やまぶきシニアトラベラー

気まぐれシニア・トラベラーの旅。あの日から、いつか来る日まで、かつ、めぐりて、かつ、とどまる旅をします。

癩王のテラスの隙間でヒンズーの神々に囲まれる

癩王のテラスの隙間でヒンズーの神々に囲まれる     2019年10月訪問

快晴で陽射しのまぶしい10月下旬の朝、私は、アンコール・トムの「癩王のテラス」に上がりました。
有名で人気のある「象のテラス」と一対になった、長くて広い、ひな壇状の遺跡です。足早や日本人および中国人観光客のメインルートから、ほんのわずかだけ北にはずれているせいか、見物人の数はあまり多くありません。

のんびり、じっくり、芝生とひな壇歩きをしました。「ちょっと、暑っ!」

0325Aトム象のテラス昼下り風景 (7)
( 象のテラスから見た癩王のテラス )
0328Aトム癩王テラス付近風景 (5)
( 癩王のテラス側面のレリーフ )

癩王のテラスの中央部にくると、壁が二重になっていて、隙間にも入れます。ガイドブックによりますと、隙間は昔に埋められてしまっていたので、しばらくは気がつかれず、後世の調査で見つかった場所のようです。

テラス上の、イメージだけ清々しい暑い空気を吸ったあと、下に降りてみました。
せっかく来たのですから、なるべくたくさんの場所に入り込みたいです。
0328Aトム癩王テラス付近風景 (8)
( 癩王のテラス上から象のテラス方向を見る )



0328Aトム癩王テラス付近風景 (14)
( 癩王のテラスの内壁 )

赤い石を積み上げた二重壁の間を、そろりそろりと歩いて行くと、ヒンドゥーの神々のレリーフが所狭しと彫られた壁面にでました。
「ほおっ・・・・・・・・」

ヘビがモチーフのナーガ神のレリーフのある場所は、少しびくつきながら通りました。私は、ヘビがきらいなので、彫刻と分かっていても気になってしまうのです。

「いきなり、ぴょん、と頭を出したらどうしよう・・・・・・」
「くわばら、くわばら」
0328Aトム癩王テラス付近風景 (12)
( 内壁のヘビ神ナーガは、私には気味悪い存在 )
0328Aトム癩王テラス付近風景 (13)
0328Aトム癩王テラス付近風景 (11)
( 内壁の数えきれないほどのヒンズーの神々たち )

これでもか、というプレッシャーを3回も4回も感じるくらい、切り立った内壁の両側にはヒンズーの神々の像が彫られ、重なり、ずれ、そして欠けていました。インド哲学のエンドレスのような神話の世界を肌で感じました。

たまたま、せまい通路内ですれ違ったアメリカ人のお姉さまと一期一会の縁で立ち話をしました。お姉さまは、こういう光景に天にも舞い上がらんばかりの感動を覚えたそうです。同じ表情が二つとない神々に囲まれていると、無限の祝福を授けられている気分になるということでした。そして、お互いのカメラで写真を撮り合いました。私は2-3枚お願いしましたが、興奮気味のお姉さんは遠慮がちな表情をしながらも、壁の向きを変えて6-7枚撮ってくれとのこと。もちろん快諾して、いろいろなポーズと背景の写真を撮ってさしあげました。

「よい1日を!」
「あなたも!」

いやあ、ほんとに神々のお姿に間近かで囲まれると、仏教徒の私も、少し、こそばゆい気分になりました。

2020年2月記                       了



センスがいいね、アンコール・トムの象のテラス

センスがいいね、アンコール・トムの象のテラス   2019年10月訪問

象のテラス:Elephant terrace は、アンコール・トムの中で、バイヨン寺院遺跡に次ぐ人気スポットのようです。場所もバイヨンから徒歩数分の距離なので移動も手間いらずです。

ここは、象の鼻をモチーフにした、お立ち台正面のデザインが、現代人にも通じる斬新なセンスを誇っています。石組みの歪みや日焼けのただれがなければ、もっと強烈な印象を与えるに違いありません。

0324Aトム象のテラス前再び1025 (7)
( 象のテラスにある象の鼻のレリーフ )

象のテラスとバイヨン寺院の間は、徒歩で10分くらいです。

両者の間には、それなりに注目度の高いバプーオン:Baphuon  というピラミッド型の寺院遺跡があります。私は、暑さと疲れで観光意欲が薄れていたタイミングであったので立寄りませんでした。バプーオンに通じる参道は、地面から浮いた感じの石造の通路です。私が通ったときは、結婚記念写真の撮影が行なわれていましたが、なかなか見映えがよい空間です。どの王様もというか、王に抜擢された寺院の設計者は、それなりに独創的な姿形の寺院を作ろうとしたようです。いわゆる「地図に残る仕事」、「教科書に紹介される作品」を目指したのだと思いました。

0304Aトム バプーオン跡への高床通路
( 奥のバプーオン遺跡に通じる空中回廊的な参道 )

0303Aトム象のテラス上歩道
( バプーオン入口の先からみた象のテラス(左)と、テラス前の広場(右))

象のテラスの上を中央部に向かって歩いて行きました。下の道路や草地がある場所に軍隊が整列したようです。象のレリーフは、下にいないと目に入りませんが、王侯貴族や高官の目線を体験したいならば、一度はテラス上を歩かないといけません。

象のテラスの中央部のお立ち台に立つと、線対称に美しく広がった緑のじゅうたんと、奥の塔の遺跡、その背後の大きな木々が視界に入ります。往時は、木造建築物や人の群れがいっぱいだったと思いますが、なかなか想像できません。

博物館に入って、往時の想像図でも目にした方ならば、閲兵式や国家の儀式の様子を頭に思い浮かべることができるのでしょうか。
0321Aトム象のテラス1022 (8)
( 象のテラスのお立ち台 )
0322Aトム象のテラス2回目1023 (3)
( 象のテラスの張り出したお立ち台のひとつ )

0324Aトム象のテラス全景1025
( 横からみた象の鼻と全身像のレリーフ )
0328Aトム癩王テラス付近風景 (15)
0328Aトム癩王テラス付近風景 (17)
( 癩王(らいおう)のテラス下の象のレリーフ2葉 )

象のテラスの北側には、続きとして、癩王のテラスと呼ばれるお立ち台があります。こちらにも象のレリーフが張り出しの前面に彫られた場所があり、とても印象に残ります。

寺院遺跡は塔のイメージで縦型で権威的な印象ですが、こちらは横に大きく広がっているので、広々とした公園のような柔和な印象を受けます。木造の建築物が跡形もなく消え失せて熱帯性の樹木が伸び放題になったからこその公園的風景の気がしました。

暑く、強い日差しの下ながら、すがすがしい場所でした。

2020年2月記                                          了

アンコールトム北大門は、顔がぴくりかも

アンコールトム北大門は、顔がぴくりかも           2019年10月訪問

アンコールトムは、正方形の形をした首都で、東西南北に門があります。

そのなかで、一番有名で人気があるのが南大門。その次に馴染みがあるのは、小回りコースでくぐる東側の勝利の門でしょう。

そして、北大門あたりになると、大回りコース:Grand circuit を選んで、初めて通ることになるので、人出もぐっと減ります。、そのため、門も苔むし、熱帯樹木がからみつきそうになっています。
1271Aトム北大門遠目1023
( アンコールトムの北大門を内側から見た全景 )

観光客がいっぱいの南大門と同じデザインのはずなのに、こちらは陰気で苔むしています。

「ようこそ、き・た・だ・い・も・ん、へ・・・・・。ひゅう、どろどろ」、という感じで、神様たちが鎮座しています。

1271Aトム北大門通行中1023
( 苔むして薄気味悪い北大門を内側から見る )
1271Aトム北大門塔アップ1023
( 門の真上の神の像3面 )

よく見ると、普通の神様なのですが、夜な夜な動きそうな気配を感じてしまいました。
「観光客も少ないし、ちょっとくらい、あたりを見回したって気づかれないもん!」と、神様がコケの下でほくそ笑んんでいました。

1272北大門外でプレアカーンへ1023
( アンコールトム北大門の外側と、ほとんど崩落した神々の像 )

こちらの欄干の乳海攪拌物語相当の神々の像は、ほとんど崩れています。
「ちょっとした距離の違いで、ミナミとキタでは、同んなじ門でも、こんなに雰囲気が違うんだ」と、考えてしまいました。観光客の気分なんて、移ろいやすいものです。余計に、夜な夜な動いても問題はないでしょう。

1270Aトム癩王テラス北大門への道
( アンコール北大門付近の大回りコースの道路風景 )

そんな雰囲気を感じながら森の中の道を、トゥクトゥクで走っていきます。写真では、森林浴っぽいイメージですが、とにかく暑いです。トゥクトゥクの上で風に吹かれるくらいがちょうどよい気分でした。

2020年2月記


南大門の神々たちのインスピレーション

南大門の神々たちのインスピレーション     2019年10月訪問

「事実は小説より奇なり」という諺(ことわざ)があります。アンコール・トム:Angkor Thom の南大門入口の橋の欄干に鎮座するヒンズー教の神々たちも、思いっきり奇妙な姿でした。

体験者はご存知のとおり、ヘビに見立てた橋の欄干を、上半身だけの百面相の神々たちが綱引きのように引っ張っているデザインが、なまじのクリエーターの発想力の比ではないのです。聞けば、ヒンズー教の天地創造の物語である乳海攪拌の一場面なのだとか。

「ぶっとんだ」
「マンガにそのまま使える発想だ」
「ジャヤバルマン7世陛下、是非、ウチの事務所でチーフ・クリエーターやって」です。

0371Aトム南大門夕方 (2)
( 観光ポスターなどでも馴染みの南大門を通り抜けるクルマやバイク )

古い門を、現代のクルマやバイクが当たり前のようにくぐりぬける写真も有名です。ヨーロッパや中国、トルコ、アラブの古い城門でも同様の光景が見られますから、世界的にはデフォなパターンです。木造建築が主流の日本では、ほとんどない場面ですね。

0372Aトム南大門の朝風景1023 (3)
( ズンズン、ズンドコッという感じでヘビを引っ張る神様の石造 )
0101Aトム南大門の朝風景1023VG
( 南大門の上で、にやけ顔で睨みを利かす神の顔 )

こうのような場面は、絶対にマンガやアニメにもってこいの素材です。芸術家の皆さまは、自由にインスピレーションを働かせて、是非、シュールな作品を作っていただきたいなあ。
0102Aトム南大門の表情多種1023
( 神様も一応、伏し目でヘビ綱引き )

どこでも、たくさんの神様を並べるときは一体ごとに表情を変えるのですね。五百羅漢、三十三間堂などの仏様などの顔つきが脳裏に浮かびました。

0372Aトム南大門濠快晴1025 (4)
( 欠けて行方不明の神あり )

でも、どうして修復してある神と、欠けたまま放置してある神がいるのでしょう。完全に欠落していると、オリジナルの表情が分からないので修復できないからのような気がします。

0372Aトム南大門濠と彫刻
( 修復したのはいいが白すぎて浮いている神あり )

おおらかで明るくユニークな南大門の綱引き神様に喝采です。このような発想をしたアンコール・トムの完成者であり、巨大ブッダ顔のバイヨン寺院の建立者であるジャヤバルマン7世陛下の、シュールすぎる発想に言葉もないくらいの賛辞を送ります。

2020年2月記                  了

うふふと見つめ合いたいバイヨン寺院

うふふと見つめ合いたいバイヨン寺院    2019年10月訪問

アンコール・トム: Angkor Thom の中心部にあるバイヨン寺院:Bayon Temple は、「ばかでかい顔面ブッダ像」が印象に残る仏教寺院遺跡です。

ブログや旅行記の大半は、ブッダ像のことは書きますが、「巨大な顔だけの像だ」ということに、ほとんど触れていません。私は、この「顔だけ」感こそバイヨンのバイヨンたる理由だと思いますが、あまり賛同は得られないようです。近くにある南大門前のお濠の橋の欄干にもデザインされた「上半身ヒンドゥー教神様像」と合わせて、アンコール・トム観光の最大の見せ所だと感じました。

そして、このブッダの表情、とても柔和です。思わず見とれてしまいました。見つめられ、あるいは、じいっと見合ってしまいたい雰囲気を持っています。

「うふふ、ようこそ、いらっしゃいました」。

何度見ても、気が休まる表情です。彫刻家の腕がとても優れていたようです。
1318Aトムバイヨンブッダ顔間近に1022
( ブッダのでかい顔こそバイヨンの特色 )

バイヨン寺院は、ガイドブック等の解説のとおり、ジャヤバルマン7世 :Jayabalman Ⅶ (在位1181--1218年) という有名な王様によって建立されました。

ジャヤバルマン7世は、現代ガンボジア人のなかでも1番人気の王様との話。アンコール王朝史上、最強かそれに近い名声と権力を得た方のようです。対外戦争と権力闘争に打ち勝って55歳のときに即位、首都のアンコール・トムを整備したり、首都の中心にバイヨン寺院を建立するなどして君臨、93歳の長寿を得て、みまかったという生涯だそうです。これだけでも、かなりインパクトのある国王です。

ちなみにアンコール・ワットの建立者は、スールヤバルマン2世:Suryabalman Ⅱ (在位1118-1150年)という王で、アンコール王朝最盛期の国王と解説してありました。それなりに名君だったのだと思いますが、ジャヤバルマン7世のユニークさにはかないません。

バイヨン寺院の、どでかいブッダ顔を思い出すにつれ、「どうして、この王様は「顔だけ」彫ろうとしたんだろう。頭の中、どうなっていたの?」と、考えてしまいます。キリスト教も含めて、「顔だけ神様」は、ほとんど例がありません。しつこいくらい、このジャヤバルマン7世の思考経路に関心が向いてしまいます。一般にアクセスできるサイトやブログ程度では、この問いに答えてくれるコラムは今のところありません。

1303Aトムバイヨン快晴朝東面1025
( 快晴のバイヨン寺院全景 )

ぶつぶつ言っていないで、バイヨン寺院を見物した話にもどりましょう。

バイヨン寺院の近くに来ると、主塔の側面に高々と彫ってあるブッダの顔が目につきます。塔の姿も凛々しく、人出も多いので、雰囲気だけで人気スポットだということが分かりました。遺跡は3層構造なので、急な階段を昇って、少しずつ上のテラスに上がります。

1311Aトムバイヨン入口16時影1022
( 上部回廊に登っていくとブッダのお顔も間近になってくる )

耳よりの最新情報では、バイヨン寺院の最上部のテラスは、2020年1月初めより修復工事のため登楼禁止になったとのことです。数年後に見学が再開されたら、どんな感じになっているのでしょう。

1312Aトムバイヨン昔の顔と今の仏像1022
( 通路には、現役の「全身」仏像もある )

とにかく、バイヨン寺院に入ると、そこいらじゅうに、石造りの仏様のどでかい顔、顔、顔の彫刻が、いっぱい。そして、何ともいえない柔和で穏やかな微笑みをたたえているのです。一説では、建立者のジャヤバルマン7世の顔がモデルとのことです。ガイドブックに紹介されているジャヤバルマン7世の顔は柔和ですが、こちらの方がブッダ顔に合わせて彫ったこともあり得ると私は感じました。皆さまの意見はどうなのでしょうか。

「どっちでもいい」

1316Aトムバイヨンブッダ顔1022
( 有名な巨大ブッタの笑顔も午後は逆光 )

それにしても巨大な顔だけが所狭しと彫られている空間に、気持ちがぶっ飛びます。

創立者の超ユニークな感性のおかげで、現代の私たちは、バイヨンの得も言われぬ温かみある雰囲気に浸ることができるのです。あらためて、「すばらしいセンスです、ジャヤバルマン7世陛下!」

これら多数のブッダ顔、石組みがずれてきているので、ちょっと異様です。ジャヤバルマン7世時代は絶対にずれていないで、もっとすっきりした継ぎ目だったと思います。800年の歳月が経つうちに、少しずつ地盤の不等沈下が起こり、石組みが歪んだようです。また、強い日射と、多湿によるコケの繁茂などで、遺跡全体がただれた感じになっています。とても残念です。少し寂しく、無常を感じるひとときでした。

1318Aトムバイヨンブッダ顔間近に1022
1318Aトムバイヨンブッダ顔三体もっとアップ1022
( バイヨン寺院内のブッダ顔面像の数々 )

これでも、十分に微笑ましいお顔を想像できます。石組みが、ぴたっと合わさり、石の黒ずみもぬぐって、これ以上ないくらい麗しいお顔を見てみたいものです。

いきなりですが、見方を変えると、人気マンガ、「Drスランプ・アラレちゃん」に出てくる、ニコちゃん大王がごろごろいるような気もしませんでしょうか。

1315Aトムバイヨン主塔を仰ぐ1022
( バイヨンの主塔を見上げる )
1314Aトムバイヨン夕陽に主塔の顔1022
( ちょっと脇道にそれると荒廃が目に付くバイヨン )
1322Aトムバイヨン西日の主塔3塔1022 (1)
( ブッダ顔面像がいっぱい )
1313Aトムバイヨンヒンズー彫刻1022
( ほんの少し残るデヴァターは、ヒンズー教信仰の名残り )

カンボジアの宗教は、二転三転しながらヒンズー教から仏教に徐々に変わり、しかもヒンズー教の影響が残っているので、バイヨン内にも、アプサラダンスをするデヴァターが彫ってありました。ここのデヴァターも、ちょっと、おっかない顔つきです。ジャヤバルマン7世陛下のお好み顔なのか、こうあるべきだという当時の一般的なデヴァター顔なのか、私には分かりませんでした。


2020年2月記                        了

朝な夕なにバイヨン寺院遠望

朝な夕なにバイヨン寺院遠望     2019年10月訪問

アンコール・トム内: Angkor Thom の中心にあるバイヨン遺跡:Bayon Temple  は、アンコールワット遺跡群のなかでは、おそらく2番人気です。

そのユニークな、顔だけブッダ像は、1番人気のアンコールワットの姿とともに絶対に記憶に残ります。

1303Aトムバイヨン快晴朝東面1025
( 朝の陽光に輝くバイヨン寺院全景 )

日本人スタイルの典型的な1日観光ですと、アンコールワットの日の出鑑賞のあと、このバイヨン寺院と、近くの南大門に来て、いわゆる「下車観光」をします。アンコールワットの境内を見る前で、かつ、気力も充実している時間帯なので、気分も「わあああ・・・・すげえ・・・・・」となり、忘れられない記憶になるようです。

「そりゃそうだ。石造りの「ばかでかい」ブッダの顔が、自分の真ん前に次から次へ、ぬうっと現れれば、びっくりするよ」

そんな人気のバイヨン寺院遺跡は、朝が順光です。また、少し遠目に全体像を見ることが少ない遺跡です。それなので、朝な夕なにユニークな姿をさらし続けるバイヨン寺院の全景を四方八方から見てみました。

1303Aトムバイヨン快晴縦1025
( バイヨン寺院東面。ブッダ顔は遠目には不鮮明 )

少し距離を置いてしまうと、塔のあちこちに100面以上彫ってあるブッダのお顔像もくっきりとは見えません。写真でも、眼をこらして見ると、顔面像がシルエットになって浮かんでいます。「ウォーリーを探せ」状態ですね。

1305Aトムバイヨン昼下がり西側14時
( 昼下がりのバイヨン寺院西面 )

午後からは、西側が順光です。干上がっていない池があるので、写真に凝っている方は、うまーくアングルを見つけて「水面に映る」バイヨン寺院を撮影するようです。その執着力に脱帽です。

1310Aトムバイヨン夕方遠景1022
( 夕暮れ間近のバイヨン寺院北面 )
1311Aトムバイヨン入口夕方1022
( 頂上部が西日に輝くバイヨン寺院 )

午後4時ごろになると、バイヨン寺院には徐々に西日が当たるようになります。しかし、気温はまだ高く、観光客もバテ気味で入ってくるので、全体に気だるいムードが漂います。朝の、きりりとした景観から、滅びの美を象徴するような、どことなくぼやっとしたような光景に変わってきました。

アンコールワット遺跡ともども、いろいろなバイヨン寺院風景を楽しめるといいですね。

私の体験では、トゥクトゥクのお兄さん、何回も同じところに行く観光客の心情は分からないらしく、「また、寄るのお?」と、口をとんがらしていました。別にチャーター料金は同じなんだからいいじゃない、と内心思いながら「バイヨン、プリーズ」です。

2020年1月記                      了


はらはらと歪んで悲しいバンテアイ・クデイ遺跡

はらはらと歪んで悲しいバンテアイ・クデイ遺跡      2019年10月訪問

バンテアイ・クデイ遺跡:Bateay Kdei   は、タ・プローム遺跡の西隣りある12世紀末ごろのヒンドゥー教寺院遺跡です。スモール・サーキットの基本コースのひとつです。

バンテアイ・クデイも、基本的には崩れかけた遺跡ですが、地味な雰囲気や中途半端な荒廃感のため、あまり人気がありません。

0403バンテアイクデイ内部1022 (2)
( バンテアイ・クデイ遺跡の西門 )
0403バンテアイクデイ内部1022 (22)
( バンテアイ・クデイ遺跡の西参道 )

そのため観光客も少なく、遺跡内でも、ほとんど人の姿を見かけませんでした。けれども、アンコールワット遺跡群共通の遺跡要素はそろっています。正方形の伽藍配置、歪んだり荒れた石組み、神や女神のレリーフ、リンガなどです。

ガイドブックなどによると、上智大学の発掘調査により、破壊された大量の仏像が見つかったとか。そのため、バンテアイ・クデイは、仏教寺院をヒンドゥー教寺院に作り替えたのだということが分かったようです。アンコールワット遺跡群の多くの寺院では、あちらこちらで、ヒンドゥー教と仏教の勢力交代の話をよく耳にしました。

0403バンテアイクデイ内部1022 (8)
0403バンテアイクデイ内部1022 (16)
( バンテアイ・クデイ遺跡の主塔付近と応急措置 )

バンテアイ・クデイ遺跡の中央部の荒れ具合もかなりのレベルです。塔の幾つかには、鉄のベルトが巻かれ、辛うじて崩壊を防いでいます。床や建物内部の石組のゆがみも相当なもので、建物や壁がうねっています。石が黒ずみ、コケや雑草がくっついているのも当たり前です。

この程度の「平均的な」レベルの遺跡の補修まで手が回らないというのが実情でしょう。
0403バンテアイクデイ内部1022 (14)
( 崩落防止の木製の支柱 )

遺跡の端の方では、木の根が壁にまとわりついたような個所もありました。
それでも、ヒンドゥー教寺院の、複雑で混沌とした世界観は、随所に彫られたレリーフをとおして伝わってきました。女神のデヴァターのいくつかも魅力ある姿をとどめていました。

0403バンテアイクデイ内部1022 (31)
( まだまだ魅力的な雰囲気を残しているデヴァター )
0403バンテアイクデイ内部1022 (17)
( 往時の魅力と色彩をとどめる赤銅色のデヴァター )

私が思うに、たくさんのデヴァターがいるからこそ、ヒンドゥー教の寺院は、温和で親しみやすい雰囲気をいつまでも残しているようです。有名な神話「マハーバーラタ」のように、ストーリーが複雑で、いつ終わるともない神々の勢力争いばかりの話や場面ばかり見せられても、ヒンドゥー教に親しんでいないと、わくわくしながら接することはできません。

0403バンテアイクデイ内部1022 (15)
( 見上げるとダンスするデヴァターたちもいるバンテアイ・クデイ )

寺院なのに、王宮のような色(艶)があるからこそ、すさんだ中にも楽しさを感じるアンコールワット遺跡群の観光のような気がしました。

2020年1月記                              了

夕日も見ようプノン・バケンの丘で

夕日も見ようプノン・バケンの丘で     2019年10月訪問

アンコールワットの日の出を見るならば、やっぱり夕日も見たいです。

平凡な観光客にとり、人気スポットで世界中の人たちと感動を分かち合いながら見物する方が満足度が高いことは言うまでもありません。

私も夕日が美しいことで人気のあるプノン・バケン:Phnom Bakheng Temple  の丘に登ることができました。この丘は、300人の定員制なので、運良く定員の内数に入いることができたということです。日没の約45分前に展望台の入口に到着、団体でうるさいと不評の中国人不在という幸運に恵まれた結果です。

0193プノンバケンの夕陽輝く (11)
( 雲間に沈みゆくプノンバケンの夕日。アンコールワットは左に見え隠れする )

アンコールワット観光の夕日鑑賞スポットは、最近では、いちおう2カ所あります。

本命は、アンコールワットの塔が見え隠れするプノン・バケン寺院遺跡の頂上です。先着順の定員300名ですので中国人の団体が押し寄せた場合はアウトという条件付きです。噂によると、彼らの一部は3時すぎからやってきて、係員の制止などかまわずに小宴会をしながら夕暮れを待つということでした。こういう日に当たってしまっては、私たち一般人は、到底かないません。

その代替地として、確実に展望地点に上がれるということで客が付き始めたのがプレ・ループ:Pre Rup Temple という遺跡です。こちらは、場所も広いので定員無制限ですが、プノン・バケンより遠く、アンコールワットが見えないというハンディがあり、総合評価ではプノン・バケンに比べてかなり落ちます。ツアーですと、名称は同じ夕日鑑賞でも、こちらに連れていかれる場合が多いようですので、皆さんも気にした方がよいと思います。

念のため申し添えますが、天候不順で夕日が見られないリスクは両地点とも同じです。

「何、そんなにびくつかず、日没の40-50分前にプノンバケンの入口に着く程度の準備で、大方、大丈夫ですよ」
「観光中に、団体の中国人をわんさか見たら、1時間半くらい前に行ってみて様子を見ればいいじゃないですか」

0071夕陽のプノンバケン標識
( プノン・バケン遺跡の登り口と標識 )

このくらいの楽な気分で、プノン・バケンに登ればいいのです。観光客100%丸出しで夕日見物も良いではないですか。
0192プノンバケン登り道 (3)
( プノンバケンへの道は未舗装だが勾配は緩い )

夕方4時50分に、私はプノンバケンの入場口をとおり、約15分かかって海抜67mの丘の頂きにたどり着きました。高温多湿なので、ゆっくり歩いても汗ばみます。10月下旬の日没は午後5時40分ごろです。

0073プノンバケン寺院下より全体
0074プノンバケン夕暮れ時の寺院
( 遺跡の基礎部分からプノンバケンの展望スポットを仰ぐ )

プノン・バケンは、9世紀ごろのヒンドゥー寺院遺跡らしく、現在、修復工事が行なわれていますが、観光客の関心は専ら夕日鑑賞です。寺院の最上段へ上がる階段下には、入場整理券を受け取る列ができていました。
0191プノンバケンテラス入場証 (2)
( プノン・バケンの夕日鑑賞展望台用の入場整理券 )

数人いる係員のおじさんは、のんびりムード。にやにやしながら不安そうな観光客を見回して「あと10分待ってね」と言って、ほんの小さな優越感に浸っています。

出口担当の係員が、写真のようなプラスチック製の入場整理券を運んでくると、おじさんは、ゆっくりと1枚ずつ、列に並ぶ者たちを通しながら配ります。急階段があるので、見物人が殺到しないように調整している感じです。

0192プノンバケン夕暮れ時の風景 (2)
( プノン・バケンの展望台に上がる階段 )

手のひらを広げて「チップ」などをせびらないだけヨシとしましょう。カンボジアは現在は決して豊かとは言えないですが、こういう点は、おねだり文化ではないのです。栄耀栄華を一度は極めた民族の誇りのように感じました。

0193プノンバケンの夕陽輝く (5)
( プノン・バケン展望台で夕暮れを待つ観光客 )

はやる気持ちを抑えて展望台に上がると、そこそこの人出。欧米系あり、アジア系ありですが、皆んな個人客や数人のグループ客でした。声高に叫ぶ団体客もいません。ひそひそ話をしつつも、うきうきと夕日が雲間から姿を現わす瞬間を待っているという感じでした。

お互いの思いは同じなので、適当に声を掛けあって最前列に出してもらって記念撮影もできます。テラスの東面に行くと、大勢の見物人の肩越しにアンコールワットの尖塔がちらりと見えましたが、写真は撮れませんでした。さすがにベストポイントは超人気です。
0078プノンバケン夕暮れ時人混み
( プノン・バケンの特等席は西向きのテラス )

私の訪れた日は、薄雲がかかっていたので、西の空に夕日が顔を出すかどうか、ちょっぴり不安でした。けれども、日没20分くらい前になったら、雲の切れ目から、濃いオレンジ色に染まった夕日が、くっきりと姿を現わしました。小さなどよめきの声とともに、見物人がいっせいにカメラのシャッターを切る音が響きました。

0193プノンバケンの夕陽輝く (3)
0079プノンバケンの夕陽丸々沈みゆく
0080プノンバケンの夕陽輝く沈み込み
( プノン・バケンの丘から沈みゆく夕日を見る )

夕日を眺めるためだけに見る太陽は、ほんとにきれいです。黒ずんできた森の彼方に沈むオレンジ色の夕日は、普段より神々しく感じました。

「有名な観光スポットで、人並みに楽しい体験ができて良かったです」
「世界中の人たちといっしょに夕日が見られて、アンコールワット人気の高さを実感できました」

2020年1月記                                    了












尊敬を持ってねトゥームレイダーさん

尊敬を持ってねトゥームレイダーさん      2019年10月訪問

タプローム遺跡は、「トゥーム・レイダー」という人気映画のロケ地のひとつであると、多くの方々がブログで紹介しています。

TombR Y2002
( 「トゥーム・レイダーのDVDカバー )

「トゥーム・レイダー」は、2001年のアメリカ映画で、主演は超有名なアンジェリーナ・ジョリーさん。ストーリーは、英国の富裕貴族の令嬢にして古代宝物探索家の主人公ララさまが、悪役の考古学者たちと闘いながら5000年前に行方不明になった”時間をコントロールできる仕掛け”を探し当て、正義の信念のもとに破壊するという内容です。最新鋭のIT技術と武器を手に、武闘派の美女が派手なアクションで悪役と銃撃戦を生き延びる場面が連続するアメリカンな娯楽映画です。

宝探しの舞台は、イギリスから始まり、アンコールワット、ベネチア、シベリアなどが出てきます。

そのうちのひとつが、クメール遺跡として紹介されたアンコールワット遺跡群のうちのタプローム遺跡。写真の場面のように、巨大石造物にとぐろを巻くように根を生やした木が特徴のタプローム遺跡が、古代の忘れられたモニュメントとして神秘的なイメージで映し出されています。

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( タプローム寺院の中を動くアンジェリーナ・ジョリー(右上) )
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( トゥームレイダーの場面と同じく木の根にからまれた石造建築物 )
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( 主人公ララさまも、崩れた石積みの中を歩き回る )

それだけ、遺跡上に木々の根がはびこる様子は、私たちの想像を超えたイメージをかき立てることは間違いありません。打ち捨てられた建物内や空洞に、人知を超えた何かが潜んでいそうな不気味さを感じることも確かでしょう。

しかし、このトゥームレイダー:Tomb Raider、日本語に直訳すれば「墓荒し」、よく言って「古代墓所探査家」。目的の宝物さえ見つけられるのならば、文化財を破壊したり、異教の神の像を銃撃することなど何とも思っていないようです。

私も、他の皆様のブログで、この映画のことを知りましたが、タプロームやアンコールワットの登場した場面を見て、とても悲しくなりました。

いくら娯楽映画とはいえ、心の奥に潜む「あいつらは、ちょろいからな」的な思考が見え隠れしていたからです。

「もっと、宗教そのものに対する尊敬の念を持って接しなさい!」

「他文化を、自分たちの文化と同等に認め合う謙虚さを忘れてはいけません!」

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( 敵方も、クメールの神の像を破壊して宝の隠し場所に潜入 )
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( 神の像が暴れ出したので逃げる主人公ララ。次の場面では、寺院遺跡内にもかかわらず銃を乱射して撃退 )

「英米人の皆さん、宝が内部にあるからという理由で、パルテノン神殿の柱やエレクティオンの少女像を、忍法で折ったり、ぱっくり割った冒険映画を作ってもお互い様なのですね」

「『正義の主人公が、パリのノートルダム寺院の主祭壇を重機でつぶして、地下の隠し部屋を発見し、古文書を引っ張りだしたら、周囲のキリスト教の聖人像が突如、襲い掛かってきたので機関銃を乱射して、全部、木っ端みじんに吹っ飛ばして、無事、京都の屋敷に帰還』、というストーリーでも、娯楽映画ならば、宗教団体その他からのクレームはなしということですね」

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( 貧しいながらも長閑なアジアの寺院と村人たちという感じの描写 )

「西暦3001年のローマは地球温暖化で砂漠となり、バチカンらしき遺構が残る廃墟で、ボロをまとった純朴そうな表情の村人が数人、祭壇の裏で午後の暑さをしのぐため、のんびり昼寝でも、文句なしですよ」

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( 世界最高峰の宗教建築の一つとして優美な姿を見せるアンコールワット )

少しづつ、私たちは、お互いの文化を尊敬し合うという気持ちになっていることは、間違いないと思います。けれども、ときには、尊敬し合うという気持ちが一歩も二歩も後退してしまい、自国以外の文化を気軽に娯楽の対象にしてはいませんか?

日本人が作った娯楽映画で、ゴジラが皇居を踏み潰すのは、議論百出ながらも「あり」だと思います。けれども、アメリカ人が作った娯楽映画で、代表的なシーンが、スーパーマンが敵を倒すために伏見稲荷の鳥居を将棋倒しのように倒すのは「なし」だと思います。けれども、ホワイトハウスに立てこもった敵を全滅させるために核を一発お見舞いする場面ならば「あり」でしょう。

アンコールワットの旅から帰国して、噂に聞いた「トゥームレイダー」という映画を、DVDで初めて鑑賞した私の感想です。

2020年1月記                           了



意外に人気のタプローム遺跡

意外に人気のタプローム遺跡    2019年10月訪問

アンコールワット遺跡群のひとつ、タプローム寺院遺跡:Ta Prohm Temple は、この地区でトップ3に入る人気ぶりです。解説書等を見ると「密林の中に放置されたかのような遺跡感」が強く印象に残るからのようです。

実際に行くと、熱帯性の樹木の根が遺跡の上にからみついている光景が随所に見られます。これが、まさかの展開なのでしょうね。
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( 遺跡にからみつく木で有名なタプローム遺跡 )

けれども、このパターンはアンコールワット遺跡に慣れてくると基本風景のひとつであることが体感できます。

初めてか2番目の遺跡見物がタプロームですと、「わあっ、すげえ!」となります。

けれども、3つ目以降くらいですと、「ああ、このパターンね」となり、あまり感動しません。

私は後者の方でした。タプロームへ入る前に、もっと荒れた感じの遺跡に入っていたせいだと思います。もしかしたら、アンコールワット観光の超ダイジェスト版のコースのように、「アンコールワット日の出 → バイヨン → タプローム → アンコールワット本殿 → 夕日見物」の方が、記憶に深く刻まれるのかも知れません。中途半端に知ったかぶりをすると、タプロームの良さを感じにくくなってしまうようです。

御託を並べていてもつまらないので、タプローム寺院遺跡の雰囲気を感じましょう。ここも、正方形をしたヒンドゥー教の大伽藍跡で、密林に埋もれていた状態で19世紀後半に発見された当時の雰囲気で一般公開する方針のようです。

南北どちらかの門から入るのですが、外観は、いたって平均的な造りです。うっそうとした木々、黒ずんだ石、歪んで材木で補強されたりしている建物などが、密林の遺跡感を強烈にアピールしています。
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( ここも正方形のタプローム遺跡全図 )
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(タプローム遺跡の外観と北門入口付近の境内風景 )

はじめは、「ふうん、森の中に取り残された寺の跡なんだ」くらいなのでしょう。アンコールワット遺跡群の中心部にあるポイントのひとつなので、意外と観光客が多く、けっこう賑やかな感じです。

しかし、少し奥に入ると、崩落した建造物と、無造作に積みあがった石材がいっぱい出てきます。アンコールワットやバイヨンでは、あまり、そういう場面はないので、初めてすさまじい崩落現場を見ると、びっくりするのです。

「げえっ」、「わああ・・」、「すごおい」、「きゃあ・・・」の世界になります。もしくは、「また、これね」です。
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( タプローム遺跡内を歩く大勢の観光客 )

堂々たる石造建築が、ものの見事に崩れ、石材が散乱している様子は、期待を大きくはずします。「こんなに崩れちゃっているの!」という感じです。そして、石材や壁も手でさわれるし、石を跨いでお堂跡の中に入っていけます。随所に立入禁止のロープが張ってありますが、順路に沿って見て歩くだけの遺跡ではないのです。ですから、余計に遺跡感、歴史感が出ます。本当は900年くらい前のものなのに、2~3000年前のように錯覚してしまうかも知れません。日本の法隆寺のほうが古いのに、こちらの方が何倍も古く感じてしまいます。

境内をさまよっていると、ちゃんと、木の根がからみついた建造物跡に出ます。有名な光景は境内に何カ所もあるので、どれが一番先に目に入るかは、運次第、ツアーの順路次第だと思います。
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( 有名な木の根がからんだ寺院建造物 )

話に聞くとおり、なかなかユニークな光景です。石造りの屋根に雑草が生い茂っている程度の比ではありません。お寺に木が寄生している感が、しっかりと出ています。人工的に、このような場面を作ることはしませんので、見ごたえのあるシーンであることに間違いありません。たっぷり鑑賞し、いろいろな角度から眺め、思い出の記念写真をたくさん撮りましょう。
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( 木の根がからみつく様子を近くで見る )

気持ちが落ち着いてくると、木の根に押しつぶされないように補強材が入っている、とか、観光客が見やすいように周囲の枝を払ったな、ということが分かります。前の写真の根は、遺跡の上に胡坐(あぐら)をかいているようです。

「うーーん、タプローム遺跡側も役者だなあ。『見せる』努力をしているぞ」と、思いました。

ですから、立入禁止でない限り、あちこちめぐり歩いて、崩落し、樹木にからまれ、苔むしたタプロームを存分に見物しましょう。高めの敷居を跨いだりするので、次第に汗がにじみ出し、足も疲れてきます。
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( 崩落し、苔むすタプローム遺跡境内 )
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( 木の根がからむ姿の記念撮影スポットもある )

日当たりが良く、木の根の形も良い場所には、ちゃんと、お立ち台が作られていて記念撮影が手軽にできるようになっています。放置しすぎて、木の根に登ったり、ナイフで引っかいたりして荒らされるよりは、こうした方が断然、保護効果があります。私も、遺跡管理者の思惑どおり、ここで写真を撮っていただきました。

暑い中、約40分ほどでタプローム遺跡見物は終了。反対側の門に出て、次なる目的地へ向かいました。
お土産売りのオバサン、子供たちをかわしてトゥクトゥクに向かいました。
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( タプローム遺跡南門 )

私の訪問した日は、韓国人、欧米系の小グループ客、日本人が多く、中国人は少ない感じでした。

雨季が早めに開けた快晴の日であったので、観光客そのものが少なかったようですが、人気のタプローム遺跡なので、見物人の姿が途切れることはありませんでした。

2020年1月記                              了



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