一人旅は、世界中で、連綿と、すたれることなく続いているスタイルです。
私も、先進国に行くなら、一人旅が好みです。ときどき、夫婦旅もいいものです。
最近では、一人参加のツアーも、一人旅と表現する人が増えています。あんまり、一人旅という感じはしないと思うのですが、言葉尻の問題はともかく、「パートナーや友達といっしょに、海外くんだりまで行くのはやだ」と、思っている人が少なくないことが分かります。
たくさんの人が、いろいろな切り口や書き方で一人旅の長短を述べていますが、大半が、肯定派です。
私も、肯定派の先達に加わって、自分自身の感じ方を書き残そうと思います。
私の一人旅は、ほぼ、先進国か観光国の旅です。そして、昔は学生、今はシニアで、期間は1週間から2週間程度です。かなり軟弱に見えますが、自分のしたいように旅しています。
一般的な見方では、一人旅の人には、陰があり、あまり関わりたくないイメージです。失恋したり、会社をクビになって傷心の海外旅行をしているか、学究肌、オタク肌で協調性がないので、必然的に一人旅をしている、と思いたいようです。そういう方も中にはいらっしゃいますから、一人旅の美女やイケメンに声をかけてみましょう。
( 一人旅は気ままで、奥もあり )
けれども、多くの人たちは、自分自身で自由気ままに旅を楽しむために、一人旅をしています。2017年12月末、有名旅行会社H.I.S.社の澤田秀雄社長が、春先くらいに3カ月から半年間の一人旅に出ることがニュースになっていました。ただ、楽しめれば、それでよいと思います。
一人旅の最大のメリットは、気楽に行動できることだと思います。
同行者に気を遣うことなく、自由に動いたり、とどまったりするので、ストレスがたまりません。先進国では、ホテルにいれば引き籠って過ごせます。明日の糧や交通手段の心配がないので、気持ちが無になれるときがあります。気分がすっきりします。
そのあと、自分の旅の次の情景が浮かぶことがあります。とても、楽しい空想です。「昼間会った、あの人はどうしているかな」とか、「明日、情熱の出会いがあるかな」などと、ふと頭に浮かびます。
一人旅をしていると、意外と会話します。
何でも自分でこなさないといけないので、ホテルでも、バルでも、自分の肉声と身振り手振りが頼りです。押し売りのオバサンも、列車の前の座席に座ったカッコいいお兄さんも、自分とだけ会話するのです。ウマが合って、話がはずめば、とても幸せな気分になります。世界が、さらに広がるチャンスかも知れません。また、「NO」の一言が、出なかったばっかりに、無駄遣いをしたりすると、とても後悔し、反省します。
いつも誰かが傍にいないと不安な寂しがり屋タイプの方には、想像できないでしょうが、一人旅派は、このくらいで十分なのです。
一人旅のデメリットは、言い尽くされているとおりだと思います。トイレに行くにも他人に声かけが要る、シングル料金が高い、話し相手がいなくて寂しい、予約ミスも自己責任、等々です。数え上げたらキリがありません。
強いてデメリットを追加するならば、ときどき、凡庸な観光客にあるまじきミスを犯すことです。2番目に重要なくらいの定番の観光ポイントをはずすのです。例えば、ばりばりのお上りさん観光客としてパリ行ったのに、ルーブル美術館でミロのヴィーナスの前を素通りしていた、という感じのミスです。帰国後に、「あれま、どうしよう」と、思います。「後悔、先に立たず」、の典型例です。旅行記をまとめるとき、その場面は抽象的な書き方にするなどして、ごまかします。
「何か、変んな人だな」と、思った人もいるでしょう。
実際、一人旅を好むような人の考え方は、現代日本のサラリーマン社会の多数派意見ではありません。私も、見た目は普通ですが、会社の有給休暇を使い切って、親戚縁者を、年に何人も、あの世へ送る人間ではありません。頭の中で、少しだけ多くのことを考えているだけです。
私から見ると、「30歳になって、バックパック背負って1年かけて世界一周。ブログを作ったので、ポチしてね」、という方は、多数派です。絵に書いたようなアンチ・サラリーマン的世界旅行です。行動は少しユニークですが、脳みその中味は普通の日本人。そういう一人旅で満足できたらいいな、と旅先で思ったことがあります。
年の功のせいか、最近は、旅先で、見ず知らずの人と、たのしいおしゃべりをする機会が増えた気がします。若い女性は、白髪混じりのシニアっぽい人に話しかけられてもリスクを感じないようです。実に嬉しい変化です。そのため、学生のころや、一人出張に出ていたころに比べて、旅先での会話時間が増えています。一期一会の楽しさを、より多く味わえるようになりました。
( 旅先の一期一会。あなたたちは今どこに )
「それだけ、図々しくなったということだよ」
「大阪のオバチャンほどではないですよ」
「それが、年の功じゃ」
という感じです。
2017年12月記 了