やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

2019年10月

モディカ、見上げれば谷の街

モディカ、見上げれば谷の街      2018年9月訪問

1. モディカはV字谷の中に

シチリア島の南東部にあるモディカ:Modica は、バロック建築とチョコレートの都市として、それなりに有名です。世界遺産「バル・ディ・ノートの諸都市」のひとつです。

昔からの市街地は、二股に分かれた急傾斜のV字谷に張り付くようにびっしりと広がっています。谷底をバッサ(下)、二股の間の斜面上部をアルタ(上)と呼んでいます。観光客が集まる中心部のウンベルト1世通りは、バッサにあった川の流れの跡です。

私は、モディカへラグーザ(ラグーサ)発の路線バスで入りました。バスがモディカに近づくと、ヘアピンカーブを何度か下って市街地の縁に入っていきます。

MODICAのV字谷にかかる国道橋Sep2018
( モディカへ入るヘアピンカーブの続く街道 )

モディカ市街の周囲には、ここ20-30年ばかりの間にできた国道のバイパスの高い橋が何本もかかっています。日本人の個人観光客にもっとも記憶に残っているのは、駅の背後にかかる高さ100mばかりの国道橋でしょう。
モディカ駅南の国道橋Sep2018
( モディカ駅後方の恐ろしく高さのある国道橋 )

これこそ、モディカの地形上の特色を如実に語っている光景です。

2. バスターミナルを経てモディカ中心部へ入る
MODICAバスT街はずれSep2018
( モディカ市街の北西にあるバスターミナル見下ろし風景 )

地域の市町村をつなぐ路線バスは、街はずれのバスターミナルを経由したあと、街の中心部まで入ります。バスターミナルで、けっこうな数の乗客が降りますが、あわてず、さわがず、運転手さんに「チェントロまで行くか?」と尋ねると「シー(行くよ)」、とか「ノン(ここが終点)」と答えてくれます。体力温存のため、できるだけ街の中心部まで行きましょう。

3. そそり立つモディカ旧市街に声も出ず

街の中心部のバス停に降りた途端、360度の視界いっぱいに飛び込んできたのが、両側にそそり立つベージュ色の旧市街風景でした。

実物は、写真よりはるかに立体感があり、見上げるような感覚に襲われました。
モディカ迫りくるアルタの山Sep2018
( 谷底の両脇や背後にそそり立つモディカ旧市街 )

いっしょに降りたヨーロッパ人のカップルともども、文字通り口があいたまま塞がりませんでした。

「 ・・・・・・・・・・・・・・ 」
「 な、なんと、素晴らしい・・・・・・ 」
「 ところで、どこから来たの?」
「 スコットランド 」
「 私は、トーキョー 」
「 良いモディカ滞在を! 」
「 お二人もね 」

という感じでした。

モディカでは、バッサの谷底の目抜き通りを歩いている限り、いつでもどこでも急斜面に張り付くアルタの家並みが目に入ります。
モディカ頭上に迫るアルタのPizzoSep2018
( モディカの目抜き通りウンベルト1世通りからピッソ展望台方向を見上げる )
モディカ駅へ通じるロトンダから三叉路方向SEp2018
( 坂道の背後にも石灰石の崖と斜面に張り付く家々があるモディカ )

モディカの第1印象は、とても強烈でした。鉄道で来てモディカ駅から中心部へアプローチすると、谷底の深さが浅いので、多少、印象は薄くなるかも知れません。それでも、駅の背後の高すぎるくらいの国道橋を目にすれば、モディカの印象が記憶に焼きつくと思います。

日本人には、まだ馴染みがない観光地だけに、大切にしたい感動です。イタリアの典型的風景であるベネチアや、フィレンツェのルネサンスムード満点の都市とは違うイタリアを感じるでしょう。

2019年10月記                               了











モディカのチョコ店めぐり

モディカのチョコ店めぐり   2018年9月訪問

モディカのバッサの目抜き通りには、チョコレート店がたくさんあります。「ボナユートに続け、そして追い越せ」と言わんばかり。専門店もあれば、土産店兼用の店舗もあります。共通点は、どこのお店のチョコレートでも舌ざわりが「じょりじょり」することです。そして、固いです。歯が欠けるほどではないですが、少し強く噛まないと砕けません。

ぶらぶらと何軒かのチョコレート店を見てみましょう。

まずは、ボナユートに続いて2番手のイメージがある「ペルーゾ:Peluso」。東京のチョコイベントにも出展したことがあると、店番のおばさんは言っていました。
ModicaPeluso看板 Sep2018
ModicaPeluso店内Sep2018
Modica Peluso 3varSep2018
( ペルーゾの店内外と、チョコレート3種 )

とても品のよい味がしました。

次は、カンネッラ:Cannella。こげ茶色の箱が記憶に残ったチョコでした。やや渋い味わいでした。
Modica chocoRIZZASep2018
( カンネッラのチョコレート )

3番目は、モンス:Monsu*。(モンスウ) やや軽い味わいでした。
Modica Choco 胃MONSU Sep2018
モディカチョコMonsu2味
( モンスのチョコレート )

土産物店と兼業のチョコレート店は、夏ならば、夜11時、12時まで営業しているようです。

陽が暮れてから入ったのが、大きな店構えのドン:Don。店の壁いっぱいに150種類以上の味の板チョコがぶらさげてありました。普通の味わいだった記憶があります。
Modica Don Sep2018
モディカのDONチョコラート品揃え
( Don のチョコレート店 )

ボナユート以外のチョコレート店の値段は、一般的なサイズの板チョコで1.5ユーロから2.5ユーロほどです。それでも、あちらこちらで、4枚、6枚と買ってコレクションしていると、すぐに50ユーロ、100ユーロの出費になりました。

たくさん買ってきたので、帰国後、家族で結構な量を食べ、職場でも1人に板チョコ1個を配るくらいの数がありました。チョコ買いすぎでした。

2019年10月記                        了



モディカのチョコならボナユート

モディカのチョコならボナユート   2018年9月訪問


1.イタリア3大チョコレートの街

モディカ、ペルージア、トリノ。イタリアの3大チョコレートの都市です。

どこのチョコレートも逸品ですが、モディカのチョコレートは、16世紀風の製法をアピールし、暑い日でも溶けにくい、じゃりじゃり感のある味わいが売りです。

その中で、1880年創業のボナユート(ボナイウート):Bonaiuto)は、モディカのチョコの創業店であり、もっとも有名で人気のあるお店です。どうして、チョコ製造を始めようと思ったかは、ちょっと調べたくらいでは書いてありません。

とにかく、谷底のバッサ地区の中心部のサンピエトロ大聖堂の、ほぼ真ん前にあるお店へ急ぎました。

モディカSPetro前のボナユート092018
(サンピエトロ大制度前の路地にあるボナユート本店)

2. 老舗ボナユート(ボナイウート):Bonajuto でチョコレート・ショッピング

ボナユートは、目抜き通りから路地に入った場所にあります。下の写真のように、お店への案内板が貼ってあるので、迷わずにたどりつけます。
モディカチョコBonajuto案内Sep2018
ModicaBonajuto前Sep2018
( ボナユートの看板と路地裏の店頭 )
モディカチョコBonajuto店構えSep2018
( ボナユートの店頭からバッサの大通り方向 )

昼ごろまでは、あんまりお客がいません。それでも店内は、かなりのにぎわいでした。
モディカチョコBonajuto観光客でいっぱいSep2018
( ボナユートの店内風景 )

カウンターに、試食用に小さく刻んだチョコレートが乗った皿が20種類くらい置いてあります。モディカのチョコレートは、カカオミルクを混ぜないので、とろみがなく舌ざわりがジャリジャリします。その代わり、常温保存でも35℃くらいまで溶けません。一般的なチョコは28℃前後で溶けて来るので、モディカのチョコは暑さに強いです。

店員さんは親切で、声を掛けると、ていねいに品揃えの説明をしてくれます。

すぐ下の写真のように、「ペルー」とか、「アランチャ」などと命名されているタイプが売れ筋とのことですが、より伝統的な製法に近いチョコレートは、その次の写真のように、ぶ厚いタブレット型のチョコレートだそうです。
Modica Bonaj2varSep2018
Modica Bonaj ChocoSep2018
Modica Bonaj TabletSep2018
( ボナユートのチョコいろいろ )

薄い一口サイズのチョコレートを、かわいい箱に詰めた品揃えもありました。10ユーロ強したと思います。
モディカボナイウートチョコ菓子箱
モディカボナイウートチョコ箱中身
( ボナユートの箱詰めチョコレート)

3. 最後にカンノーリ

お好みの味や厚い板チョコを買いました。1つ3ユーロから4ユーロですが、あれこれ買うので、お勘定額はすぐに30ユーロ、50ユーロになってしまいます。

それに、「他のチョレート店もまわりたいし」、となると、チョコレート予算は100ユーロ、150ユーロになります。

でも、モディカのチョコレートなんて滅多に変えません。三越銀座店でも、ボナユートのチョコを2-3種類だけ扱っていますが、1つ1200円くらいだったと思います。そのあたりを勘案して、買い物を楽しみましょう。

最後の最後に、ボナユートの隠れた逸品のカンノーリを注文しました。
ModicaBonajutoカンノーリSep2018
( もうひとつの名物、ボナユートの「カンノーリ」)

カンノーリ2本をトレイに載せてもらい、店の外のベンチで食べました。よそのお客さんが、「それ、なあに」と聞いてきたので「ボナユートのカンノーリ」と答えると、「私も買おっと」といった感じで店の中に入っていきました。
カンノーリは、店頭に並べてないので、知っていて、なおかつ注文しないと食べられません。

味は、噂のとおり、甘ったるくなく、奥行きがある甘さで、「さすがボナユート」と納得の内容でした。
皆さんも、お立ち寄りの際は、是非、カンノーリもご賞味ください。1本3ユーロほど(2018年9月)です。


2019年10月記                               了




駅の風景、ラグーザ、モディカ、ノート。

駅の風景、ラグーザ、モディカ、ノート     2018年9月訪問

1)  閑古鳥の鳴くラグーザ駅

シチリア南東部、ヴァル・ディ・ノートの街々を結ぶローカル線の駅を3カ所ほど訪れました。どの駅も、影のうすい存在でした。

まずは、ラグーザ(ラグーサ)駅:Ragusa。 ラグーザ県の県庁所在地、人口7万余のラグーザ市の表玄関のはずですが、誰も寄り付きません。街の中心から徒歩10分ほどのポポロ広場の奥に駅はひっそりと建っていました。

ラグーザ駅とポポロ広場Sep2018
( ラグーザ駅をポポロ広場より見る )

駅前のポポロ広場周辺は、近代建築のマンション街で、ヤシの木や棕櫚(シュロ)の並木がきれいですが、駅は、半分、草むしています。

寂しげなラグーザ駅Sep2018
( 草むしるラグーザ駅舎 )

駅舎の地下は市営駐車場ですが、鉄道利用者とは無関係。休日のため、駅周辺には人っ子一人いません。ラグーザの治安は悪くないので、ひょこひょこ歩いても不安感はありません。

ラグーザ駅構内ひっそりSep2018
( ラグーザ駅構内 )

駅の構内は、旅客列車のプラットホームの奥に、何本もの側線が並び、大きな保線基地になっています。かつては、貨物ヤードだったところを転用しています。

線路の向こうには、観光地区ラグーザ・スーペリオーレの市街地に傲然とそびえるカテドラーレの塔が見えます。直線距離は1km強、少し坂道がありますが、徒歩15分か20分程度です。

こんな場所に、のこのこやってくる物好きな日本人と思うでしょうが、ニッポン人は鉄道好きなので、旅行記にも意外とラグーザ駅のことが書いてあります。皆さん、不便さをそれなりに楽しんでシチリア鉄道の旅を敢行しています。拍手!

ラグーザ駅からカテドラーレ見えるSep2018
( ラグーザ駅構内保線基地の向こうにカテドラーレが見える )


2) モディカ駅は無人の始発と終着駅

次の日にはモディカ駅:Modica の様子をみました。路線バスに乗ってラグーザからモディカに移動しました。

モディカ駅は、時刻表を見ると、1日に数本の始発、終着列車が設定されています。付近一帯の要(かなめ)となる駅であると感じましたが、フタを開けてみると、ややびっくり。ラグーザと五十歩百歩の閑古鳥の鳴く駅でした。

モディカだって、人口4万5千人の小都市で、街の中心部は活気があります。けれども、鉄道の駅は影がうんと薄くなっていました。


モディカ駅Sep2018
( モディカ駅は旧市街のはずれにひっそりと )

モディカ駅は、旧市街中心部から徒歩15分ほどの場所ですが無人駅です。列車の発車時刻が近づいてきても、パラパラと数人の利用者が動いているだけでした。駅の待合室には、お馴染みのキップの自動販売機が鎮座しています。コカコーラの自動販売機みたいな色合いです。


モディカ駅待合室と自動券売機Sep2018
( 無人駅モディカ駅の待合室とキップ自動販売機 )

待合室の中は、きれいに手入れされていました。怪しげなやからがタムロしたり、落書きされることもなく、ほとんど見放された感じです。


モディカ駅で入換中の始発列車Sep2018
( 始発列車が車庫から出てきて転線中 )

その一方、列車の運転関連の施設は現役で、車庫や乗務員の宿泊棟などのそばには制服姿の職員が数人いて、のんびりと談笑していました。おそらく、みんな顔見知りなのでしょう。

雑草が多いとはいえ、線路も立派に改修されていて、公共交通機関を前向きに維持しようという姿勢を感じます。外見だけで判断すると、日本では特急列車も通るような高規格のレールが敷いてありました。


3)  無人のノート駅と観光客

駅体験の最後は、ノート駅:Noto です。

ノートもバロック建築の世界遺産を有する人口2万人強の小都市で、観光地区は、かなりの人出があります。この地方の中心都市シラクーザから30kmの近さにあるので日帰り観光客も多く、ニッポン人だって、見かけない日はないくらいの頻度で観光にやってきます。

けれども、駅はやっぱり廃墟寸前でした。立派な駅舎ですが、待合室も含めて建物の中へは一切、入れません。キップの自動販売機もプラットホームの壁にくくりつけられています。


ノート駅前がらーんSep2018
( 完全封鎖のノート駅舎 )

数少ない鉄道利用客は、駅舎の両側の隙間を通って、プラットホームへ出入りします。

ノート駅前から観光地区が見えるSep2018
( ノート駅から世界遺産のドゥオーモを目指す観光客 )

昼間の列車でノート観光に来る旅行者は、1列車で10人くらいいます。私も含めて皆んな、駅の向こうに見える世界遺産を目指して駅前通りの坂を昇って観光に行きます。徒歩15分か20分くらいなので、ちょっと地図を見られる程度ならば、列車利用でのノート観光も苦にはなりません。

ノート駅構内草ぼうぼうSep2018
( ノート駅のはずれから駅構内を見渡す )

帰りしなに、ノート駅の端まで歩いて行って構内を見渡してみました。草むした線路や朽ち果てそうな貯水タンクが、SL時代や鉄道華やかなりし時代の活気ある駅風景を思い起こせてくれました。

芭蕉の名句「夏草や、つわものどもの夢の跡」そのものの光景でした。

けれどでも、イタリア最南端の鉄路と駅はいまだに生きています。そして、老いた地元民と、好奇心旺盛な外国人観光客を迎え続けてくれます。


 2019年10月記        了



意外と快適なシチリア南部のローカル線


意外と快適なシチリア南部のローカル線
      2018年9月訪問

1) イタリア最南端の鉄道路線

シチリア島南端のローカル線に少しだけ乗りました。

シラクーザ:Siracusa からイタリア最南端の駅ポッツァーロ:Pozallo をとおり、シクリ:Siculi 、モディカ:Modica 、ラグーザ:Ragusa  、ヴィットリア:Vittoria  を経由してジェーラ:Gela を結ぶ約150kmの路線です。利用したのは、そのうちのモディカからシラクーザまでの、東半分の区間です。

この路線は、全線、単線非電化の典型的なローカル線です。区間運転の列車も含め、1日に8往復ほどの列車しかありません。そして、日曜祝日は全列車運休という徹底ぶりです。

シチリア島内鉄道路線図Sep2018
( シチリア島トレニタリア路線図。一番下の方が乗車区間 )

それでも、線路はコンクリート枕木で、走行中の揺れもあまりありません。列車は、直線区間では時速100kmくらいで快走します。駅の数も少なく、従前に比べて半分以上の駅が廃止になったような印象です。設備の維持管理コストを削減する一方で、スピードアップを図り、乗り心地も良くして少しでも鉄道の利便性を高めようとする努力を感じました。

ノート付近の軌道状態良いSep2018
( それなりに整備された線路。Noto付近 )

少なくともJRの三島会社のように、基金を作ったあとは、各社の経営手腕にお任せというアプローチの結果、ローカル線はボロボロになるばかりという状態ではないようです。最近のイタリア政府のローカル鉄道網に対する施策を知りたいなと思いました。


2) けたたましいローカル線の駅

私が利用したのは、モディカ始発8:34分、終点シラクーザ着10:12分のトレニタリア:Trenitalia の普通列車です。車両は、たった1両のディーゼルカー。列車は、ディーゼル・エンジンの爆音を響かせながら世界遺産ヴァル・ディ・ノートの街々をつなぐように走りました。

モディカ駅舎と橋Sep2018
( モディカ駅。始発、終着列車もあるが駅は閑散 )

モディカ駅:Modica は、沿線のちょうど中間付近にあるため、始発終着列車がありますが、駅の方は完全な無人駅。乗務員の宿泊設備や、車庫だけに人の気配がありました。

駅舎内には、お決まりの近郊区間用のキップの自動販売機があり、プラットホームにはキップの刻印機が取り付けられています。

モディカ駅ホームと高架橋Sep2018
( モディカ駅プラットホームから国道高架橋を見る )

午前8時すぎのモディカ駅のプラットホームです。私の背後では、始発列車に乗務予定の運転手さんや車掌さんがペチャクチャおしゃべりをしていますし、10人に満たない乗客も、思い思いの立ち位置で列車を待っていますが、全体にがらーんとしたムードが漂っています。治安は良いので、不安感や恐怖感は全く感じません。

駅の向こうに、モディカ一帯の谷を、100メートル弱の高さで跨ぐ真新しい国道高架橋が、いやでも目に入ります。19世紀の鉄道技術と、21世紀の道路技術の差を、まざまざと見せつけられているようなシーンでした。

少し経つと、車庫からディーゼルエンジンの音も騒々しく1両の列車が姿を現わしました。何回か線路を転線して駅舎に隣接したプラットホームに入ってきました。


モディカ駅で入換中の始発列車Sep2018
( 車庫から出てきたモディカ始発のシラクーザ行き普通列車の車両 )

みんな車掌さんにキップを見せてバラバラとディーゼルカーに乗り込みます。

ちなみに、こんなローカル線でも、ネットや駅の窓口で買ったキップはQRコード付きです。車掌さんは、自分のタブレットにQRコードをかざして検札します。瞬時に旅客情報が分かるし、データが蓄積されるので大変、便利です。

こういうやり方を目にするにつけ、紙のキップにスタンプを押したり、車内を回って、目視で乗客数を数えたりする日本古来の流儀は、ほほえましいのですが、何か時代遅れ、周回遅れのサービスのような気がしてなりません。

そして、何と、この車両は旧型車であるにもかかわらず冷房付きでした。9月とはいえ、昼間は暑いので、思わず「やったあ」と、心の中で喝采。ただし、冷房改造されていない旧型車両の方が多いので、ローカル線では、過度な期待は禁物です。

モディカディーゼルカー車内Sep2018
( 旧型ディーゼルカーの車内 )

ゆったりとしたクロスシートに腰掛けて待つこと15分、やっと、モディカ止まりの普通列車が10分ほどの遅れで到着しました。向こうは、ばりばりの連接式新型ディーゼルカーで、けっこう、かっこいい外観です。

トレニタリア新型DCSep2018
( モディカ止まりの普通は新型車両 )

10人ほどの乗客が降り、2,3人を除いて、こちらの接続列車に乗り移ってきました。私も含めてガイジン観光客が目立ちます。

紙面や画像では分からないですが、イタリアのローカル線では、列車が前の駅を発車すると、次の駅では、チンチンチン・・・・、と大音量で予告用のベルが5分くらい鳴り響き、けっこう、うるさいです。

「遥かなるローカル駅のベンチに座っていると、ただ聞こえるのは、田園をわたる風音のみ」、というようなロマンチックな表現があったとしても、列車到着前ならば絶対にウソです。旅情をそそらせるために、そのように書きたいところでしょうが、現実は安全優先、旅客への注意喚起第一です。


3) 最果てのディーゼルカーは走る

旧型ディーゼルカーは、さらにエンジンのうなりもけたたましくモディカ駅を発車し、一路、終点シラクーザを目指しました。モディカを発車した時点では20人弱の乗客がいました。バロックの世界遺産の街シクリ、イタリア鉄道最南端ポッツァ―ロ、同じく世界遺産の街ノート、農産物で有名なアボーラなどを通る約1時間40分の鈍行列車の旅です。

列車は、ポッツァーロやノートで10人弱の乗り降りを繰り返し、少しずつ乗客を増やしながら終点へ向けて走ります。イタリア鉄道最南端の駅ポッツァーロの前後では、車窓のかなり先に海が見えます。

のんびりしたムードで、つい、うつらうつら・・・・・・・。

ノート駅の普通ディーゼルカーSep2018
( ノート駅に着いた普通列車。ディーゼルカーの単行 )

世界遺産の街ノートの駅も完全な無人駅で、実にのんびりしたムードです。行き違い列車もないので、駅舎に沿った線路以外は錆付き草むしています。

それでも、ローカル列車は、あまり多くない乗客を乗せて走り続けています。

最後の停車駅、フォンターネ・ビアンケ:Fontane Bianche (白い泉、の意味)では、一気に10人くらいが乗り込み、列車はそれなりの賑わいになって終点シラクーザに着きました。いつの間にか10分弱の遅れを取り戻し、シラクーザには1分か2分遅れただけで到着しました。この鈍行列車からは15分くらいの接続時間で、特急ローマ行きに乗換えられるので、定時運行に努力しているようです。

シラクーザ駅のジェーラ行きディーゼルカーSep2018 
( シラクーザ駅のモディカ方面行き列車発着ホーム )

シラクーザ駅も、小ぎれいに整備されていました。線路も敷き直したようで、バラストも枕木も真新しい状態でした。

ノート、モディカ、ジェラ方面のディーゼルカーは、駅舎正面のプラットホームではなく、左の奥に進んだ位置にある西1番線から西3番線:Ouest 1--Ouest 3 に発着します。

カターニア、メッシーナ方面の列車が発着するプラットホームには、4両編成とか5両編成の列車が停まっています。たった1両のディーゼルカーから降りた我が身には、それを見ただけで、何か都会に出てきたような気分になりました。

シラクーザ駅本線方面Sep.
( シラクーザ駅の西ホームから本線ホームを見る )

乗り終えてみれば、なかなか味わいのあるイタリアのローカル線の旅でした。

                        2019年10月記                          了











ヴァル・ディ・ノートの鉄道時刻表2018

ヴァル・ディ・ノートの鉄道時刻表2018     2018年9月


シラクーザと、ノート、モーディカ、ラグーザ、コミーゾ、ジェラを結ぶ、JR相当のトレニタリア:Trenitalia  最南端の路線は、超ローカル線です。単線、非電化で、ルートは大回り、列車本数も少なく、車窓風景も、期待ほど良くありません。海は、かすかに見えるか見えないか程度です。

それでも、鉄道を使って旅行する人はいるし、ときには日本人だって乗ります。2018年9月現在の列車時刻情報です。

シチリア島内鉄道路線図Sep2018
( シチリア島のトレニタリアの全駅、全路線図 )

今回、紹介する路線は、地図の右下の路線。線路が逆U字型に大回りしている場所がラグーザです。

この路線図は、縮尺どおりなので、シチリアの鉄道網を理解しやすいです。ただし、エトナ山麓を回る路線は書いてありません。トレニタリアではない、別の私鉄だからです。

イタリアでは、かつて、日本人にもとっつきやすい冊子タイプの時刻表を駅の売店で売っていましたが、今はないようです。ネット時代ですから、そんな重たいものは、マニア中のマニアしか買わないので、当然、廃刊です。

列車の時刻表を調べるためには、トレニタリアのwebsiteを利用します。

http://www.viaggiatreno.it/viaggiatrenonew/index.jsp

利用区間や希望日を入れると、たちどころに列車時刻が案内されます。駅名を指定して列車の発着時刻を検索することもできます。各駅の発着時刻表は、現地の駅にも印刷して張り出してあります。

ラグーザ駅列車発着時刻表Sep2018
( ラグーザ駅の列車発着時刻表。白が到着:Arrivi 、黄色が発車:Partenze )

ピンポイントで、ある都市から別の街へ移動する場合は、websiteの時刻表検索サービスや、駅ごとの発着時刻表で事足ります。けれども、旅のおおまかな移動パターンを練るため、周辺一帯の列車時刻をいっぺんに見たいときは、不便です。

そのため、発着時刻表を主に読み込んで、シラクーザ以南の全列車の時刻表を書き出しました。駅も1駅を除いて書き出してあります。小さい駅をどんどん廃止したので、駅間は、たいてい10kmくらい離れています。

1枚目が、シラクーザ発の下り、2枚目がシラクーザ着の上りです。

SiraGela線時刻表Sep2018 (1)
       ( シラクーザ~ジェラ線時刻表2018年:下り )

SiraGela線時刻表Sep2018 (2)
     ( シラクーザ~ジェラ線時刻表2018年:上り )

驚きを超えるくらいの閑散路線です。そして、いわゆる高校生ダイヤです。

途中駅の時刻は、websiteの各駅時刻表をつなぎ合わせると、分単位の部分で、一致していない場合が多いです。5分くらいの誤差はあると思っても、大勢に影響はありません。イメージづくりのメモとしては有用です。

そして、実際、乗って見ると、鉄道旅行好きな人にとっては楽しい体験です。そうではない人にとっては、のちのちまで語り継いでもよいくらい貴重な体験だと思います。

※2019年にダイヤ変更があり、シラクーザ発11:00の下りが30分程度繰り上がっています。13:04発下りは13:30発に繰り下がっています。

                                  2019年10月記                     了



夕暮れのベルサイユ庭園こそ美しき

夕暮れのベルサイユ庭園こそ、美しき      2019年4月訪問

太陽が西に傾くころ、グラン・カナル:Grand Canal (大運河)にも静寂が訪れ始めます。

水面は、少し茜色に染まり、周りの木々は次第に黒ずんでいきます。私たち観光客も、出口へ急がなければなりません。
Versailles239B暮れなずむ大運河198609
( 暮れなずむベルサイユ庭園のグラン・カナル )

過去の栄光を照らす西日は、いつでもどこでも、はかない美しさを秘めています。
Versailles210A夕陽に映える正面の噴水198609
( 秋の陽はつるべ落としにベルサイユ )

ちょっと時間を戻し、陽光がやや傾き始めたベルサイユ宮殿の南ウィングです。建物正面が照らされてやさしく輝いていました。端正な美しさに、声も出ません。
Versailles209A夕暮れの宮殿
( 昼下がりの陽光に映えるベルサイユ宮殿の南ウィング )

真っ赤な太陽が、ベルサイユ庭園の森の縁に降りてくると、宮殿は色濃い茜色になってきます。
Versailles210B夕陽 北ウイング198609
( 茜色に染まるベルサイユ宮殿の南ウィング )

ガラス窓に反射する秋の落日が、無常観を誘います。「ものの、あはれ」の世界です。
Versailles210C夕陽輝く南翼と噴水198609
( 夕陽に輝くベルサイユ宮殿 )

けれども春から初夏にかけては、陽ざしも力強く、どこか明るい気分の夕方風景です。
私たちも、他の観光客の皆さんもベルサイユ見学を目いっぱい楽しんで出口を目指します。なんか軽やかな雰囲気でした。
Versailles夕暮れ迫る正門帰る人
( 夕暮れ迫る初夏のベルサイユを後にして )

聞きしに勝る豪華なベルサイユの宮殿と美しい庭園でした。

さようなら。

2019年10月記                       了

ピンク色のグラントリアノンは熟女のように

ピンク色のグラントリアノンは熟女のように   2019年4月訪問

歩け歩けで、やっと見えてきました「グラントリアノン:Grand Trianon」。美しい薄ピンク色の大理石建築が魅力です。
VersaillesGrandTrianon301遠望
( グラントリアノン正面を遠くに見る )

プチトリアノンと隣り合わせの離宮ですが、双方の間は徒歩5分くらいかかります。
「長屋のお隣さんじゃないんだから、当ったり前でしょうが!」

二つのトリアノンを一言で形容すると、「熟女の魅力グラントリアノン、かわいいプチトリアノン」、と言った感じです。
「こう表現してしまうと、今の日本人には『プチトリアノン』が向いているのでしょうかねえ」

VersaillesGrandTrianon302ピンクの正面
VersaillesGrandTrianon303金色の門
( グラントリアノン正面2景 )

VersaillesGrandTrianon321内側から正門とDragon噴水遠望
Gトリアノン 夕陽に金の門飾りが反射198609
( グラントリアノン正門の金色の飾り )

VersaillesGrandTrianon303E中庭
( ピンク色の大理石がトレードマークのグラントリアノン」

VersaillesGrandTrianon303D入場通路
( 入館口付近の歴史解説板 )

17世紀末に完成したグラントリアノンの歴史を簡単に言うと、

ルイ14世の公式寵姫で極秘の正妻と言われたマントノン夫人の住居 → しばらく王族等の住まい → 皇帝ナポレオンと皇后の住まい → 国王ルイ・フィリップの住まい → フランス政府の国賓接待館  → ドゴール大統領の執務室 → カルロス・ゴーン氏の結婚披露宴会場 → 現在に至る

でしょう。

いろいろな国王、皇帝が住み、いまでも国賓の接待や、大金持ちのパーティーなどに使われている現役の宮殿なので、内装もバラエティに富んでいます。特に、観光用にインテリアを修復した南ウィングは、部屋ごとに縁の深い方々のイメージを出しています。青系統あり、赤系統ありです。

スマホや本のガイドを見ながら、往時の皇帝や大統領たちの息遣いを感じたいです。
VersaillesGrandTrianon304鏡のサロン
( 鏡のサロン )
VersaillesGrandTrianon305Aナポレオン皇后の寝室全景
VersaillesGrandTrianon305Bナポレオンの皇后の寝室
( ナポレオンの皇后マリー・ルイーズの寝室 )

VersaillesGrandTrianon306a礼拝の間
( 礼拝の間 )
VersaillesGrandTrianon306b諸侯の間
( 諸侯の間 )

南北のウィングの間にある回廊は、グラントリアノンで一番美しい空間です。抑制の効いたピンク色の大理石の列柱と、緑あふれる庭園を目にして、世俗のつらい日々をいっとき忘れ、王朝ムードにひたりました。
VersaillesGrandTrianon307中央くびれ
( 美しいピンクの大理石の回廊 )

それが高じて、「自分もグラントリアノンの主になりたい」と、カルロス・ゴーン氏は思ったのかも知れません。ゴーン夫妻は、結婚披露宴を、北ウィングの大広間「コテルの回廊:Galerie de Cotelle 」で行ないました。絶頂期のお姿は、utube などでご覧になれます。

要は、あなたでも込み込みで2000-5000万円くらいかければ、グラントリアノンで豪華絢爛なパーティができるのです。

PRのためか、皆さん「グラントリアノン」とは言わずに、「『ベルサイユ宮殿』でパーティをした」、と表現するようです。
VersaillesGrandTrianon310北のコテル回廊198403
( コテルの大広間(回廊)。ゴーン氏の結婚披露宴会場 )

「コテルの間」がある北ウィングも、みやびで、きらびやかな雰囲気の部屋が続いています。

2019年に訪問したときは、なぜか北ウィングは閉鎖。貸切行事があるのか、職員不足で開館できないのか定かではありませんでした。ですから、ピンク色の回廊を見たあとは、庭園を散歩し、お土産屋さんに寄っておしまい。各部屋の昔の写真もなく、記憶を呼び起こすしかありません。

こうしてトリアノンに来てみると、ベルサイユ宮殿本館は、国家の権威を表し、離宮は、王や王妃の心の中を表していたのかも知れません。月並みな表現に、少し自己嫌悪に陥りました。
VersaillesGrandTrianon309B水辺のいやし
( 庭園よりコテルの間のウィングを見る )
VersaillesGrandTrianon308北ウィング
VersaillesGrandTrianon311夕陽の庭園198609
( 昼下がりと、夕陽に映える北ウィング )

ピンク色の離宮の前に広がるフランス式庭園は、とても安らぐ造りです。また、夕暮れに映える建物もきれいです。大勢の見物客が、グラントリアノンのさまざまな風景を描写しています。どれもこれも素敵な体験談です。
VersaillesGrandTrianon322A庭園を眺める
VersaillesGrandTrianon322B庭園の緑
( 緑が目にしみるグラントリアノンのフランス式庭園 )
VersaillesGrandTrianon323Bグランカナルのはじ
VersaillesGrandTrianon323Aグランカナル北端
( グラントリアノンの庭から見た昼下がりのグランカナル )

回廊の階段に腰掛け、しばらく緑の木々や下段を見つめていると、早春の昼下がりの微風が頬を横切っていきました。みんな、静かにピンク色の柱に寄りかかったり、市松模様の床に腰を下ろしてひと休み。

さあ、よっこらしょ、と腰をあげましょう。

2019年10月記                                   了









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