プチトリアノンのアモー。マリー・アントワネットの田舎ごっこ   2019年4月訪問


最近のマリー・アントワネットブームにより、注目度も高くなったプチトリアノン。

アモー:Hameau の中心となる建物、王妃の家(館):La Maison de la Reine は、離宮の本館以上に見落とせないポイントです。

他の見物客が、ぶらぶらと進む方角に付いて行くと、目線の先、木々の間越しに、大きな池と、ひなびた風情の数軒の建物が見えてきます。それが、アモーです。意味は、「村の風景」です。ガイドブックなどでは「王妃の村里」と訳してあります。
VersaillesPetit Trianon428 (38)
( アモーの中心、王妃の家の全景 )

アモーの英訳は、ハムレット:Hamlet。目からウロコです。

シェークスピアの有名な悲劇「ハムレット」は、主人公の名前だと思っていましたが、どうやらニックネームのようです。無理に和訳すると「田舎王子の悲劇」って感じかも知れません。少し興ざめです。シェークスピアご本人からすれば、「あか抜けない純情一筋の王子の切ない、そして、少しダサイ悲劇」、というニュアンスを伝えたかったのかも知れません。

そういうことは、あまり深く考えないで、アモーの中にずんずんと歩いて行きましょう。ベルサイユは、広いので、いちいち哲学的になっていたら、すぐに閉館時間になってしまいます。

アモーの中心である「王妃の家」に着きました。
VersaillesPetit Trianon433アモー王妃の家近景
( 「王妃の家」の近景 )
VersaillesPetit Trianon434アモー王妃の家と隣家
( 「王妃の家」の端にある、螺旋(らせん)階段 )

「何これ、ひなびた田舎家のどこが見どころ?」
「わああ、マリー・アントワネットの、お気に入りの館に、とうとう着いたあ!」

皆さん、ひとりひとりの思いが心をよぎることでしょう。
私は、「これが、うわさに聞いたアモーの『王妃の家』かあ。お気楽な王妃の遺物を見られて感慨深けだなあ」
と思いました。

内部は、外観からは想像もつかないような優雅で凝った造りのようです。

http://en.chateauversailles.fr/long-read/queens-house
ベルサイユ宮殿公式サイトでは、王妃の家の内部を画像つきで解説しています。

この建物は、いわゆる「自由見学不可の一般公開エリア」です。2018年5月から、「王妃の家」の内部見学を含む宮殿主催のガイドツアーもできました。催行日時は、公式サイトのフランス語の各種キップ、予約のページで確認できます。今のところ、英語や日本語の一般向けガイドツアーはありません。

2019年9月現在、ガイドツアーの追加料金は1人10ユーロです。ベルサイユのパスポート券や、トリアノンの単独入場券が別途必要です。

今回は、内部見学はパス。次回は、是非、ガイドツアーに参加したいのですが、もう1度、ベルサイユに来られるでしょうか。シニアトラベラーなので、心配も常人以上です。

「王妃の家」や、その周囲の田舎家をざっと見てみました。

まず、「王妃の家」の、らせん階段の裏側です。遠目に見えるのは、水車小屋風の建物です。
VersaillesPetit Trianon435アモーらせん階段裏
VersaillesPetit Trianon王妃の家の裏から
( 「王妃の家」の裏手 )

「王妃の家」の池と反対側の裏手は、いわゆる台所見合いの家。「配膳の家」のような呼称です。
VersaillesPetit Trianon428 (42)
( 食事を作る建物と、「王妃の館」の渡り廊下の裏 )

「王妃の家」と並んで、池沿いに目だっているのが、「マールボロの塔」という釣殿です。
VersaillesPetit Trianon428 (48)
( 「王妃の家」付近から見た「マールボロの塔」 )
VersaillesPetit Trianon428 (50)
( 「マールボロの塔」付近から見た「王妃の家」 )
VersaillesPetit Trianon436池をはさんでアモー
( 池の向こうに「王妃の家」、「見張り小屋」、「水車小屋」 )
VersaillesPetit Trianon428 (57)
( 「マールボロの塔」も入れて、「王妃の家」一帯を見渡す )

池の水は、透明ではありません。流れがないので、濁り気味ですが、魚やアヒルはいます。紅白のニシキゴイはいません。

池全体を見渡せる位置まで来ると、「王妃の家」を中心に、田舎家が何気なく並んでいるのが分かります。計算された田舎ごっこの究極の絵巻、です。

「いいね」、「なんだこりゃ」、のどちらもありでしょう。もう、歴史の結果は出ているので、観光客としてはアモーの人工の農村風景の美を楽しむのが最適だと感じました。私としては、無常観が漂った光景です。

建築費も、維持管理費も、眼の玉が飛び出るくらいであったことも想像できます。もちろん、マリー・アントワネット擁護派の主張のように、「当時の超巨額な国家債務の金額に比べれば、50-100億円程度など、たかが知れている」のでしょうが、節約可能だった出費であることも事実でしょう。

「でも、いいなあ。こういう暮らし好き」

「マールボロの塔」を過ぎると、田舎風景を管理していたスタッフたちの家が近づいてきます。牧草地あり、家畜あり、ブドウ畑ありのミニ農村です。
VersaillesPetit Trianon438マルボロー塔と黒ヤギ
VersaillesPetit Trianon441ブドウ畑と疑似農家
VersaillesPetit Trianon442疑似農家と家禽たち
( アモーの田舎風景を管理していたスタッフたちの建物 )

池越しに、アモーの主役「王妃の家」の全景を、もう一度、眼に焼き付けて歩みを進めました。
VersaillesPetit Trianon王妃の家アップ
( アモーの「王妃の家」を目に焼き付けて )

快晴の青空、秋の黄葉、雪景色、そして嵐の夕暮れ、など、季節ごとに美しく、そして儚く(はかなく)佇むアモーを想って。

2019年9月記                        了