やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

2019年07月

密かにまわるベルサイユ

密かにまわるベルサイユ  2019年4月

1 ガイドツアーにそおっと入る

私たちが予約した個人向けガイドツアーは、人知れず、そおっと入ります。始めは、Aile des Ministres Nord=内閣府北棟、という建物にある受付に向かいました。予約券の地図に、はっきりと受付場所は指示してあります。建物前には、きちんと案内表示が出ていますので、迷うことはありません。

ガイドツアーは1組25人程度です。また、時刻をずらして募集していますので、受付に向かうのは一握りの人たちです。ほとんど、誰もいないと言ってよいでしょう。
「あの人たち、何しに行くんだろうね」と、いう風に思われたかもしれません。

Versailles104ガイドツアー受付案内
( ガイドツアー受付場所の案内表示 )
Versaillesガイドツアー受付
( Aile des Ministres Nord:内閣府北棟、の建物 )

ベルサイユに来ると、前方の宮殿玄関の方に視線が集まりますので、左右の建物のことは見落としがちです。衆人注目のなかで受付に入るような場所でなくて、ほっとしました。

日本人にとって一番こわいのは「妬み」です。きちんと手順を踏んでいるのにもかかわらず、「自分だけ得しやがって」と思われると、もうどうしようもありません。


2  粋な待合室

受付のドアを押すと、係のスタッフがいて、「ボンジュー」の一言のあと、すぐさま入場券と予約券を照合、確認されました。そして、背後の廊下沿いに並ぶ待合室のひとつに案内してくれました。トイレは、待合室の並ぶ廊下の奥です。

肌寒い気候の日に、少しばかりですが暖房の入った部屋で、座って待てることに感動しました。室内で防寒と体力温存ができる一石三鳥のサービスに、思わず「ああ、ガイドツアーに申し込んでよかった」。

待合室の壁は、部屋ごとに、ベルサイユ・ムードを醸し出すデザインです。ここは、宮殿の中でも実務遂行のための建物であったようで、質素な印象です。木組みの床は高級そうで、さすがベルサイユ。けれども、定番の金ピカムードは一切ありません。もちろん、現在のニーズに合うよう改修されています。

Versailles105B待合室428
( 連続するガイドツアーの待合室 )

私たちが入った部屋の壁は、国王、王妃、そして公式の愛人である寵姫(ちょうき)の影絵をあしらったデザインでした。

「ほら、マリー・アントワネットもいるよ」

ベルばらファンのマダムは、ベルサイユの雰囲気に呑み込まれていましたので、最初は何のことやらという顔をしていました。私の指した影絵と名前を見ると、急に眼が輝き出しました。”こんなところにも、もうマリー・アントワネットが顔を出すのか”、というマダムの表情が、とても新鮮でした。「物語の世界が現実にあったんだ」、と実感する瞬間は、誰でも体験しているはずです。

しかし、彼女だけ頭飾りが断トツで派手なのですね。

Versailles105Aガイドツアー待合室と壁面
( 私たちの待合室は歴代君主、王妃、寵姫の影絵 )


フランス史の知識がないと、影絵の人物たちの歴史上の位置づけが分かりにくいと思いますが、宮殿見学のムードを出す部屋の雰囲気を味わうだけでも十分だと思います。

ところで、「ベルばら」に登場する人物は何人くらい描かれているのでしょう。マリー・アントワネット、ルイ15世、ルイ16世、デュ・バリー夫人の4人くらいです。


3 ガイドツアーが始まった

集合時刻5分くらい前になると、スタッフの方が現われて、みんなに専用のイヤホンを配り、性能テスト。間髪をおかずに当日のガイドさんも登場して、自己紹介と簡単なルート説明をしました。ガイドツアー用のイヤホンの有無で、ガイドツアー参加者を見分けるので、常時、装着してほしいということも言われました。

それでは、早速出発です。ツアーその他見学者用に「B」ゲートに行き、最優先で入場してセキュリティ・チェックを受け、正面玄関前の、王家の中庭:Le Court de Bonheur に出ました。


Versailles106宮殿真正面 顔塗り
( 王家の中庭と、大理石の正面玄関 )

ガイドさんは、ここでベルサイユの歴史を2-3分で要領よく語ってくれました。ガイドブックやブログのとおりです。
そして、いよいよ、自由見学不可エリアに入って行きました。多くの皆さまがオーディオガイドを借りる部屋を左折したあたりから、仕切りの柵を開けてもらって入り、階段を昇った2階がルイ15世の住まいです。

外から見ると、正面玄関右手の2階付近一帯です。

Versailles112王の私室への裏階段
( ルイ15世の住まいへ上がる階段 )

落ち着いた金箔に彩られた、しっかりと作り込まれた感じの階段を、ぐるぐると昇った先には、金ピカの空間が待っていました。

Versailles107A王の私室へ階段昇る428
( ルイ15世の住まいのオモテの最初の部屋の前 )

ルイ15世の住まいは、いわゆるオモテとオクの2種類がありました。オモテは、特に重要な人物や知人を招き入れる空間です。オクは、本当のプライベート空間で、家族や親せき、超VIPだけの部屋だったそうです。

どちらもベルサイユの基本デザインである、白壁に金泊の縁取りで豪華に飾られ、ギリシャ神話由来の天井画と、輝くばかりのシャンデリアが下がった部屋であることは変わりません。けれども、慣れてくると、オモテの方が、見た目重視で、より豪華絢爛に造られています。オクの方は、暮らしやすいように造られています。石造建築は、真冬に、想像を絶するくらい冷え込むことがあるので、南向けの部屋を作って太陽を取り込み、暖房効果を上げるために間取りを小さくしています。また、派手過ぎる飾りつけは避け、エレガントで落ち着きのある金泊の空間になっていました。

また、ベルサイユ宮殿の家具調度類は、フランス革命真っ盛りのころに大半が競売にかけられて売られました。外国軍や反乱軍に対抗するための戦費調達目的です。国家の存亡がかかっていたのですから当然ですが、よくぞ、建物本体は無償で残ったと言うべきでしょう。

ですから、見学者が見る家具類の大半は、最近、買い戻したものや、何らかのイベント用にしつらえたものの残りです。その一方、壁や天井やシャンデリアはオリジナルで超豪華絢爛。筆舌に尽くしがたい美しさを放っています。

ベルサイユをいったん見てしまうと、同系統の宮殿は、すべて「ベルサイユと比べるとねえ」、という気持ちでしか鑑賞できなくなります。日本の迎賓館(赤坂離宮)も、その例外ではありません。

ここでは、受け売りの解説など書きません。

ただただ豪華絢爛、エレガントで高貴な雰囲気のルイ15世の住まい、ルイ16世の図書室などの写真を紹介します。

Versailles113C王の謁見室付近
( ルイ15世のVIP謁見の部屋。私室のオモテの続きの間 )

Versailles113A時計の間
Versailles114王の私室の調度
( ルイ15世のVIP謁見の部屋。私室のオモテ )

Versailles115王の私室から雨のテラス
( 王の住まいから見た、私的な中庭 )

Versailles111a外交団通行階段
Versailles111b大使の階段反対側
( VIPがルイ15世に面会するために通った階段 )

ここからは、ルイ15世の住まいのオクの部分になります。
Versailles116王の私的食堂か居間
( 狩りの後の談話室兼軽食室 )

Versailles117a楽器のデザインの部屋
Versailles117王の音楽のサロン
( 家族のサロン。扉と壁が一体化した造り )

Versailles118ルイ16世の図書室
( ルイ16世の図書室。本はレプリカ )

ルイ16世の趣味は、錠前づくりと世界地理。前者は、とても有名ですが、後者は初めて耳にしました。部屋のテーブルは、当時の世界地図が広げられる大きさにしつらえたそうです。

王様が皆、政治的才能に恵まれているわけではありませんから、この程度のカネのあまりかからない趣味に興じてくれるのがベストなのでしょう。

私の思うところ、これは古今東西を問わず共通なようです。

Versailles119a磁器の食堂
( 家族の食堂。調度類は現代のもの )
Versailles120王の娯楽室
( ビリヤードやゲーム室 )

ガイドさんは、ゲームの間あたりから扉を開けて、私たちを自由見学エリアに出してくれました。ヴィーナスの間という部屋で、金ピカで天井画も豪勢なベルサイユ風のインテリア。大勢の観光客で激コミ。大半の人たちは、私たちが入ってきたことに気付かなかったようです。当時との最大の違いです。

「王様や王族は、こうやってプラーベート空間から公式の間へ姿を表したんですよ」
という、ガイドさんの説明と上手な誘導に感謝、感激です。
Versailles121b公私境界扉
Versailles121天井画見事一般エリア重複
( ガイドツアーのプライベート空間から、オモテに出たところ )

私たちは、王族よろしく、再びプラーベート空間へ密かにもどり、内部の階段を下りて、次の見学先に向かいました。

見ごたえのある王族の私室や、オモテとオクの違い、いろいろな趣向の部屋の数々に感動し、ガイドさんのよどみない英語の解説を耳にしながら、声もなく歩く感じです。

ちなみに、ちょっとだけ他のメンバーと話してみると、中国系のアメリカ人の方、ドイツ人の方などもいました。向こうも「日本人!こんな英語ツアーに珍しいね」という反応でした。


2019年7月記                             了





さらりと入るベルサイユ

さらりと入るベルサイユ   2019年4月訪問


1    ベルサイユ宮殿は大混雑

私たちは、ベルサイユ宮殿も大混雑とのニュースを耳にしました。そのため、宮殿の公式websiteを読み、ブログなどを参考にして、オンライン予約で入場券を買いました。

行列のできるところ必ずや、「攻略本や完全攻略ガイドあり」、「待ち時間なしを謳って誘うツアーあり」です。上手に個人予約をするか、旅行会社頼みの割高な現地ツアーを申し込むか、成り行きに任せるか、何か行動を起こさなくてはベルサイユ宮殿に入れません。

私たちが訪れた日曜日も、朝の9時前から個人客用の入口は長蛇の列。聞きしにまさるベルサイユの混雑を間近かに見ました。

Versailles103宮殿正面と長蛇の列
( ベルサイユ宮殿は、開門前から個人入館口は長蛇の列 )

ベルサイユ宮殿の入館口は二つに分かれています。正面向かって左の「A」ゲートが個人客用、右の「B」ゲートがツアー客その他用です。Aゲートは、さらに分かれていて、時間指定予約入場券を持った人と、それ以外の入場券を持った人は別々に並びます。パリ・ミュージアム・パスや、当日券を買った人は後者です。また、入場券売場は、下の写真のように入館口とは別の建物です。

各種旅行記、ブログ、旅行ガイドも、多少の書き方の違いはありますが、全部、同じ事象を説明しています。

Versailles開場前の長蛇0428
( 入場券発売口と、個人入館口の位置関係 )

行き当たりばったりで来ると、①簡単なセキュリティ・チェック、②入場券売場の列に並び当日券を買う、③入場券を持った人の列に並び直す、④2回目のセキュリティ・チェックを受けて入場、という手順になります。

時間指定入場券を持った個人客は、専用の行列がありますので、入場券面の指示に従って「A」ゲートの近くにずんずんと進みます。それでも、9時の開門前の時間指定入場の行列は100人くらいになっています。
「ふうー」です。

どれがどの列やら、混雑時の行列はすっちゃかめっちゃかに見えますので、黄色い立て看板をよく見て、係員に確認して自分の並ぶ列を見つけましょう。自分だけの勝手な思い込みや、”だろう”行列は、間違った列に並ぶ確率が大きいです。

2019年現在のベルサイユ宮殿は、写真のように、③の個人入館用の行列が大混雑になり、すぐに1~3時間待ち。「もう、うんざり」、「あきらめて帰った」ということになりかねません。けれども、写真のように、行列が ”つづら折り状態でなければ” 30分くらいで入れるみたいです。


2  時間指定入場券を見つける

そこで便利なのが予約制度です。ベルサイユ宮殿の公式サイトを開けて、各種オンライン入場券の種類と値段を確認しました。日本語のサイトはありません。英語の場合、「Ticket and Price」のページを開くと、個人用の入場券の全容が分かります。

http://en.chateauversailles.fr/sites

Bベルサイユオンラインキップ画面
( 公式サイトの各種入場券と料金の案内 )

もっとも有名なのが、PASSPORT:パスポート、全館共通の1日券です。2019年現在、大人1人、通常日20ユーロ、噴水ありの日27ユーロです。2日券もあります。連続した2日用なので、休館日を挟んだ日曜日+火曜日の組み合わせでは使えません。

PASSPORTの変形が、時間指定パスポート:PASSPORT with Timed Entry、です。料金は普通のパスポートと同額です。

攻略本が、勝ち誇ったように推薦しているのが、この「PASSPORT with Timed Entry」です。

時間指定パスポートでベルサイユ宮殿に入る場合は最大で30分待ち程度なので、下馬評どおりの最適チケットです。だいたい、2~3カ月前からオンライン発売を開始します。晩秋から早春にかけては、あまり混雑しないため発売中止です。きっちり、3カ月前からとか、前々月の1日に一斉発売開始、とならないところがフランス流です。

あとは、宮殿のみ、庭園のみ、トリアノンのみ、噴水日の庭園入場のみ、のような単発入場券の案内です。鏡の間(鏡の回廊)の周辺だけを、あわただしく見学して1時間強で帰るならば、宮殿のみの入場券18ユーロが最安値ですが、「あまりにもったいない!」。


3  ガイドツアー:Guided Tour を楽しもう

ベルサイユ宮殿の入場システムは、底抜けに奥が深いです。

まずは、ガイド・ツアー。個人予約で、宮殿専属ガイドさんといっしょに自由見学不可エリアを見学します。英語サイトの場合ならば、上記2 のTicket and Price、の隣にGuided Tour という項目があります。そこをクリックすると、数種類のガイド・ツアーが表示されます。以下が、該当のページです。仏語、英語のみの表示です。

http://www.chateauversailles.fr/preparer-ma-visite/billets-tarifs?public=10&visite-tid=2

一番オーソドックスなガイド・ツアーが、「私室をめぐるツアー」。2019年8月までは「王の住居ツアー」という名前です。私たちも、このガイド・ツアーを予約しました。英語でも、ほぼ毎日1回、午前中に催行なので、イチゲンの観光客でも使い勝手がよいツアーです。

Bベルサイユガイドツアー私室見学2019
( 各種ガイド・ツアーの案内表示のサイト )

ガイドツアーには、他に、「王太子の住まい見学」、「トリアノンと王妃の小劇場見学」など数種類がありますが、ほとんどフランス語の説明のみです。別にフランス語能力のチェックをされるわけでもないので、みんなに付いていけば大丈夫ですが、メインの訪問個所の予習くらいはした方が、もっと楽しめると思います。

また、ほとんどのガイドツアーは、催行日時が月1~4回なので、かなり運が良くないと、これらのツアーに当たりません。けれども、ベルばらファンにとっては、「王妃の小劇場内部見学」なんていうのは、きっと垂涎の的です。是非、狙いを定めて、奥の深すぎるくらいのベルサイユ体験をなさるよう祈っています。「いいなあ」

ガイドツアーの追加料金は、2019年7月現在、大人子供共通で1人10ユーロです。これに、ベルサイユ宮殿に入場できる単発券やパスポートを買い足すことが必要です。私たちは、噴水のある日のパスポート27ユーロ+このガイド・ツアー予約料金10ユーロの合計37ユーロ/人=約4700円相当を支払いました。

切符は、スマホへ画像登録もできますが、読み込み失敗の不安もあったので、以下のようにプリントして持参しました。

始めがパスポート入場券です。日付指定ですが時間指定なしの切符で事足ります。フランス語なのでパスポートの綴りが「PASS"E"PORT」です。

Bベルサイユ1日パスポート時間指定なし
( 噴水のある日のパスポート入場券のオンライン切符27ユーロ/人 )

つづいて、ガイドツアー予約券。英語=Anglaisで、午前9時30分集合、と明記してあります。また、受付場所も宮殿正門付近の拡大図上に指示されています。AゲートでもBゲートでもない場所に、最初は行きます。

Bベルサイユ王様の私室英語ガイドツアー時間指定e-ticket
( 「王の住居のガイド・ツアー」のオンライン切符 )

これらの切符はすべて、記名本人のみ有効、キャンセル、遅刻時の払い戻し一切不可です。また、この条件以外の入場券はありません。慎重に精査のうえ果敢に決断して、一気に予約購入しましょう。


4  ガイドツアーと、団体のツアーとは別物

3で紹介した「ガイド・ツアー:Guided Tour、(フランス語はVisite Guidee )」と、ひんぱんに旅行記や宣伝に出てくる「ガイド付きベルサイユ入場」は、まったく別物です。

ガイド付きベルサイユ入場や、待たずに入れるベルサイユ半日ツアー、などは、いわゆる団体入場のことです。個人ベースに置き換えると、2の時間指定入場に相当します。別人の体験談を読んで、「こりゃ、自分たちで手配してベルサイユへスムーズに入るのは難しいな」と思った方々が、現地のオプショナル・ツアーに申し込むと、このタイプになります。たいてい、パリ都心部よりの往復バス代込みのようですが、ベルサイユ駅近辺の旅行代理店の前で集合、解散のツアーもあるようです。団体入場券のバラ売りみたいなやり方です。

Bベルサイユの様々なツアー2019
( ベルサイユのオプショナルツアーは多種多様 )

団体扱いで行くと、ベルサイユ宮殿への入場口は「B」ゲートになります。宣伝では、「待たずに」入れるようなイメージですが、混雑してくると、いくつもの団体がかち合うので、実際は20分から1時間程度、待つこともあるようです。

料金は高いですが、指示どおりに動いていれば、いつの間にかベルサイユ宮殿に入れるというメリットは大きいです。団体旅行の長短を考えながらベルサイユへのアプローチを選びましょう。


5 金さえ払えばベルサイユの栄光は思いのまま

ベルサイユ宮殿は、お金さえ積めば、多種多様な見学や体験ができます。

夏の週末の定番となった、夜の噴水と音楽ショー約50ユーロ/人、王朝風衣裳で集う宮殿のダンスパーティー約70~300ユーロ/人、宮殿オペラ劇場でのクラシックコンサート約200ユーロ/人、などは一般公募、先着予約順なので、私もチャンスを見つけて行きたいくらいです。ダンスパーティーは、衣装レンタル代が別なので、ものすごく高くつきそうですが、ベルばらムード120%であることは、ほぼ確実です。

それらに加えて、宮殿当局と交渉して各種見学やディナーパーティーを行なうこともできます。

個別見学申し込みは、1グループ20人までで、1000ユーロが標準ですから、ちょっと小金持ち、セレブ気分で申し込める料金なんだと私は感じました。

B専属ガイドによるグループ見学コース例
( 個別交渉で行なう見学、貸切サービスの案内 )

かのカルロス・ゴーン氏も、これらのサービスの延長線上で、豪華な誕生日ディナー(2014年3月)や、結婚披露宴(2016年10月)を開催したのだと思います。

皆さまも、是非、楽しんで体験談を披露してほしいと切にお願いします。

B貸切部屋の例
( ディナーパーティー案内や料金のページ )

日本の大手旅行会社も、たまに、ベルサイユの貸切制度を利用して、セレブなツアーを募集しているようです。お得意様を誘った段階で早々に売り切れてしまい、なかなか一般に販売されないのかも知れません。ファッション業界などの方も、一般人より、ベルサイユでの貸切カクテルパーティなどに参加される機会が多いようです。

私が思うに、ベルサイユは、歴史のうんちくを長々と傾ける場所ではなく、王朝ムードを気軽に、あるいは金をかけて楽しむ場所です。思いっきり放蕩して、王侯貴族の絶頂感を体験し、たまに破滅することもあるのだと感じるのも悪くないと思います。


2019年7月記                      了

ベルサイユのルイ14世陛下一歩前へ

ベルサイユのルイ14世陛下一歩前へ        2019年4月訪問

1 あわてる観光客

ベルサイユへ電車で来る観光客は、駅から歩いて宮殿前のアルム広場を目指します。

「あっ、ベルサイユが見えたあ!」
宮殿が視野に入ってくるパリ大通り:Avenue de Paris に到達すると、俄然、気持ちが高ぶります。

周りにも、自分たちと同じような観光客が宮殿を目指して歩いています。先を越されるのもしゃくだと、少し焦ります。

Versailles101Aアルム広場の先に見えてきた宮殿
( ベルサイユ宮殿正面遠望 )

並木が途切れると、眼前にベルサイユ宮殿の威容が横幅いっぱいに広がります。
「うおー!。着いたあ」
「わあ、人がいっぱい。急がなくちゃ・・・・・・」

Versailles101Bベルサイユ全景
( 宮殿前のアルム広場手前よりベルサイユ宮殿全景 )

2  ベルサイユ遠景写真を撮ろう

しかし、ここが我慢のしどころです。

ベルサイユ宮殿が横一面に広がっている光景は、アルム広場:Place d'Armes の手前だけでしか見られません。

ルイ14世騎馬像といっしょに宮殿全景が見られるのも、アルム広場の手前の道からだけです。

気持ちを落ち着けて、ルイ14世像といっしょにベルサイユ全景を撮影しておきました。ベルサイユは、あまりにも大きいので、全景を拝むには、これくらい離れなければなりません。金ピカのゲート付近まできて、しまった、と思っても後の祭り。広場もでかいので、わざわざ写真撮るために、もときた道を引き返すことは、おおいにためらわれます。

ちなみに、観光バスで来ると、金ピカの門の近くで降りるので、ルイ14世騎馬像を通り過ぎた位置が、ベルサイユの最初の一歩の場所となります。ガイドさんの事前説明でもない限り、そもそもルイ14世騎馬像があることに気が付きません。写真でつづるベルサイユ観光物語の始まり方からして異なってしまいます。

「王様の出迎えなしで、宮殿に入るわけですね」
「そこまで、悪しざまに言うつもりは全くありません。ベルサイユ観光は、そんなことでは影響を受けません」
「それじゃ、帰りに全景を撮ろうっと」
「いやいや、疲れていて、なかなか振り返って宮殿全景を写そうとなんて気にならないんですよ」

いろいろなブログのベルサイユ全景写真をご覧ください。遠目から写したシーンは少ないはずです。

多数派の全景写真は、次の構図のはずです。白いテントで簡単なセキュリティ・チェックを受けたあとに撮影したシーンです。
Versailles103D内陣混雑0428
( よくあるベルサイユ宮殿全景。悪くはないのですが )


3  前進するルイ14世陛下

ベルサイユ宮殿の真正面には、ルイ14世の騎馬像があり、私たち観光客を睥睨(へいげい)しています、というか、出迎えてくれます。ベルサイユの歴史を知っていると、なかなか考えた配置だなと感心します。

Versailles102ルイ14世騎馬像とセキュリティ
( ルイ14世騎馬像。後方の白いテントが簡易セキュリティ・チェック )

そして、気が急いているので、みんな、この銅像(ブロンズ像)には目もくれずにセキュリティ・チェックを目指して通り過ぎていきます。写真のとおり、ルイ14世陛下は、かなり不人気です。

「朕は国家なり!」
「あっ、そう。混んでいそうなので急ぐから、あとでね」、という感じでした。

ルイ14世の銅像を背後から見やる位置まで歩いてきたところです。左右対称の建物と大きな並木の美しい街並みが広がっています。
Versailles103Cパリ通振返り0428
( ベルサイユ市街を見つめるルイ14世騎馬像 )

ところが、この銅像、30年ほどの間に前進していました。何か違うぞと感じていたのですが、古い写真を見て確認できました。
Versailles102a東を見るルイ14世像のケツ199007
( 1990年7月のルイ14世騎馬像。金のゲートの内側にあった )

ルイ14世は、いつの間にか外側の金ピカの門を出て、アルム広場の市街地寄りまで前進していました。
ちょっとしたオカルトです。

次の新旧2枚の宮殿正面の近接写真でも、ルイ14世像の位置が変わったことが分かります。

Versailles103宮殿正面と長蛇の列
Versailles103E正面全景むかし199007
( 新旧のベルサイユ宮殿近くの正面風景。上2019年と下1990年 )

どうして、銅像が門の外に出たのか分かりません。門の外ですと、夜も自由にアプローチできるので、いたずらされる心配だってあると思うのですが、当局の思惑は知る由もありません。


2019年7月記                          了












電車で向かうベルサイユ

電車で向かうベルサイユ   2019年4月訪問

1 かまびすしいベルサイユ電車談義

ベルサイユ宮殿:Chateau de Versailles  は大人気の観光地なので、個人客もツアー客もいっぱいです。そのため、ベルサイユ往復のハウツー論もいっぱいあります。

ベルサイユは、パリから西に20kmの位置にあるので、電車やバスの乗り降りに過度な不安を抱くこと、宮殿への下車駅が隣接して3駅あるので素人談義がしやすいことが背景にあると思います。

「ああでもない、こうでもない、という議論が、いっそうの不安感をあおってはいませんか」
「駅が3つ、というのは、都内から川越への行き方談義みたいですね」
「実際には、3駅の便利度なんて五十歩百歩、大同小異なのに」

そのような騒ぎをものともせず、私たちは、モンパルナス駅:Gare Montparnasse からフランス国鉄:SNCFの近郊電車でベルサイユに行きました。

モンパルナス駅朝正面0428
( 朝日に輝くSNCFのモンパルナス駅正面。近代建築の大型ビル )

理由は簡単です。①モンパルナス駅の徒歩15分圏に泊まっていた、②SNCFの快速に乗れば15分という速さ。③大人片道運賃3.65ユーロという安さ、です。


2 モンパルナス駅商店街

SNCFのモンパルナス駅は、パリの長距離列車ターミナルの中では唯一、モダンなビルの駅です。ベルサイユ往復ばかりでなく、モンサンミシェルやボルドー、バスク、トゥールーズ方面へのTGVを利用された方も通ったことと思います。

モンパルナス駅地下鉄連絡他
( モンパルナス駅の改札外ショッピングモール )

たいていの日本人の皆さんは、メトロのモンパルナス・ビアンブニュ駅:Montparnasse Bienvenue から長い連絡通路をたどってSNCF乗り場にやって来ると思います。

2019年4月現在、モンパルナス駅の電車乗り場周辺は、あっと驚くほどショッピングモール化されていました。パリのSNCFターミナル駅のなかではダサイ方であったコンコースは、改装されてぴかぴかです。ガラスに柔らかく反射する蛍光灯がきれいな現代的な商店街に変身。びくつくような雰囲気は、ほとんどなくなっています。

モンパルナス駅内とPAUL0428
( 日本人のブログの常連、パン屋のPAULの売店 )

商店街を抜けて、プラットホームへの改札口が並ぶ通路に出ると、ちょうど6、7番線への入口に、パン屋さんPAULの売店があります。日本でも馴染みのお店なので、ほっとするのか、多くの日本人旅行者の方が立ち寄り、パンと飲物を仕入れるようです。

「余所に行ったとき、安心して入れるお店があるって、やっぱり心強いですね」
「そういうあんたは、別のサンドイッチ店に入ったくせに」
「我が道を行くのもフランス流なのです」


3 SNCFの快速電車に乗る

私たちは、モンパルナス駅8:09発の快速シャルトル行きに乗りました。駅の通路の黄色い自動販売機でキップを買ったところまでは良かったのですが、小さなサイズのキップに対応するセルフ式の刻印機:コンポストゥール=composteur を見落としてしまい、プラットホームを往復してやっと探しあてました。

何のことはない、ICカードのNavigoをタッチする画面下に、小さいキップ用の日付刻印機も併設されていたのでした。長距離用の大きなキップに刻印する黄色い装置ばかりに気を取られていて、見逃したようです。

TransilienMPNS駅の電車とホーム0428
( SNCF近郊電車乗り場と最新型の連接式車両 )

SNCFの近郊電車は、最新鋭の連接式車両です。シャルトル行き快速は、おおむね1時間ごとの運転です。ベルサイユ、ランブイエなどを通りますので、個人観光客にも使い勝手の良い電車です。また、ランブイエあたりまでは、トランシリアンN系統:Transilien N の各駅停車も走っています。昼間は15分間隔の運転で、ベルサイユまでの所要時間は23分です。

つまり、SNCFのモンパルナス駅へ、ふらりと行っても、あまり待たずにベルサイユに行けるということです。ただし、土曜休日の午前9時ごろまでは、極端に運転本数が減りますので、時刻表の確認をお忘れなく。

SNCFの快速は順調にモンパルナス駅を発車しました。それどころか、我が家の子供が言うことには、「1分早発だよ!。日本だったら確実に炎上だあ」、とのことでした。
「早発なんか関係ねえ。遅れなきゃいいんだ!」

TransilienVシャンティエで電車大ドア
( バリアフリー対応の新型車両 )

SNCFの近郊電車は車内も広々、ドアの幅も広くて、床面も下げてあります。バリアフリー対応、自転車持ち込み対応もばっちり。はっきり言って、日本の鉄道会社は、この方面の対応は完全に遅れています。要改善ですね。


4  ベルサイユ・シャンティエ駅:Versailles Chantier に到着

パリから14分でベルサイユ・シャンティエ駅に着きました。
私たちの乗った車両は、座席の7割くらいが埋まっていましたが、ベルサイユで半分弱が降りました。みんながみんな観光客という雰囲気ではありません。改札口の様子を見ても、観光客は10人程度でした。

TransilienVシャンティエで近郊電車
( ベルサイユ・シャンティエ駅を発車してゆく快速電車 )

TransilienVシャンティエ駅内
( ベルサイユ・シャンティエ駅の改札口は1カ所 )

SNCFのパリ近郊区間も、急速に改札口設置が進んでいるようです。ベルサイユ・シャンティエ駅も、出入口を分けて自動改札機の設置が完了していました。
 
TransilienVシャンティエ駅正面
( SNCFベルサイユ・シャンティエ駅舎 )

そして、2019年4月現在は駅前ロータリーの整備工事中でした。
ここから、ベルサイユ宮殿前までは徒歩15分です。

RERCベルサイユリーブゴーシュ0428
( ベルサイユ・リブゴーシュ駅に到着するRER-C線の電車 )

ベルサイユ宮殿を真正面から望めるパリ大通り:Avenue de Paris に向かって歩いて行く途中で、RER-C線のベルサイユ・リブゴーシュ駅直前の跨線橋を通ります。ちょうど電車が到着するところでした。ベルサイユ宮殿前・リブゴーシュ駅:Versaille Chateau Rive Gauche、は宮殿最寄り駅ですが、それでも駅から宮殿前まで徒歩5分くらいかかります。

「ぎゃあぎゃあ言うほど、3つのベルサイユ宮殿下車駅は離れていません」
「10分か15分の差なんて、ガイジン観光客が通りや駅でうろうろしていると、すぐに経ってしまいますので、誤差範囲にすぎません」

マイペース、マイチョイスで、ゆったりとベルサイユにアプローチすることこそ、ベルサイユを満喫する第1歩だと思います。

2019年7月記                     了



ラ・メルベイユに驚く平凡なモンサンミシェル観光

ラ・メルベイユに驚く平凡なモンサンミシェル観光   2019年4月


1 凡人なので場面の羅列

モンサンミシェル修道院:Abbaye の見学記は、知らず知らずのうちに、判で押したようになってしまいます。単なる場面の羅列に終始してしまいます。

「聖なんとか」、がどうのこうのと聞いたり、書いたりしても、すべて受け売り。本当は、そびえ立つ建物や、美しい列柱を目の当たりにして、「すげえ」とか、「きゃあ」と思っているのですが、気の利いた一言が思い浮かびません。

それだけ、観光客を圧倒する光景が展開する歴史的建造物です。

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( モンサンミシェル修道院東面。要塞風の感じ )

先人のたゆまぬ努力の下に完成の日をみた、すばらしい建築遺産が何気にあるって、フランスは恵まれているなあと思います。日本にも、同じような遺産があるはずですが、お客様に、それを見せる工夫、感動してもらえるストーリーを作る工夫が全然、足りていないような気がします。


2  南のテラス、西のテラス

モンサンミシェル修道院を入ると、私たち観光客は、まず、一番高い一般公開地点である南のテラスまで上がります。ここで、シャトルバスが走る橋の方角の「下界」を見物します。
「けっこう、上まで登って来たんだ」
「足がガクガクだけれど、来た甲斐があった!」

眼下に展開する、今しがた通ってきたルートに思わず見入ってしまいます。写真は午後4時ごろの様子。対岸に帰る日帰り客が大勢シャトルバス待ちをしていました。小潮の日でしたので、干潟が開けていて、海に浮かぶモンサンミシェルの雰囲気は、みじんもありません。こればかりは、どうしようもないです。

L1MSM南テラスから橋と人0429
( 南のテラスから、橋と対岸のホテル街を鳥瞰 )

次に、モンサンミシェル修道院の歴史的変遷をたどった模型の展示してある石造りの小屋を通って、西のテラスに行きます。

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( 歴史的変遷を模型で展示した部屋 )

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( 西のテラスから、修道院付属教会入口を眺める )

西のテラスは南のテラスの数倍広く、眺望も三方向に開けています。島周辺の広大な干潟や押し寄せる潮の満ち干、フランスの沃野を思う存分目に焼き付けましょう。

MSM116テラスと平野0429
( 広い西のテラスからブルターニュ方向を見る )

3 姉妹岩のトンブレーヌ島を遠望

テラスをあちらこちら移動して、北の方角に視線を移します。
絶壁状になったテラスの壁の向こうに、トンブレーヌ:Tombraine 島が見えます。モンサンミシェルと同じ岩山の島ですが、高さは低く、横長の形です。干潮時には、モンサンミシェルからトンブレーヌまで歩いて往復する有料の干潟ツアーがあります。

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( 西のテラスとトンブレーヌ島遠景 )

4 ラ・メルベイユ側面を見る

西のテラスの北からは、ラ・メルベイユ:La Merveille と称えられている四層建て石造ビルが目に入ります。この建物を北側の海上から見ると、修道院の高層建築がそそり立つ荘厳なシーンが見られるそうです。横から、ちょろっと拝んだくらいでは、その特徴的な外観が見えないので、観光客は見落としがちです。

MSM117メルベイユ側面0429
( ラ・メルベイユ側面 )

5 修道院付属教会もゴシックづくり

順路に沿って、西のテラスに面して建っている教会に入ります。
見慣れたゴシック建築内陣の様子が目に入ります。アーチで支えられた高い天井がポイント。
「わあ、すごい」
「また、このタイプの教会ね」
皆さんは、どちらですか。私は、後者でした。

本当の背景はわかりませんが、それでも、質素な祭壇が、ここが静かな祈りの場であることを主張しているようで、好感が持てました。

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( 修道院付属教会内部と、奥のシンプルな祭壇)

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( 木造の天井 )

ここも、例のパリの聖堂と同じく、天井は木造です。
「火の用心!」


6  ラ・メルベイユの回廊庭園だ

教会を出て、順路に沿って石段を数段、降りると修道院内随一の光景と評判の高い「回廊の庭園」:cloitre  が見えてきました。二重になった列柱上部に掘られた装飾が精巧で美しいです。オリジナルの彫刻は、ごく数点のみだそうです。現代修復技術のなせる技はすごいです。

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( 回廊の庭園の二重列柱と彫刻 )

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( 回廊の庭園のシンプルな美しさ )

L1MSM回廊庭園と尖塔0429
( 回廊の庭園と教会の尖塔 )

庭の芝生は、以前は花壇。もっと昔は薬草園だったそうです。オリジナルが良いか、いまのようなシンプルなデザインがよいかは迷うところかも知れません。ここは、空中庭園みたいなものですから、下の階へ水漏れしないようにするのは大変とのことです。

回廊の壁の切れ目から、外をのぞいてみました。延々と広がる干潟の向こうに、ブルターニュの広大な平地が広がっていました。春の陽ざしに照らされた沃野が美しいです。

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( 回廊の庭園から望むブルターニュ方向の平地 )

7 大食堂

回廊の庭園の奥が大食堂です。修道院として事実上機能しなくなって久しいので、どの部屋も、宗教的な雰囲気を残す石造りの空間です。解説や、かなりの想像力がないと、修道院時代のイメージはつかみにくいと感じました。
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( 大食堂 )
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( 大食堂の回廊につながる出入口 )

8 貴賓の間

続いて、階下におりると貴賓の間にでます。ここも、説明があってこそ初めて理解できる部屋でした。

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9 フニクレールがあった

外海に面した貴賓の間から、本土側に順路をたどって進んだところに、牢獄時代に使われたフニクレールのレプリカがありました。ケーブルカーと同じ原理の、ケーブル式巻揚げ機です。牢獄の運営に必要な食糧や物資を巻き揚げたそうです。1回2トンの荷物を揚げたとのことです。日本語のガイドさんが、そう説明するのでしょうが、旅行記などでは姿、形に由来した「大車輪」のような呼び名が多いようです。

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( 巻揚げ機の側面。レプリカ )

MSM132人力滑車とロープ0429
( 巻揚げ機のロープ。滑車の大きさも分かる )

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( まさにフニクレール。ほぼ直登に近い絶壁 )

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( 下から見上げたフニクレール )

なかなか、すごい装置です。

10  秘密の階段

真の巡礼者を迎え入れるための空間へ通じる階段。観光客は、お呼びでなさそう。

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( 奥へ向かう階段)

続いて「騎士の間」。修道院時代は作業室、牢獄時代は何の部屋?
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( 騎士の間 )

11  シャバの雰囲気に戻って

かつての「施しの間」は、ミュージアム・ショップ。私たちは、モンサンミシェルにお金を落とす側です。
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( 「施しの間」であった現、お土産屋 )

モンサンミシェル修道院の公式ガイドブックをはじめ、修道院からみの土産は、ここでしか売っていないものも多いです。なんだ土産屋か、と通り過ぎない方がよい場所です。


12 再びラ・メルベイユ

お土産を買い終えて、裏の庭園に出ました。晴れてきた空に向かってそびえ立つ尖塔と、ラ・メルベイユの堅牢な建物が静かに時の流れを刻んでいました。
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( 庭園から見上げたラ・メルベイユ )

ラ・メルベイユの北面。
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( ラ・メルベイユの北面 )

絶壁感が半端ではありません。湿り気のある強風が吹きつけるので、かなり苔むしています。修行で来ても厳しそうだし、お勤めで入牢したら、もっと厳しそうな雰囲気が出ていました。

ほんとに、観光客でお気楽に見物できてよかったな、です。


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( 出口は坂道の途中。逆走不可。トンブレーヌ島が見えた )

我ながら改めて感じたのは、「モンサンミシェル修道院見学記って、誰が書いても同じようになってしまうな」、ということ。

見ごたえのある場面がいっぱいなの大歴史ロマンの観光地なのか、綿密に計算されたテーマパークのシンボルタワーの内部見学なのか、楽しい中でも、少しだけ考えてしまいました。

2019年7月記    了



月並みに、あるがままを楽しむモンサンミシェル修道院

月並みに、あるがままを楽しむモンサンミシェル修道院  2019年4月訪問


1  気分は初詣

モンサンミシェル:Mont-Saint-Michel は、修道院のイメージを前面に出した大観光地でした。

写真のような、記憶に焼きつく強烈なシーンを見たら、早足で島内に駆け込み、修道院:Abbaye (アベイ) を見学しました。
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( 昼過ぎのモンサンミシェル全景。実物は圧倒的な大きさ )

信心の気持ちを忘れてはいけませんが、初詣気分で、絶景のお寺見物に行く気持ちになると120%満喫できます。景色よし、お参りよし、買い物よし、賑わいよし、飲み食い高め。

素晴らしい姿の修道院の高いところに昇って、内部や景色を楽しむという点で、京都の清水寺に似ていると思います。海に突き出した場所にあるため、江の島に似ているという人もいます。当局は、広島県の宮島と姉妹観光都市提携を結んでいます。

2  心臓破りの階段で要塞風の入口へ

私たち観光客が修道院に入る場所は、グラン・ドゥグレという中世の要塞みたいな厳めしい門。和訳では、「大砲の胴門」と書いてあります。

修道院の手前から「心臓破りの階段」状態になりますが、みんな興奮状態なので、はあはあ息をこらしながら、上へ上へと向かいます。

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( 拝観者入口への「心臓破り」の階段グラン・ドゥグレ )

モンサンミシェルは、今をさかのぼること約1200年前の8世紀に、小さな祠から始まり、権威ある修道院へ発展。その後、百年戦争のあおりで要塞化。戦後は地味な修道院へ復帰、フランス革命後は監獄になるなどの紆余曲折を経て、19世紀半ば以降より、少しずつ文化財的な修道院機能を備えた観光地へ発展してきました。その華麗かつ激動の歴史を無言で語るような雰囲気です。

MSM108修道院口2手0429
( 一般拝観用、つまり観光客用の入口 )

私たちは、混雑を予想して、あらかじめオンライン・サイトで拝観券を購入してきましたので、左の「キップありの優先レーン」に進みます。午後4時過ぎでしたので、混雑のピークは過ぎていた模様。やや、ほっとしました。

入場料は大人1名10ユーロ(2019年4月現在)。オンラインキップは購入日より1年間有効。日にちや拝観時刻指定制ではありません。そこまで混んでいないということです。

英語版の、開館時刻やキップ購入サイトは以下のとおりです。
http://www.abbaye-mont-saint-michel.fr/en/Prepare-for-your-visit/PRATICAL-INFORMATION#tarifs


3  入場しても階段は続くよ

要塞のような入口をとおります。荷物検査もあります。1台3ユーロのオーディオガイドを借りたい方は、キップ売場へ取って返さなければいけません。

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( 右がキップありの入口、左がキップ購入者の入口 )

さらに階段が続きます。急ぐと、心臓にさらに負担がかかり、天国まで行ってしまいますので、落ち着いて昇りました。

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( 一般見学者が入れる最上階のテラスまで、あと一息の階段 )

この階段の真上に、両方の建物をつなぐ橋があります。修道士の方々が往来する通路です。「生活していれば、なるべく楽な方がいいもんね」

拝観というか、見学順序は、最上階のテラスに行き、そこから下界や教会の外観を見渡したあと、順繰りに下へ下へと有名ポイントをめぐります。


4  もっと上に、もっと天の近くに

けれども、もっと上へ行くことができるのです。わずかなチャンスがながら、2019年は、日曜日に限り午前11時集合、定員18名、料金大人13ユーロの2時間フランス語ガイド付きで、サンミシェル像のそびえる尖塔まで登るコースがあります。フランス語のサイトのみに掲載。完全予約制ですので、宝探しみたいですね。

http://www.abbaye-mont-saint-michel.fr/Actualites/Visite-Un-dimanche-dans-le-ciel-de-l-archange-2019

キーワードは、le-ciel-de-l-archange です。直訳は、「大天使の空」という意味です。「ご本尊を間近で拝もうコース」っていう感じです。

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( アップで見たサンミシェル像と尖塔 )

下から眺めると、サンミシェル像の立っている下の四角いお堂あたりまでは、狭いながらも階段で行けそうです。歴史好き、珍しいもの好きの方々の知識欲を満たそうとするサービスはいいですね。せめて1日2回くらい、ガイド付き登楼ツアーを企画してくれるといいなあと感じました。


5  何気にサンミッシェル

ほとんどすべての皆様がモンサンミシェル観光を満喫し、ブログでも絶賛しています。そして、ここがキリスト教の修道院であると説明していますが、それ以上のこと突っ込んで書いている文は、ほとんど見当たりません。

MSMサンミシェル昼間0429
( 金色に輝くサンミシェル像、拡大 )

「モンサンミシェルって何派の修道院?」

「サンミシェルのこと、『聖天使ミカエル』と書いている人がいるけど、どういう関係?」

「今も現役修道院って言うけれど、何か証拠あるの?」

「建物や街並みが、かなり要塞風なのはどうして?」

「プーラールおばさんのオムレツは巡礼者向けに始まったっていうけど、1888年の創業時に巡礼者向けの商売なんか成立したの?」

ガイドさんの言葉を受け売りしてコメントを書くと、上のような意地悪な質問には答えられません。

別にいいと思います。

「だって、ここは、修道院を建前にした一大絶景観光地ですから」

はるばる日本から来たのです。朝早く起きて、不安げにオプショナルツアーの集合場所にやってきて、眠いのです。小賢しい解説など、あまり考えずに、見たまま感じたままのモンサンミシェルのユニークで巨大な風景や、修道院風の歴史ムードを、大いに楽しみましょう。

私も、今回行ってみて、モンサンミシェルは、当日のあるがままを堪能するのがベストだと思いました。ここでは、直感的にフランスの過去と現在、宗教的雰囲気と世俗主義を体感できます。素晴らしい観光地ではありませんか。


2019年6月記     了

















モンサンミシェルの対岸地区ぶらぶら


モンサンミシェルの対岸地区ぶらぶら    2019年4月訪問


1 モンサンミシェルの連絡橋と対岸地区

モンサンミシェルの対岸地区をぶらぶらしました。増加した観光客をさばくため、21世紀になって開発された真新しい観光拠点です。

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( 対岸地区のメイン道路、奥がモンサンミシェル )

モンサンミシェルでは、2014年7月に連絡橋が完成しました。旧来の取付道路は取り壊され、再び、大潮の日に海に囲まれた歴史的風景を取り戻すことはできました。それと同時に、島民の駐車場も遠くなりました。クルマ依存型の島民の生活が不便になって本土側へ引っ越したため、人口は激減です。観光客も遠い駐車場のことが気がかりとなって早目にクルマに戻るようになり、夕食時間帯の島の客足が遠のいたようです。無料シャトルバスが夜中まで走っていると言っても、人間の心理として、暗くなったらできるだけ駐車場の近くに引き上げようと思うでしょう。

なんか、「朝9時開門、夜中1時閉門の、『聖なるテーマパーク・モンサンミシェル』」、化が起こっているようです。

「するってーと、島内ホテルは、ディズニーシーにたとえると、『ホテル・ミラコスタ』みたいな位置づけになるわけですね」
「御意。そのうち、ホテル代もさらにあがるかも知れません」
「くわばら、くわばら」

対岸一帯は、カゼルヌ:Caserne という地名ですが、日本語のガイドブックやブログでは、一様に「対岸地区」と書いてあります。その方が、モンサンミシェルの一部だという雰囲気が出やすいですね。

対岸地区には、モンサンミシェル島へ通じるメイン道路の両側にホテルやレストランが10軒程度、ゆったりと並んでいます。電線や派手な看板は一切なし。一般車の乗入も厳禁です。


2 パスールと観光案内所

クルマで来た方は、対岸地区に隣接する大駐車場にクルマを止め、無料のシャトルバス「ル・パスール:Le Passeur」に乗って、モンサンミシェルに渡ります。普通は「ル」を省略して、「パスール」と言っています。たくさんの皆さまの体験談のとおり、島と対岸地区の往復は、パスールの他に、徒歩、有料の(ラ)・マランゴト:La Maringote という観光馬車、ポントルソン駅まで行く有料の地域巡回バスがあります。天気、体力、財力などに合わせて、思い思いモンサンミシェル散歩を楽しみましょう。

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( メイン道路を走る有料馬車マランゴト )

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( パスール始発乗り場。昼間は乗客がたくさん )

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( 午前10時ごろのパスール乗り場は大行列 )

パスールや路線バス乗り場の近くには観光案内所があります。よろず観光相談やモンサンミシェルの模型展示の他、日本語のパンフレットや無料のきれいなトイレもあるので、時間の許す方は寄りましょう。

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( バス停から見えるモンサンミシェル観光案内所 )

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( 観光案内所の内部 )

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( モンサンミシェルの模型。上部中央が島 )

3 ホテルやレストランのチェック

メインストリートには、私たち日本人になじみのあるホテルやレストランが立ち並んでいます。ツアー会社や個人の予算に合わせて、皆様も思い思いのホテルやレストランに入らされた、あるいは入ったと思います。
(以下、つづりのアクセント記号は省略)

まず、ホテル・メルキュール・モンサンミシェル:Mercure Mont-Saint-Michel  と、併設のレストラン、プレ・サレ:Pre Sale 。四つ星ですので、デラックス・ツアーの皆さまは、心地良いホテルサービスや、礼儀正しいレストランのサービスなどを満喫されたことでしょう。ただし、ホテルからモンサンミシェルは、あまり望めないようです。

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( ホテル・メルキュール・モンサンミシェル(奥)と、レストラン、プレ・サレ(手前))

ホテル・メルキュールの真向いが、レストラン・ラ・ロティスリー:La Rotisserie 。その奥にホテル・ベール:Vert、横にスーパーマーケットがあります。どの建物も平屋か2階建てで、ゆったりとした造りのうえ、たっぷりと間隔を空けて建っています。
また、いずれも、カジュアル系なので、節約指向の旅行者にはありがたい施設です。

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( ホテル・メルキュール前の道を挟んで、レストランとスーパーマーケット )

メイン・ストリートを島に向かって歩いて行きます。5分くらいで、集落の端に着いてしまいます。

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( ホテル兼レストラン、ル・ルレ・ドゥ・ベ。木立の奥が、ホテル、ラ・ディーグ )

こじんまりしたホテル兼レストラン、ル・ルレ・ドゥ・ベ:Le Relais de Baie  と、ラ・メール・プーラール系列のホテル、ラ・ディーグが見えます。その対面がラ・メール・プーラールの対岸地区の本丸、四ツ星のホテル&レストランであるル・ルレ・サンミシェル:Le Relais Saint-Michel  です。

堂々たる2階建ての建物と、その向こうに霞むモンサンミシェルのピラミッド型の島影が、ラ・メール・プーラール社の繁栄を物語っていました。

「すごいですね、ラ・メール・プーラール!」

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( ホテル&レストラン、ル・ルレ・サンミシェル正面 )

ル・ルレ・サンミシェルは、海岸寄りの一等地に建っていることが分かります。そして、このホテルの前の海沿いの木立は、たまたま途切れています。海側の部屋やレストラン席から、モンサンミシェルの美しいピラミッド型の姿を心置きなく遠目に眺められるはずです。

「だって、橋の島寄りの場所や修道院のテラスから見ると、このホテルだけ建物がむき出しで見えます」
「ほらね」
MSM295ルレサンミシェル遠望0430
( 島から、ホテル・ルレ・サンミシェルを望む。木立が途切れている )


4 クエノン川からモンサンミシェル遠景を楽しむ

対岸地区きっての見晴らし地点、クエノン川:Cuesnon の河口ダム兼展望台に着きました。朝は、みんな島へ行ったり、ツアー・バスで余所へ出発してしまったせいか、ほとんど誰もいません。確かに、「ここで、まずモンサンミシェルの美しい姿をたっぷり拝んでから島へ近づこう」、などという悠長な観光客は皆無です。モンサンミシェルが視野に入った瞬間、まず、息せき切って島へ渡りたくなるのが通常の心理です。

それだけ、モンサンミシェルの威容は、私たちを惹きつけて止まない素晴らしく魅力的な姿です。

MSM298A対岸クエノン河口テラスの朝0430
( クエノン川河口ダム上の展望デッキ )

この展望デッキは、夕焼けと夜景が美しいと評判です。私たちは、残念ながら、そのタイミングでこの場所に立てませんでした。

MSM対岸から遠望の朝0430
( モンサンミシェルは遠くにありて拝むもの? )

すがすがしい朝の空気を通して、少し霞んで見えるモンサンミシェルは、肉眼で見るとかなり小さいです。霧の日はもちろん、モヤ程度でも、島影は見えなくなりそうだな、と心配してしまいます。観光写真は、大きさを少し誇張してあるようです。けれども、羊の放牧風景といっしょのモンサンミシェル像も印象的です。対岸のホテルや、レストランのテラスからのモンサンミシェルの姿も、多分、こんな感じでしょう。

いろいろなモンサンミシェルを体験するという意味では、是非、立ち寄りたいポイントです。


2019年6月記                             了

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