敷居を次々と越えて、第1回廊を一周しました。この高い敷居は何カ所もあるので、足腰の弱い方は、ゆっくり歩きましょう。

人間の胸の高さくらいのレリーフは、昔、手でさわれたようですが、今は、おさわり禁止です。
デヴァターと呼ばれる女神の像や王様の像を中心に黒光りしています。手垢(てあか)と、もともとの石材の色が混じっているようです。黒光りしている方が、陰陽がはっきり出て見やすいです。ですから、ちょっとは、さわった方がいいのかも知れません。

レリーフの蘊蓄(うんちく)は、たくさんの方が書いていますので省略。私もガイドブックをときどき見て、有名ポイントをはずさないように周りました。

ヒンドゥー教の古典「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」などを知っていると、感動が人一倍大きくなると思います。
1138Aワット第1回廊レリーフマハーバーラタ1022 (1)
1138Aワット第1回廊レリーフ2世の行軍1022 (2)
( 戦闘の場面のレリーフ。とても有名 )

「よくぞ、ここまで彫ったもんだ」
と、あまりのレリーフの多さに感動するやら、疲れるやらでの観光です。屋根の下とはいえ、気温も30℃以上あって蒸し暑いので、ときどき水を飲みながら進みました。

上半身裸のデヴァターのレリーフも、随所にありました。現世と直結したようなヒンドゥー教の世界観は、見方によっては、とても親しみが湧きます。ただし、物語が長くて複雑なのには閉口します。「ああ、インド文化」です。

「一神教のような、単純な勧善懲悪ではないのだから仕方ないですよ・・・・・・」、というデヴァターのささやきが聞こえてきました。

アンコールワット遺跡観光は、湿気と暑さとの闘いです。
1137Aワット第一回廊レリーフ乳海攪拌
( 乳海攪拌の前後のレリーフもモノトーン )

このあたりのレリーフはモノトーン。天井も単純な三角形で、第1回廊周りでは一番シンプルな空間です。

ヒンドゥー教の教義による、世界の始まりを彫った「乳海攪拌」(にゅうかい・かくはん)という有名なレリーフの近くです。だんだん疲れてくることと、時間の押した観光客が多いせいか、正面裏側あたりまで足を伸ばしてくると、めっきり人通りが減ります。

煩悩に身を焦がしていたら、本物のデヴァター候補に出逢いました。履物を脱ぎ、お坊様に案内されて拝観しているお姿の、何と神々しく美しいことでしょうか。
1135Aワット第1回廊レリーフで僧と美女1022
( 現代のデヴァター候補とお坊様 )

現世の誘惑たっぷりの情景ですが、お坊様は修行の成果でしょうか、まったく動揺している様子がありません。

こちらは、天井のレリーフを見たりして気を紛らわします。

お菓子の落雁(らくがん)がいっぱい並べてあるかのような光景です。天井までレリーフがある遺跡はアンコールワットなど極少数です。いかに特別で豪華で精巧に造られたお寺であるか、ということを、改めて感じました。

「いやあ、やっぱり来て良かった」
「順番の初めにアンコールワットにやってきて、気力あふれているうちに見るもんだあ」

1137Aワット第1回廊レリーフ天井1022
( 第1回廊の天井の美しいレリーフ )

第1回廊は、とても長いです。外側は開けていますが、意外と風通しはよくありません。そのため、汗はひかず、足は疲れてきます。けれども、この辺りは、まだ道半ばどころか、3分の1くらいです。

少し休んでから先に進みましょう。個人客なのですから、あせらずに観光しました。

1135Aワット第1回廊列柱1022
( 第1回廊の東側の静寂と周囲の森 )
1135Aワット第1回廊外で記念写真1022午後
( 第1回廊内側の中庭と記念撮影中の人たち )

遠くから見るときれいに見えるアンコールワットも、中へ入って見ると、あちこちで崩落しています。屋根が落ちていたり、建物が崩壊して石の山になっている場所もありました。観光の目玉になっている場所は、それなりに修復されています。いかに、ここが巨大で複雑な造りであるかが分かりました。

それに、撮影ポイントもいっぱいあります。いわゆるインスタ映えする遺跡です。主塔のみならず、あちらこちらで記念撮影をしている人々に逢いました。私も、他の方にお願いして、あちらこちらで写真を撮ってもらいました。

今、見ても、アンコールワット感がたちどころに出ている写真が多いです。
「いやあ、すごいもんだ、ここは・・・・・。」

2019年12月記                           了

アンコールワットのお濠端観察

アンコールワットのお濠端観察      2019年10訪問

アンコールワットに初めて入場すると、あれよあれよという間に時間が過ぎて行く感じです。

ガイドさんに急かされたり、自分で気が急いて先へ先へと進んでしまいます。初回は仕方がないことだと思います。

世界最高峰の建築美を心ゆくまで記憶にとどめたり、横いっぱいに広がる美しい光景に浸るゆとりなどありません。ここは、「世界遺産に幾つ行った、何か国周遊した」、とチェックすることをいったん忘れて、ある程度じっくりと浸るように観光するべきポイントのひとつだと感じました。

ですから、時間を取って2回、3回とやってきて、あっちこっちと見物すると、初めて味わったときの感動が深く心の中に刻まれるような気がしました。ツアーならば、初回はざっと見物し、次の日のフリータイムにはオプションで再入場するくらいの日程を組むと良いと思います。

例えば、アンコールワットのお濠端風景なども、見ているようで意外と見ていない風景のひとつだと思います。
0009Aワット浮橋全景昼頃1022
0713Aワット環濠昼下がり (5)
( アンコールワット入場用浮橋付近の環濠 )

広いお濠の向こう岸に横たわる精巧な造りの周壁や、その向こうに垣間見える主塔の美しい姿を、立ち止まって目に焼き付けて損はないと思います。

「こんなジャングルのような場所に、世界最高級の寺院建築遺跡があるなんて」
「洋の東西を超えた『人類の類まれなる才能の発言』に異議なし」、です。

水面に浮かぶピンク色の蓮の花に癒されます。やはり仏教徒ならではの反応でしょうか。
0641Aワット日の出時のハス
( 環濠に咲く蓮の花 )

せっかくですから、お濠端を少し移動したり、正面の西参道から脇の緑地に行ったりして、アンコールワットの水辺の姿も存分に楽しみましょう。

現実は、かなり猛暑ですので、写真のような爽やかな感じはしません。汗ばみながらも、のんびりと牛が草を食む光景や、熱帯の陽光に照らされる美しい塔や壁を、じっと見つめていた時間が大切だと思います。
1114Aワット北濠と参道付近の牛
1114Aワット北濠と正面参道脇の池
( アンコールワット西参道左側の緑地と池 )

お濠の周囲を風に吹かれて走っていても、アンコールワットの静かで熱い雰囲気を感じます。
1113Aワット北濠も快晴1025
0673Aワット環濠東側と道1023
( アンコールワットお濠端の道路を走る )

緑の濃い森の上に広がる空は、いつまでも青々しく、流れゆく白い雲は、悠然としています。
1112Aワット環濠東側その1は23日
( アンコールワット環濠の東端あたり )

こんな雰囲気のなかを、たった2、3時間で駆け足のように観光して終わりなんて、とても、もったいないことです。

2019年12月記                            了


お濠端より見えるアンコールワット

お濠端より見えるアンコールワット  2019年10月訪問

お濠の外を左右に移動してアンコールワットを眺めてみました。

中央の高い塔を取り囲む4本の塔が重なったり離れたりして見えます。視覚効果を十分に考えた設計者のセンスたるやすごいものです。塔がシュロの木に隠れてほとんど見えなくなっているアングルもあります。

2019年10月現在、表門である西参道は修復工事中でした。柵越しにアンコールワット正面と、参道へ上がる階段付近を眺めてみました。広くて立派な参道です。

0009Aワット北濠近接快晴1025
( 修復工事中のアンコールワット西参道とナーガ )

浮橋より北の方へ回ると、大勢の人々が目にする風景とは異なったアンコールワットが目に入ります。環濠の内側の回廊越しに5本全部の塔が見える場所もあります。なるべく時間を作って、聖なる寺院の美しい姿をあちこちから見たいものです。

0009Aワット北濠と外回廊1025
( 西参道の北側より望む西の塔門 )
0009Aワット北濠側から快晴1025
( 西参道より北に回ると5本の塔が全部きれいに見える )
0009Aワット北濠祠堂遠景快晴1025
( 環濠越しにアップで見た5本の塔 )

お濠端をうろちょろしたあと、浮橋を通って、いよいよアンコールワットの内部に向かいます。
私が訪問した日は、あまり人出がない日だったようです。快晴で暑い日でした。

長く黒々と横たわる外周の壁と、西塔門と呼ばれる山門の威容に、気を呑まれてしまいました。

「なんてすごいものを作った人たちがいたんだ」
「文句なく、世界の宝の中の宝だあ!」
「カネもたっぷりかかったのだろうね」
と、胸の中で何度も叫びました。
0011Aワット環濠昼下がりと浮橋
( 浮橋付近からでも5本の塔は見えるが、ちょっと樹木に隠れ気味 )
1122Aワット北濠南5塔午後1022
( 正式な参道の少し脇から5本の塔を見る )

浮橋を進むにつれて、外周の黒ずんだ屋根と塔が、低い目線から見上げるように近づいてきます。
午前中は、かなり黒ずんで見えますが、午後の順光になると、それなりに白っぽく明るい感じになります。
1124ワット外周全景15時
( お濠の中ほどから見上げたアンコールワット西塔門(山門) )

ほんと、自分の視野いっぱいに広がった石の壁に圧倒されました。写真は小じんまりとしてしまいますが、実物の存在感は筆舌に尽くしがたしでした。頭部は、くずれ落ちてしまっているようですが、そんなことを気にさせないくらい量感のこもった建造物です。

1125Aワット外周回廊快晴1430分1025
( 間近で見る西塔門 (山門) )

「どうだ、参ったか」という雰囲気で、デンと構えられているようでした。頭(こうべ)を低く垂れて内陣に入りましょう。

2019年12月記                了

アンコールワットの大回り小回り

アンコールワットの大回り小回り      2019年10月訪問


アンコールワット観光の計画を練っていると、しばしば「大回り:Grand circuit :グランド・サーキット」、「小回り:Small circuit :スモール・サーキット 」という言葉が出てきます。私も、実際に行こうと思うまで、このような言葉遣いのことは知りませんでした。

Aワット大小サーキット
( 紫ラインが小回り、赤ラインが大回りのアンコールワット遺跡めぐりコース地図 )
※チケットセンターにて入手の観光案内図より抜粋

体験者の方々にとっては何でもないことなのですが、一言で説明すると、

「アンコールワットは遺跡群なので、近場の遺跡だけを回るコースと、やや遠い遺跡だけを回るコースがあります」、です。

「大は小を兼ねる」ではなく、アンコールワットとバイヨン以外の遺跡見物は、大小で内容が違います。
「一般的に、こんな組み合わせで回ると、効率的で面白いよ」という代表的な2パターンを紹介している感じです。

個人旅行ならば、大小ごちゃごちゃに回ろうが、1カ所命で、朝から夕方まで見物していようが自由です。体験的な感想では、多くの人に言われるだけあって、なかなか考えられているコースだなと思いました。

アンコールワット遺跡見物を1泊2日くらいで済ます皆さまは小回りコースのみを見物することが一般的でしょう。2泊3日以上になると、大小両方のコースを回る場合が多くなるでしょう。
Aワットと空港図
( アンコールワット遺跡周辺の広域図 )
※チケットセンターにて入手の地図より抜粋

私は3泊4日したので、大小両方のコースを回り、さらに変則的にアンコールワットに3回目の入場もしました。けれども、遺跡にほとんど興味のない方、暑いのが苦手な方などは、小回りコースの一部を回るくらいでよいでしょう。どういう理由であっても、アンコールワット観光に来たならば、いわゆるアンコールワット、アンコールトムの南大門とバイヨンの3カ所が最低ラインだと思います。

復習を兼ねて、小回りコース、大回りコース上の主な遺跡名を列挙しておきます。

アンコールワット、南大門、アンコールトムのバイヨン、バプーオン、象のテラスは大小共通です。

小回り:Small circuit = バンテアイ・クデイ(寺)、タプローム(寺)、タケウ(寺)、プノンバケン(展望台)
1281Aトム象のテラス中央部上から西を見る1022
( 象のテラス上から見たスモールサーキット上の東大門へ伸びる道 )
1401タプローム東門前1022
( タプロームは密林の中の遺跡ムードで人気はトップ3内 )

大回り:Grand circuit = スラ・スラン(池)、プレループ(寺と展望台)、イースト・メボン(寺)、タソーム(寺)、ニャックポアン(水上寺院)、プレアカーン(寺)、癩王のテラス(道)。
1270Aトム癩王テラス北大門への道
( 大回りコースの道は、ぐっと観光客も減って静かな感じ )
1499スラスランの沐浴池付近1023 (2)
( スラスランの池を見ながら大回りコースのトゥクトゥクは走る )

「お寺ばっかり残っている1000年後の京都めぐりは、左京コース、右京コースの2つが代表的です」という感じですかね。

2019年12月記                             了





アンコールワット入場券を買わないと

アンコールワット入場券を買わないと      2019年10月訪問

「おっと。アンコールワットに入る前に入場券を買わないと」
「無賃入場は、罰金300ドルですよ!」
「分かっています」

写真は、各種ガイドブックやブログですっかりお馴染みの、顔写真付きアンコールワット入場券です。黄色い部分に自分の顔写真が写っています。
Aワット3日入場券とパンフ
( アンコールワット3日用入場券、62ドル也 )

私もホテルに荷物を置くや否や、チャーターしたトゥクトゥクの運転手さんに、イの一番にチケットセンター連れて行ってもらいました。

チケットセンターは、シエム・リアップの中心街から北東方向、トゥクトゥクで15分くらいの場所にあります。新都心のような広々として整然とした地区に威風堂々と鎮座しています。周囲にも、カンボジア仏教寺院風のデザインで統一された観光庁や大型ホテルが並んでいます。
004AワットチケットC建物
( アンコールワット・チケットセンター )
0181AワットチケットC付近1022 (1)
( チケットセンター周辺の街並み )

「まるで、カンボジアではないみたい」
「そりゃそうですよ。『世界に冠たる』アンコールワットですから。カンボジアなんて、ちっちぇえ、ちっちぇえ」の世界です。

せっかくですから、チケットセンターの内部を少し見物しました。もちろん、キップを買ったあとです。

建物内はクーラーが少し入っている程度です。うわさどおり、奥に入って行くと横一列にチケット・ブースが40口くらい並んでいます。
0181Aワット遺跡チケットC1022 (5)
0181Aワット遺跡チケットC1022 (6)
( アンコールワットのチケットセンターの窓口の様子 )

「1日券、3日券、7日券」と、英語と中国語で書いてあるので、希望の窓口に行ってキップを買います。窓口のお姉さんの指さす方にカメラがあるので、レンズを見つめるとキップに印刷される顔写真を撮られて、『はい、おしまい』です。

ちなみに、ここにはクメール文字(カンボジア語)の表示はありません。カンボジア人は入場無料なので、キップを買いに来る必要がないからです。

チケットセンター内には、ATMや売店、観光グッズ店、軽食を出すカフェもあり、忘れ物があっても補充できます。ただし、物価は先進国の7掛けくらい。カンボジアであることを忘れるしかありません。

「チケット買ったら、とっとと出て行って、ワット観光しぇんかい!」という意味でしょう。
0181Aワット遺跡チケットC1022 (11)
0181Aワット遺跡チケットC1022 (10)
( チケットセンター内の売店やATM )

キップは、正確には「アンコール・パス:Angkor Pass」というのですね。3日券の場合、なぜ、6「2」ドルと端数が付くのかと思っていましたら、各パスとも2ドルが小児病院への寄付でした。ですから、1日券35ドル、3日券60ドル、7日券70ドルに、それぞれ2ドルの寄付を乗せたのが、最終的な入場料という内訳です。(2019年10月現在)

何だか、寄付金付きお年玉年賀状を買っているような価格構成でした。

最近の有名観光地の入場料は、どんどん高くなる傾向です。セキュリティ・チェックのコスト、きれいなトイレ、樹木の手入れなどのメンテコストがかかるし、場合によってはお偉いさんへの付け届け額も上がる一方なので、観光客の財布が狙い撃ちされるようです。一人旅ならともかく、親子4人で来て3日券を買うと合計248ドル、約27000円です。

この金額ならば、「元を取ろうと、炎天下をいとわず、せっせと遺跡めぐりにいそしむよねえ」と、いうことになるでしょう。

けれども、アメリカやニッポンのテーマパークなんかと同じか、それ以上に満足度が高くなるコスパの良い観光地だと思います。

2019年12月記                               了

アンコールワットを真正面にみて

アンコールワットを真正面にみて    2019年10月訪問

1131Aワット全景午後順光15時
( 昼下がりの順光のアンコールワット本堂正面 )
1131Aワット正面逆光昼頃1022
( 逆光のアンコールワット本堂正面  )

「世の中に、こんなすごい建築物があったんだあ」

アンコールワットを初めて目にしたときの衝撃は強かったです。口をポカンと開け続けていました。
痛んでいるとはいえ、実物があまりにも素晴らしいので、何を書いても陳腐な表現になってしまいます。

アンコールワットの外観を見るベストタイミングは、快晴の日の午後2時から4時ごろです。午前中から昼すぎまでは逆光で、建物がやや黒ずんで見えます。「すごい」ということに変わりありませんが、印象が暗くなってしまいます。

西塔門という山門をくぐり、あるいは脇の入口を通るよう指示されて、内陣に入ると、美しく精巧で聖なる雰囲気たっぷりの本堂が真正面に見えます。

近づくにつれて、それが巨大な石の建築物であることが、ひしひしと伝わってきました。とにかく、見た目が、ものすごく重いです。
1129Aワット参道から全景15時快晴
( 西塔門をくぐると遠くにアンコールワット本堂が現われる )
1129Aワット正面アップ昼頃1022
( 正午過ぎまでは逆光のアンコールワット )

まっすぐに伸びた参道を少しずつ進みながら、美しい姿をしっかりと目に焼き付けました。

2回、3回と見物して、自分なりの思い思いの姿を心の中に記憶しましょう。日の出の神々しい光景、雨にむせぶふっくらとした形の塔、流れゆく雲に逆らうように悠然と聳える塔などなど。

1129Aワット正面参道振返り逆光1022
( 曇天の内参道と西塔門 )
1129Aワット正面参道の昼と客
( 振り返れば、はるかに遠く、西塔門 )

少しずつ視野の中で大きくなってくる本堂と、振り返る度に小さくなる西塔門に、はるばる旅をしてきた感慨が高まりました。

参道の両脇には、経蔵と呼ばれている一対の建物があります。
0657Aワット正面北の蓮池
( 正面参道と経蔵(画面左奥の方 ))

経蔵が半分壊れかけているのを見ると、パッと見に印象とは裏腹に、遺跡の崩壊が進んでいることが分かります。人類の偉大な努力も、無視、無関心という状態に置かれると、かくも早く壊れてしまうのでしょう。

アンコールワット遺跡では、どこへ行っても石造建築物しか残っていません。木製のもの、壁の装飾、紙や布の巻物や文書、宝石貴石類は、まったくありません。

それでも、世界中から観光客を惹きつけて止まないのですから、大いにどころが、物凄いオーラを発している遺跡だと思います。

また、参道両脇の石の柵も、半分くらいが破損していました。ところどころに、鉄筋が露出していて、明らかに近現代のずさんな修復の跡であることが分かります。けれども、応急措置でも行なわなかったら、アンコールワットの崩落も、いま以上に進んでいたことでしょう。あるいは、内戦時代に破壊されなかっただけでも、ヨシとしなければならないのでしょう。
0775北側より中央主塔方向見上げ1025 (1)
( 参道から両脇の池などに降りる階段も一部欠落 )

諸行無常の世界を実体験しているようでした。

2019年12月記                                      了




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