怖気づいたミラノの「10 コルソコモ」  2018年9月訪問


1. 有名店「ディエチ・コルソコモ」

10 Corso Como:ディエチ・コルソコモ は、20年ほど前のイタリアブームの頃、日本でも注目を集めたセレクトショップです。別の言い方をすると、ハイセンスなカフェ兼高級ブティックです。

Cコモディエチ中庭Sep2018
( ディエチ・コルソコモの中庭 )

かつては、モード系雑誌や女性向けミラノ特集で必ずと言っていいほど紹介されたお店だそうです。けれども、あまりにハイセンスすぎるのか、普通の観光客には人気がありません。

私も、話に聞く有名店を、野次馬根性でのぞきに行ってみました。

結論として、
「初老の男性客には、縁遠い場所です」
「いまさら、分かり切ったことを書かれても困ります」
「すみません。浅慮の至りでした」

旅に行ったのですから実地体験が楽しみです。実際の様子を見聞きして自分なりの感想を持つプロセスを楽しみましょう。


2. コルソ・コモ歩きを楽しむ

ディエチ・コルソコモは、敷居が高いのですが、幸いなことに、コルソコモ:Corso Como、つまりコモ通りは、イータリー:Eataly へ行くときに、ほぼ必ず通る、すてきなショッピングストリート兼散歩道です。ですから、興味本位で、ディエチ・コルソコモや他のお店へ、どんどん入ればいいのですが、なかなか、そうはいかなかったのでした。

今回は、王道のポルタ・ガリバルディ駅からの道ではなく、一駅、南のモスコバ駅:Moscova からアプローチしてみました。
「モスコバって、ロシアのモスクワのことですよねえ」
「ええ、そうです。ロシアのモスクワにちなんだモスコバ通り沿いにあるメトロの駅です」

CコモとPガリモスコバ広場Sep2018
( コルソコモへ北上する起点モスコバ駅前 )

モスコバ駅前から、ポルタ・ガリバルディ駅まで、ずうっと歩行者専用の散歩道になっています。南半分が、コルソガリバルディ、ガリバルディ門以北がコルソコモです。通り沿いに並ぶ中高級マンション街の地上階(1階)には、センスのよいバルやブティック、なんちゃって和食屋さんが、たくさん並んでいます。かつての下町風住宅街は、センスも良く気の置けない商店街に変身しました。夕暮れ時や週末の昼下がりに、ぶらぶら歩きするのが楽しいストリートです。

10分ほどで、ポルタ・ガリバルディ:Porta Garibaldi 、つまり、ガリバルディ門に着きます。右手奥が、イータリーです。もう説明不要の有名食品専門店です。

建物の煤(すす)も、きれいさっぱり落とされて、本当にきれいな再開発地区に生まれ変わったようです。めでたいことです。

CコモとPガリ門Sep2018
( 南から見るガリバルディ門と右のイータリー )

門の背後には、ガラス曲面もまぶしげな高層建築が誇らしげに建っていて、ミラノらしさを感じます。9割のニッポン人観光客は「イタリアの都市風景に非ず」と、したり顔で小言を言いたくなる情景ですが、私に言わせれば、「未来に向かうミラノの力を感じられないなんて、何て凝り固まった発想!」、です。

私の想像ですが、ルネサンス期の変革に対する当時の人々の感想なんて、きっと、こんな感覚だったのではないでしょうか。未来を感じて力強く進もうとする天才的なリーダーと、変化に戸惑う人たちの、しかめっ面が、心に浮かんできました。

CコモとPガリEatalySep2018
(  ガリバルディ門とイータリー近景 )

イータリーを間近に見て北へ進むとコルソコモの中心部に出ます。ミラノ市が設置した地図もセンスがいいです。

CコモとPガリ地図Sep2018
( コルソコモ一帯の地図。黄色に丸が現在地 )

あまりにかっこいいので、イチゲンさんには、一瞬、どこがどこだか分からないくらい素晴らしい地図です。
日本の地図と違って、駅や鉄道路線がランドマークではなく、大通りや広場がランドマークなので、ぱっと見で、どまどってしまうのだと思います。

コルソコモは年中無休の歩行者天国なので、存分に新しいミラノ、万博を起爆剤に変わろうとしているミラノを感じましょう。

CコモとPガリ駅方向Sep2018
( すっきりとしたコルソコモの街路風景と正面の再開発タワー )


3. ディエチ・コルソコモに怖気づく

10 Corso Comoは、ポルタ・ガリバルディ駅とイータリーの、ほぼ中間あたりにあります。ビルのバルコニーに、植木が”もさもさっと”生えている場所が目印です。お店は、門をくぐった奥の方に展開しています。

Cコモディエチ前Sep2018
( イータリー方向より見た10 Corso Como )

PGCORSOコモ10左端201803
( Porta Garibaldi 駅方向より見た 10 Corso Como )


私は、今回、急に怖気づいてしまい、10 Corso Como の中をちょっとのぞいて退散しました。

バルでは、マダムたちが優雅に午後のひとときを楽しみ、目がくらくらするような品々がブティックに並んでいます。ミラノ・モードの最先端を感じたい方の世界のひとつが広がっていました。

少し後悔しつつ。


2018年12月記            了