ミラノ市電4900形なつかしの連接車     2018年3月、9月訪問

ミラノ市電にも連接車がたくさん走っています。たくさんどころか、連接車比率が3分の2くらいです。

日本では、市電でもバスでも連接車は珍しい存在なので、日本人にはレアな見世物です。

ミラノ市電の旧型式の連接車は、やや古い感じのする4600形、4700形と、1970年代に登場した4800形、4900形です。4600形グループは連接車、4900形グループは3連接車です。どちらも実用一点張りの車両です。

電Tミラノドゥオーモ南にて (2)
( ダンテ通りを走る4600形広告塗装車 )

はっきり言って、お洒落シティ、ミラノのイメージからすると、多少、野暮ったいデザインです。都心部で見かけても、「おおっ」と、のけぞるほど斬新な外観でもないし、窓なども平凡なデザインです。

電Tミラノ4700形ブレッラ付近201803 (1)
( のっそりした感じの4700形 )

やや古びた連接車が、節をつけて2両か3両編成で、くねくねと街中を走っている姿は、けっこうユーモラスです。いもむしが、曲がった木の枝を這っているような感じもします。

けれども、だんだんミラノに慣れてくると、この、のそのそ感に妙な温かみを感じます。まじめにコツコツ暮らすミラネーゼ気分が出ているな、と思うのです。

電Tミラノのトリノ通3系統4700形
( トリノ通りを南下する4900形連接車 )

電車内もビジネスライクで、70年代、80年代の、大量生産や規格統一こそ名経営の証、という時代だった頃の雰囲気を残しています。

198808ミラノ市電連節車内部
( 4900形の車内 )

それでも、もう50年にもなろうとする車両を大切に使い続けている経営姿勢に脱帽です。

旧式連接車は、ドゥオーモからカステロ・スフォルツェスコ(ミラノ城)方向へ伸びるダンテ通りなどを歩いていると、ひんぱんに走ってきます。

電Tミラノダンテ通りに向かう4600形201803
( ドゥオーモ横のトリノ通りからダンテ通りに入ってきた4900形 )

ひと昔前までは、ミラノ市電の色は、濃いオレンジ一色でしたが、最近は、ツートンカラーとか、緑色主体の新型車、さまざまなラッピング塗装の電車も増えています。

一部の車両は、車体を新しく作り直したようです。優しい感じの大型窓や、グラディエーションのかかった塗分けで、従前の車体に比べると、すっごく格好良くなりました。思わず、カメラを向けてしまいます。

電TミラノDuomo付近4800形 車体更新車
( すっきり美しくなった4900形車体更新車 )

蛇足ですが、まれに連接バスも見かけます。観光スポットをはずれた場所に足を伸ばすと走っています。そう言えば、リナーテ空港とドゥオーモを結ぶ市バスも連接バスです。

日本にいると乗るチャンスも少ないので、連接車の市電やバスに乗って、ミラノ市内をくねくね走るのは面白い体験です。

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( ワグネル市場近くを通る連接バス67系統 )
MILANOリナーテ空港風景201803 (6)
( リナーテ空港とドゥオーモを結ぶ市バス空港線73系統 )

お洒落して、ながーく走り続けてくださあい。応援しますミラノ市電!


2019年4月 記                             了