やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

2019年09月

プチトリアノンの愛の殿堂と展望台と洞窟にて

プチトリアノンの愛の殿堂と展望台と洞窟にて     2019年4月訪問


離宮の建物を出て、広大なイギリス式庭園を歩き回ります。中途半端な広さではありません。

水の流れに沿って小径を進み、「愛の殿堂:Temple d'Amour = Temple of Love」という、丸い東屋を目指しました。離宮の建物から目に入るので、「次に目指すはここ」という気持ちになるのです。
VersaillesPetit Trianon422振り返り本館
( 「愛の殿堂」へ向かう小径からプチトリアノン本館を望む )

VersaillesPetit Trianon421愛の殿堂
VersaillesPetit Trianon421bTempleDamour
( 「愛の殿堂」に近づく )

愛の殿堂は、人工の小川の中洲に建っています。周囲からも丸見えです。もちろん、誰もいなければ、逢引きにはもってこいの優雅なムードが漂っています。

VersaillesPetit Trianon421cPontTempleDamour
( 小川の橋を渡って「愛の殿堂」へ入る )

そばに来ると、意外と大きな造りです。柱から柱へと、他愛もない、鬼ごっこができるくらいです。

VersaillesPetit Trianon423愛の殿堂内部キューピッド
( ギリシャ神殿風の「愛の殿堂」の内部 )

吹きさらしなので、寒い季節や雨の日は、二人だけで逢っても興ざめしそうです。

「愛の殿堂」の雰囲気を、みんなで確かめたら、再び緑の野原を彷徨します。遠目に、庭園の目玉「王妃の館」が見えています。ベルばら派の観光客は、もう興奮しっぱなし。足の疲れなど吹っ飛んだ様子で、小径をせかせかと進みました。
VersaillesPetit Trianon431遠くにアモー見えて
( 遠目に「王妃の館」を見て原っぱを歩く )

「ちょっと待った」、で人の気配のする方角に曲がり、早春の花を愛でながら奥を覗くと、庭園内の第3のポイントがありました。
VersaillesPetit Trianon428 (61)
( 中国風イギリス式庭園。Jardin Anglais-Chinoise )

大きめの池に沿って造られた人工の丘に建つ「ベルベデール:Le Belve*de*re 」こと、「展望台」と、人工の岩山の間に逢引きの窪みがある、「グロット:Grotte (洞窟)」です。 ( * e の上にアクセント記号あり)
VersaillesPetit Trianonベルベデーレと岩山密会場
( ベルベデール(右)と、洞窟のある岩山(左))

VersaillesPetit Trianon密会の洞窟
( 岩山近景 )

行きそびれましたが、もうひとつの岩の上に、通称「恋人たちの洞窟」と呼ばれる穴倉状の窪みがあるようです。
”プチトリアノン、急いては事を仕損じる” と、またまた、やってしまいました。

VersaillesPetit Trianon445ベルベデーレ内部見透かす
( ベルベデールの東屋の内部。入館不可 )

夏の夕暮れ、恋人と手をつないで、この東屋に入り、長いながあいキスのあと、二人で踊りましょう。月明かりに、ほのかに照らされた恋人の姿は、この世のものとは思えないくらい典雅でしょう。ずうっと、こんな時間が続きますように。私の足は輪を描き、腰は彼の腕の中に沈みます。

「コンコンコン・・・・」
「お客さま、閉門の時間ですよ」

「あっ、『王妃の劇場』を見に行くの忘れた」
「があーん。また、今度行くしかありませんね」

うっかりの多かったプチトリアノン観光でした。


2019年9月記                        了


プチトリアノンのアモー。マリー・アントワネットの田舎ごっこ

プチトリアノンのアモー。マリー・アントワネットの田舎ごっこ   2019年4月訪問


最近のマリー・アントワネットブームにより、注目度も高くなったプチトリアノン。

アモー:Hameau の中心となる建物、王妃の家(館):La Maison de la Reine は、離宮の本館以上に見落とせないポイントです。

他の見物客が、ぶらぶらと進む方角に付いて行くと、目線の先、木々の間越しに、大きな池と、ひなびた風情の数軒の建物が見えてきます。それが、アモーです。意味は、「村の風景」です。ガイドブックなどでは「王妃の村里」と訳してあります。
VersaillesPetit Trianon428 (38)
( アモーの中心、王妃の家の全景 )

アモーの英訳は、ハムレット:Hamlet。目からウロコです。

シェークスピアの有名な悲劇「ハムレット」は、主人公の名前だと思っていましたが、どうやらニックネームのようです。無理に和訳すると「田舎王子の悲劇」って感じかも知れません。少し興ざめです。シェークスピアご本人からすれば、「あか抜けない純情一筋の王子の切ない、そして、少しダサイ悲劇」、というニュアンスを伝えたかったのかも知れません。

そういうことは、あまり深く考えないで、アモーの中にずんずんと歩いて行きましょう。ベルサイユは、広いので、いちいち哲学的になっていたら、すぐに閉館時間になってしまいます。

アモーの中心である「王妃の家」に着きました。
VersaillesPetit Trianon433アモー王妃の家近景
( 「王妃の家」の近景 )
VersaillesPetit Trianon434アモー王妃の家と隣家
( 「王妃の家」の端にある、螺旋(らせん)階段 )

「何これ、ひなびた田舎家のどこが見どころ?」
「わああ、マリー・アントワネットの、お気に入りの館に、とうとう着いたあ!」

皆さん、ひとりひとりの思いが心をよぎることでしょう。
私は、「これが、うわさに聞いたアモーの『王妃の家』かあ。お気楽な王妃の遺物を見られて感慨深けだなあ」
と思いました。

内部は、外観からは想像もつかないような優雅で凝った造りのようです。

http://en.chateauversailles.fr/long-read/queens-house
ベルサイユ宮殿公式サイトでは、王妃の家の内部を画像つきで解説しています。

この建物は、いわゆる「自由見学不可の一般公開エリア」です。2018年5月から、「王妃の家」の内部見学を含む宮殿主催のガイドツアーもできました。催行日時は、公式サイトのフランス語の各種キップ、予約のページで確認できます。今のところ、英語や日本語の一般向けガイドツアーはありません。

2019年9月現在、ガイドツアーの追加料金は1人10ユーロです。ベルサイユのパスポート券や、トリアノンの単独入場券が別途必要です。

今回は、内部見学はパス。次回は、是非、ガイドツアーに参加したいのですが、もう1度、ベルサイユに来られるでしょうか。シニアトラベラーなので、心配も常人以上です。

「王妃の家」や、その周囲の田舎家をざっと見てみました。

まず、「王妃の家」の、らせん階段の裏側です。遠目に見えるのは、水車小屋風の建物です。
VersaillesPetit Trianon435アモーらせん階段裏
VersaillesPetit Trianon王妃の家の裏から
( 「王妃の家」の裏手 )

「王妃の家」の池と反対側の裏手は、いわゆる台所見合いの家。「配膳の家」のような呼称です。
VersaillesPetit Trianon428 (42)
( 食事を作る建物と、「王妃の館」の渡り廊下の裏 )

「王妃の家」と並んで、池沿いに目だっているのが、「マールボロの塔」という釣殿です。
VersaillesPetit Trianon428 (48)
( 「王妃の家」付近から見た「マールボロの塔」 )
VersaillesPetit Trianon428 (50)
( 「マールボロの塔」付近から見た「王妃の家」 )
VersaillesPetit Trianon436池をはさんでアモー
( 池の向こうに「王妃の家」、「見張り小屋」、「水車小屋」 )
VersaillesPetit Trianon428 (57)
( 「マールボロの塔」も入れて、「王妃の家」一帯を見渡す )

池の水は、透明ではありません。流れがないので、濁り気味ですが、魚やアヒルはいます。紅白のニシキゴイはいません。

池全体を見渡せる位置まで来ると、「王妃の家」を中心に、田舎家が何気なく並んでいるのが分かります。計算された田舎ごっこの究極の絵巻、です。

「いいね」、「なんだこりゃ」、のどちらもありでしょう。もう、歴史の結果は出ているので、観光客としてはアモーの人工の農村風景の美を楽しむのが最適だと感じました。私としては、無常観が漂った光景です。

建築費も、維持管理費も、眼の玉が飛び出るくらいであったことも想像できます。もちろん、マリー・アントワネット擁護派の主張のように、「当時の超巨額な国家債務の金額に比べれば、50-100億円程度など、たかが知れている」のでしょうが、節約可能だった出費であることも事実でしょう。

「でも、いいなあ。こういう暮らし好き」

「マールボロの塔」を過ぎると、田舎風景を管理していたスタッフたちの家が近づいてきます。牧草地あり、家畜あり、ブドウ畑ありのミニ農村です。
VersaillesPetit Trianon438マルボロー塔と黒ヤギ
VersaillesPetit Trianon441ブドウ畑と疑似農家
VersaillesPetit Trianon442疑似農家と家禽たち
( アモーの田舎風景を管理していたスタッフたちの建物 )

池越しに、アモーの主役「王妃の家」の全景を、もう一度、眼に焼き付けて歩みを進めました。
VersaillesPetit Trianon王妃の家アップ
( アモーの「王妃の家」を目に焼き付けて )

快晴の青空、秋の黄葉、雪景色、そして嵐の夕暮れ、など、季節ごとに美しく、そして儚く(はかなく)佇むアモーを想って。

2019年9月記                        了




マリーアントワネットの領域、プチトリアノン離宮

マリーアントワネットの領域、プチトリアノン離宮    2019年4月訪問

ベルサイユの庭園の奥には、2つの離宮があります。グラン・トリアノン:Le Grand Trianon  と、プチ・トリアノン:Le Petit Trianon ( プティ・トリアノン) です。

ベルサイユ見物客の1割にも満たない人しかトリアノンまで行きません。時間に押されるのと、疲れ果ててしまうからです。

けれども、少しでも「ベルばら」に興味があるならば、プチトリアノンだけでも見学することを、是非、おすすめします。アモーと呼ばれる疑似田園風景の中にたたずむメルヘンチックな建物や、「これじゃあ革命になるわ」、という浮世離れした光景が、目の前に飛び込んでくるからです。「オスカル様のお怒り、ごもっともですわねえ」、となるかも知れません。
VersaillesPetit Trianon401森の長い道15分
( トリアノンへ通じる長い道のり風景 )
VersaillesPetit Trianon402aやっと見えてきた 
( やっと見えてきたプチ・トリアノン正面 )

トリアノンは、ベルサイユ宮殿から2kmくらい離れています。大運河前のアポロンの(戦車の)噴水から、少し早足で歩くこと10分ほどでグラン・トリアノンとプチ・トリアノンの分岐点に着きます。両トリアノンまでは、そこから、さらに5分くらいかかります。行く手の彼方に宮殿風の建物が見えてきますが、なかなか近づきません。

歩くのが苦手な方で、多少の出費はいとわないならば、宮殿そばの「水辺の花壇」の北側付近から、SL風のプチトランという電動カートが出ています。2019年4月現在、1日券は大人1人8ユーロです。ルートは一筆書きで、宮殿前を出て、グランカナル脇、グラントリアノン、プチトリアノンを回り、宮殿前に帰ってきます。

やっと、プチトリアノンの離宮前に到着しました。正面が本館で左側の付属棟から入館します。
見どころは、建物内部と、アモーを含む右奥に広がる広大なイギリス式庭園です。
VersaillesPetit Trianon402宮殿正面
( プチトリアノン離宮正面。いわゆるマリー・アントワネットの領域 )
VersaillesPetit Trianon403見学入口
( プチトリアノン通用門は、今は見学者入口 )
VersaillesPetit Trianon404中庭
( 離宮左の中庭。左に進むと礼拝堂 )

プチトリアノンは、通称「マリー・アントワネットの領域(館):Domaine de Marie-Antoinette」と言うように、今ではマリー・アントワネットのイメージ一色です。もともとは、ルイ15世の寵姫ポンパドール夫人のために建てられたということですが、ご本人が完成前に逝去したこともあり、プチトリアノン=マリー・アントワネットという図式です。

分かりやすくていいですね。

そのためか、マリー・アントワネットの人気が上昇するまでは、一般公開エリアながら半ば打ち捨てられていたようです。

そんな歴史を思い出しながら、離宮の建物へ入りました。1階が玄関、台所、衛兵の控室、2階が住居です。
VersaillesPetit Trianon405宮殿1階ホール
( 1階階段室を、まずは奥へ進んでひとまわり )

まず、1階の階段裏の部屋を一回り。少し、あせっていたせいで、本館向かって左の礼拝堂を見学し忘れました。「あっ、しまった」ですが、ベルばらファンながらベルサイユ初体験のマダムは、そんなこと、お構いなしにずんずん先に進みました。
VersaillesPetit Trianon405台所配膳室
( 主に台所の役目をした召使たちのたまり場 )

1階をさらりと一周したあとは、階段を使って2階に上がりました。
VersaillesPetit Trianon406メイン階段で2階
( きらびやかさを抑制気味の優美な階段室 )

金色の装飾も、宮殿本体に比べると落ち着いた感じ。ほんのりうすいベージュ色の壁もエレガントでした。

階段を上がり切って、すぐ右の部屋の壁に、マリー・アントワネットの有名な肖像画が掛けてあります。お気楽マダムそのものの雰囲気が、よく出ている絵です。ご本人も気に入っていたという話です。
VersaillesPetit Trianon408控室
( 階段室右の控えの間と、マリー・アントワネットの有名な肖像画 )

窓の外には、グラントリアノン方面へ通じるフランス式庭園が雨にむせぶっていました。正面の建物は、「フランス館」という名前の東屋です。濡れるのがいやだったので、そこまで歩いていかずにパス。

VersaillesPetit Trianon407窓越しに仏庭園とフランス館方向
( 大広間付近から「フランス館」という東屋を望む )

つづいて大広間。私的なパーティ会場用の部屋とのこと。柔らかい感じのインテリアが目に焼き付きました。
VersaillesPetit Trianon409居間
( 一番大きな部屋は私事パーティ用の広間兼用 )

次は居間、サロンです。マリー・アントワネットが、子供たち、あるいは気の置けない友人たちと過ごした空間です。赤が基調色なので、華やかなイメージです。
VersaillesPetit Trianon410お供の間
( 娯楽室は赤基調で華やか )

その先が、白地にうすい水色を配した小食堂。鏡で窓を隠せば、写真のように外からのぞかれないようになっています。

マリー・アントワネットが、不倫相手のフェルゼン伯爵と食事をしたのもここ、という風説がいっぱいありますが、本当のところはどうなのでしょう。こういうレベルの男女関係の話は、事実と噂が混同しがちです。

ベルばらの世界に浸る限り、そんなことはどうでもよいので、皆さんのイメージのままに感じましょう。
VersaillesPetit Trianon411ゲーム室
( 移動壁で窓を隠せる食事の間 )

いずれにせよ、マリー・アントワネットが恋人を密かに招き入れて「二人だけ」で食事をするなんてあり得ないことは確か。口外無用の誓いをした召使たちは、どう思っていたのでしょうね。

離宮2階の角部屋は、マリー・アントワネットの寝室です。子供たちを連れてきたときは、彼らはどこに寝たのでしょうね。
VersaillesPetit Trianon412西端の寝室
( マリー・アントワネットの寝室 )

当時のベッドは、どこでも寸詰まり。枕をいっぱい背中にあてて、半分、寄っかかるような姿勢で寝ていたので、こういうサイズで十分だったようです。

現代の私たちからすると、あんまり、くつろげない寝姿ですが、当時はそれで安眠できたのでしょう。また、2人で愛を語るときも、そんな姿勢のままだったということなのでしょうか。

いつも言うように、観光は「見物客が見たいように見せる」という側面があるので、真偽のほどは専門書などを理解しないといけませんね。

寝室を見学して、ぐるりと向きを変えると、部屋の裏側にトイレと浴室がありました。マリー・アントワネットがいたころから30年ほど後の、革命後の仕様だそうですが、なかなか立派な造りです。トイレの壁を隔てた場所には、浴槽が置いてあり、入浴時には女官たちが壺に入れたお湯をざあーーと流し込んだようです。

挿絵でもあると当時の入浴の方法も分かりやすいのでしょうが、ありませんでした。
VersaillesPetit Trianon413トイレ後付け
( 寝室近くのトイレは革命以降のものだが往時をしのべる )


外へ出て、離宮を少し遠目に見たところです。緑のなかに、こじんまりと佇む、癒しの空間であることを感じます。
けれども、王妃様が、国民のことや政治的配慮そっちのけで、田舎暮らしごっこなどに現を抜かしていると、私たちが知ってのとおりの結果になりました。多少、歴史的な運不運もありますが、ほめられた振る舞いでなかったことは確かでしょう。
VersaillesPetit Trianon北側側面
( 寝室、娯楽室などを北側から見る )

「すべては、歴史の彼方に」という、さばさばした気分で、歩き回りましょう。何気なく植えてある木々や草の早春の黄緑や緑色が、しっとりと濡れていて、気が休まる光景であることは、間違いありません。

2019年9記                         了


ベルサイユのオランジュリーを眺める

ベルサイユのオランジュリーを眺める     2019年4月訪問


1 オランジュリーは普段は見るだけ

宮殿近くの庭園は、写真のように左右対称の幾何学模様が美しい、いわゆる「フランス式庭園」です。

庭園ゲートを入って直進すると、眼の下の一段低い場所にもフランス式庭園が広がっています。近くまで来ないと、視野に入りません。

ここが「オランジュリー:Orangerie」と呼ばれる、特別なスペースです。

Versailles202B遠くにスイス人の池
( 下段の「オランジュリー」 の春景色 )
Versailles202C肌寒いオランジュリー201904
( 後方の「スイス人警護兵の池※」は、道路を隔てた向こう側 )

(※スイス人傭兵の池、という訳語もある)

4月の末ですと、フランス北部はまだまだ肌寒い風景です。小振りなヤシの木の植木鉢が数個並んでいましたが、そろそろ出してもよい頃合いなのでしょうか。


2 オランジュリーはぜいたくの証

オランジュリーは、発音から想像できるように”オレンジ園”です。
Q 「どうして、そんな名前なの?」
Q 「別に、ミカン(オレンジ)の木なんか植えてないですよね」

A 「オレンジ園ではなく、意味を汲んで、『大温室』と言えば理解しやすいかも知れません」

要は、オレンジ、レモン、ヤシの木などの暖かい地方の木々の植木鉢を春から初秋にかけて置くスペースです。

王政時代は、オレンジなどを冬越しさせるガラス窓のある部屋を持っていたのは大金持ちだけでしたので、いつの間にか、オレンジ園=金持ち、の意味になりました。現代の「蘭マニアの温室」に通ずるところがあります。
Versailles202スイス人の池とオランジュリー
( 寒い季節のオランジュリー。暖地性植物は建物内で冬越し )
Versailles203夕焼けオランジュリー夏とスイス池198609
( 暖かい季節のオランジュリーの夕暮れ )

1990年代後半の夏の写真ですが、建物内で冬越ししていた暖地性植物の大きな植木鉢がならんでいます。昔は、芝生に模様もなかったのですね。

最近の写真を拝見すると、大きなヤシの木の植木鉢はないようです。どこかに売ってしまったか、人前に出さないのか私レベルでは分かりません。


2019年9月記                             了










ベルサイユのラトヌの噴水と噂の真相

ベルサイユのラトヌの噴水と噂の真相     2019年4月訪問

1. ラトヌの噴水ってどれだ

ベルサイユに来ると、ガイドさんの台詞や案内書に、部屋の名前や噴水の名前が、いっぱい出てきます。けれども、いっぱい過ぎてしまい、「鏡の間」と「マリーアントワネットのベッド」以外、全部、忘れてしまいます。

ですから、庭園に出て正面階段を下った場所にある、まあるい噴水の名前もたいてい忘れます。水が流れていない場合は、なおさらでしょう。

下の写真は、観光客の目に入ってくる典型的なベルサイユ庭園の場面です。噴水は、普通は出ていません。
「大きな池と、遠くに水路が見えた」程度でしょう。
Versailles211B振り向き下にラトナ噴水
( 実際に目にするベルサイユ庭園の典型的なイメージ )
Versailles211D3月のグランカナルとラトナ泉と奥アポロン泉
( ほぼ同じ構図の冬の情景 )

写真中央の丸い池の真ん中に盛り上がっているのが、ベルサイユ3大噴水のひとつ「ラトヌの噴水:Bassin et Parterre de Latone」です。英語では、Latona's Fountain。そのため、多くの人が「ラトナの噴水」と呼んでいます。

ギリシャ神話由来のラトヌ(ラトナ)の物語の一場面を再現した噴水です。ルイ14世の強い希望で選んだテーマだそうです。神話の詳細は、他の専門家や解説マニアの作品を参照いただきたく。


2. 水が上がってこそのラトヌの噴水

まず、噴水あり、なしの写真を紹介します。「やっぱり、噴水は吹き出してナンボですね」と、改めて実感しました。
Versailles225b ラトナ噴水その2
Versailles225bラトナ噴水なし428
( 噴水あり、なし、のラトヌの泉 )

ラトヌの噴水の近くに寄ってみると、「があー、ざあー」という音とともに、ものすごい量の水が、人物、亀、カエルの口から吹き出しています。風下にいると、水しぶきが容赦なくかかります。「わあ、涼しい」

Versailles226ラトナ近景
Versailles225aラトナ全景
( 水の芸術、ラトヌの噴水 )

3. ルイ14世の王権誇示説の噂

このラトヌの噴水、ガイドさんの何人かが、「ルイ14世の王権にさからった奴は、亀やカエルに変身させるぞ、と間接的に絶対王政を誇示した意図があった」、という趣旨のエピソードを披露してくれるそうで、たくさんの旅行記に、それが書いてあります。

けれども、それを証明する文献や、研究家の論文はありません。見学者の気を惹く雑談以上のものではなさそうです。ウソも100回言えばホント、のように、毎日、毎日、ガイドさんが日本人客に同じ話を聞かせていたら、「うそだあ」と声をあげた方が、却って白い目で見られて形勢逆転かも知れません。

こんな観光トリックに思いを馳せて歩いていると、ラトヌの噴水風景も遠ざかり、緑いっぱい、噴水いっぱい、の美しい全景が見えてきました。
Versailles225dラトナ噴水を囲む緑
Versailles225cラトナ噴水中の遠景
( やや遠目に見たラトヌの噴水とベルサイユ宮殿 )

噴水のアーチが、美しい白い花が垂れているように見えました。うっとり。

2019年9月記                                了








ベルサイユの迫力のアポロンの戦車の噴水

ベルサイユの迫力のアポロンの戦車の噴水    2019年4月訪問

アポロンの噴水は、ラトゥーヌの噴水(ラトナの噴水)やネプチューンの噴水と並ぶ、ベルサイユの庭園内3大噴水のひとつです。
宮殿裏正面から、真っすぐに伸びた「王の散歩道」という遊歩道を5分くらい歩いていきます。

まずは、宮殿振り返りで1ショット。
Versailles224Bアポロン前から宮殿を
( 王の散歩道終端から宮殿を振り返る )

宮殿方面から来ると緩やかな下り坂なので、ちょっと楽。この辺も、週末の夜間限定で、ライトアップと花火のショーが開催されるときは、幻想的なシーンになります。

反対側では、すざましい勢いで、アポロンの噴水が、ごおごおと水音を響かせながら吹き上がっています。

「うわあ・・・・・・・。すごい音、すごいしぶきだあ・・・・」
Versailles221アポロン噴水
( アポロンの戦車の噴水 (アポロンの噴水)と背後のグランカナル )

正式な名前は、「アポロンの戦車の噴水:Bassin du Char d'Apollon 」ですが、呼びにくいので、「アポロンの噴水」で通っています。

彫刻は、ギリシャ神話の神のひとり、アポロンが、戦車に乗って夜明けとともに地上に現われる様子を再現しているとのことです。ルイ14世の、お好みのテーマだったそうですが、上手に造ったもんだと感嘆。爆音を聞きながら、ただただ見入るばかりでした。

Versailles238Bアポロン横の姿
( 木立を背景にしたアポロンの噴水 )

写真で見ると、単に大きな噴水程度ですが、実際に、そばで見ると、すっごい迫力があります。

太い水柱が、ごうごうと上がり、それが、バシャーーーと大音響で池に落下。同時に、馬の口あたりから吹いてくる水も、バシャバシャっと跳ねて池に注ぎ込みます。そこいらじゅう水の音であふれ返り、話し声も途切れがち。
風向きによって、容赦なく水しぶきが降りかかってきますので、神経質な方はご注意です。

「けれども、これこそベルサイユの大噴水の醍醐味です」
Versailles238Cアポロン戦車拡大

少し、場所を変えてアポロン出現の様子を観察しました。水面に現われる感じが、とてもよく伝わってきたアングルでした。
Versailles222アポロン噴水近景
( 大量の水と、水しぶきの大迫力 )

Versailles238A再びアポロン
( 大運河寄りの芝生越しに、アポロンの(戦車の)噴水 )

真夏には、この辺りも人出がいっぱいですが、春先の肌寒さの残る日曜日は、見物人もあまり多くありません。
Versailles238Dアポロン噴水北西より芝生越し
( 少し遠目に、アポロンの噴水と深緑色のベルサイユの森 )

アポロンの戦車の噴水は、彫刻が水面にあまり顔を出していません。ですから、噴水が出ていないときは、「ただの池」。写真のように、かなり間延びした光景となってしまいます。
Versailles221aアポロン噴水なし428
( 噴水がないときは、ただの池 )

ですから、水しぶきが見えないと、宮殿前あたりから、はるか遠くの大運河まで行ってみようというモチベーションは下がってしまいますね。

2019年9月記                          了




足でかせぐベルサイユの噴水めぐり

足でかせぐベルサイユの噴水めぐり     2019年4月訪問

1 ベルサイユの庭園の噴水マップ

ベルサイユ宮殿の庭には、20くらいの噴水があります。ある程度、計画を立てて回っても、なかなか1日で全部を見切れません。

とにかく、庭園入口で噴水マップをもらって、木立の間に分け入っていきましょう。お姫様や貴公子から一般庶民まで皆んなが楽しんだという、いろいろな噴水が見られます。

Versailles噴水パンフ2019 (7)
( ベルサイユの庭園の噴水マップ )

噴水は、春から秋の土曜日曜の午前中1時間、午後1時間半しか吹き上がりません。いかにものんびりした顔つきを装っても、内心では時計に絶えず注意です。


2. 木立に分け入る

私たちは、どちらかというと、大運河に向かって右側の木立の中にある噴水めぐりをしました。

濃い緑に囲まれた遊歩道は、当時は格好のナンパコースであったことが想像できます。木々の陰でイチャイチャできるからです。
「おっほん、噴水の出る時刻であるぞよ・・・・」
Versailles231Dauphin王太子噴水方
( ベルサイユ庭園の木立に分け入る )

けれども最初は、左側の木立内の、コロンナードの噴水(泉水):Bosquet de la Colonnade。
Versailles217Bコロンナード拡大
Versailles217Aコロンナードの小噴水休止中
( 水の出ていないコロンナードの噴水:Bosquet de la Colonnade )

柱の間のお盆状の台から、一筋の水がいっせいに出るようです。少し来るのが早すぎました。

ベルサイユの公式サイトなどでは、いわゆる噴水でも、Bassin とBosquetの2語をフランス語の言い方に応じて訳してあったりします。 日本人感覚では、どちらも「噴水」でいいような気がしました。大きい水柱がぶふぁー、と出ているとか、女神像の脇から水が優雅に舞うように出ているとか、の差異はありますが、そういうのは訳語の差異で感じるのではなく、実際に自分の眼で見て感じましょう。

ベルサイユの噴水はバラエティに富んだ、水の芸術的な要素がいっぱいです。

次は、右の木立の宮殿寄りにある、セレの噴水:Bassin de Ceres 。
ギリシャ神話由来らしいですが、勉強不足で分かりません。
Versailles233セレ噴水越しに宮殿北
( セレの噴水は彼方に: Bassin de Ceres )

つづいて、王太子の噴水:Bosquet du Dauphin。 「王太子」という権威ある名前の割には、小ぶりな噴水です。私の気づかない由来や裏事情があるのかも知れません。
Versailles232王太子の森の噴水
( 王太子の木立と噴水:Bosquet du Dauphin  )

3. とろーり、ぶらーり

今度は、ギリシャ神話風の寝姿の女性像から、水がぶふぁあと出ているパターン。フロールの噴水:Bassin de Flore、です。宮殿からだんだん遠ざかってくると、歩いている人も劇的に減ってきます。
Versailles234フロールの噴水
Versailles235フロールの水しぶき
( フロールの噴水と水しぶきいっぱい: Bassin de Flore )

ばしゃばしゃという音を聞きながら水しぶきを、ずうっと見ていると、とろーんとしてきます。

木々の奥へ重たくなった足を、ふらふらと引きづって行くと、空高く吹いている水柱がありました。
はっと、眼が覚めました。オベリスクの噴水:Bosquet de l'Oberisque、です。水の形が、エジプト史で出てくるオベリスクに似ているのでつけた名前ですね。
Versailles236Bオベリスクの噴水遠景
Versailles236オベリスクの噴水
( 水柱が高いオベリスクの噴水: Bosquet de L'oberisque )

ここは池も広いので、水しぶきも豪快に風下に降りかかります。ごおごおと音を立てて池に落下する噴水は勇壮です。

このあたりは、庭園のはずれですので、向きを変えてグラン・カナル=大運河の方へ向かいます。
Versailles237アポロンへ戻る森の道
( 木立の隙間にアポロンの噴水が見えてきた )

早春の木々の芽吹きが、まだ初々しいプラタナスの並木道の先に、アポロンの大噴水がちらちらと見えてきました。

2019年9月記                                  了

ベルサイユ宮殿前の水辺の花壇

ベルサイユ宮殿前の水辺の花壇    2019年4月回想

1. 水辺の花壇とは何か

ベルサイユ宮殿の裏正面には、左右対称で噴水の出る長方形の池がペアであります。
水辺の花壇、という意味の、「パルトゥール・ドオ:Parterre d'Eau」です。

普通に庭園を歩いていると、あまり記憶に残らないのですが、よく思い出すと、下の写真のような状態です。噴水が出ている場合が少ないので、忘れてしまうのかも知れません。

「花なんか植わってないじゃない」
「ち、違います。噴水が花みたいでしょ」
「なーるほど」
Versailles211A宮殿正面池の噴水
( ベルサイユ宮殿2階から見た「水辺の花壇」)

噴水が出ている時間は少ないので、その代わりに、角の女神みたいな彫刻が、皆さんのベルサイユ見学記に、よく登場します。四つの像は、フランスの四大大河を表していますが、どれがどれだが分かりません。

Versailles241噴水終了夕暮れ
( 水辺の花壇の四隅で寝転がっているシンボル彫刻 )

あらためて見ると、噴水が出ていない場面だけでは「何じゃこれ?」ですね。


2. 少し昔のベルサイユ庭園風景

ベルサイユ宮殿の庭園は、修復が進んだ今の方が、ずっと凝った造りです。単なる芝生だった場所が、少しずつ幾何学模様のフランス式庭園模様に変わり、私たち見物客の眼を楽しませてくれます。その代わり、庭園の有料拝観日が増えました。噴水の日9.5ユーロ、BGM音楽の流れる日8.5ユーロ、など、当局も増収策に余念がありません。

20-30年前、噴水のある日も無料入園だったころの夏のベルサイユ庭園風景を思い出しました。いつの時代でも、緑いっぱいの美しい庭園を、楽しく、けれども疲れ気味に歩いたことに変わりはありません。

Versailles212C夏の噴水むかし無料199007
( 左が「水辺の花壇」の噴水。庭園北から南東方向を見た場面 )
Versailles212D夏のベルサイユ庭園風景199007
( 1990年代の夏の日のベルサイユ庭園とピラミッドの噴水 )

昔の写真を見たら、ちらりと「水辺の花壇」の噴水も写り込んでいました。変わらないベルサイユに、ほっとしました。

2019年9月記                           了

庭から眺めるベルサイユ宮殿

庭から眺めるベルサイユ宮殿     2019年4月他

1. 世界遺産の庭に出る

ベルサイユは、宮殿と庭園がセットになった世界遺産です。宮殿を作った国王ルイ14世も一押しの、天才造園家アンドレ・ル・ノートル設計の庭園を是非、訪れましょう。

庭園を歩き回ると足が棒のようになりますが、それだけの価値はあります。

庭園へ出るためには、宮殿本体のやや南側の、くびれた部分をくぐって進みます。

Versailles201A庭園有料入口風景
( ベルサイユ庭園へ宮殿直下から入るゲート )

2. 庭園から宮殿を眺める

庭園へ出てまず目にするのは、幾何学模様の庭園と、その向こうに長々と横たわる宮殿です。鏡の回廊(鏡の間)から、南ウィングあたりが最初に視界に入ります。
Versailles205B庭園の奥の宮殿裏正面堂々
( フランス式庭園の彼方に横たわる宮殿。2階が「鏡の回廊(間))

庭を、のんびり歩きながら、刻々と位置を変え、姿を変えて行くベルサイユ宮殿を眺めました。

「うーーん、あんまり時間がないのです」
「少し、急ぎ足で歩きましょう」
「足が疲れた」

Versailles205A前庭と宮殿遠景
( 位置を変えながら見るベルサイユ宮殿 )

Versailles207宮殿を正面に見て
( 裏正面から見た宮殿 )

Versailles208A前庭北と宮殿夕
( 庭園より宮殿北ウィングを見る。小さくプティトランが見える )

3. 歩くかプティトランか

足が疲れた方々用に、宮殿の北ウィング前から有料のプティトランという園内専用の簡易移動車が出ています。2019年4月現在、1日券は大人一人8.5ユーロ、約1100円です。

プティトランは楽ですが、宮殿正面から大運河まで真っすぐに伸びている「王様の散歩道」を通りません。楽をすると、ベルサイユの庭園屈指の風景が見られません。

体力の続く限り、宮殿を背に大運河まで散歩がてら歩くことをお勧めします。
ものの5分も歩けば、次の写真のように、ラトゥナの噴水越しに威風堂々のベルサイユ宮殿が見られます。

いかにも、「豪華絢爛で巨大な宮殿と庭園」いうシーンです。段差を設けて建物と庭園を配置しているのが妙だと思いました。
Versailles225dラトナ噴水を囲む緑
( 噴水越しにベルサイユ宮殿を望む美しさ )

但し、噴水サービスのある時間は、原則として、4月から10月の土日の11:00~12:00と、15:30~17:00のみ。なかなか噴水が出ている場面に当たりません。各種サイトの宣伝写真や、旅行会社のパンフレットなどに過度な期待をしないようにします。

噴水サービスのある日時や入場料の最新詳細は、以下の宮殿公式サイトを開き、ticket;英語、 billet ;フランス語、のページを選択して確認します。フランス語と英語版のみしかありません。

http://en.chateauversailles.fr/plan-your-visit/tickets-and-prices?


2019年9月記                                         了








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