芝生に足をサン・シーロ 2018年3月訪問
1)あれに見えるはサン・シーロ:San Siro
私はサッカーファンではありません。アンチでもありません。
ワールドカップに日本が出れば、テレビを見ます。けれども、わざわざパブリック・ビューまで行くほどではありません。
今回は、思い立って、ファンの聖地のひとつ、ミラノの「サン・シーロ」スタディアム観光に出かけました。
正式名称は、スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ:Studio Giuseppe Meazza、というのだそうですが、「サン・シーロ」の一言で、みんな分かるようです。
サン・シーロは、巨大はサッカー場なので、ずいぶん遠くからでも存在感抜群です。ミラノ都心から西に5-6kmほど離れたサン・シーロ地区に建っています。北に2kmほど離れた団地からも、その堂々とした姿を遠望できます。

( サン・シーロ遠望 )
地下鉄5号線に乗り、終点の「サン・シーロ」駅で降ります。大通り沿いの出口に上がってくると、サン・シーロ・スタディアムが、でーんと鎮座していました。圧巻でした。

( 駅前からみるサン・シーロ )
「これは、すごい」の一言に尽きました。
建物に近づけば近づくほど、その巨大さに圧倒されてしまいます。ヨーロッパのサッカー熱を、形で表すと、こんな大きさなんだなと実感しました。
少し重い腰を上げて、こういう場所に来た甲斐がありました。

( 巨大な建造物サン・シーロ近景 )
サン・シーロは、試合のない昼間は博物館扱いになって一般公開中です。料金は大人1人17ユーロです。( 2018年3月現在 )入場券売場と見学者入口は8番ゲートにありました。

( 8番ゲート付近が見学用入場券売場 )
2) ただで混雑FAIデー
私の見学当日は、年1回か2回の無料公開日でした。「FAIデー」と言って、FAI=Fondo Ambiente Italiano:イタリア文化遺産保存財団に協賛したサッカーチームの計らいです。ただし、FAIへの寄付3ユーロを求められます。
そのため、入場ゲートは、午前10時の開門前から、押すな押すなの人だかり。事前に寄付を済ませた人、私のように当日、成り行きで並んだ人が、切符売場の横でセキュリティ・チェックを受け、それぞれ長蛇の列を作って場内ツアーの順番を待っています。
これだけ人が押し寄せていると、案内係の人たちも大忙しのはずですが、どことなく、のんびりムードが残っているのはお愛嬌。私は45分待って、やっと見学ツアーの順番が回ってきました。
実際は、見学者コース上のロッカー・ルームが小さくて混雑するので、グループを作ったあと、一定間隔を空けて、見学者を中に入れていたようです。

( FAIデーは一応、無料開放日 )
さあ、いよいよ場内突入です。
最初は、見学者入場口を兼ねた正面入り口で、ジュゼッペ・メアッツァ氏の偉業の説明を受けます。
見学者の多くは、「ふんふん、なるほど。わかったから、早く中へ入ろうよ」と、いう感じです。

3) 歓喜のロッカールーム
サン・シーロは、ミラノに本拠を置く2つのプロ・サッカー・チーム、ACミランとインテルの共用スタジアムです。
そのため、どこへ行っても、ACミランの赤いシンボルカラーと、インテルの青いシンボルカラーが目に入ります。
関係者専用通路に誘導されて、まず、入ったのが、ACミランのロッカールーム。
「わおー」と、ミラネーゼは老いも若きも子供も、表情を輝かせて、ごひいきの選手の名前が書いてある椅子に腰かけます。ユニフォームや備品のタッチはだめですが、椅子に座ってもよいのです。
にーこ、にこにこ・・・・。子供らにせがまれて、しぶしぶ付いてきたような顔をしていたお母さん、お爺さんも、有名選手が使う空間を共有しているという気分になったのでしょうか、子供たちといっしょになってハイになっています。愛想もよくなり、「お兄ちゃん、写真撮ってあげるよ」と、私のことまで気を遣ってくれました。「どうもありがとうございました」
ちなみに、私は、誰が人気選手なのか分からないので、適当に空いている席に座って写真を撮ってもらいました。

( ACミランのロッカールーム )
チームのスローガンは、なぜか英語。やはり、外国語を使う方がかっこいいのですかねえ。
つづいて、青い色調の、インテルのロッカールームに移りました。ここでも、歓声と、人気選手席の順番待ちと、写真撮影が続きます。
私にも、大試合を前にした選手や関係者の興奮が、少しづつ伝わってくるようでした。

( インテルのロッカールーム )
「そう言えば、ミラノに日本人がいなかったっけ?」
赤いロッカールームにも、青いロッカールームにも、ニッポン人らしき選手名が見当たりません。
あとで調べたら、2018年1月に長友佑都選手がインテルを退団し、ニッポン人所属選手はいなくなったとのことでした。
4) フィールドからの、下から目線
ここまで来ると、気分は少しばかり、選手かVIPの心境です。サッカーをする方は、こんな空間を通って大観衆の前に登場するんだと思うと、いい気持ちです。

( フィールドに直結する半地下通路。階段の先がフィールド )
コンクリートの半地下通路を、見学者の会話の木霊(こだま)を聞きながら進んで行きます。

( フィールドに出た瞬間 )
「出たア・・・」
「おおっ、我らが前にうごめく8万人の大観衆!」
割れんばかりの声援に迎えられてフィールドにさっそうと登場するのは、何にも増して、いい気分だろうな、と実感できる場所です。
インテルは、2年ほど前からオーナーが中国企業になったので、宣伝用のロゴには漢字も書いてあります。特段、気になるほどでもないのですが、足元の経済が、どの国を中心にして、どういう風向きの中を進んでいるか、現実を思い知る瞬間でもあります。
思わず、「がんばれニッポン」。
サン・シーロの芝生に足を一歩出してみます。

( フィールド面から見た芝生と観客席 )
見学者が歩くことができるのは、フィールド面の、ほんの一画に過ぎないのですが、本物の芝生の上を歩くことができます。選手やコーチ、VIPの皆さまと、同じ高さの目線で、フィールドや観客席を見上げるのです。
「下から目線もいいものですねえ」
私も、周囲を見回しながらつくづく思いました。

( フィールドの一角を歩く見学者たち )
見学者も、広々とした空間に出られてほっとしています。思い思いの場所で記念撮影です。私も、観客席をバックに写真を撮ってもらいました。

( 整備機器が並んだフィールド中央と観客席 )
見学者は、芝生の端っこを進み、観客席へ上がります。フィールドには整備機器がいっぱい並んでいました。そして、見上げる観客席の高いこと、高いこと。実際に見ると、写真以上に、そそり立った感じを受けます。裏返せば、一番上の席から試合を肉眼で見ると、選手たちは、かなり小さくしか見えないということでしょう。けれども、あの歴史的一瞬をこの眼で見た、みんなといっしょにいた、という感動があるからこそ、サン・シーロにやってくるのです。

( サン・シーロのフィールド全景とスクリーン )
しばらく、フィールドでぶらぶらしたあとは、皆、思い思いに帰途につきます。出口の近くには、お土産やさんがあり、ACミランとインテルのオフィシャル・グッズがたくさん置いてあります。

( サン・シーロのお土産品売場)
また、ひとつ、楽しいミラノ体験が増えました。
2018年7月 記 了
1)あれに見えるはサン・シーロ:San Siro
私はサッカーファンではありません。アンチでもありません。
ワールドカップに日本が出れば、テレビを見ます。けれども、わざわざパブリック・ビューまで行くほどではありません。
今回は、思い立って、ファンの聖地のひとつ、ミラノの「サン・シーロ」スタディアム観光に出かけました。
正式名称は、スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ:Studio Giuseppe Meazza、というのだそうですが、「サン・シーロ」の一言で、みんな分かるようです。
サン・シーロは、巨大はサッカー場なので、ずいぶん遠くからでも存在感抜群です。ミラノ都心から西に5-6kmほど離れたサン・シーロ地区に建っています。北に2kmほど離れた団地からも、その堂々とした姿を遠望できます。

( サン・シーロ遠望 )
地下鉄5号線に乗り、終点の「サン・シーロ」駅で降ります。大通り沿いの出口に上がってくると、サン・シーロ・スタディアムが、でーんと鎮座していました。圧巻でした。

( 駅前からみるサン・シーロ )
「これは、すごい」の一言に尽きました。
建物に近づけば近づくほど、その巨大さに圧倒されてしまいます。ヨーロッパのサッカー熱を、形で表すと、こんな大きさなんだなと実感しました。
少し重い腰を上げて、こういう場所に来た甲斐がありました。

( 巨大な建造物サン・シーロ近景 )
サン・シーロは、試合のない昼間は博物館扱いになって一般公開中です。料金は大人1人17ユーロです。( 2018年3月現在 )入場券売場と見学者入口は8番ゲートにありました。

( 8番ゲート付近が見学用入場券売場 )
2) ただで混雑FAIデー
私の見学当日は、年1回か2回の無料公開日でした。「FAIデー」と言って、FAI=Fondo Ambiente Italiano:イタリア文化遺産保存財団に協賛したサッカーチームの計らいです。ただし、FAIへの寄付3ユーロを求められます。
そのため、入場ゲートは、午前10時の開門前から、押すな押すなの人だかり。事前に寄付を済ませた人、私のように当日、成り行きで並んだ人が、切符売場の横でセキュリティ・チェックを受け、それぞれ長蛇の列を作って場内ツアーの順番を待っています。
これだけ人が押し寄せていると、案内係の人たちも大忙しのはずですが、どことなく、のんびりムードが残っているのはお愛嬌。私は45分待って、やっと見学ツアーの順番が回ってきました。
実際は、見学者コース上のロッカー・ルームが小さくて混雑するので、グループを作ったあと、一定間隔を空けて、見学者を中に入れていたようです。

( FAIデーは一応、無料開放日 )
さあ、いよいよ場内突入です。
最初は、見学者入場口を兼ねた正面入り口で、ジュゼッペ・メアッツァ氏の偉業の説明を受けます。
見学者の多くは、「ふんふん、なるほど。わかったから、早く中へ入ろうよ」と、いう感じです。

3) 歓喜のロッカールーム
サン・シーロは、ミラノに本拠を置く2つのプロ・サッカー・チーム、ACミランとインテルの共用スタジアムです。
そのため、どこへ行っても、ACミランの赤いシンボルカラーと、インテルの青いシンボルカラーが目に入ります。
関係者専用通路に誘導されて、まず、入ったのが、ACミランのロッカールーム。
「わおー」と、ミラネーゼは老いも若きも子供も、表情を輝かせて、ごひいきの選手の名前が書いてある椅子に腰かけます。ユニフォームや備品のタッチはだめですが、椅子に座ってもよいのです。
にーこ、にこにこ・・・・。子供らにせがまれて、しぶしぶ付いてきたような顔をしていたお母さん、お爺さんも、有名選手が使う空間を共有しているという気分になったのでしょうか、子供たちといっしょになってハイになっています。愛想もよくなり、「お兄ちゃん、写真撮ってあげるよ」と、私のことまで気を遣ってくれました。「どうもありがとうございました」
ちなみに、私は、誰が人気選手なのか分からないので、適当に空いている席に座って写真を撮ってもらいました。

( ACミランのロッカールーム )
チームのスローガンは、なぜか英語。やはり、外国語を使う方がかっこいいのですかねえ。
つづいて、青い色調の、インテルのロッカールームに移りました。ここでも、歓声と、人気選手席の順番待ちと、写真撮影が続きます。
私にも、大試合を前にした選手や関係者の興奮が、少しづつ伝わってくるようでした。

( インテルのロッカールーム )
「そう言えば、ミラノに日本人がいなかったっけ?」
赤いロッカールームにも、青いロッカールームにも、ニッポン人らしき選手名が見当たりません。
あとで調べたら、2018年1月に長友佑都選手がインテルを退団し、ニッポン人所属選手はいなくなったとのことでした。
4) フィールドからの、下から目線
ここまで来ると、気分は少しばかり、選手かVIPの心境です。サッカーをする方は、こんな空間を通って大観衆の前に登場するんだと思うと、いい気持ちです。

( フィールドに直結する半地下通路。階段の先がフィールド )
コンクリートの半地下通路を、見学者の会話の木霊(こだま)を聞きながら進んで行きます。

( フィールドに出た瞬間 )
「出たア・・・」
「おおっ、我らが前にうごめく8万人の大観衆!」
割れんばかりの声援に迎えられてフィールドにさっそうと登場するのは、何にも増して、いい気分だろうな、と実感できる場所です。
インテルは、2年ほど前からオーナーが中国企業になったので、宣伝用のロゴには漢字も書いてあります。特段、気になるほどでもないのですが、足元の経済が、どの国を中心にして、どういう風向きの中を進んでいるか、現実を思い知る瞬間でもあります。
思わず、「がんばれニッポン」。
サン・シーロの芝生に足を一歩出してみます。

( フィールド面から見た芝生と観客席 )
見学者が歩くことができるのは、フィールド面の、ほんの一画に過ぎないのですが、本物の芝生の上を歩くことができます。選手やコーチ、VIPの皆さまと、同じ高さの目線で、フィールドや観客席を見上げるのです。
「下から目線もいいものですねえ」
私も、周囲を見回しながらつくづく思いました。

( フィールドの一角を歩く見学者たち )
見学者も、広々とした空間に出られてほっとしています。思い思いの場所で記念撮影です。私も、観客席をバックに写真を撮ってもらいました。

( 整備機器が並んだフィールド中央と観客席 )
見学者は、芝生の端っこを進み、観客席へ上がります。フィールドには整備機器がいっぱい並んでいました。そして、見上げる観客席の高いこと、高いこと。実際に見ると、写真以上に、そそり立った感じを受けます。裏返せば、一番上の席から試合を肉眼で見ると、選手たちは、かなり小さくしか見えないということでしょう。けれども、あの歴史的一瞬をこの眼で見た、みんなといっしょにいた、という感動があるからこそ、サン・シーロにやってくるのです。

( サン・シーロのフィールド全景とスクリーン )
しばらく、フィールドでぶらぶらしたあとは、皆、思い思いに帰途につきます。出口の近くには、お土産やさんがあり、ACミランとインテルのオフィシャル・グッズがたくさん置いてあります。

( サン・シーロのお土産品売場)
また、ひとつ、楽しいミラノ体験が増えました。
2018年7月 記 了