峠を越えたかナヴィリオ    2018年3月訪問

1) 人気スポットの旬

ミラノの観光スポットにも旬があります。

運河沿いのデートスポット、ナヴィリオ:Naviglio も、一部ミラネーゼの間では、旬は越したと思われ始めているようです。

「何で、そんなことが分かるの?」
「友人に『ナヴィリオに行こうよ』、って言ったら、あんまり、いい顔しなかったからです」
「そんなあ。ニッポン人のおじさま、おばさま、OLさまの間では、人気が高まりつつあるのに・・・・・」
「2015年のミラノ万博を境に、食べ物の味が平凡になり、店の雰囲気が観光地みたいになった」
「私は、観光客です」
「それも、そうだな」、という訳で、渋々、ナヴィリオにやってきました。

ドゥオーモからですと、ポルタ・ティチネーゼ通り:Corso Porta Ticinese を南下。市電3系統でも、タクシーでも、徒歩でも来られます。

電Tミラノ5月24日広場4700形201803
( ナヴィリオを通る市電3系統。奥がドゥオーモ方向 )

とにかく、ギリシャ神殿風のティチネーゼ門:Porta Ticinese を目指して進みましょう。

ナビリオ夕方5月24日広場
( ティチネーゼ門のある5月24日広場 )

メトロ利用の場合は、緑色のラインカラーの2号線のポルタ・ジェノバ:Porta Genova 駅下車、徒歩5分ほどです。ティチネーゼ門とは別の方向からのアプローチになります。

ナビリオ夕方Pジェノバ駅の石畳201803
( ポルタ・ジェノバ駅。左奥がナヴィリオ地区 )


2) けだるいナヴィリオ

「あんまり、人通りがないのですね」
「明るいうちはね。何しろ、飲み屋街ですから」
「御意」


ナビリオ夕方Darsenaと5月24日門201803
( ティチネーゼ門を横に見るナヴィリオ地区のダルセナ )

ナヴィリオの中心は、ダルセナ:Darsenaと、カナル・グランデ:Canal Grandeという2本の運河が交差するあたりから、カナル・グランデ沿い一帯です。運河の両岸に飲食店がびっしりと並んでいます。

ちなみに、ダルセナは、船の係留地という意味、カナル・グランデは、大きい運河という意味です。
「じゃあ、『小』運河もあるの?」
「はい。グランデとY字型に分岐しています。飲食店は、ちらほらある程度ですかね」
「ふうーん」

ナヴィリオは夜の街なので、明るいうちに行くと、ちょっと、しらけます。皆んなブラブラというより、ダラダラ歩いている感じです。店員さんも奥へ引っ込んでいて、気だるい雰囲気が漂っています。

ナビリオ夕方カナルグランデ (1)
( ダルセナから分岐するナヴィリオの中心、カナル・グランデ(大運河))

いくら、アペリティーボという、ドリンク一杯でおつまみ食べ放題の割安サービス時間帯だからと言って、明るいうちから飲んだくれ気分にはなりません。ちょっと、引っ掛けるくらいがいいのです。

ミラネーゼは、よく働き、よく楽しみ、よく休みます。
ニッポン人は、いつも働き、我を忘れるまで飲み、休まずコソコソさぼります。

せっかくミラノ観光にきたので、あまり深刻にならずに、10ユーロとか15ユーロを払ってアペリティーボを楽しみましょう。暗くなると、人気のバルはかなり混むので、流れに乗れない観光客は肩身が狭くなります。

ナビリオ夕方ハッピーアワーの宣伝 (1)
( 観光客も入りやすいアペリティーボの宣伝 )

ナビリオ夕方ハッピーアワー中のバル201803
( ナヴィリオのバルも明るいうちはガラーン )


3) 暮れればナヴィリオ

それが、夜になると一転です。
週末でなくとも、7時を過ぎると、どっと人々が繰り出してきます。観光客もいっぱいいますので、安心です。

にぎわいに身を投じても、ナヴィリオの旬は、もう過ぎたのか、まだ過ぎていないのか分かりません。ただ、ミラネーゼならではのセンスに照らすと、峠は越えたと言いたいのでしょう。たぶん、新たな驚きや興奮がないのです。

ナビリオ夜景カナルグランデ賑わい始め
( カナル・グランデの宵の口のにぎわい )

どの店も、少しずつお客が増えてきました。みんな、まず、そぞろ歩きをしてからバルに入って一杯やりながらおしゃべりです。一人の人もいて、ちょっと一杯引っ掛けながら人間観察をしています。

ナビリオ夜景カナルグランテとバル201803
( ナヴィリオの夜はこれから )

こちらも、一杯の飲物におつまみを少々取って退散です。この後、ちょっと移動して、皆んなで夕食を取るのです。
おつまみ食べすぎて、お腹いっぱいになる旅人もいますが、次からは、ほどほどにしたいものです。

美味しいイタリア料理を一食、食べ損ねるなんて、ああもったいない、もったいない!

それでも、ミラノ旅行に来てナヴィリオまで足を運ぶ日本人なんて、まだまだ少数派のようです。来るなら、今がラスト・チャンスかも。


2018年9月記                   了